虹裏img歴史資料館

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24/01/31(水)23:04:41 ある日... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1706709881623.jpg 24/01/31(水)23:04:41 No.1152477914

ある日、エアグルーヴは自身のトレーナーに誘われて水族館に赴いていた。 「付き合ってくれてありがとう、おかげで楽しかったよ」 「ふん、構わん。たまたま休日が空いていただけだ」 「お礼と言ってはなんだけど、この後どう?一緒に食事でも」 「……!ふ、せっかくだ。付き合ってやろう」 この時、エアグルーヴは内心歓喜に打ち震えていた。 (トレーナーからの誘い…!そしてこの時間帯…!これはもしかしたら、もしかするのでは…!?) 時間は夕方18時。今から食事するとして、2時間はかかると仮定しよう。そのままうまぴょいタイムに突入するには悪くない時間である。 (ついに…!ついにか…!温泉旅行の時は失敗したが今度こそは…!) 以前2人きりで温泉旅行した際、エアグルーヴはそうなることを見込んで色々準備をした。自身の手入れ、下着の選定。可能な限り準備をして臨んだ。が、結局は何もせず、温泉に浸かって美味しい料理を食べるだけに終わってしまった。 だけ、と言うと語弊がある。互いに互いが大事な存在であることは再確認したし、お互いに“あ、こいつ私(俺)のこと好きだな…”という確信を得る所謂両片想いの段階まで進んだ。

1 24/01/31(水)23:05:14 No.1152478143

だが、それまで。そこで打ち止めである。 それ以降も度々デートすることはあれど、関係は一向に深まらない。うまぴょいどころか明確な両想いに進展することもなくズルズルと今日までやってきた。 (だが、それも今日で終わりだ。今日こそこの想いを告げて一緒に…!) なりませんでした。 結局夕飯を食べてそのままお開きになり、エアグルーヴの調子が下がった。 「何故だぁ…何故だぁ…」 「グルーヴさんまたダメだったの?」 同室のファインモーションに呆れられるのもこれで何度目だろうか。お前だってトレーナーとラーメン屋行くのが精一杯じゃないかという反論を飲み込む。 「つけ麺屋も行けますぅ」 「思考を読むな」 さておき、彼女は思う。そろそろいつまで経っても進展しないこの仲に終止符を打たねばならない、と。 というかいい加減大手を振ってイチャイチャしたい。こうなったら奥の手だ。やれやれと首を振るファインを横目に、スマホを手に取った。

2 24/01/31(水)23:05:55 No.1152478402

『で、私に連絡してきたわけね…』 「はい…お母様の知恵をお借りしたく…」 電話した相手は自身の母親。優秀な元競走ウマ娘であり、困った時はいつも知恵を授けてくれる頼れる先人だ。 『貴方から告白すればいいじゃない?トレーナーさん多分OK出すわよ?』 「そ、それが出来れば苦労しないんです!」 エアグルーヴは告白されたかった。 『うーん…我が娘ながら中々夢見がち乙女…そんな調子だと先越されるわよ?…まぁいいわ。私の現役の時の後輩に、そういう恋愛指南が得意な子いるから、その子にアドバイスしてもらいなさいな』 「そんな方が?」 『ええ、競走ウマ娘としての実力も然ることながら、そっち方面でも有名で本とかもだしてたはずよ』 「ぜ、是非お会いしてお話をお伺いしたいです!」 彼女は必死だった。斯くして、母立ち会いの元、母の旧友に会うことになったのだが。 「初めまして、エアグルーヴさん。ふふっ、本当に先輩の若い頃にそっくりね。それと、娘もお世話になってるみたいね、ありがとう」 「お、お母様…この方は…」

3 24/01/31(水)23:06:40 No.1152478683

やってきたのはキングヘイローの母。先述の通り、競走ウマ娘として偉大な成績を収めた優秀なトレセンOG。なのだが、現役中自身のトレーナーを逆ぴょいして子を孕みそのままレースに出走したという異色の経歴を持つ問題児でもあるお方。如何に恋する乙女全開モードのエアグルーヴといえど、生真面目な彼女にとっては若干納得のいかない相手でもあった。 「久し振りねグッちゃん。今日は娘のためにありがとう」 「その呼び方はやめてくださいって昔から…まあいいです。頼られた以上私に出来ることであれば力になりますよ」 「ふふっ、ありがとう。私がいるとこの子も話しづらいこともあるでしょうね。少し席を外すわ」 「えっ」 あれよあれよという間に、キング母との対談という形になってしまった。確かに母親に色恋の踏み入った話を聞かれたくはないが、かと言って知らないおばさんと1対1でそういう話するのも違うのではないかと言おうとはしたものの、「じゃあね!」と一言残して母は行ってしまった。 「誰がおばさんよ」 「思考を読まないでください」

4 24/01/31(水)23:07:31 No.1152479002

「まあいいわ。貴方から見たらおばさんである事実は変わらないもの。でも、おばさんの旦那はこんなおばさんに首ったけなのよ。貴方も好きな人とそうやって末永く愛し愛されたいんじゃないかしら?」 歳を経た女性の魔性の魅力とでも言うのだろうか。同性の自分でも、つい見惚れてしまう美しさが彼女にはあった。愛し愛されれば、いつか自分もこんな女性になれるのだろうか。仄かな期待が疼いて、つい頷いてしまう。 「ふふっ、素直でよろしい。うちの子とは大違いね」 「出会ったばかりの方にご教示を願うことではないとは思いますが、その…八方塞がりなんです。彼も私のことを好いてはくれてる、と思うんです。もちろん私もその……」 「愛してる?」 「愛ぃぃ!?い、いえその通りです。あ、愛しています」 「ふふっ、ウブね。で、所謂両片想いのはずなのに、どうして進展しないのか。悩みはそれで合ってるかしら?」 「仰る通りです…良い雰囲気にもなるんです。デートだって何回もした。なのに、どういう訳かこれ以上進展しないんです…」 「あら、私は理由は分かったわよ。でも念の為。貴方の想い人がどんな人か聞かせてくれる?」 「は?」

5 24/01/31(水)23:08:12 No.1152479263

「貴方から見た姿でいいのよ。ねぇ、どんな人?」 「たわ…私のトレーナーは一言で言えば真面目な人です。何をするにも全力で、私の理想を叶えるためにいつも支えてくれて…自分のことは疎かにするきらいがあるのが玉に瑕で…でもそんな所も愛おしくて…」 「うふふ、ご馳走様。うっとりした貴方の顔を見て、心底愛していることが伝わってきたわ。それと、それだけ献身してくれるのなら、彼も同じように貴方を愛していることでしょう。でも、だからこそ貴方達は進展出来ないの」 「な、何故です!?」 「簡単な話よ。愛の均衡が取れていないの。彼の献身に見合うだけ、貴方は彼を想ったかしら?彼のために出来ることはしたかしら?」 「部屋の炊事洗濯掃除等は…」 「あら、いいじゃない。でもそれは貴方の趣味も含まれているのではなくて?」 「うっ…」 「勘違いしてる子も多いけれど、ウマ娘とトレーナーの愛の形ってトレーナーが献身して、ウマ娘が応えるだけで完結させちゃいけないのよ。ウマ娘も同じように献身して、今度はトレーナーに応えてもらわないと。でないと対等に愛し愛される関係とは言えないわ」

6 24/01/31(水)23:09:18 No.1152479683

エアグルーヴは思った。でもこの人逆ぴょいしてるんだよなぁ… 「それが出来ないことにはさらに踏み入った関係にはなれないと言っても過言ではないでしょう」 でもこの人トレーナーを襲って子を孕んでレースに出たんだよなぁ… 「逆ぴょいは煮え切らない殿方をオトす最終手段。無理矢理襲うこととわけが違うわ。故に愛の均衡は崩していない」 「思考を読まないでください。……私はそんなに顔に考えてることが出ますかね?」 色々と納得のいかないエアグルーヴ。それはさておき。 「彼のために出来ることとはなんでしょうか?」 「簡単よ。彼の好きな格好して迫りなさい」 「結局逆ぴょいじゃないですか!」 「違うわ。では貴方、彼の好みの格好を知っているかしら?」 「え…?いや…?」 「これから一緒になりたい人がいるのに、その人の好みを把握してないないだなんておかしなことだと思わない?」 「そ、それは…」 「好いた人の性癖の一つも満たせずして、それはパートナーと言えるのかしら?」 「そ、そういうものでしょうか…?」

7 24/01/31(水)23:09:51 No.1152479881

「そもそも惚れた相手が好きな格好して迫ってくるのよ。一気に心揺らぐと思わない?」 「それは………確かに!」 そこからエアグルーヴは早かった。トレーナーの性癖を調べ上げ、ダイタクヘリオスを始めとしたギャルウマ娘を師事し、そして。 「エアグルーヴ?急に呼び出してどうかし…た…?」 「う…うぇーい!たわぴ今ヒマ?良かったらあーしとイイコト(花壇弄り)しなーい?」 ギャルが好きだという彼のために、胸元をざっくり開けた制服、さらに超のつくミニスカートにルーズソックス。加えて口調もギャル調に仕上げた。渾身のアプローチ、果たして。 「ブーーーーーーーッ!!!?!?!!?」 好みの格好、真面目なエアグルーヴの奇行、ギャルになっても俺の担当超可愛い。 色んな気持ちが混ぜこぜになり、トレーナーの脳は限界を迎え、鼻血を吹き出してぶっ倒れた。 「た、たわけ~~~~~~~!!!」 エアグルーヴの悲痛な叫びが辺りに響いたとさ。

8 <a href="mailto:s">24/01/31(水)23:10:08</a> [s] No.1152479995

後日、気絶した自分を甲斐甲斐しく看病してくれたエアグルーヴに惚れ直したトレーナーは、ついに彼女に告白。結果として2人は結ばれた。 有頂天になったエアグルーヴが惚気けついでに「お前の母のおかげで結ばれた。良い母親を持ったな」とキングヘイローに言ったらめちゃくちゃ嫌そうな顔をされたのはまた別のお話。

9 24/01/31(水)23:11:19 No.1152480395

ギャルを信じてあげてください

10 24/01/31(水)23:14:06 No.1152481422

たわけがたわけのまま終わらなくて良かった…

11 24/01/31(水)23:17:18 No.1152482671

キングかわいそ

12 24/01/31(水)23:23:05 No.1152484915

逆ぴょいをなんだと思ってるんだ

13 24/01/31(水)23:24:15 No.1152485330

たわけてるなぁ…

14 24/01/31(水)23:25:36 No.1152485831

何もしていないのに思い切り殴られたかのような気分なのよ…

15 24/01/31(水)23:26:04 No.1152485988

殿下にもこの必殺技を伝授してあげよう

16 24/01/31(水)23:26:42 No.1152486204

こうして産まれたのがお前だたわけシップ

17 24/01/31(水)23:26:48 No.1152486232

最初のキング目線の講演会から全てが始まったんだよなあ

18 24/01/31(水)23:28:06 No.1152486658

>逆ぴょいをなんだと思ってるんだ 最終手段

19 24/01/31(水)23:28:56 No.1152486990

いちいちツッコミが入ってだめだった

20 24/01/31(水)23:29:31 No.1152487222

(でもこの人逆ぴょいしてるんだよなぁ…)

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