24/01/09(火)00:31:44 泥の深... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1704727904883.jpg 24/01/09(火)00:31:44 No.1144203091
泥の深夜 https://seesaawiki.jp/kagemiya/
1 24/01/09(火)01:08:40 No.1144214381
おっきい人のセリフなど更新 https://seesaawiki.jp/kagemiya/d/%a5%a4%a5%c1%a5%a7%a1%bc%a5%c9%a1%a6%a5%e6%a5%f3%a5%ab%a1%bc%a5%b9
2 24/01/09(火)01:12:52 No.1144215291
良いやつだな…
3 24/01/09(火)01:15:13 No.1144215815
もう体格だけで出オチしてるから内面はとことん良いやつ
4 24/01/09(火)01:20:22 No.1144216895
忍者vsレイチェル(2戦目)がSSで読みたいのだ
5 24/01/09(火)01:56:43 No.1144223683
おっ?これは死んだな私? ───なんて思うのは随分久しぶりで、レイチェルはとてもワクワクしてしまった。 目の前の数センチ先には鉄で出来た爪状の暗器が飛んできていて、今まさに自分の顔へ突き刺さろうとしている。 確かクナイというのだったか。完全に意識外からそれは飛んできていた。 いつ投げられたのだろう。ちょっと分からない。思い返してみる。 一度は完勝したはずの後輩が性懲りもなくたったひとりで挑んできたから、多少は変えてくるのかなと思ったらまるで前回と一緒でがっかりした─── そう、そこまでは一緒だ。実際視界の中にはレイチェルに吹き飛ばされた後輩の姿があった。 まるでその意気消沈の陥穽を突いたかのように唐突にその暗器はレイチェルの目の前に出現し、彼女の頭を脳髄ごと破壊しようとしていた。 なるほど、なるほど。どうやらこの後輩はただ再びやられるために自分の前へ立ちはだかったわけではないらしい。 現に自分は今殺されかけている。コンマ数秒の処置を間違えると、死ぬ。生命の危機なんてものを覚えたのは以前はいつだったか。 唇の端が吊り上がるのを抑えるのがどんな苦労だったか、眼前の“敵”へ是非教えたかった。
6 24/01/09(火)01:56:56 No.1144223717
「───ッ!」 次に取ろうとしていた行動を全てキャンセルし、強引に首を捻る。炸裂音。何かが弾ける音がした。 顔を覆う仮面がばりばりと嫌な音を立てて砕ける音だ。顔面への暗器の直撃を避けた代償に、マスクが鉄の鏃に引き裂かれていく。 首に凄い衝撃がかかり、たまらずレイチェルは倒れかかった。 武人としての一瞬の判断───このまま倒れるべし、という直感へ素直に従う。倒れることに抗う力みが更に相手へ付け入る隙を与える。 吹っ飛んだ。体勢を崩してのものだからそこまで激しい転倒ではないにしても、受け身を取って地に転ぶことは避けられない。 ごろごろ転がり膝をついて体勢を立て直すレイチェルの視界の中に、同じ様に転がった数がこちらへ向けてぴっと人差し指を突き出すのが見えた。 「ワン、ダウーンっ!」 「………ふふ。ちょっと私の動きに順応したからって生意気な後輩だなぁ?君だってまた叩きのめされてるくせに」 ───面白い。2度目は以前とは大違い、と言い切るのは伊達ではないらしい。 ぺろりと唇を舐める。あの太っちょに心のなかで詫びた。 ごめんねアーロン先生。こっちにかかりきりで、他の学生たちには追いつけそうもない。
7 24/01/09(火)01:57:06 No.1144223738
>忍者vsレイチェル(2戦目)がSSで読みたいのだ はい
8 24/01/09(火)02:11:54 No.1144225839
サバじゃないのか
9 24/01/09(火)02:14:09 No.1144226149
サバ?
10 <a href="mailto:1/2">24/01/09(火)02:59:46</a> [1/2] No.1144230660
「あー…誰か誘えば良かったかなぁ」 はぁ…と大きなため息を付いた今日風は背負ったリュックにぶら下げた水筒を手に取るとその中身で喉を潤した。 疲労を顔に滲ませながら辺りを見渡す。木、木、木、木、空、地面、以上。 ここはイギリスはウェールズの森のとある場所、今日風は以前した約束を果たす為に休みを利用して時計塔からウェールズまで足を伸ばしていた。 普段スーパーインドア派で部屋から一歩も出ない今日風に森の探索は辛い。イチェードくんに森と山の歩き方を教えてもらっていなければきっと心が折れていた。 少し湧いてきた気力を糧に鬱蒼とした森をてくてくと宛もなく進んでいく。目的地がないわけではない、何処に目的地があるか分からないのだ。 もう帰りたくなってきた…と弱音を吐く自分に鞭を打ち前へと進む。 確かに帰りたいが、そうも行かない。これはあの日彼とした自分がやらなければ、果たさなければならない約束だ。 歩き続けると辺りが霧に包まれていく。だが、危険は感じない。寧ろこの霧が目的地まで辿り着かせてくれるような、そんな感覚さえあった。 最早どこを歩いているかも定かではなくなった頃、突如として霧が晴れた。
11 <a href="mailto:2/2">24/01/09(火)03:00:49</a> [2/2] No.1144230747
今日風の前に現れたのは苔生し、朽ち果てた石造りの城門。 かつては立派な城であったろうそれはこの世界と世界の裏側の狭間。見つけようとしても見つけられず、見つけるさだめの者だけがたどり着ける場所。 「……これだ、本当に来れた」 魔術師としての今日風の本能が告げる。ここは安全だが、同時に危険だ。長居すれば帰れなくなる。 背負ったリュックを地面に下ろし、荷物を漁る。中から取り出したのはワインの瓶と一本の赤い手槍。 今一度、城門を見上げると、頭を下げ城門の前にワインを置き、地面に手槍を突き刺す。 ───────もし、君がイギリスに来ることがあったなら、その槍を私の城に返しに来てくれ。そうだな、そこそこ上等なワインも一緒に持ってな。 数年前に聞いた、彼の愉快そうに笑う声を思い出し、思わず頬が緩む。 目をつぶれば、かつて共に駆け抜けた思い出が浮かんで来る。約束は果たした、だから次は目標を目指して進もう。 「約束、果たしましたよ。 ■■■■」 城門に背を向け、元来た道を戻っていく。やり遂げた達成感に満たされた耳に良くやった。と声が聞こえた気がしたが、今日風は振り返らなかった。