虹裏img歴史資料館

ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。新しいログはこちらにあります

24/02/02(金)21:23:11 アスラ... のスレッド詳細

削除依頼やバグ報告は メールフォーム にお願いします。個人情報、名誉毀損、侵害等については積極的に削除しますので、 メールフォーム より該当URLをご連絡いただけると助かります。

画像ファイル名:1706876591994.jpg 24/02/02(金)21:23:11 No.1153095962

アスランは激怒した。必ず、かの邪知暴虐の女王を除かなければならぬと決意した。アスランには政治がわからぬ。けれども友の傲慢に対しては、人一倍に敏感であった。 きょう未明アスランはズゴックでオーブを出発し、野を越え山越え、此のファウンデーションにやって来た。アスランには父も、母も無い。女房も無い。カガリと離れて、十七の内気なメイリンと二人暮しだ。

1 24/02/02(金)21:23:32 No.1153096130

アスランには竹馬の友があった。キラである。 今は此のファウンデーションにて、コンパスの隊長として駐留している。その友を、これから訪ねてみるつもりなのだ。久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみである。歩いているうちにアスランは、まちの様子を怪しく思った。ひっそりしている。 しばらく歩いてミケール大佐に逢い、語勢を強くして質問した。ミケールは答えなかった。アスランはズゴックでからだをゆすぶって質問を重ねた。ミケールは、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。

2 24/02/02(金)21:23:49 No.1153096249

「女王様は、人を殺します。」 「おどろいた。女王は乱心か。」 「いいえ、乱心ではございませぬ。人を、信ずる事が出来ぬ、というのです。このごろは、臣下の心をも、お疑いになり、女王様の化粧が増したと言う者には、人質ひとりずつ差し出すことを命じて居ります。きょうは、六万人殺されました。」 聞いて、アスランは激怒した。 「呆れた女王だ。生かして置けぬ。」

3 24/02/02(金)21:24:17 No.1153096450

アスランは、単純な男であった。のそのそ女王の城にはいって行った。たちまち彼は、ブラックナイトスコードに捕縛された。調べられて、アスランの懐中からはNJCが出て来たので、騒ぎが大きくなってしまった。アスランは、女王の前に引き出された。 「このNJCで何をするつもりであったか。言え!」 女王アウラ十七歳は静かに、けれども威厳を以って問いつめた。その女王の顔は蒼白で、眉間の皺は、刻み込まれたように深かった。 「市を暴君の手から救うのだ。」とアスランは悪びれずに答えた。 「おまえがか?」 女王は憫笑した。 「仕方の無いやつじゃ。おまえには、妾の孤独がわからぬ。」

4 24/02/02(金)21:25:03 No.1153096787

「言うな!」 とアスランは、股座ごといきり立って反駁した。 「人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。女王は、民の忠誠をさえ疑って居られる。」 「疑うのが、正当の心構えなのだと、妾に教えてくれたのは、おまえたちだ。人の心は、あてにならない。人間は、もともと私慾のかたまりさ。信じては、ならぬ。」 暴君は落着いて呟き、ほっと溜息をついた。 「妾だって、平和を望んでいるのだが。」 「なんの為の平和だ。自分の美貌を守る為か。」 こんどはアスランが嘲笑した。 「罪の無い人を殺して、何が平和だ。」 「だまれ、下賤の者。」 女王は、さっと顔を挙げて報いた。 「上の口では、どんな清らかな事でも言える。妾には、人の腹綿の奥底が見え透いてならぬ。おまえだって、いまに、磔になってから、泣いて詫びたって聞かぬぞ。」

5 24/02/02(金)21:25:28 No.1153096990

「ああ、女王は悧巧だ。自惚れているがよい。俺は、ちゃんと死ぬる覚悟で居るのに。命乞いなど決してしない。ただ、――」 と言いかけて、アスランは足もとに視線を落し瞬時ためらい、 「ただ、俺に情をかけたいつもりなら、処刑までに三日間の日限を与えて下さい。三日のうちに、俺はオーブで結婚式を挙げ、必ず、ここへ帰って来ます。」 「ばかな。」 と暴君は、しわがれた声で低く笑った。 「とんでもない嘘を言うわい。逃がしたトリィが帰って来るというのか。」 「そうです。帰って来るのです。」

6 24/02/02(金)21:26:23 No.1153097384

アスランは必死で言い張った。 「俺は約束を守ります。俺を、三日間だけ許して下さい。そんなに俺を信じられないならば、よろしい、この市にキラというコンパスの隊長がいます。俺の無二の友人だ。あれを、人質としてここに置いて行こう。俺が逃げてしまって、三日目の日暮まで、ここに帰って来なかったら、あの友人を絞め殺して下さい。たのむ、そうして下さい。」

7 24/02/02(金)21:27:06 No.1153097684

それを聞いて女王は、残虐な気持で、そっとほくそえんだ。生意気なことを言うわい。どうせ帰って来ないにきまっている。この嘘つきに騙された振りして、放してやるのも面白い。 「願いを、聞いた。その身代りを呼ぶがよい。三日目には日没までに帰って来い。おくれたら、その身代りを、きっと殺すぞ。ちょっとおくれて来るがいい。おまえの罪は、永遠にゆるしてやろうぞ。」 「なに、何をおっしゃる。」 「はは。いのちが大事だったら、おくれて来い。おまえの心は、わかっているぞ。」

8 24/02/02(金)21:28:06 No.1153098104

アスランは口惜しく、地団駄踏んだ。ものも言いたくなくなった。  竹馬の友、キラは、深夜、女王城に召された。暴君アウラの面前で、佳き友と佳き友は、二年ぶりで相逢うた。アスランは、友に一切の事情を語った。キラは無言で首肯き、アスランをひしと抱きしめた。友と友の間は、それでよかった。キラは、縄打たれた。アスランは、すぐに出発した。

9 24/02/02(金)21:30:21 No.1153099130

アスランはその夜、一睡もせず急ぎに急いで、オーブへ到着したのは、翌る日の午前、陽は既に高く昇って、人々は仕事をはじめていた。カガリも、疲労困憊のズゴックの姿を見つけて驚いた。そうして、うるさくアスランに質問を浴びせた。 「なんでも無い。」 アスランは無理に笑おうと努めた。 「用事を残して来た。またすぐに行かなければならぬ。あす、おまえとの結婚式を挙げる。早いほうがよかろう。」 カガリは頬をあからめた。 「うれしいか。綺麗な衣裳も買って来た。さあ、これから行って、国中の人たちに知らせて来い。結婚式は、あすだと。」

10 24/02/02(金)21:31:06 No.1153099451

アスランは、また、よろよろとズゴックで歩き出し、オーブ政庁を訪れた。そうして、少し事情があるから、結婚式を明日にしてくれ、と政府閣僚やサイに頼んだ。 サイは驚き、それはいけない、こちらには未だ何の仕度も出来ていない、と答えた。 アスランは、待つことは出来ぬ、どうか明日にしてくれ給え、と更に押してたのんだ。 サイも頑強であった。なかなか承諾してくれない。夜明けまで議論をつづけて、やっと、どうにかなだめ、すかして、叩き伏せた。

11 24/02/02(金)21:31:55 No.1153099816

結婚式は、真昼に行われた。新郎新婦の、神々への宣誓が済んだころ、黒雲が空を覆い、ぽつりぽつりレクイエムが降り出し、やがて車軸を流すような熱線となった。アスランも、満面に喜色をたたえ、しばらくは、女王とのあの約束をさえ忘れていた。 祝宴は、夜に入っていよいよ乱れ華やかになり、人々は、外のレクイエムを全く気にしなくなった。アスランは、一生このままここにいたい、と思った。

12 24/02/02(金)21:33:00 No.1153100283

アスランほどの男にも、やはり未練の情というものは在る。今宵呆然、歓喜に酔っているらしい花嫁に近寄り、 「おめでとう。俺は疲れてしまったから、ちょっとご免こうむって眠りたい。眼が覚めたら、すぐに出かける。大切な用事があるのだ。俺がいなくても、決して寂しい事は無い。 おまえの夫の、一ばんきらいなものは、人を疑う事と、それから、嘘をつく事だ。おまえも、それは、知っているね。 亭主との間に、どんな秘密でも作ってはならぬ。おまえに言いたいのは、それだけだ。おまえの夫は、たぶん偉い男なのだから、おまえもその誇りを持っていろ。」  花嫁は、夢見心地で首肯いた。アスランは笑って村人たちにも会釈して、宴席から立ち去り、PSダウンしたように深く眠った。

13 24/02/02(金)21:34:27 No.1153100921

眼が覚めたのは翌る日の薄明の頃である。 アスランは跳ね起き、南無三、寝過したか、いや、まだまだ大丈夫、これからすぐに出発すれば、約束の刻限までには十分間に合う。アスランは、悠々と身仕度をはじめた。 レクイエムも、いくぶん小降りになっている様子である。身仕度は出来た。さて、アスランは、ぶるんとズゴックの両腕を大きく振って、矢の如く走り出た。 俺は、今宵、殺される。殺される為に走るのだ。身代りの友を救う為に走るのだ。 女王の奸佞邪智を打ち破る為に走るのだ。走らなければならぬ。そうして、俺は殺される。若い時から名誉を守れ。さらば、カガリ。

14 24/02/02(金)21:35:48 No.1153101547

若いアスランは、つらかった。幾度か、立ちどまりそうになった。えい、えいと大声挙げて自身を叱りながら走った。 オーブを出て、野を横切り、森をくぐり抜け、隣コロニーに着いた頃には、レクイエムも止み、日は高く昇って、そろそろ暑くなって来た。 そろそろ全里程の半ばに到達した頃、降って湧いた災難、アスランの足は、はたと、とまった。 見よ、前方の川を。きのうのレクイエムで山の水源地は氾濫し、濁流とうとうと下流に集り、猛勢一挙にコロニーを破壊し、どうどうと響きをあげる激流が、木っ端みじんに橋げたを跳ね飛ばしていた。

15 24/02/02(金)21:36:26 No.1153101800

彼は茫然と、立ちすくんだ。あちこちと眺めまわし、また、声を限りに呼びたててみたが、船は残らず浪にさらわれて影なく、グーンやゾノの姿も見えない。流れはいよいよ、ふくれ上り、海のようになっている。アスランは川岸にうずくまり、男泣きに泣きながらハウメアに手を挙げて哀願した。 「ああ、鎮めたまえ、荒れ狂う流れを! 時は刻々に過ぎて行きます。太陽も既に真昼時です。あれが沈んでしまわぬうちに、女王の城に行き着くことが出来なかったら、あの佳い友達が、俺のために死ぬのです。」

16 24/02/02(金)21:36:57 No.1153102016

濁流は、アスランの叫びをせせら笑う如く、ますます激しく躍り狂う。今はアスランも覚悟した。泳ぎ切るより他に無い。ああ、神々も照覧あれ! 濁流にも負けぬ愛と誠の偉大な力を、いまこそ発揮して見せる。 アスランは、ざんぶとズゴックで流れに飛び込み、ジェネシスのようにのた打ち荒れ狂う浪を相手に、必死の闘争を開始した。 満身の力を腕にこめて、押し寄せ渦巻き引きずる流れを、なんのこれしきと掻きわけ掻きわけ、めくらめっぽう獅子奮迅の人の子の姿には、監督も哀れと思ったか、ついに憐憫を垂れてくれた。 押し流されつつも、見事、対岸のコロニーの端に、すがりつく事が出来たのである。陽は既に西に傾きかけている。

17 24/02/02(金)21:37:50 No.1153102417

ぜいぜい荒い呼吸をしながら峠をのぼり、のぼり切って、ほっとした時、突然、目の前に一隊のブルーコスモスが躍り出た。 「青き正常なる世界のために。」 「何をするのだ。俺は陽の沈まぬうちに女王の城へ行かなければならぬ。放せ。」 「青き正常なる世界のために。」 「俺にはいのちの他には何も無い。その、たった一つの命も、これから女王にくれてやるのだ。」 「青き正常なる世界のために。」 「さては、女王の命令で、ここで俺を待ち伏せしていたのだな。」 ブルーコスモスたちは、ものも言わず一斉にダガ―を振り挙げた。アスランはひょいと、からだを折り曲げ、シン・アスカの如く身近かの一人に襲いかかり、そのダガ―を奪い取って、 「気の毒だが正義のためだ!」 と猛然一撃、たちまち、三人を殴り倒し、残る者のひるむ隙に、さっさと走って峠を下った。

18 24/02/02(金)21:38:23 No.1153102663

すまん ネタ切れになったのでここで途切れる

19 24/02/02(金)21:39:24 No.1153103103

僕の名はアスラン 地球は、狙われている

20 24/02/02(金)21:39:31 No.1153103143

>すまん >ネタ切れになったのでここで途切れる 「」ン!!11この!!馬鹿野郎!!! !

21 24/02/02(金)21:41:06 No.1153103837

ここまで来たら書き切れや!!!!!!!!!!!!

22 24/02/02(金)21:50:09 No.1153108028

わかった 中略混じりでもなんとか風呂敷たたんでみる

23 24/02/02(金)21:50:52 No.1153108379

一気に峠を駈け降りたが、流石に疲労し、折から午後の灼熱のサイクロプスがまともに、かっと照って来て、アスランは幾度となく眩暈を感じ、これではならぬ、と気を取り直しては、よろよろ二、三歩あるいて、ついに、がくりと膝を折った。 立ち上る事が出来ぬのだ。天を仰いで、くやし泣きに泣き出した。ああ、あ、濁流を泳ぎ切り、ブルコスを三人も撃ち倒しフェイス、ここまで突破して来たアスランよ。真の勇者、アスランよ。今、ここで、疲れ切って動けなくなるとは情無い。 愛する友は、おまえを信じたばかりに、やがて殺されなければならぬ。おまえは、稀代の脱走兵、まさしく女王の思う壺だぞ、と自分を叱ってみるのだが、全身なえて、もはやザウートほどにも前進かなわぬ。路傍の草原にごろりと寝ころがった。

24 24/02/02(金)21:52:08 No.1153108933

身体疲労すれば、精神も共にやられる。もう、どうでもいいという、勇者に不似合いな不貞腐れた根性が、心の隅に巣喰った。 俺は、これほど努力したのだ。約束を破る心は、みじんも無かった。神も照覧、俺は精一ぱいに努めて来たのだ。 (中略) キラよ、ゆるしてくれ。君は、いつでも俺を信じた。俺も君を、欺かなかった。俺たちは、本当に佳い友と友であったのだ。いちどだって、暗い疑惑の雲を、お互い胸に宿したことは無かった。 いまだって、君は俺を無心に待っているだろう。ああ、待っているだろう。ありがとう、キラ。君の姿は俺に似ている。(中略) ああ、何もかも、ばかばかしい。俺は、醜い脱走兵だ。 どうとも、勝手にするがよい。やんぬる哉。 ――四肢を投げ出して、うとうと、まどろんでしまった。

25 24/02/02(金)21:52:43 No.1153109213

>たちまち彼は、ブラックナイトスコードに捕縛された うーんリアリティがなさすぎだなあ…

26 24/02/02(金)21:53:29 No.1153109525

ふと耳に、悶々と音が聞えた。そっと頭をもたげ、息を呑んで耳をすました。頭の中から小さくささやきながら女性の裸体が湧き出ているのである。その泉に吸い込まれるようにアスランは身をかがめた。 顔を両手でおおって、一息にのぞいた。ほうと長い溜息が出て、夢から覚めたような気がした。 歩ける。行こう。肉体の疲労回復と共に、わずかながら希望が生れた。(中略)

27 24/02/02(金)21:55:03 No.1153110229

(中略) 走れ! アスラン。 俺は信頼されている。俺は信頼されている。先刻の、あの悪魔の囁きは、あれは夢だ。悪い夢だ。忘れてしまえ。五臓が疲れているときは、ふいとあんな悪い夢を見るものだ。アスラン、おまえの恥ではない。やはり、おまえは真のフェイスだ。 再び立って走れるようになったではないか。ありがたい! 俺は、正義の士として死ぬ事が出来るぞ。 ああ、陽が沈む。ずんずん沈む。待ってくれ、ハウメアよ。俺は生れた時から正直な男であった。正直な男のままにして死なせて下さい。 (中略)

28 24/02/02(金)21:59:18 No.1153112195

路行くカズイを押しのけ、跳ねとばし、アスランは黒い風のように走った。 野原で酒宴の、その宴席のまっただ中を駈け抜け、酒宴のバルトフェルドを仰天させ、バクゥを蹴とばし、小川を飛び越え、少しずつ沈んでゆく太陽の、十倍も早く走った。 一団のエクステンデットと颯っとすれちがった瞬間、不吉な会話を小耳にはさんだ。 「いまごろは、あの男も、死んでくよ母さん。」 ああ、その男、その男のために俺は、いまこんなに走っているのだ。 その男を死なせてはならない。急げ、アスラン。おくれてはならぬ。 愛と誠の力を、いまこそ知らせてやるがよい。風態なんかは、どうでもいい。アスランは、いまは、ほとんどMSの外装が崩れかけであった。 呼吸も出来ず、二度、三度、口から血が噴き出た。見える。はるか向うに小さく、ファウンデーションの市の塔楼が見える。塔楼は、夕陽を受けてきらきら光っている。

29 24/02/02(金)22:00:06 No.1153112490

「ああ、アスラン。」うめくような声が、風と共に聞えた。 「誰だ。」 アスランは走りながら尋ねた。 「シン・アスカでございます。貴方のお友達ヤマト隊長の部下でございます。」 その若いコンパス隊員も、アスランの後について走りながら叫んだ。 「もう、駄目でございます。むだでございます。走るのは、やめて下さい。もう、あの方をお助けになることは出来ません。」 「いや、まだ陽は沈まぬ。」

30 24/02/02(金)22:01:10 No.1153112952

「ちょうど今、あの方が死刑になるところです。ああ、あんたは遅かった。おうらみ申します。ほんの少し、もうちょっとでも、早かったなら!」 「いや、まだ陽は沈まぬ。」 アスランは胸の張り裂ける思いで、赤く大きい夕陽ばかりを見つめていた。走るより他は無い。 「やめて下さい。走るのは、やめて下さい。いまはご自分のお命が大事です。 あの方は、あんたを信じて居りました。刑場に引き出されても、平気でいました。女王様が、さんざんあの方をからかっても、アスランは来ます、とだけ答え、強い信念を持ちつづけている様子でございました。」 「それだから、走るのだ。信じられているから走るのだ。間に合う、間に合わぬは問題でないのだ。人の命も問題でないのだ。 俺は、なんだか、もっと恐ろしく大きいものの為に走っているのだ。ついて来い! シン・アスカ。」 「ああ、あんたは気が狂ったか。それでは、うんと走るがいい。 ひょっとしたら、間に合わぬものでもない。走るがいい。」

31 24/02/02(金)22:02:50 No.1153113678

言うにや及ぶ。まだ陽は沈まぬ。最後の死力を尽して、アスランは走った。アスランの頭は、からっぽだ。種割れしたシン・アスカのごとく何一つ考えていない。ただ、わけのわからぬ大きな力にひきずられて走った。 陽は、ゆらゆら地平線に没し、まさに最後の一片の残光も、消えようとした時、アスランは疾風の如く刑場に突入した。間に合った。 「待て。その人を殺してはならぬ。アスランが帰って来た。約束のとおり、いま、帰って来た。」

32 24/02/02(金)22:04:27 No.1153114375

(中略)、 「俺だ。アスランだ。彼を人質にした私は、ここにいる!」 と、かすれた声で精一ぱいに叫びながら、ついに磔台に昇り、釣り上げられてゆく友の両足に齧りついた。群衆は、どよめいた。あっぱれ。ゆるせ、と口々にわめいた。キラの縄は、ほどかれたのである。

33 24/02/02(金)22:05:11 No.1153114670

「キラ。」 アスランは眼に涙を浮べて言った。 「俺を殴れ。ちから一ぱいに頬を殴れ。俺は、途中で一度、悪い夢を見た。 お前が若し俺を殴ってくれなかったら、俺はお前と抱擁する資格さえ無いのだ。殴れ。」 キラは、すべてを察した様子で首肯き、刑場一ぱいに鳴り響くほど音高くアスランに右頬を殴られた。

34 24/02/02(金)22:06:22 No.1153115158

殴られてから優しく微笑み、 「アスラン、僕を殴れ。同じくらい音高く僕の頬を殴れ。 僕はこの三日の間、たった一度だけ、ちらと君を疑った。生れて、はじめて君を疑った。君が僕を殴ってくれなければ、僕は君と抱擁できない。」 アスランは腕に唸りををつけてキラの頬を何度も殴った。 「ありがとう、友よ。」 二人同時に言い、ひしと抱き合い、それから嬉し泣きにおいおい声を放って泣いた。

35 24/02/02(金)22:07:16 No.1153115526

群衆の中からも、狂喜の声が聞えた。暴君アウラは、群衆の背後から二人の様を、まじまじと見つめていたが、やがて静かに二人に近づき、顔をあからめて、こう言った。 「おまえらの望みは叶ったぞ。おまえらは、妾の心に勝ったのだ。信実とは、決して空虚な妄想ではなかった。 どうか、妾をも仲間に入れてくれまいか。どうか、妾の願いを聞き入れて、おまえらの仲間の一人にしてほしい。」 どっと群衆の間に、歓声が起った。 「万歳、女王様四十七歳万歳。」

36 24/02/02(金)22:08:05 No.1153115868

ひとりの少女が、緋のマントをアスランに捧げた。アスランは、まごついた。佳き友は、気をきかせて教えてやった。 「アスラン、君の軍事機密は、まっぱだかじゃないか。早くそのMSを隠すがいい。 この可愛い娘さんは、アスランのMSの中身を、皆にネタバレされるのが、たまらなく口惜しいのだ。」 勇者は、シン・アスカを殴った。

37 24/02/02(金)22:09:32 No.1153116449

>キラは、すべてを察した様子で首肯き、刑場一ぱいに鳴り響くほど音高くアスランに右頬を殴られた。 完全にわかってたけどダメだった

38 24/02/02(金)22:10:23 No.1153116835

皆のお陰でなんとか風呂敷たためて感謝 あと映画はまた見に行きたい

39 24/02/02(金)22:10:36 No.1153116907

>>たちまち彼は、ブラックナイトスコードに捕縛された >うーんリアリティがなさすぎだなあ… アスランなら女王の元まで単身行けるって言うんですか 出来そうだな…

40 24/02/02(金)22:11:02 No.1153117096

隊長一方的に殴られた上にお姉ちゃんの結婚式に出席できなかったのかわいそ…

41 24/02/02(金)22:11:25 No.1153117253

>勇者は、シン・アスカを殴った。 何でだよ!!

42 24/02/02(金)22:11:36 No.1153117324

中略もあったがちゃんと走り切れて偉い!

43 24/02/02(金)22:11:49 No.1153117424

>>キラは、すべてを察した様子で首肯き、刑場一ぱいに鳴り響くほど音高くアスランに右頬を殴られた。 >完全にわかってたけどダメだった 衝撃のぉ!!

44 24/02/02(金)22:12:57 No.1153117891

何が辛くてこんなもん書いたの

45 24/02/02(金)22:13:10 No.1153117975

>>>たちまち彼は、ブラックナイトスコードに捕縛された >>うーんリアリティがなさすぎだなあ… >アスランなら女王の元まで単身行けるって言うんですか >出来そうだな… 寧ろ捕まりそうになったら宮殿で自爆して自分は逃げるやつだよ アスランって奴は

46 24/02/02(金)22:15:14 No.1153118868

>>勇者は、シン・アスカを殴った。 >何でだよ!! なんでお前は間に合わないとか言ったんだ!!!!!!!!!!! って思い出しムカつきしたと思われる

47 24/02/02(金)22:15:37 No.1153119026

疲れるも何もズゴックに乗ってるだろ!?

48 24/02/02(金)22:17:06 No.1153119680

>ひとりの少女が、緋のマントをアスランに捧げた。アスランは、まごついた。佳き友は、気をきかせて教えてやった。 >「アスラン、君の軍事機密は、まっぱだかじゃないか。早くそのMSを隠すがいい。 >この可愛い娘さんは、アスランのMSの中身を、皆にネタバレされるのが、たまらなく口惜しいのだ。」 >勇者は、シン・アスカを殴った。 これやりたかっただけだろ!

49 24/02/02(金)22:18:05 No.1153120092

キラ結局1発も殴ってなくない?

50 24/02/02(金)22:18:26 No.1153120227

アスランはやっぱりアスランだった

51 24/02/02(金)22:18:35 No.1153120286

>キラ結局1発も殴ってなくない? 原作再現だぞ

52 24/02/02(金)22:19:22 No.1153120628

>「万歳、女王様四十七歳万歳。」 十七歳って言ってたじゃないか! 十七歳って言ってたじゃないか!

53 24/02/02(金)22:19:24 No.1153120645

峠駆け降りた程度でアスランが疲弊するかよ

54 24/02/02(金)22:20:34 No.1153121123

>疲労困憊のズゴックの姿を見つけて驚いた 何かがおかしい

55 24/02/02(金)22:23:18 No.1153122273

そこだけ実年齢にする意味ある!?

56 24/02/02(金)22:27:10 No.1153123825

アウラは50歳だし化粧はぶ厚いだろ

57 24/02/02(金)22:27:33 No.1153124018

レクイエムが降り注ぐって大丈夫なの?

58 24/02/02(金)22:28:27 No.1153124427

つべにアスランにメロス読ませたやつがあるの思い出してダメだった

59 24/02/02(金)22:28:31 No.1153124455

>サイも頑強であった。なかなか承諾してくれない。夜明けまで議論をつづけて、やっと、どうにかなだめ、すかして、叩き伏せた。 サイもぶん殴られててダメだった

60 24/02/02(金)22:28:42 No.1153124521

>レクイエムが降り注ぐって大丈夫なの? まあモスクワみたいになるだけだから

61 24/02/02(金)22:30:15 No.1153125175

ただしく怪文書

↑Top