虹裏img歴史資料館

1 17/01/06(金)21:09:09 No.401258751

「てめーこのクズ何回足引っ張れば気が付くんだよボケお前はチームの邪魔なんだよ足手まといなんだよとっととやめてくれよきゃおおおおわおおおおぐおぎぎぎぎぎぎぎ！！！　んごーんごーはじけろおおおおはじけろおおおおお！金むしりに来るバカ弟とこんなクズを唯一の部下に回したクソ上司どもの頭はじけろおお！！１死ねええ！うわきょおあわああああ！！」 　液晶テレビの中ではヤクザじみたペンギンがマシンガン罵倒を始めている。 　日常生活とあまりにもかけ離れた罵倒が反響増幅しあって、もはや言葉になってない咆哮と化している。 　終いにはあらぬ方へと罵声が飛んでいた。 　そんな修羅場をパジャマ姿のアンコウチーム+1は半目で眺めていた。 　時刻は23時を回っている。 　半目なのは夜間であることや、パジャマパーティーだからとブランデーを垂らして紅茶を飲んだことでもなく、 　お気づきの通り……先述のボコドラマがあまりにも先鋭的でよくわからないからだ。

2 17/01/06(金)21:09:59 No.401258934

「誰に何を言ってるかわからんぞ…」 「あ、私もそう思いました」 「お前、がどなたのことなのか悩みますね」 「関係ないところってあたりでさらにわからなくなりますよぅ」

3 17/01/06(金)21:10:17 No.401259008

「あ、叱られているほうが軽トラではねた！」 　沙織が半目を少し丸くしてテレビを指さしている。 　画面の中では動きがあった、今まで言いたい放題に詰られていたクマが反撃をしていた。 　軽トラで事務所の壁を（鉄筋が見えていたからコンクリのはずだ……）ぶち抜いてペンギンを轢いたのだ。

4 17/01/06(金)21:10:48 No.401259112

「きゃあああああああ！　ボコオオオオオオ！」 「ボコおおおお!　がんばれー！」 　みほと愛里寿がボコグッズを振り回しながら虚無への供物が如き応援を始めるが、 　軽トラから降りたボコがバットを振り回そうとするものの、受け身をとった（……どうやって？）ペンギン上司がなんと腹からガトリング砲を出していた。 　……声援に応えて虚無がボコの必敗を約束している。

5 17/01/06(金)21:11:30 No.401259281

「……これやっぱりボコシリーズだったんだ」 　肩を落として引き気味な沙織のツッコミと同時に華、麻子、ゆかりの三人は優花里が持ってきた四人用くらいのカードゲームを始めていた。 　王子、姫、大臣、侍従長、etc……と別れ、自分の役目通りに王子と姫の恋文通信を邪魔するか成就させるかのルールであったはずだ。 　しらけ気味の四人とは別に二人は目を爛々と輝かせ顔を赤くしてボコを応援している。 　応援に熱がこもるのへ比例して画面の中のボコは殴られたり蹴られたりしていた。

6 17/01/06(金)21:12:02 No.401259379

「80年代迷走期の定石だよ沙織さん！　この時期のボコシリーズはまっとうな理由で詰られて堪忍袋の尾が切れてから派手な反撃をするのが見せ場なの！」 「最初で最後の犯行で……その後にボコは十倍くらい酷い目にあって……家が燃やされたりしちゃうの――きゃああああああ♬」 「そうそうそうそう！　あれはよかったよね！　ペンギンと血みどろの殴り合いをしていたら場所が古代の邪教の祭壇で暗黒邪神が復活してしまうの！」 「成すすべもなく膝をつくんだけど……ペンギンと一緒に暗黒神に立ち向かうボコはカッコよかったなぁ…」 　どう応えたものかと頭をかしげていた沙織を越えて、彼女の背中を見ている優花里が質問をする。 「暗黒神が復活したから……ボコが倒しちゃうんですか」

7 17/01/06(金)21:12:39 No.401259538

　みほと愛里寿は、にまぁ……と笑みを浮かべてお互いの顔を見てから笑いをかみ殺すようにオチョボ口で優花里へとこしょこしょ話し始める。 「あのね、ボコはね……ぷくくくくうふふふふふ」 「ははぁ五十鈴さん、大臣だな？」 　場に出ている札から麻子は沙織の手と役割を読む。 「そうそうボコがね……うふふふふふふ」 「いえ、大臣は優花里さんでしょう」 　空っとぼけるような、迂闊さを見せているような……のらりくらりと華が言い逃れをする。 「暗黒神を倒した勇者だからと」

8 17/01/06(金)21:13:05 No.401259639

　優花里は待っている二人の視線に気が付き、慌てて場へカードを出した。 「あ、すいません！　私の番ですね！　じゃあ世話焼きのおばさんです」 「絶対宇宙全滅破壊神のいけにえになっちゃうの！」 「あら……優花里さんの勝ちですね……」 「強いなぁ、秋山さんは……」

9 17/01/06(金)21:13:28 No.401259724

「私はお前の父だ！」 ジャージャージャジャー！ ジャージャジャー！ ジャージャジャー！ 画面の中では、黒いサイボーグペンギンに片腕を飛ばされた後、ダムへ落ちかけているボコに悲壮な真実が明かされていた。 「……あの、これ違う映画のやつじゃ」

10 17/01/06(金)21:13:54 No.401259818

「あ！　いけない！　これ再編集版だ！」 「あーん！　残念！　過激なばかりで面白くないやつだ」 　沙織のツッコミを待たずに四人は思った。 　全部、面白くないのでは……？ 　愛里寿とみほを除く四人は切実に感じていた。如実に感じていた。 　そろそろ打ち合わせの通りに、違うものを見ましょうと華が提案するころだ。 　優花里と麻子がアイサインを彼女へと送る。 　意を決して華が口を開く……刹那。

11 17/01/06(金)21:14:09 No.401259879

「じゃあ次は、ＢＯＫＯ-リターンオブザボコｰを見ようよ愛里寿ちゃん！」 「うん！　エンディングのどんでん返しがすごいんだよね！」

12 17/01/06(金)21:14:42 No.401260042

　二人のボコ愛は時間よりも公転よりも宇宙の膨張よりも加速していく。 　名評論家が贈る深夜の映画番組よりもつまびらかに解説をしているおかげでもう見る必要はないだろう。 　どんでん返しの内容は超能力に目覚めたボコが実は敵性勢力の尖兵であり、絶対に負けることを約束されていて悲壮感溢れるものだった。 　それでもボコは皆のためではなくアイデンティティのために極殺全滅獄葬無敵楽勝艦隊へ特攻をかけるのだ。 　負けかたが豪華になっただけだったとしか思えない。 　なんとはなしに優花里は四号戦車の初期からAusf.Ｊまでの違いを聞かされる門外漢の気持ちを察することができた。 　それということもなく華は生け花の芸術性から見るアレンジメントとエコサイクル主体のハウジングデザインとの親和性の講釈を聞いている時を思い出した。 　思うこともせず麻子は複雑系とカオス論の複合による限定された場と管理された予測演算を物理法則で表すミクロとマクロの相関性の新書を読んでいる気分になった。 　沙織は婚活サイトの横文字の羅列を見てよくわからないままにうなずいていた過去の自分を呼び戻していた。

13 17/01/06(金)21:14:58 No.401260113

　黄色い声が上がる。 　ボコが殴られる。 　応援が始まる。 　ボコが起き上がる。 　黄色い声が上がる。 　ボコが倒れる。 　蹂躙が始まりエンドロール。 　そして

14 17/01/06(金)21:15:50 No.401260319

「ボコ……負けちゃったね！」 「まけちゃったね！」 　可愛い少女二人が肩と頭を寄せ合い、幸せな気分のままに夜は更けてくのでした。

15 17/01/06(金)21:16:06 No.401260392

ｵﾜﾘ

16 17/01/06(金)21:20:40 No.401261449

サイコすぎるよみぽりん…

17 17/01/06(金)21:21:39 No.401261640

みほアリ可愛かった…

18 17/01/06(金)21:21:44 No.401261666

過激なだけでつまらないシリーズってのは長寿物だとあるよね…

19 17/01/06(金)21:23:43 No.401262073

ボコマニアにも過激なだけでつまらないと言う概念があったんだ…

20 17/01/06(金)21:24:23 [sage] No.401262230

>場に出ている札から麻子は沙織の手と役割を読む。 沙織ではなく華だけど そんなことはもうどうでもいい。

21 17/01/06(金)21:25:09 No.401262381

景気いいころとかブームのころのつまんねーものは ほんとまじですげえつまんねえから困る

22 17/01/06(金)21:26:49 No.401262763

みぽりんにつまらないと言われる様な作品を一般人が見たらどうなってしまうのか

23 17/01/06(金)21:34:10 No.401264639

>みぽりんにつまらないと言われる様な作品を一般人が見たらどうなってしまうのか マニアにとってつまらないだけで一般人には受けるのも結構ある