虹裏img歴史資料館

1 <a href="mailto:1/2">24/01/17(水)02:22:51</a> [1/2] No.1147057283

「今更だけど…うちの祖先頭おかしくない？」 公輪邸の一室、白瀧弓美に充てがわれた部屋でTシャツにショートパンツと言うラフな格好をした弓美は缶ビールを片手に呟いた。 「はい」 「いや、はいじゃなくてさ…」 今更気付いたのですか、と言外に呆れた気配を見せたキャスターに、弓美はため息をつく。 ビールを飲み干すと缶をゴミ箱へと投げ捨て、机に広げた巻物を両手で掴む。白瀧の家から掻っ攫ってきた家系図の裏側に全ての真実が書かれていた。 当時神骸を失い衰退していた事、夜刀神の群れの内の一尾を喰らい神をその身に取り込もうとした事、そして夜刀神の呪いが始まったこと。 「抹消しなくてはならない歴史だが、何らかの情報は残しておきたい…或いは良心の呵責でしょうか」 キャスターの推察に肩を竦めると二缶目の缶ビールを開ける弓美。 「とは言え神の一部を取り込む、それ自体は魔術ではよくある事、その発想に至ったのは突飛ではありません」 「そう言えばアーサー王もマーリンによって竜の因子を埋め込まれたって話が…」

2 <a href="mailto:2/2">24/01/17(水)02:24:14</a> [2/2] No.1147057444

「えぇ…そうです、愛しくも憎らしい我が妹…」 「(……妹？)まぁ、それは今は良いけれど」 キャスターの様子の変化に弓美は咳払いを一つして話題を変えようとする。 「そうですね、えぇ、話が逸れてしまいました。……マスターの先祖が取った方法は呪を避ける方法としては間違ってはいません」 「聞けば夜刀神とは群体の蛇の形を取る神、そして見た者に族滅の呪いを掛けるのであれば目を潰しその内の一尾を喰らい、他者から見えないようにし、神気だけ取り込む……ベストではありませんがベターなやり方です。問題は…」 「うちの先祖が夜刀神の一部でも取り込んで御する力量や器がなかった事ね」 「はい、残念ながら」 はっきり言ってくれるわね、と喉まで出かかった言葉をビールで流し込む。 「恐らくは衰退し、なんとか家を建て直そうとする足掻く魔術師では夜刀神の呪に逆に食われてしまった物かと」 「全く迷惑で厄介な話ね」 「呪とは謂わば毒であり、毒は強きものに取っては薬にもなります故」 数百年に残って残る毒はたちが悪いにも程がある、キャスターの言葉を聞きながら弓美は三缶目のビールを飲み干した。

3 24/01/17(水)03:44:32 No.1147063980

この後風呂場に突入するのか