23/12/26(火)20:19:25 泥のボ... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1703589565791.jpg 23/12/26(火)20:19:25 No.1139169187
泥のボックス周回
1 <a href="mailto:多分毎日スレ見かけたら">23/12/26(火)20:31:46</a> [多分毎日スレ見かけたら] No.1139175153
魔術の極致。科学の至高。医学の頂点。三人の優れた賢者たちが、彼らの生涯の結晶として作り上げた機械仕掛けの神の器──それが、マギである。 ……というのも、昔の話。時間遡行で人類史の始まりに最新鋭の技術を持っていけば神となれる、などという計画は、二十年も経ってみれば荒唐無稽だとわかるのだ。過去の神は思うよりも偉大であったし、現在の人は思うよりも進んでいる。人造神計画は最初から誤っていた、それがマギの開発者たちの結論である。
2 23/12/26(火)20:32:06 No.1139175302
……故に、マギは自由となった。 ただ親に生み出された子として、人生というものを生きるのだ。 親の心、子知らず。その言葉の通り、己を作り上げた者のことをマギは知らない。だがこの言葉の通り、マギは知っている。 「えっ!? 魔物の正体って人間なの!?」 「意外と人間は人間の形をしていないのよ、律」 「なるほど。じゃあ人間じゃないから悪いとは限らないってことだ!」 「……そう、ねえ」 子供というものは、親を超えて成長するのだと。栗色の瞳と癖っ毛を飛び跳ねさせながらアニメの展開に驚く我が子に付き合いながら、そんなことを思ったのだった。
3 23/12/26(火)20:32:40 No.1139175588
自分の母親の正体について、マギはまだ娘に明かしていない。若作りなんだよ、と適当な嘘をついて誤魔化している。それは娘に忌避される可能性への恐れからではなく、あくまで「普通」を体験してほしいから。 魔術の道から外れた私たちは普通ではないだろう。 血の繋がらない親子は普通ではないだろう。 私の存在は、普通ではないだろう。 ……そういう「普通の価値観」を、マギはこの二十年で知ったのだ。そのことは弱みにもなり、優しさにもなる。人でない自分を捉え切ったマギは、かつてよりも人らしい。 「ねえ、お母さん」 「なにかしら、律」 だからそうして、マギは答える。確かに自分の娘である律を、精一杯に捉えようとしているのだ。 年末年始、時計塔にはなかった冬休み。もうすぐ夫も仕事納めで、三人の団欒の時間が来る。今年も来る。今年はどう過ごそうかと、また一年を終えていく。かつて一日すら見えていなかったのに、いつのまにか日常を過ごせるようになった。それはきっとあの時の同級生と教師に恵まれたからだと、マギは確かに芽生えた心で思うのだ。 故に、マギは知っている。
4 23/12/26(火)20:33:03 No.1139175762
「私が知っていることなら、なんでも律に教えるよ」 「うん! あのね、ずーっと気になってたんだけど」 私だって、大切な人に教えられる。全知全能の神に至らずとも、叡智を極めた賢者でなくとも。 ただ一人の親として、子供の成長を助けよう。 それが、今の日常だ。 ……とはいえ。
5 23/12/26(火)20:33:23 No.1139175935
「お父さんとお母さんって、どんなデートしてたの!?」 ……それはちょっと、年齢制限のフィルターをかけるべき爛れていかがわしい思い出なので。 「……もう少し。もう少し、大人になったらね。うん。はい次の話観ましょう」 「露骨に回避された!?」 マギは知っている。 自分たちの恋愛模様は、子供には真似させるべきではないと。
6 23/12/26(火)20:35:11 No.1139176716
https://seesaawiki.jp/kagemiya/d/%a5%de%a5%ae まとめはここに置いておいてあるよ 昔のもある
7 23/12/26(火)20:42:10 No.1139179942
堂マギだ! 流石に爛れた学生生活は娘さんには見せられないか