虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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  • 暗い闇... のスレッド詳細

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    23/11/27(月)00:13:23 No.1128704850

    暗い闇。 周りに明かりがない。 誰もいない孤独な空間。 そんな中にレッドはいた。 立っているのかも浮かんでいるのかもわからない。 移動したくても動けない。 深く、沈んでいくような落下感。 手を伸ばし、抗おうとする。 でも、何も掴めない。 ただ空を切るだけ。

    1 23/11/27(月)00:13:34 No.1128704941

    抵抗もできない。 ただ、落ちていく。 助けてくれる人もいない。 触れ合う者もいない。 たった一人で、どこまでも落ちていく。 いやだ。 助けて。 そう思っていても声も出ない。 もうどうにもならない。 やがて、レッドの意識も遠のいていった。

    2 23/11/27(月)00:14:27 No.1128705245

    「え…」 目を開けると、見慣れた天井。 開いた手が、照明へと伸びている。 「…夢か」 気怠さに抵抗し、身体を起こす。 被さっていた布団を引き剥がす。 もう冬が間近だというのに、汗が頬をつたう。 深呼吸して、気持ちを落ち着けようとする。 時計を見る。 まだ朝の4時。 起きるには早すぎる時間。 だけど、寝直す気にはなれない。 またあの恐ろしい夢を見るのでは。 そんな考えが消えなくて、眠りにつくことを忌避する。

    3 23/11/27(月)00:16:39 No.1128706038

    あれは夢。 実際に起こったことではない。 現実味のない不思議な空間。 本当に現実ではなく夢だった。 だけど、あの孤独感。 何もできない恐怖。 あれはまだ消えない。 汗をかいてるはずなのに、手が震えてる。 もう片方の手で掴んで、強引に震えを止める。 が、恐怖までは止めることはできなかった。

    4 23/11/27(月)00:18:36 No.1128706756

    「顔洗うか…」 ベッドを抜け出し、気分を切り替えるために洗面所に向かった。 思っていたより、自分の声が低くなっていることにも驚く。 床に足をつけた時に、僅かにだがふらついてしまった。

    5 23/11/27(月)00:20:10 No.1128707450

    水道水を手で掬い、顔に浴びせる。 手や顔に、水の冷たさの刺激。 それが眠気や怠さからレッドを僅かながら解放してくれる。 タオルで顔を拭いて、鏡を見る。 酷い顔。 目の下に濃い隈ができている。 生気も薄れてる気がする。 ふと、足元に感触。 そちらを見ると、ピカやニョロがいた。 不安そうな眼差しで、こちらを見つめてくる。

    6 23/11/27(月)00:21:31 No.1128707994

    「心配してくれるのか。ありがとうな」 両者の頭を撫でる。 でも、ピカ達はまだ曇った表情のままだった。 安心させようと笑おうとしても、無理にそうなってるだけ。 レッドの心は晴れない。 これではダメだ。 トレーナーの迷いや恐れは仲間のポケモンにも影響してしまう。 いつまでも不安が拭えないようではトレーナー失格だ。

    7 23/11/27(月)00:22:31 No.1128708403

    どうにかして、元気を取り戻したい。 そうは思うが、そう簡単にはいかない。 すぐに気持ちを切り替えられるほどレッドは器用ではない。 気分を変えるために何かしようにも、まだ早朝。 外に出ても、どこの店もやっていない。 普段ならそれでもいいのかもしれないが、今は避けたい。 誰かに会いたい。 一人でいたくない。

    8 23/11/27(月)00:23:24 No.1128708744

    ピカたち仲間はいる。 それはすごいありがたいことだ。 でも、人に会いたい。 この気持ちをわかって、一緒にいてくれる人がほしい。 そう思うと、一人の顔が浮かび上がる。 自分の、最も大事な人。 ポケギアを手に取って、通話を試みる。 まだ寝ているかもしれない。 むしろその可能性の方が高い。 でも、彼女に縋りたい。

    9 23/11/27(月)00:26:13 No.1128709833

    彼女はなんて言うだろう。 起こしたことに不満を言うだろうか。 不甲斐ない自分を責めるだろうか。 そこにも不安はある。 それでも、あの人の声を聞きたい。 その気持ちは否定できなかった。 「あれ、レッド?」 声が聞こえる。 聞きたかった人の、肉声が。

    10 23/11/27(月)00:32:54 No.1128712390

    その方へと視線を向ける。 そこにいたのは、ブルー。 今1番会いたい、恋人の姿だった。 「朝からこっそりお邪魔してびっくりさせようって思ってたんだけど、 こんな早くにレッドが起きてるのは想定外だったわ。 失敗しちゃったなー」 この場にいることについて、向こうから説明される。 でも、レッドは頭に入っていなかった。

    11 23/11/27(月)00:37:13 No.1128714057

    ブルーに近づいて、抱きしめる。 「え、レッド!?」 戸惑いの声。 それに構わず、強く抱きしめた。 彼女の存在を、この身で感じたくて。 誰かがいると、あの夢が現実ではないと思いたくて。 「…うん」 ブルーからも抱き返される。 細い腕が回される。

    12 23/11/27(月)00:40:35 No.1128715347

    「大丈夫。 アタシはここにいるから」 「…うん」 囁かれる言葉。 肌に触れる温もり。 それがレッドの心を癒していった。

    13 23/11/27(月)00:46:38 No.1128717655

    しばらく抱きしめあった後、2人で朝食をとる。 「ごめんな。 急に抱きしめてきて」 「ううん。ああいう寂しくてたまらない時くらいあるわ。 シルバーだってそういう時期はあったもの」 「シルバーがか…」 彼女を姉と慕う少年。 その保護をしていたこともあって、怯える人の相手に慣れているのだろう。 「さっきのレッドほど熱烈にハグはしてないわ。 そこは安心してね」 「いや、そこまでヤキモチ焼きじゃないけどさ…」

    14 23/11/27(月)00:50:49 No.1128719143

    ブルーが面倒を見ていた頃のシルバー。 まだ彼が小さい頃の出来事にまで嫉妬するわけではない。 流石に今の歳でもしているのなら話は別だが、そうでないなら特に気にすることでもなかった。 「アタシとしては、いっぱいヤキモチ焼いてブルーはオレのものだーどこにも行かないてくれーってやってほしいところもあるんだけどね」 「まぁ、そこはブルーのことを信用してるってことにしといてくれないかな」 「ふーん、まあいいけど」

    15 23/11/27(月)01:02:01 No.1128722791

    食べ終えた後、ブルーに夢の話をした。 彼女はこちらのことを責めなかった。 それどころか、優しい目で見つめてきた。 「ありがとう、レッド」 「え?なんで?」 まさか礼を言われるとは思わなかった。 こちらが戸惑っていると、ブルーが手を握ってきた。 「レッドが頼ってきてくれて、嬉しいの。 アタシがあなたにそこまで思ってもらえてる。 それがすごく嬉しい」 「…ブルーならさ。 前に情け無いところ見せても優しくしてくれたから、許してくれるかもって」

    16 23/11/27(月)01:06:30 No.1128724228

    苦笑しながら言う。 彼女はあの時、決して自分を責めてこなかった。 かつてはそうでも、今回は責めてくるかもとは思った。 だけど、どこかでブルーなら大丈夫だと。 彼女なら受け止めてくれる。 そう思っていたのも事実だった。 彼女の顔が近くなる。 「アタシはレッドの味方。 なにがあっても、あなたを見捨てたりしないから」 唇を重ねられる。

    17 23/11/27(月)01:10:18 No.1128725374

    柔らかな感触。 こちらからも返礼のキスをする。 顔を離すと、ブルーがはにかんでみせた。 「さて、今日はレッドにたっぷりサービスしないと」 「サービス?」 「そ。レッドが寂しくなったなら、そんな気持ち吹っ飛ばしちゃうことしなきゃ」 ウインクしながら、彼女はそう宣言した。

    18 23/11/27(月)01:13:21 No.1128726224

    その日の夕方。 「サービスって、これか…」 「そう。ご不満?」 「全然!!そんなことないから!!」 「ならよかった」 ブルーが笑う。 何も身につけてない、裸身を晒しながら。 それはこちらも同じ。 2人は、一緒に風呂に入っていた。 「こういう時は、裸の付き合いよ。 お風呂に入ってたら、身も心もあったまるでしょ?」 「そうかもなぁ」

    19 23/11/27(月)01:16:39 No.1128727110

    頭をかきながら、ブルーを見る。 美しい身体。 豊かな胸や形のいい尻。 それでいて細くくびれたウェスト。 整った秘所の毛。 絵画に描いてもいいほどの、均整の取れた肢体。 何度見ても、レッドの心を奪う見事な身体だ。

    20 23/11/27(月)01:21:29 No.1128728385

    「好きなだけ見ても触ってもいいよ。 アタシもレッドに触れてもらいたいから」 「…うん」 後ろに回り、抱きしめる。 胸を揉んだり、首筋を撫でたりする。 ブルーは拒まず、受け入れてくれる。 「アタシもね、寂しくてここに来たの。 レッドと同じ夢を見たから」 「ブルーも?」 頷き、肯定してくる。

    21 23/11/27(月)01:24:31 No.1128729182

    「昔もそう。 変な夢を見て、寂しくてたまらない。 そんなことに何度もなった」 「辛くなかったか?」 「辛いよ。 辛かった」 彼女の目元から、涙が溢れ落ちる。 流れた水滴が、胸を滑りこちらの腕に流れ着いた。 「でも、今はレッドがいる。 ううん、もっと前から。 いつも助けてくれたあなたがいる。 だから耐えられたの」

    22 23/11/27(月)01:27:16 No.1128729862

    「…うん」 彼女の身体を弄ることをやめて、優しく抱きしめる。 甘えたい対象ではなく、今度はこちらが愛でる気持ちで。 「ブルー」 「何?」 「オレでよかったらさ、ずっと一緒にいるから。 ブルーが悲しい時には一緒にいるし、 オレが悲しい時には一緒にいてほしい」 「なんか、プロポーズみたい」

    23 23/11/27(月)01:29:21 No.1128730382

    そう言ってブルーが笑う。 その笑顔。 愛しいその顔を守れるなら、それでいい。 そんな気がした。 「じゃあいっそ、本当に結婚すっか?」 「…え」 少しの間。 段々とブルーの顔が赤くなる。 「え、ええ!?」 言葉の意味が理解できたのか、ようやくブルーが慌てだした。

    24 23/11/27(月)01:31:23 No.1128730914

    「嫌なのか?」 「嫌じゃない!アタシもずっとレッドと一緒にいたい! だけど…」 手で自分の顔を覆い隠す。 真っ赤に染まった顔は、小さな彼女の手では隠しきれなかった。 「こんな顔、レッドに見せられないよ…」 「裸は見せてるのにそれはダメなんだ…」

    25 23/11/27(月)01:34:05 No.1128731433

    頭を撫でて、宥める。 そうすると、軽く胸板を叩かれた。 「レッドにペース握られるなんて、なんか悔しい」 「そんな時くらいあるって。 オレだっていつもブルーにやられてばっかりじゃないよ」 「もう、生意気な旦那様なんだから!」 今度は彼女がこちらの背後に回り、くすぐってきた。

    26 23/11/27(月)01:36:00 No.1128731831

    「ちょっ、待って! 待ってくれって!」 「ダメー、うちは亭主関白なんて認めないんだから」 笑いながら、じゃれつきあう。 これからも、こうして笑い合いたい。 思いは同じ。 ずっと、彼女と。 そう信じ、また笑った。

    27 23/11/27(月)01:36:12 No.1128731870

    以上です 閲覧ありがとうございました

    28 23/11/27(月)01:37:27 No.1128732112

    今回はレブル混浴シーン書きたくてそこから逆算してこうなりました 書きたいシーンありきになるとそこに至るまでを考えるのが難しい