虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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23/11/14(火)23:10:40 No.1124255377

「うーん、うーん……」  高咲侑は頭を抱えて紙にペンを走らせる、止まって少しだけ動かしてまた止めて。  腕を組んだり首を傾げたり髪をぐしゃぐしゃに掻き回したり逆立ちしたりヨガのポーズをしてみたりゴロゴロ転がったりと、様々な方法で思い悩んだ挙げ句。 「ダメだー!」  遂には万策尽きたとばかり歌詞を書いては没にした紙束を天に向けてばら撒いた。中を舞う紙はヒラヒラと地面に向けて落ちていく。 「おい、散らかすなよ!ここはボクの部屋だぞ!」  そう怒鳴ったのは侑と同じ音楽科に所属し、年下でありながら先輩であるミア・テイラーだ。  彼女の言う通りここはミアの自室なのだが、侑は音楽科の課題に詰まると決まってミアの部屋に押しかけた。 「だってさぁ、『いつもと違う自分の曲』なんて抽象的すぎてわかんないんだもん」  侑が口にしたのは今回の音楽科の授業で出た課題である。ミアはフンと鼻を鳴らして呆れたように言った。

1 23/11/14(火)23:10:52 No.1124255458

「普段自分が作ってる曲の方向性を把握してそこからズラせばいいだけだろ、簡単じゃないか」 「そりゃミアちゃんはそうだろうけど……」  伊達に名門音楽一家の生まれで飛び級で虹ヶ咲学園音楽科に編入したわけではない、ミア・テイラーは既に作曲家としては学生のレベルを軽く超えていた。一方の高咲侑はアマチュアとしては腕がいいというレベルでミアには遠く及ばない。  だからこうして困った時はミアの助けを借りるのだ。 「ねぇお願い、相談乗ってよぉ」  侑ちゃん必殺の上目遣い!これを受けるとどんなお願いも『しょうがないなぁ』とつい聞いてしまうのだ!(上原歩夢談) 「……分かったよ」  ミアがため息をつきながら観念したとき、侑はニカッと満面の笑みを浮かべるのだった。

2 23/11/14(火)23:11:24 No.1124255727

「私の曲ってどんな感じかな」 「そりゃまあ、明るくて、前向きで、ポジティブな感じじゃないか?」  『ときめき』をモットーとする高咲侑は歌詞は前向きで明るく、曲そのものも楽しくなるようなアップテンポのものを好む。 「つまりそっちとは逆の曲を作ればいいんだよね」 「別に逆である必要はないけど……まあ大体そうだね」  侑はそれを聞くと俯いて黙ったまま数分間動かなくなった。 「……ときめき……じゃない……暗くて、ネガティブな……」 「お、おい大丈夫か……?」  ブツブツと呟く彼女に若干引きながらミアが肩を叩こうとしたその時。 「よーし!降りてきた!!」  突然パッと顔を上げて立ち上がったと思うと、「ありがとーミアちゃん!」と言って走りながら部屋から出ていった。

3 23/11/14(火)23:12:00 No.1124255998

肩を叩こうと手を伸ばした体制のまま呆然とするミア。しばし呆気にとられていたが再起動しあたりを見渡すと、自室の惨状が目に入ってきた。侑が散らかした書きかけの紙が先程走って部屋を出ていった彼女のせいで更に広がり、ただでさえ整理整頓されてるとは言い難いミアの部屋はゴミ屋敷のようになってしまった。  ミアは自分の額に血管が浮いてくるのを自覚しながら、今度絶対にハンバーガー奢らせてやろうと決意した。 「出来た!」  侑がミアの部屋から出ていって一晩が過ぎ太陽が登り始めたころ。課題の『いつもと違う自分の曲』を完成させた侑の歓喜の声が響き渡った。  筆が乗りさえすれば一瞬で六曲程度書き上げる彼女である、一曲なら半日で作るもの不可能ではない。もっともこれはまだ仮の状態、この後細かい調整や修正が必要だろうがひとまず区切りがついて肩の荷が下りた気分だ。 「あーあ徹夜しちゃった」  冷静になって時計を見てみれば既に朝の7時、もう登校の準備をしなければならない、ここから寝ている暇はないだろう。昼休みに彼方さんにオススメしてもらったお昼寝ポイントにでも行こうかと考えていると。

4 23/11/14(火)23:12:25 No.1124256185

ピンポーンとインターホンの音がなり、扉を開けると 「侑ちゃんおはよう、朝ご飯一緒に食べない?」  幼馴染の上原歩夢がサンドイッチを持って立っていた。 「歩夢?いつもより早いね」 「うん、なんだか早く目が覚めちゃって。せっかくだから侑ちゃんの分の朝ご飯も作ってきたから一緒に食べようかなって」 「わーありがとう!入って入って!」  歩夢が侑の部屋に入るとパソコンが起動中であることに気がついた。 「侑ちゃん、曲作ってたの?」 「音楽科の課題でねー、さっき出来たところだよ」 「へー、聞いてみてもいい?」 「勿論!感想も聞かせてね」  歩夢がヘッドフォンを付けて再生ボタンを押す。しばらく黙って聞いていた歩夢だったが、徐々に顔色が青くなり手が震えてきた。

5 23/11/14(火)23:13:13 No.1124256522

侑は歩夢が持ってきたサンドイッチを食べながら眠気覚ましにコーヒーでも買わないと、と呑気に考えていたその時。 「……侑ちゃん」 「ん、ああ聞き終わった?どうだっ……」  歩夢の方を向いた瞬間、侑の両肩に手が添えられ万力を思わせるほど締め付けられた。記憶に浮かぶのはある夜、歩夢に押し倒された時の事である。 「ど、どうしたの歩夢?」  またなにか歩夢を怒らせることをしただろうか?いや思い当たりはそこそこあるな、と侑が思考を走らせていると歩夢は心底悲しそうな顔をして言った。 「今日は学校休もう」 「な、なんで?」 「私、侑ちゃんがこんなに苦しい思いをしてるなんて知らなかった」 「なんのこと……?」 「どうして、どうしてもっと早く相談してくれなかったの!?」 「どうしたの!?なにがなんだか分かんないよ!!??」  幼馴染二人が騒いでる中、パソコンは動き続けていた。画面には侑が作った曲が表示されている。 曲名は──『ロストシャイン』 fu2796546.webp

6 23/11/14(火)23:14:47 No.1124257134

違う世界の歌受信しとる!

7 23/11/14(火)23:16:43 No.1124257918

今日の仕事の帰りにウマ娘プリティーダービーの「ロストシャイン」を聞いてこれがもし虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の高咲侑ちゃんが作った曲だったらと妄想して勢いで作った怪文書です 要はまるでスクールアイドルたちにコンプレックス抱えてる侑ちゃんの本音を聞いて動転する歩夢たちスクールアイドルが見たかったのですが侑ちゃんがそんなコンプレックス抱えてるわけないのでこんな感じになりました 勢いだけで書いたのでキャラがかなりブレてる気がする