ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
23/12/30(土)23:54:25 No.1140702698
年末整理を行っていたところ出土したので大昔のものの再放送
1 23/12/30(土)23:54:37 No.1140702773
鳥に憧れたのです。翼ある生き物に。 彼らは重さを感じさせず、速やかに飛び、見送る者には余韻さえ与えない。 力尽きた時が終わりの時。真っ逆さまに地面に墜落して、青い空には染みひとつ残さない。 倦まない。偽らない。縛られない。美しくて、鮮烈で、どこか物悲しい。 そんな自由で軽やかな在り方に恋い焦がれたのです。 「ああ、願わくば───」 私は、鳥に生まれたかった。
2 23/12/30(土)23:54:49 No.1140702856
デビュー前のウマ娘とトレーナーが巡り合う最も重要な場は選抜レースだが、判断基準はそこに限ったことではない。 生徒間で行われる模擬レースの様子や普段の練習風景もトレーナーにとってはパートナーを決める大事な資料だ。 その日もグラウンドで練習に精を出すウマ娘たちの視察に訪れていた。 ───そのウマ娘と出会ったのは休憩しようとターフの外れにある木陰へ入った時のことだった。 「………………………」 (………何をしているんだろう?) ひとりのウマ娘がぼんやりと上を見ている。 表情は涼やかだったが小柄で可愛らしい容姿をした子だった。長い黒髪を風に遊ばせながらつぶらな瞳で空を見上げている。 皆と一緒に練習をしないのだろうか。その様子が不思議でつい声をかけてしまった。 「こんにちわ。ここで何をしているの?」 「………………………? ……………はい、こんにちわ。鳥を見ていました」
3 23/12/30(土)23:55:00 No.1140702919
こちらへ一瞬視線を遣った彼女はすぐまた顔を空へと向ける。 つられて見上げると、なるほど確かに一羽の鳥が青空の中を優雅に舞っていた。大きな翼を広げ、見上げるこちらのことは気にも留めない。 その鳥を瞳に映す彼女の目つきはきらきらと輝いていてどこか憧憬のような感情を感じさせた。 「あなたは鳥が好きなんだね」 「はい。でも好きというのは少し違います。 好きでもあり嫌いでもある。憧れるというのはそういうことだと思います」 「好きでもあり………嫌いでもある………?」 「何にも縛られず自由に飛ぶ鳥の美しい姿を見るのは好きです。 でも、同時にこうして彼らのように飛ぶことのできない私という現実を突き付けられる。それは、嫌いです」 さらりと言って彼女は鳥を見つめ続けた。………それきり会話が続かない。 無口でマイペースな子なのだろうか。こんなところで突っ立っているのに練習をサボっているという疚しさも感じられないし、不思議な子だ。 と、ずっと空へ向いていた視線が不意にこちらに向いた。 青空の彼方を見るようにこちらの奥底まで覗き込むような深く澄み切った眼差しだった。
4 23/12/30(土)23:55:12 No.1140702999
「あの………そのバッジ、トレーナーさんですよね。 声をかけてくださって恐縮ですが、きっと私以外に目を向ける方が実り多いかと。私は走りませんから」 「え………。それは、どういう」 だが彼女はそれに答えることはなく、失礼しますと折り目正しくぺこりと頭を下げると木陰から出ていってしまう。 仄かに立ち昇る陽炎に溶けていくような小さな背中を呆然と見送っていると、入れ違いにやってきたのは同期の同僚だった。 「おーい、何やってるの? もうスカウトしたいウマ娘は決まった?」 「いや、それが………」 「なになに? ………ははあ。あの子を見ていたのね。うーん、正直よく分からないのよねー、あの子」 「どういうこと?」 酷な言い方だがあまり速くないとか魅力がないとかなら納得できる。だが分からないというのはどういうことだろう。 問いかけに対して同僚はぱらぱらと手元の資料をめくりながら言った。
5 23/12/30(土)23:55:23 No.1140703070
「ほとんどまともに走ったことがないのよ。模擬レースや選抜レースはもちろん、練習でも全力疾走してるの見たことない。 もしかしたら素質があるのかもしれないけど、これじゃ実績出さなきゃいけない新人の私たちじゃさすがに選びづらいわよね。 あ、見つかった。えーと、名前は───ディープインパクト、と」 「ディープ………インパクト………」 ディープインパクトの背中はすっかり遠ざかり、もう目を凝らしても見つけることはできなかった。 「とにかく、声をかけるなら別の子にしておいた方がいいと思うわよ。 大化けする可能性がなくもないけれどそんな博打をしてる余裕なんて私たちにはまだ無いんだから」 きっと同僚は親切心からそう言って彼女なりに声をかけるべきウマ娘の選定へと戻っていく。 けれどわたしは彼女が言うようにすぐさま他の子をチェックする気にはなれず、視線はまだディープインパクトの姿を探していた。 鳥に憧れると語る彼女の囁くような声音。私の瞳の奥の奥まで見抜こうとするような青い眼差し。 それは白昼夢の中に突然現れた神聖な生き物のようで、わたしの心は魅入られたようにその後姿を何度も思い出していた。
6 23/12/30(土)23:55:38 No.1140703181
「いけない、間に合うかな………」 その日は模擬レースが練習用グラウンドで執り行われる日だった。 トレセン学園の主催する選抜レースほど重要ではないものの、スカウトを待つウマ娘たちにとってはまたとないアピールのチャンス。 そしてトレーナーにとってもこの模擬レースの結果を踏まえて選抜レースを評価することになる大事なイベントだ。 だというのにわたしは記録に使うための道具一式が収まったバッグを忘れ、寮へ取りに戻っていた。 トレセン学園へと向かう道すがら、学園の方からランニングでやってくるひとりのジャージ姿のウマ娘とすれ違う。 模擬レースが始まるというのに何をしているのだろう。そう思ってよくよく見てみると、それは見たことのある顔だった。 「あれ、ディープインパクト?」 「………………………? ………ああ、先日お会いしたトレーナーさんですね。こんにちわ」 立ち止まったディープインパクトは丁寧に頭を下げる。楚々とした礼儀正しさが所作には漂っていた。 しかし模擬レースが開催されるのだから彼女は学園のグラウンドにいなければいけないはずだ。………レースに出るウマ娘なら。
7 23/12/30(土)23:58:24 No.1140704286
「そろそろ模擬レースが始まるはずだけどこんなところにいていいの?」 「はい。私はレースには出ないので構いません。 でも模擬レースをやっているとグラウンドの使用を禁止されてしまうので、河川敷に出向いて練習しようかと」 確かにレースが行われている際はグラウンドでの練習は制限がかかる。使うことはできない。 だがスカウト前のウマ娘たちにとってレースの機会というのは貴重なはずだ。出場しないディープインパクトの理由が分からなかった。 改めて彼女を観察する。小柄だがランニングしてくる姿には柔らかなバネの片鱗が見え隠れしていた。 記録道具の詰まったバッグの紐が肩に食い込んでいる。トレーナーである以上、数字は重視するべきだ。 それは動かぬ事実だから。だが絶対ではない。何よりも大切なのは、これというウマ娘に出会った時の直感であるはずだ。 「あの………他に何もないのであれば、失礼します」 「いや、よかったらあなたの練習するところを見せてもらってもいいかな」 「え? ………お言葉を返すようですが、模擬レースがこれから始まるんですよね。 トレーナーの方にとってもスカウトするための大事な機会なのでは?」
8 23/12/30(土)23:58:38 No.1140704405
ディープインパクトは僅かに困惑した表情を浮かべている。 彼女の言う通りだ。新人トレーナーであるわたしにとってひとりでも多くのウマ娘の資質をチェックすることは重要なことだ。 けれども、あの時の吸い込まれるような眼差し。鳥に憧れると呟いて空を見上げていた姿。 トレーナーとしての感覚が叫んでいた。この子から目を離すなと。 「それはそうなんだけれど、あなたのことが気になったんだ。練習の邪魔になるなら無理にとは言わないけれど、どうかな」 「……………。邪魔というわけではありませんが、本当に大丈夫なのですか。 これから特別な練習をするわけではありません。黙々と走るだけです。全力で走りもしません。それでもいいのですか」 「構わないよ。模擬レースよりもあなたのことを見てみたいと思ったんだ」 ディープインパクトの瞼がぱちぱちと瞬く。ぴこぴこと耳が動き、ぱたぱたと尻尾が揺れた。 どうやらあまり表情を変えない子のようだが、これは嬉しがっているのだろうか? ───それを証明するように、ゆっくりと彼女は仄かに唇を綻ばせた。 「………分かりました。それでいいとおっしゃるならば、よろしくお願いします」
9 23/12/30(土)23:58:52 No.1140704489
「───何故鳥に憧れるか、ですか?」 ペットボトルに入った水を飲んでいたディープインパクトは質問に対してそう聞き返した。 彼女が言った通り、河川敷での練習はごくごく平凡なものだった。 激しく身体を動かす内容のものは一切無い。本格化を迎える前のウマ娘が取り組むような体作りのみに重点を置いたトレーニングだ。 目を見張ったのは準備体操で見せた彼女の身体の柔らかさだった。 まるで体操選手のよう。肉体の柔軟性はより速く走るフォームに欠かせないものだが、それを差っ引いても信じられないくらい柔らかい。 一通りのメニューを終わらせたディープインパクトはわたしの質問に少し考え込んだ後、ためらいがちに口にした。 「あなたは自分の何もかもが“重い”と感じたことはありませんか」 「重い?」 「地上を歩くために作られた身体が重い。余計なことを考える思考が重い。絡みついてくる常識や偏見が重い。 重すぎるから私の身体は空を飛べるようにできていない。その点、鳥は違います。 彼らに余分はない。研ぎ澄まされていて無駄がない。怖いくらいに自由です。 鳥は飛べるから飛ぶのではなく、鳥だから飛ぶのだと私は思います」
10 23/12/30(土)23:59:03 No.1140704560
ディープインパクトの口ぶりには僅かに熱が乗っていた。内容は難解だが、つい聞き入ってしまう。 「そんな在り方に私は憧れます。 レースは好きです。競争している間、私は自分が鳥になったような気持ちになる。 1着でゴール板の前を駆け抜けようという気持ちしか湧いてこない。走るのに不必要なものは全部削り落としていい。 私が誰であるかという認識さえ要らない。何にも縛られること無く、ただ駆け抜ける。 とても純粋で、とても清らかです。私は………ウマ娘として、そういうものになりたいのです」 それまでの口数少ない態度が嘘のようにすらすらとディープインパクトは語った。 クールな表情、クールな態度の内側から不意に覗いたのはすぐには理解不能な彼女なりの熱い気持ちだった。 だが、口にし終えた途端にディープインパクトは微かに俯き、表情を曇らせる。 「……………。意味が分かりませんよね。気持ち悪いですよね」 「え?」 「………。いいえ。何でも………ありません」
11 23/12/30(土)23:59:19 No.1140704663
それきりディープインパクトは話は終わりだとばかりに何も言わなくなってしまった。 わたしは考える。今のディープインパクトに何を言うべきか。………いや。 わたしはトレーナーとしてディープインパクトの何を見るべきなのか。 「ディープ、ひとつお願いがあるんだけれどいいかな」 「はい。なんでしょうか」 「今一度きりでいいから、あなたの本気の走りをここで見せて欲しい」 「……………」 優しい言葉をかけるだけならそう難しくはなかったのかもしれない。 けれどトレーナーとしては、そう理想を口にする彼女の走りが一体どういうものなのかこの目で確認しておくべきだ。 酷な話だけれど、実力が伴っていないのならば笑われても仕方のないことなのだから。 少し考え込んでいたディープインパクトは、やがて顔を上げて小さくこくりと頷いた。 「今日は付きっきりで見てもらっていますから。一度きりでいいのなら」
12 23/12/30(土)23:59:30 No.1140704749
そうして、たったひとりだけのレースは始まった。 河川敷の芝生はろくに手入れされていない。これがターフなら馬場の状態は最悪以上に酷い。 距離だってたったの1200mだ。おそらく彼女の適正距離ではないだろう。 それでも最終コーナーをぐるりと回ってディープインパクトが最後の直線へと突入する。 ───それを忘れることは決して出来ない。 その時、わたしは確かに幻に見たのだ。ディープインパクトの背中から大きな翼が生えて力強く羽撃くのを。 速い。速すぎる。小さくて柔軟な身体を目一杯に使った長いストロークでぐんぐんと加速していく。 速く走るウマ娘ならこれまでも何人も見てきた。だが、飛ぶウマ娘を見たのは初めてだった。 まるで宙に浮いているかのようなとてもつもないスピード。もうウマ娘ではない違う生き物にしか思えなかった。 ディープインパクトはその速度を維持したまま仮に定めたゴール板の前を駆け抜け─── 「───ディープっ!?」 急減速し、その場で足を押さえて蹲った。
13 23/12/30(土)23:59:54 No.1140704899
「どうしたの!? 大丈夫!?」 駆け寄ったわたしに対してディープインパクトは落ち着き払った調子だった。何度も経験しているかのように。 慌てて靴を脱がせてみると、爪が割れて血が滲んでいる。あまりの加速力に彼女自身の身体が耐えられなかったのだ。 「………これが私が練習やレースで走らない理由です。全力で走るとすぐにこうなってしまうんです」 「ご、ごめんっ! そうとは知らずに走らせちゃって………!」 「いえ、気にしないでください。あなたに走りを見せると決めたのは私ですから」 ディープインパクトはそう言うが、こちらはそういうわけにはいかない。新米とはいえトレーナーである以上、ウマ娘に怪我をさせるような走りをさせたなど言語道断だ。 気が動転していた勢いで、わたしはディープインパクトにこう言ってしまっていた。 「じ、じゃあ、お詫びにディープが全力で走れるようにわたしがサポートするから!」 跪いたままディープインパクトは顔を青くするわたしの顔をきょとんと見上げたのだった。
14 23/12/31(日)00:00:09 No.1140705004
………あれから少しばかり経った。ディープインパクトとわたしの関係は今日まで続いていた。 「いつもありがとうございます」 「ううん。このくらいお安いご用だよ」 日もとっぷりと暮れてナイター照明がグラウンドを照らす中、その一角で彼女をベンチに座らせてわたしはその前に跪く。 彼女の細っこい足を手にとって丁寧に洗った後、爪先に爪の補強材を塗る。 同時に指や踵などに腫れている部分が無いか入念にチェックをした。 予想通り、身体の末端をこちらでケアをしてあげることでディープインパクトは少しずつ全力疾走ができるようになっていた。 もともと餅のように柔らかい身体と筋肉を持っているのだ。負荷のかかりやすい部分さえ保つなら怪我しにくい肉体だ。 けれどそれだけが理由ではないだろう。走るのが好きなのにレースにも出ず、思い切り走らず………。 コツコツと彼女が身体作りに励んで培ってきた基礎がここにきてようやく花開いた、というのが真実ではないかと思える。 「今日はラストスパートをかけても足が全然痛くなりませんでした」 「そっか! それならきっとレースデビューも間近だね!」
15 23/12/31(日)00:00:21 No.1140705119
つい嬉しくなってそう言うとディープインパクトも控えめながらゆったりと微笑んだ。 変わったのは彼女の足の具合だけではない。わたしたちの関係も変化していた。 最初はおっかなびっくりという様子だったディープインパクトだが、今ではこんな風に薄っすらとだがよく笑ってくれる。 意外だったのは彼女がこちらの想像以上に人懐こい性格であったことだった。 怜悧な姿や態度に惑わされていたわたしにとって嬉しい誤算だ。 警戒されていたのは最初だけですぐに彼女は自分のことを打ち明けてくれるようになった。 やはりと言うべきか、わたしが抱いたような第一印象や黙々と独自のメニューに打ち込む姿で誤解されて話しかけてくれるウマ娘は少ないらしい。 「自分から話しかけて友達を作ればいいのに」 それを聞いたわたしがそう言うと、彼女は白い頬をほんのりと朱に染め、もじもじと体を揺すりながら言った。 「私から話しかけるのは、ちょっと………恥ずかしくて………」 ………勿体のない話だ。本当はこんな子なんだと知られれば話しかけてくるウマ娘はたくさんいるだろうに。
16 23/12/31(日)00:00:31 No.1140705209
会話の内容は彼女の足のことやレースのことについてが多かったが、多少は雑談もするようになった。 主なテーマとしてはディープインパクトの好きなものについてのことである。 「そういえば………ランニング中、河原で鳶が魚を突いているのを見ました。 警戒心の強い鳥なので近寄れませんでしたが」 「へえ。川を泳いでいたのを空から降りてきて捕まえたのかな?」 「いえ。鳶は猛禽類ですが、食事は狩猟ではなく死骸を見つけて漁ることが多いです。 ですから河原に打ち上がっていた魚を食べていたんだと思います。視力が優れていて、地上のどんなものも見落とさないくらいですから。 狩りをせず、死肉を漁る。鳶が鷹を産むということわざはそんな習性から生まれました。 優れてない親から優れた子が生まれる………という意味ですね。 でも、私は鳶だって小さくても猛禽類らしい姿をしていて素敵だと思います」 そんな感想を述べてディープインパクトは微かに微笑む。 表に出にくいだけで彼女は喜怒哀楽のはっきりとした少女だった。 行儀がよく、穏やかで優しい。接すれば接するほど様々な顔を見せてくれるのが信頼の証のようで嬉しかった。
17 23/12/31(日)00:00:43 No.1140705295
鳥のことになるとディープインパクトはいつもより少しだけ饒舌になる。 かなり詳しく、様々な鳥の習性や豆知識を彼女は知っていた。小さい頃から図鑑を眺めるのが趣味だったのだという。 曰く、気が赴くままに森の中へ分け入って鳥の声に耳を澄ませ、帰ってこないせいで両親をやきもきさせたのは一度や二度じゃないそうな。 まだ打ち解けきってない頃、それを途中まで言ってから遠慮したように「なんでもない」と意気消沈する彼女へわたしはつい告げていた。 好きなもの、憧れるものを持つのは素晴らしいことだ。 それになりたい、近づきたいと思うのも自然なことだ。 速く走るために何もかも捨て去りたいというのは少し寂しいけれど、それを誰にも馬鹿にはできない。 その全てを理解できるかは分からないけれど、気持ち悪いなんて決して思わない─── そう伝えてから彼女はちょくちょく鳥のことについてわたしに話すようになった。 あの時のディープインパクトの表情はうまく言葉にしきれない。 ただ、驚いたような、切ないような、嬉しいような、照れくさいような、色んなものが入り混じった表情だったのを覚えている。 ただ言って良かったとだけ思った。
18 23/12/31(日)00:00:58 No.1140705397
まだ新人のくせに自分が担当するかも分からないウマ娘の世話をしているというのは変なことかもしれない。 でもトレーナーとして、この輝かんばかりの凄烈な才能がトゥインクルシリーズへと羽撃いていく手助けをするのは奇妙な充実感があった。 もちろんあわよくばディープインパクトのトレーナーになりたい。彼女と歩んでいけるのならばトレーナー冥利に尽きる。 けれど、彼女が史上に名を刻む手伝いができるならここでトレーナー人生が終わっても惜しくないとも思える。 あの神がかった末脚を見せられてはもうそれくらいに惚れ込むより他に無かった。まさしく魔性の脚だ。 「……………」 「あれ? ディープ?」 フットケアの終わりに彼女の脚をマッサージしていたのだが、ふと気がつくとディープインパクトが座ったまま俯いていた。 船を漕ぎすらしない。耳を澄ますと寝息さえ聞こえる。すっかり夢の中へと旅立っている。 こういうふとした時のマイペースなところが彼女にはある。 そんな愛らしさに思わず苦笑したわたしはディープインパクトを起こそうと肩に手を伸ばそうとした。 わたしの背後から声がかかったのはちょうどそんな頃合いだった。
19 23/12/31(日)00:01:09 No.1140705473
「トレーナーに足のケアをしてもらうのが気持ちよくてつい眠ってしまった、か。 仙才鬼才たる能力を持ちながらまるであどけない子供のようだ。いや、まったく末恐ろしいよ」 まったく意識していなかったところからの声にぎょっとして思わず振り向く。 そこに立っていた鹿毛のウマ娘は大声を出しそうになったわたしへ向けて、人差し指を唇に当ててジェスチャーをした。 「うん、なるべく静かに頼む。せっかく眠ったんだ。今すぐ起こすのも酷だろう。 私は美浦寮だが栗東寮まで送る程度は造作もない。何なら背負って届けても構いはしないんだ」 ………そうは言うが、本当に彼女がそうしたらきっとちょっとした騒ぎになってしまうだろう。 立っていたのはそれほどの器のウマ娘だった。このトレセン学園で“皇帝”の二つ名を持つ者などひとりしかいない。 絶対的王者。トレセン学園の生徒会長でもあるシンボリルドルフが腕組みをし優しい微笑みを浮かべてディープインパクトを見つめていた。 「どうしてここに………」 「驚かせてすまない。ただ、ディープインパクト………彼女のことは前から注目していたんだ」
20 23/12/31(日)00:01:19 No.1140705531
制服姿のシンボリルドルフはそう言ってディープインパクトを見た後、私の方へ視線を向けた。 普段“皇帝”であり生徒会長としてウマ娘たちと接する時とは少し様子が違う。どことなく視線に稚気が宿っているような。 そう、まるで同志を見るような目をしていた。 「知っていたの? ディープのことを」 「ああ。最初からそれほど注目していたわけでは無かったがね。 身体は小さかったし、特に目立つ存在ではなかった。考えが変わったのは彼女の走りを見てしまったからだよ。 たった一度だけ。生徒会というのは放課後を過ぎても担う仕事が多いものでね。 帰りが遅くなったある日、誰も見ていない夜のグラウンドで彼女が全力疾走するところを偶然見てしまった。 その時胸に去来したものについては………きっと君にも分かると思うんだが」 流し目を私に送るシンボリルドルフ。わたしは共感をもって間髪入れずに頷いた。 そうだろう。感動してしまうだろう。それが例えかの“皇帝”であろうと感じ入ってしまうだろう。 どうしようもないのだ。ディープインパクトの走りとは、そういうものなのだ。一目惚れしてしまうのだ。
21 23/12/31(日)00:01:29 No.1140705607
「確信したよ。麒麟児とは彼女のような者を指して言うのだと。 私をも打ち倒し、トレセン学園に新しい風を吹き込むのは彼女のような脚の持ち主ではないかと」 「ルドルフ………」 「いいんだ。消長盛衰。古きは新しきに打ち倒されるのが世の習いだよ。 もちろんただで倒されるつもりはない。彼女とターフの上で鎬を削り合うのが今から楽しみでならない。 相まみえるならば全力で受けて立つ。ああ、それは私へ挑む者への義務でさえある」 シンボリルドルフが笑う。いや違う。ただ笑ったんじゃない。猛々しく微笑んだのだ。 あの“皇帝”ともあろうものが、打倒すべき獲物を見つけて残忍に笑う肉食獣のように麗しく微笑んだ。 それはつまり、まだデビューさえ迎えていないディープインパクトをどれだけ注目しているかという証だった。 起きる気配なくゆったりと眠り続けるディープインパクトを見ながらシンボリルドルフが言う。 「けれどその才能に反して彼女の身体は脆く壊れやすかった。 我慢強く基礎トレーニングを重ねる彼女のことを陰ながら見守っていたんだ。 そう。そこに君が現れた。彼女を見つけ、共に歩んでくれるトレーナーが」
22 23/12/31(日)00:01:45 No.1140705737
そう言ってシンボリルドルフはじっと私の目を見つめた。 ディープインパクトの月夜の湖面のようにどこか儚さを孕んだ瞳と違い、凛とした気高さに満ちた眼差し。 「……………まだディープのトレーナーになると決まったわけじゃないよ」 「そうかな。うん、それについては彼女が決めることだ。私からこれ以上は言うまい。 けれどもひとつ、憂慮していることがある。 ディープインパクト。彼女の脚はあまりにも魅力的すぎる。見た者の心を奪う脚だ。 それが呼び寄せるのは必ずしも味方だけではないだろう。時には彼女を苦しめるものも訪れるかもしれない。 もちろん力になれることであればトレセン学園や生徒会たる私たちも然るべき処置を取る。 だが結局のところ最も親身になって彼女のことを守ってやれるのはパートナーであるトレーナーだ。 いつでもディープインパクトの最善を考え寄り添えるような、そんな覚悟を持ったトレーナーと彼女が巡り会えることを祈ろう」 シンボリルドルフの目の中には暗に訴えかけるものがあった。 わたしはその意味を考えながら、眠りこけるディープインパクトの寝顔を見つめたのだった………。
23 23/12/31(日)00:01:56 No.1140705827
───そうして、選抜レースの日がやってきた。 「いよいよ始まるわね。結局どの子に声をかけるかは決めたの?」 「うん」 同僚の問いにしっかりと頷きながら観客席の一角に陣取る。 そこからグラウンドの中にディープインパクトの姿を探した。───いた。 出走予定のウマ娘たちが控えているあたり、その隅っこにぽつんと一際小さな人影があった。 相変わらずのマイペースさでのんびりと柔軟体操をしている。開脚すれば身体がべったり地面についてしまうくらい柔らかい。 今日までできる限りのことをしてきた。爪先のケアをし、蹄鉄もふたりで相談して特に脚へ負担の少ないものに変更した。 だが何よりも怪我なく最後まで走り切ることのみを重視したせいで他のことはやっていない。 全てはこの選抜レースに間に合わせるため、レースのイロハなど普通のウマ娘なら最低限身につけることも一切教えていなかった。 スタートダッシュなんて最たるものだ。きっと最初から大きく出遅れるだろう。 後はもう、ディープインパクトの天性の才能を信じるより他にない。 わたしはここに来る前にディープインパクトと交わした遣り取りを思い出していた。
24 23/12/31(日)00:02:07 No.1140705890
「なんとかここまで辿り着けたね。本当によく頑張ったよ、ディープ」 「はい」 労いの言葉への返事はごく短い。緊張しているのではなくこれがディープインパクトの素だ。 それでもジャージ姿の上からゼッケンをつけた姿は誇らしい気分がどこかにあった。 彼女は新調した蹄鉄の具合を確かめるように軽く飛び跳ねたり地面を踏みしめたりして集中していた。 もうすぐ選抜レースが始まってしまう。そうすればわたしは観客席だしディープインパクトは出走を待つためにグラウンドの上に立つ。 話ができる時間はそう多くはない。何を言うべきか迷ったわたしはその末にこんなことを口にしていた。 「鳥にはなれそう?」 「……………」 動いていたディープインパクトの身体がぴたりと止まる。 あの静謐な瞳がゆらりとあらぬ方向を向き、ほんのりと考える間を一瞬作った後にぴたりと私の方へと視線が定まった。
25 23/12/31(日)00:02:19 No.1140705968
「分かりません」 「そっか、分からないか………」 「でも」 ディープインパクトは小柄だ───首を傾げてわたしの顔を見上げる目が宝石のようにきらきら輝いている。 その眼差しには今まで見たことのない色合いの感情が宿ってゆらゆらと陽炎のように揺蕩っていた。 「私がこうして選抜レースに出られるのはトレーナーさんのお陰です。 あなたが私のためにしてくれたことの成果は見せたい。少なくともあなたを落胆させない走りはしてきたいと思っています」 「ありがとう。でも、何の心配もしていないよ」 「………?」 「わたしはあなたを信じてる。ディープインパクトは誰よりも速いウマ娘だって」 じっと私を見つめるディープインパクトの瞳の深さが急にぐっと増したように感じた。 選抜レース開始を告げるアナウンスが響いてくる。彼女は一瞬くすりと微笑んだ後、ぺこりと一礼してグラウンドに向かっていった。
26 23/12/31(日)00:02:30 No.1140706053
「───各ウマ娘、ゲートに入りました。今一斉に───スタート! 始まりました!」 重い。重い。重い。 私にまつわるあらゆるものが重い。重くて重くて堪えきれない。 重力という鎖を断ち切り、大空へと舞い上がるにはあまりにも重すぎる。私はなんて鈍重なんだろうと嘆きたくなる。 自分で言うのもなんだが、私はレースを走らなければごく普通のウマ娘だ。 名家に生まれ、その令嬢として丁寧に育てられてきた自覚はあるが、感性について他のウマ娘たちと大差ない。 多少マイペースなところがあるとは言われるけれどその程度。際立った個性や周りと衝突するような気性があるわけでもない。 おおよそどんなことも人並みの範疇に収まってしまう、どこにでもいるウマ娘だ。変わったところなんて何もない。 けれど、ひとたびレースになると私は人が変わってしまう。 全く違う生き物になって、価値観さえ変化してしまうのだ。
27 23/12/31(日)00:02:45 No.1140706167
重い。重い。重い。重い。重い。 普段の私が普通に受け取っていること。普通に好ましいと思い、普通に嫌だなと感じていること。 その普通がどれもこれも何もかも、重くて重くてしょうがなくなる。 要らない。全部要らない。削り落としてしまえ。無くなってしまえ。綺麗さっぱり消えてしまえ。 常識、肩書、両親、友人、環境に対戦相手、好きなもの嫌いなもの、過去、現在、未来───そして、私自身。 こんなものがいちいちくっついているから私はいつまで経っても飛ぶことができないんだ。 そう考えるというそれさえ余分な重みだ。ただでさえ私の身体は宙に浮けないほど重いのにそれ以外の重りを抱えて走る余裕はない。 鳥のように空を飛ぶには私の翼はあまりにも不要なもので汚れきっている。こんな羽では決して空へと飛び立つことなんて叶うまい。 ああ、だから私は鳥に生まれたかった。飛ぶことが第一義の彼らに余計な重さなんて存在しないから。 「──────ッ!」 ───けれど。今は少しだけ違う。 最終コーナーに差し掛かって、私はぐっと脚に力を込めた。
28 23/12/31(日)00:02:55 No.1140706248
あの人を思う。私に出会い、私の走りを見て、私のために今日まで多くを尽くしてくれた人。 これまで私の『鳥になりたい』という夢を伝えた多くの人たちは冗談だと流してきた。 わざわざ笑いこそせずとも荒唐無稽であり得ないと思っている態度はひしひしと伝わってきた。そのたびに落ち込んだ。 これは所詮私の幼稚な幻想で、目指すこと自体が烏滸がましく、憧れることさえ一笑に付される程度のことなのかと。 あの人は笑わなかった。 よく分からないのはいい。そう簡単に他の人に理解できるようなことではないのは自分でも分かっている。 それでもあの人は決して馬鹿にせず、真剣に取り合ってくれた。私が夢を目指せるよう、熱心に付き合ってくれた。 それがどれだけ嬉しかったか。口下手な私は彼女に上手く伝えるすべがない。 だからせめて、この走りでそれを伝えなきゃ。 不思議だ。 これまで私は私に絡みつくあらゆるものに重いと感じていたはず。 私の身を案じてくれる思いやりなどでさえも全部が煩わしい重りだとレース中は厭っていたはず。 なのにあの人───トレーナーさんのことを思うと、何故か少しだけ身体が軽くなる───。
29 23/12/31(日)00:03:06 No.1140706324
それは産声だったのだろう。 ウマ娘ではない怪物の誕生か。あるいは───英雄の旅の始まりだったのか。 最終コーナー終了。最後の直線に差し掛かったその時、集団の中程にいたディープインパクトは脚に鞭を入れた。 たった一呼吸で集団の先頭へ。次の一呼吸で一気に突き放した。 唖然とする競争相手を尻目に後塵さえ拝ませない。次元がひとつ違うどころの騒ぎではなかった。 差があっという間に開いていく。生物の機能の根本的な違いさえ感じさせる、息を呑むほど伸びやかな加速。 終盤にスパートをかける典型的な追い込み型のスタイルでありながら遥か後方に2着以下を置いてゴール板の前を駆け抜けた。 見る者へあまりにも鮮やかで、強烈で、凄まじい衝撃を叩き込む圧巻の大勝だった。 実況が押し黙った。レース会場が静まり返った。トレセン学園がその一瞬だけ静止した。 トレセン学園の校訓へ最初に刻まれている文句がある。“唯一抜きん出て並ぶ者なし”。 ディープインパクトはその瞬間、その最も重要な校訓を完全に成し遂げてみせた。 レース後にこぞって群がるトレーナーたちの全ての誘いを丁重に断り、ディープインパクトはレース場を去っていった。
30 23/12/31(日)00:03:16 No.1140706387
「─────。………幼い頃のことです」 あの凄まじい熱狂に包まれたレース場となっていたグラウンドにはもうその面影もなく、夜闇の帳が静かに降りている。 いつもならば共に過ごしていた秘密の特訓の時間と場所。ナイター照明を浴びるディープインパクトはスポットライトを浴びる主役のようだった。 普段通りわたしを待っていたディープインパクトはわたしが訪れるなり、ぽつりとそう語りだした。 「渡り鳥という生き物について学んだ時、心底不思議に思いました。 彼らはその種の生存のため、遠い遥か彼方まで旅をする。決して空の道を間違えず、生まれ育った故郷へと帰ってくる。 曰く、彼らは独自のコンパスを持っているそうです。星の巡り、地球の磁場、目的地の環境や地形………。 当時の私には分かりませんでした。そんな些細なことで微動しそうなものを頼りに辿り着けるかも分からない果てを目指す。 そんな暗夜行路を進んでよくも目的地へと到れるものだと。………でも、今は違います」 ディープインパクトが振り返り、わたしの方を毅然と見た。 今日の選抜レースを勝ったからだろうか。それともレースの中で何かを掴んだからだろうか。
31 23/12/31(日)00:03:26 No.1140706472
彼女の眼差しには今までに無かった強い光が湛えられている。 「確かに彼らにはしるべがあったのです。はっきりと、決して違うことのないしるべが。 それを心が赴くままに信じ追い求める。暗夜行路ではない。彼らには光が灯った道が見えていた。 そういうことが今日分かりました。しるべは示すのです。そこに光があると。 例え逆風が吹こうと耐え忍び、そして言うのです。見ろ、光はそこにあったと。 ───私にとってはあなたのことです。トレーナーさん。あなたがここまで私へ光を投げかけ、導いてくれた」 わたしを見つめてくるものの正体はよく分からなかった。 ディープインパクト本人なのか。それとも彼女の奥底に潜む怪物なのか。あるいはその両方なのか。 けれども本当は何だって良かったんだ。彼女がわたしを求めてくれたという、それが大事なことだった。 「トレーナーさん。こんな私でいいのならば………。 私のしるべになってくれませんか。あなたが光を照らしてくれるなら、私はどこまでも飛んでいける気がするのです。 いいえ。あなたというしるべでなければ、私は彼方へ飛んでいける自信がないのです」
32 23/12/31(日)00:03:40 No.1140706575
答えるまでもないことだ。だが、答えなければならないことだ。 ディープインパクトに向き合う。いつもマイペースな彼女らしくなく、緊張を帯びた強張った面持ちだ。 シャイな彼女にとって“あなたが欲しい”という宣言は一世一代であるほどの挑戦だったのだろう。 応えなければならない。わたしはにっこりと微笑んで、とてもシンプルに告げた。 「あなたをスカウトしたい! わたしのウマ娘になって! 誰よりも速く、自由に、まるで鳥のように………ううん、鳥よりも自由に駆けるウマ娘を目指そう! あなたが鳥になるというのなら、わたしもあなたの翼になる!」 勢いよく告げたわたしの言葉に最初ディープインパクトは瞼をぱちぱちと瞬かせて驚いていた。 だが、やがて───………。 「………………──────、はい」 初めて見る、本当に華やかな大輪の笑顔でわたしの言葉に頷いてくれたのだった。
33 23/12/31(日)00:03:42 ID:D2oPx0M6 D2oPx0M6 No.1140706586
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34 23/12/31(日)00:04:01 No.1140706753
それが“ディープインパクト”の始まり。 シンボリルドルフが懸念した通り決して綺麗事ばかりではなかった旅の開始点。 それでも彼女はここを起点にゆっくりと、だがはっきりと走り出した。わたしというパートナーを横に置いて。 走りを見るあらゆる人々の心を狂わせ、あらゆる人々の視線を釘付けにし、あらゆる人々の心を虜にする、魔性の末脚。 彼女は言った───私は、鳥になりたい。 【称号獲得:ディープインパクトとの出会い】
35 23/12/31(日)00:04:26 [s] No.1140706935
思ったより長かった
36 23/12/31(日)00:06:02 No.1140707587
この頃オルフェとかデュランダルのあったな
37 23/12/31(日)00:10:46 No.1140709608
ちょっと待ってくれ全部読むまで…
38 23/12/31(日)00:16:13 No.1140712059
スレ画と内容の力作ぶりの差で風邪ひきそう
39 23/12/31(日)00:21:30 No.1140714168
懐かしい…読む前ははっきり思い出せなかったのに一レス目でどういう走りか思い出したよ
40 23/12/31(日)00:22:40 No.1140714654
まぁ不思議ちゃんだよねウマ娘になるとしたら
41 23/12/31(日)00:28:10 No.1140716793
原作のラストラン実況が染みる作品だな…
42 23/12/31(日)00:31:48 No.1140718078
懐かしいな 相変わらずいい出会いの物語だ
43 23/12/31(日)00:38:34 No.1140720546
君が鳥になるなら
44 23/12/31(日)01:08:45 No.1140730438
『総決算にちなみまして、本日は皆さんがこれまでにご覧になったレースの中で最も印象的なレースをお伺いしたいのですが』 『私は……先週のメイクデビュー、ですね』
45 23/12/31(日)01:10:43 No.1140731027
こうして若駒ステークスに乗り込みみんなの脳を焼く