17/01/01(日)02:11:57 同じ冬... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1483204317128.jpg 17/01/01(日)02:11:57 No.400102958
同じ冬でも東京の冬は過ごしやすいとカチューシャは思った。 それとともに滑り止めのついたロングブーツじゃなくてもよかったかな。そう自分の足元を見ながら考えていると「ヘイ!カチューシャ!電車来ちゃうわよ!」と、ケイに現実に引き戻される。 東京のはずれにある戦車道連盟の一室で行われた各学園の隊長会議が終わり、カチューシャ、ケイ、まほは品川駅で羽田に向かう電車に乗った。 今回の会議で集まったのは大洗、黒森峰、聖グロリアーナ、サンダース、アンツィオそしてプラウダ。 大洗廃艦騒動のときに集まった学校による会議だった。 本当は継続にも会議の参加を求めたが隊長の不在を言う理由で断られたので、この六校の隊長が集まり会議を行った。 会議の議題は戦車道における各学校の協力と交流。これは、大洗廃艦騒動のときの様に戦車道を政治の道具に使われないようにすることの確認と、もしもの時のために交流を持つことを約束して今回の会議は終了した。
1 17/01/01(日)02:12:12 No.400103005
電車に揺られながら学園艦からの出発の時を思い出す。 「一人で大丈夫ですか?カチューシャ。」 「良いからノンナはしっかりお見舞いに行くこと!ほかの隊長もいるし飛行機のチケットは取ってあるし何も問題はないわ。」 数日前ノンナのお父さんが雪かき中に怪我をした。怪我自体はさほど重くはなかったが丁度学校が冬休みだったので早めの帰郷を促した。 確かにノンナがいないと不安ではあるが、けがの一報を受けてからノンナは心ここにあらずといった様子だった。 「ねえ?カチューシャ?」ケイがカチューシャを心配して声をかける。「何か心配事?聞こうか?」こういう時のケイは少しおせっかいでとても優しい。 「今日ノンナがいなかったでしょ。」ケイに促されてカチューシャがぽつぽつと語りだす。こういう時のケイは母のような優しさがある。 「もうそろそろ着くぞ話はあとで聞こう。」それまで黙って居たまほが話を切り移動を促す。こういう時のまほは機械的で冷たい。
2 17/01/01(日)02:14:17 No.400103297
ターミナル内に移動して互いに乗る飛行機の座席を確認するとだれからともなくフードコートに向かう。 席を見つけ腰を落ち着けるカチューシャとケイ、するといつの間にか飲み物を持ってくるまほがいた。 カチューシャには紅茶をケイと自分のためにコーヒーを持ってきたまほは「さっきは言葉が足らなかった。気を悪くしたら謝る。」こう宣言し席に座る。こんな時、まほは不器用だ。 カチューシャは品川駅へ向かう途中にダージリンの事を思い出す。 「空港まで、まほさんと一緒だけど大丈夫?」「それぐらい問題ないわ!」強く胸を張るカチューシャ。「ねえ!まほさん聞いたかしら?」カチューシャの強がりを面白がりまほを呼ぶ。 こういう時のダージリンは気が回るが、意地悪だ。少なくともカチューシャはそう思う。だけどそのおかげでまほと向かい合っても苦手意識は薄れてきた。 「ありがとう。マホーシャ。」紅茶を受け取るとどこからかまほは砂糖とポーションを出して渡す。まほはとっつきにくいがやさしい。
3 17/01/01(日)02:14:37 No.400103356
まほは紅茶を渡しながら静岡から学園艦に帰っていくアンチョビの事を思い出していた。 あれぐらいのコミュニケーション能力があればよかったのにと思う。会議の途中の休憩などまほは何かと孤独になりやすい。 妹が皆に囲まれている時まほは静かに本を読んでいた。そこにアンチョビがすかさず声をかける「黒森峰の隊長が寂しいじゃないか?西住みほ。」 「アンチョビ?すまない気を使わせてしまったな。」まほは自分が面白くないと思っている節がある。 「気なんか使っていないさ。」そういうと目の前に椅子を出して座わる。「こっちこそ読書中にすまない。西住まほに興味があってな。」 「西住流なら今度アンツィオに送ろう。しかし、アンツィオでは西住流より…」まほの言葉アンチョビは遮る「それもくれるなら欲しいが、違うんだ。」 「違う?」 「私は西住まほに興味があるんだ。そりゃあ、西住流も気にはなるがな。」アンチョビはニッと笑う。まほはつられて微笑み返した。
4 17/01/01(日)02:16:44 No.400103659
「そう…彼女のお父さんが…」ふと、ケイは言葉に詰まる。 「別に大きなけがじゃないしそんな困っているわけでもないの。」カチューシャはケイが深刻に取らないように補足した。「ただ、ちょっと別れる時ノンナが元気なかったから。」 ケイはこのような時かける声を知らない。友であるノンナのことを心配していないはずがないのにかける言葉が出てこない。「そう、心配ね…」何とかこの言葉を絞り出した。 このような時、ケイは一人の友人の顔を浮かべる。聖グロリアーナ隊長ダージリン。あの子なら機転を利かせて気の利いた言葉を送れるのに。
5 17/01/01(日)02:17:58 No.400103822
「友への同情は、堅い殻の下にひそんでいるのがいい。」まほが口を開く。「ノンナの事を思うのはいいが、その姿を見たノンナはカチューシャ、お前の姿を心配してしまう。会うときはできるだけその気持ちを隠した方がいい。」 「ヘイみほ!誰の言葉?」自分がやろうと思っていたことを取られてケイは少し不機嫌さを持ちながらまほに聞く。 「確かニーチェだ。」言い終わると下を向き「たぶん意味はそれであっていると思う。」言い終わると赤面した。 「マホーシャ。ありがとう。ケイも気にしないで大丈夫だから。」そこにはいつもの指導者ではない少女カチューシャがいた。
6 17/01/01(日)02:18:43 No.400103933
カチューシャの搭乗する便が迫ってくる。 「そろそろゲートに行かなきゃ。」 「カチューシャ。じゃあね。ノンナのお父さん早く良くなるように祈ってるわ。」ケイが笑顔で手を差し出す。 「次は食事でもしながら話そう。元気でな。」まほは握手しながら優しく微笑む。 「ええ、二人とも今日はありがとう。」 カチューシャは手荷物検査に向かう、検査を得て振り返ると見送る二人と目が合った。無意識に手を振る。それにケイは大きくまほは小さく手を振ってこたえた。 機内に入りほどなくして離陸する。滑走路を走り始める飛行機はカチューシャに揺れを与える。ほどなくして、一瞬の浮遊感を感じると続いて体が地面に引っ張られる感覚に襲われる。 しかし、カチューシャは今日の出来事をノンナにどう伝えようかで頭がいっぱいだった。 「ねえ、ノンナ。新しい友達の話していい?」
7 17/01/01(日)02:29:11 No.400105425
不器用なさりげない友情いいよね…
8 17/01/01(日)02:30:50 No.400105653
いい…
9 17/01/01(日)02:34:14 No.400106158
人がいないと思いメモ住にダイレクトマーケティングしてしまった そんなSSですお納めください ss282974.txt そえとあけましておめでとうございます 今年もよろしくお願いします
10 17/01/01(日)02:37:22 No.400106617
明けましておめでとう 元日からまほカチュでほっこりできたわ 来てない?来るんだよ!これから!
11 17/01/01(日)02:41:22 No.400107138
素のカチューシャってなかなかレアかもしれない… 誤字かもしれないのでまずご報告を >「黒森峰の隊長が寂しいじゃないか?西住みほ。」 文脈的にまほの間違いかと思いましたので あとこれは個人的な疑問なんですが >大洗廃艦騒動のときに集まった学校による会議だった。 継続不在の理由はありましたけど知波単は…? 以上お目汚し失礼しました
12 17/01/01(日)02:44:29 No.400107513
>元日からまほカチュでほっこりできたわ まほカチュでありケイカチュでありダーカチュでもある だが安斎はまほの物 >継続不在の理由はありましたけど知波単は…? すっかり忘れてた… あと誤字ありがとうございます
13 17/01/01(日)02:58:57 No.400109443
優しい…
14 17/01/01(日)03:01:52 No.400109873
お姉ちゃんはお姉ちゃんだ! この一見ドライな優しさが精一杯の優しさだと感じる
15 17/01/01(日)03:02:48 No.400109992
素敵なお友達じゃん…いい…
16 17/01/01(日)03:04:35 No.400110234
ノンナさんにとびきり素敵なライバル達のお話をしてあげてほしい もっとノンナさんに甘えていいんだよ…
17 17/01/01(日)03:06:43 No.400110491
>もっとノンナさんに甘えていいんだよ… ノンナさんは各隊長とのきゃきゃするのの犠牲となったのだ 最近ノンカチュかいてないな…