虹裏img歴史資料館

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24/01/01(月)16:24:13 僕の名... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1704093853318.png 24/01/01(月)16:24:13 No.1141371686

僕の名前はシュヴァルグラン。どこにでもいる目立たないウマ娘だ。 その日は前日にちょっとした頼まれごとをこなしていて、あまり睡眠がとれていなかった。 「アイヤー!だめじゃないシュヴァル。授業中に居眠りなんて」 肩を揺すぶって僕を起こそうとするのは、クラスメイトのサトノクラウン。 彼女はクラスの中心的人物で、隣の席の僕に何かと世話を焼いてくれる。 「なんだかんだテストで悪い点はとらないけど…授業はちゃんと聞かないとだめよ」 「わかったわかった。気を付けるよ」 眠気をこらえながら生返事する僕。「まったくもう」クラウンはあきれ顔だ。 するとそこへ…

1 24/01/01(月)16:24:51 No.1141372129

バーン!という大きな音と共に、教室の扉を蹴り倒して目出し帽の集団が乗り込んできた。 騒然とする教室内。 「なんですかあなたたちは!?」 集団に真っ先に向かっていったのは授業をしていた先生だ。だが… 「動くな!」集団の一人が腰に下げたナイフを抜いた。 「ヒッ」ナイフを突きつけられ、たじろぐ先生。 「キャーッ!」「助けてー!」今やクラス中がパニック状態だ。 怯える生徒たちの阿鼻叫喚の中で、僕は眠い目をこすりながら冷静に集団を観察していた。 目出し帽は全部で四人。耳や尻尾は隠れているが、いずれも優れた身体能力を持ったウマ娘だ。 毛並みは色合いで個人を特定されやすい部位であり、隠すのは犯罪者ウマ娘の常套手段と言えるだろう。 (武装は…ナイフと、あと警棒かな…? 僕は銃が相手でも平気だけど…) だが、周囲には席で震えるキタサンブラックやドゥラメンテがいる。 万が一にも巻き添えの可能性がないのはありがたい。

2 24/01/01(月)16:26:30 No.1141373033

ふと隣に目をやると、クラウンが席を外れ、姿勢を低くして移動を始めていた。 「クラウン!?何を…?」僕は小声で呼びかける。 クラウンはこちらを振り返って言った。 「シュヴァルは動かないで…私が教室を出て助けを呼んでくるから」 「やめろ!…無謀だ!」 クラウンは僕の制止を聞かず、机の影に隠れながら遠ざかっていく。 そして扉の前まで行くと隠れるのをやめ、立ち上がって扉を開けた。 「おい!何をしている!」 教室の後ろ側に殺到していく目出し帽。 だがクラウンは現役のアスリートだ。一度だけ僕の方を振り返ると、目にも留まらぬ速さで廊下を走り去っていった。 「まずいぞ!追え!」 目出し帽たちは手に手に警棒やナイフを持ち、教室を出ていこうとした。 「ハァ…仕方がないな…」 僕は昨日の戦いの疲れが残る身体に鞭打って席を立った。

3 24/01/01(月)16:27:31 No.1141373642

「動くんじゃない!」 目出し帽の一人が僕の動作に気づいてナイフを振りかざす。僕は手早くナイフを持つ手を蹴り上げた。 予想だにしない僕の反撃に目を白黒させる目出し帽。 僕は蹴りの勢いのまま両足を地面から放して飛び上がり、さらに一回転して回し蹴りを決める。 狙いは目出し帽の顎。蹴り脚の一閃で相手は倒れた。 「何…?」 悲鳴一つ挙げられず失神した仲間を見て、残る三人は唖然とした様子だった。 だがすぐに気を取り直し、今度は三人が一度に襲ってきた。 「このっ」 一人目は警棒。僕は大ぶりの一撃をかわし、背中に回ってその腕をねじり上げた。 「ぐおおっ」 悲鳴を上げる目出し帽。だがそれだけでは終わらない。 向かってくる二人目の目出し帽に向けて、僕はその背を蹴り飛ばす。 目出し帽たちは折り重なって倒れた。

4 24/01/01(月)16:28:27 No.1141374156

「どうした?お前は来ないのか?」 残る目出し帽に、僕は冷たく言い放つ。どうやら相手は足がすくんで動けないらしい。 僕のことを指さし、熱に浮かれたように話す。 「き…聞いたことがあるぞ!横浜に『魔神』の名で知られる凄腕のエージェントがいると!その正体はトレセン学園の生徒だとまことしやかに言われていたが…まさかそれが」 僕は一気に距離を詰めて目出し帽の首を叩いた。 「おま…え…」 目出し帽は白目をむいて失神した。当身だ。 「しゃべりすぎ…僕のクラスメートの前で」 四人の目出し帽が倒れ、教室に平穏が舞い戻ったかに見えた…が。 「そこまでだ!」 教室の外から荒々しい声がした。 声のする方を見ると、床で倒れているのとは別の目出し帽が廊下から僕を睨んでいた。 「シュヴァル…いったいこれは!?」 その手には先ほど教室を出たクラウンが捉えられ、ナイフを突きつけられていた…!

5 24/01/01(月)16:29:07 No.1141374526

――キタサンブラックはそこまで朗読すると、ノートから顔を上げた。 「どう!すごいよね!シュヴァルちゃんが私たちのこと守ってくれたんだよ!」 周りには目を輝かせるダイヤ、笑顔を浮かべるクラウン、真剣に聞いているドゥラメンテの姿がある。 その隣でシュヴァルグランのトレーナーは何らかのトラウマを刺激され吐く寸前だった。

6 24/01/01(月)16:29:49 No.1141374927

どうしてそんなひどいことするの…

7 24/01/01(月)16:29:56 No.1141375006

「なあキタサン…もうこのくらいにしておこう…な? シュヴァルだってさっきからうめき声一つ上げないし…」 トレーナーは隅の席のシュヴァルグランを見た。 「は…灰になってる…」

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