虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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23/10/28(土)21:13:55 「ロサ... のスレッド詳細

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23/10/28(土)21:13:55 No.1117734179

「ロサンゼルス号のるるぶ買っちゃいましたああああああああ!!!!!!!」 「大声を出すなメイケイエール!変装がバレるだろう!」 真昼の羽田空港。人目を忍ぶためにサングラスをかけているアタシたち二人は、待合室と飛行機を繋ぐ連絡通路を渡っている 売店のレジ袋を片手にるんるん気分のメイケイエールによると、ここは搭乗橋と呼ぶのだそうだ 「私スペースシャトル見にいきたいです!!!!!」 「観光する前提で話を進めるな!なんだそれは」 「カルフォルニア・サイエンス・センターという科学博物館の展示物です!実際に宇宙へ渡ったエンデバー号が見られるらしいですよ!!!!!」 「へぇ……宇宙か」 「昔読んだ図鑑でずっと気になっていたんです!!ソングちゃんも一緒に、ロマン溢れる広大な宇宙……感じませんか!!!!!!!?」

1 23/10/28(土)21:14:19 No.1117734376

猪突猛進メイケイエールは、進む場所を選ばない サングラス越しでも分かるキラキラした眼差しとともに、エールはアタシにグイグイ布教をかけていった そんなワクワクした目で見られたら断れないだろう! 「……レースが終わったらな」 「!!!!!!!!!!!約束ですよ!!!!!!!!!!!!」 ドタドタドタドタ。やかましいのがさらにやかましくなる やれやれ。アタシたちは日本のウマ娘を代表して走りに行くんだぞ 嬉しそうなメイケイエールの方を見ながら、そうやって釘を刺そうか迷ったが、まあでも心なしか満更でもなかった

2 23/10/28(土)21:14:31 No.1117734464

そのままアタシたちは飛行機に搭乗する。通路を中心にして、左右にそれぞれ3人並び席が奥までズラッと配置されている アタシたちが予約したのは21列のB席とC席(通路側)。シートに付けられた番号と照らし合わせながら予約した席の位置を確認する 手前の18列から数えて、19、20…… ……ん?あれ?……アタシたちが予約したはずの席に、誰かが既に座っている その人は黒帽子を深く被っており、顔はサングラスで隠れていて性別すらわからない 唯一、白髪が座席の影から飛び出しているのが見える 見間違えとかではないよな?外国の方だろうか

3 23/10/28(土)21:14:43 No.1117734591

「なぁメイケイエール。ちょっと英語で"席間違えてますよ"って言ってきてくれないか?」 「……」 「……どうした?」 音がしないので振り返ると、楽しげな表情から一転して怯えているメイケイエールの姿が 顔はこわばり、耳はピンと立っている。強く警戒している証だ ああ、そりゃそうだ。よくよく考えたらその人、不審者みたいな怪しいビジュアルをしているもの そりゃ怖いよな。不審者みたいな人が自分たちの席に座っていたら トレセンでしごかれた今のアタシが話しても想像もつかないとよく言われるが、小さな頃はアタシも繊細な子だった だからこそ同情できるのだ。いつも元気な姿をみんなに振り撒いている彼女の、心に秘められた繊細な部分に

4 23/10/28(土)21:14:53 No.1117734672

「ごめんなさい。私……」 「大丈夫だメイケイエール、気にするな。アタシが行くから」 「お願いします……」 おびえるエールをなだめ、一人で正体を確かめるために通路を進む 大丈夫。その人は多分間違えて座っているだけ 恐れることは何もない 例え本当に日本語が通じない人でも、最悪CAさんを呼べば良いんだ 一歩一歩、前へ前へ……

5 23/10/28(土)21:15:06 No.1117734808

……いや、ちょっと待てよ!?!? よく見ると、白髪は元々長いのか後ろにまとめているようだ。そして周囲にはなぜか、ゆるふわ~なオーラを漂っている その対象に近づくたび、なんだかどこか、同級生の"アイツ"のような既視感を感じた まさかそんな、その"アイツ"が飛行機に乗っているわけないだろ……と話しかける直前、その正体につい、「げっ!」っと声が漏れてしまう アタシの席を占拠していた彼女がそれに気が付くと、してやったりと言いたげなニヤニヤ面でサングラスと黒帽子を取った 「ふふ……私も来ちゃったし……」 「お前、どうしてここに!?!?」 後ろにまとめていた髪を解いて、いつもの姿を見せる そこにいたのは見ず知らずの外国人などではなく……トレセン学園でよく見知った白髪の女王様。ソダシだった

6 23/10/28(土)21:15:17 No.1117734904

「びっくりしたし?」 「びっくりしたっていうか……てかそこアタシの席なんだが……」 「何言ってるし。エールちゃんの隣は私の固定席だし」 「こんなところまで来てアホなこと抜かしてるんじゃないぞ!」 はぁ~~~……なんだろ。拍子抜けというか、アタシの予想をはるかに超える展開にため息が出てしまった エール目的で来たのだろうが、神出鬼没と言っても限度があるだろう もはや、たとえエールが地球の裏側に行くことになってもついていきそうな勢いだ 「そもそもどうしてアタシたちの席を知ってるんだ」 「隙を見てエールちゃんのバッグ漁って搭乗チケットを盗み見ただけだし。同室特権だし~♪」 「うっわ気持ち悪いぞ……!漁ったってお前……デリカシーってものがないのか!」 「大丈夫。私のエールちゃんだし。それにたとえバレたとしても、エールちゃんならきっと許してくれるし」

7 23/10/28(土)21:15:28 No.1117735017

よくもまあつらつらと、わるびれもなく自分の悪行を述べるなこいつは…… 溺愛するほどエールのことが大好きなのは知っているが、そろそろ加減しないといつか本人から嫌われそうだ 「アタシがエールなら距離取ってるぞ。今の発言本人には絶対言うなよ!?」 「ソダエールに割って入ろうとするサブヒロインの牽制として受け取ってやるし」 「誰がサブヒロインだっ!勝手にラブコメにするな!」 白い不審者と会話した後、後ろに待機していたメイケイエールの元へと戻って一連の流れを軽く説明 実際に顔を合わすまで、エールも不審者の正体がソダシだということを飲み込めない表情を浮かべていた 通路で立ち話していたら乗客の邪魔になると言うことで、半ば強引にソダシを窓側のシートへと詰めるように移動させる そしてエールを真ん中のB席に座らせてから、アタシも通路側の座席に腰を下ろした

8 23/10/28(土)21:15:41 No.1117735181

「しかし、ついていくつもりなら前もって言ってくれりゃいいのに」 「爺がよく言ってたし。こういうのはサプライズだから意味があるんだって。面白かったし?」 「ソダシちゃんだと気が付くまで普通に怖かったので次からはもっとTPOなど配慮した行動を心がけて頂きたいです。」 「えっ、あっ、はい……すいません……」 久々に見たプレーン状態でキレるメイケイエール。お前相当ビビってたもんな…… 振り返ると黒帽子はウマ耳を隠すためだったんだろうが、どうやらそれが裏目に出たようだ まさかソダシが歩く拡声器にTPOを説かれる日が来るとは……本人には悪いが、サプライズより今の光景の方が面白いな せっかくのサプライズなのに怒られてしまったソダシがしょんぼりしているのを見かねてか、メイケイエールはスイッチが切り替わったかのように明るくなった

9 23/10/28(土)21:16:01 No.1117735404

「でもソダシちゃんもアメリカについて来てくれるんですね!!!嬉しいです!!!」 「と、当然だし……ファン第一号として、全てのレースを見届ける責任があるんだし」 「でもレース本番までまだまだ先です!私たちが最終調整で時間が取れない間どうする予定なんですか!?」 「ふふ……ホテルでネトフリ見まくるからモーマンタイだし」 「暇なんじゃないか。やっぱりレース本番当日に来た方が良かったんじゃないのか?」 「いやだし寂しいし。エールちゃんのいない部屋に一人で居たくないし」 あー……一人が嫌なのはちょっとわかるかも いつも同室と二人で過ごしている分、一人の寮室は堪えるものな。しかもそれが二週間 体躯が人間よりも強靭とはいえ、精神は人並み。孤独ほど、ウマ娘に耐え難いものはないのだ

10 23/10/28(土)21:16:11 No.1117735493

おっと、忘れるところだった。もっていた自分たちの手荷物を天井の荷物棚に押し込む その合間に「そうだ!」と何かを思いついた様子のメイケイエール。空港にある売店のレジ袋からるるぶを取り出し、アタシたちにも見えるように開いた 「さっきソングちゃんと、レース本番が終わったらエンデバー号を見に行こうって話をしてたんです!」 「ふふ……LAのサイエンス・センターだしね……私も一度行ったことあるし」 「……マジか!?」「本当ですか!?」 驚嘆したエールとアタシは一斉にソダシの方を向く モデル界でも一躍有名の彼女は、特段大したことない事だし、とでも言う風に続けた

11 23/10/28(土)21:16:22 No.1117735589

「縁あってハリウッドに観光する機会があって、その時に寄ったんだし。よければ案内するし」 「あー!前にソダシちゃんが話していた、女優ウマ娘さんに気に入られた時の話ですね!!!」 「なんだその話、羨ましいぞ!……でもせっかくなら、近くの美味いレストランとか教えてよ」 「もちろん、近くで食べた所が美味しかったから紹介するし……あ、報酬は23年VMのトロフィーでいいしよ」 「お前そのネタ一生擦るつもりじゃないだろうな……?」 VMのトロフィーならもう持っているはずなのになんて強欲な奴なのだ…… という軽い冗談は置いといて、三人で一緒にるるぶをパラパラ眺める 正直な話、ウキウキになっているエールに流され、この時のアタシも大いに浮かれてしまっていた 「あっ、時間があればでいいしだけど、フィグ・アット・セブンスって名前のモールでショッピングしたいし。センターからなら20分あれば行けるはずだし」 「いいですね!!!ソングちゃん時間は大丈夫でしたっけ!?」 「一日空けてるから、そのぐらいだったら多分寄れると思うぞ」 「ならそこでお土産買っちゃいましょう!!!」 「だな」

12 23/10/28(土)21:16:42 No.1117735757

旅行は計画している時が一番楽しいと聞いたことがあるが、まさにそうなのかもって程にどんどん会話が弾んでゆく ふと、周囲に視線をやると、座席にはすでに多くの人々が着席していた おそらく離陸時間はもう間も無くだろう。長話しすぎたな 「……ソダシ。もうそろ自分の席に戻った方がいいんじゃないか?その席誰かくるだろ」 「ふふん。問題ないし。これを見るし」 ソダシはドヤ顔をキメながら懐からチケットをサッと取り出し、隣のエールに手渡す 「えーと、座席番号21-A……ってことは!」 「嘘だろう!?アタシたちの隣かよ!?」 「ふふ……ちょうど空いてたから速攻抑えてやったし」 ……この女、用意周到すぎやしないか!?怖くて寒気すら感じてしまったぞ さっきは軽く流したが、黙って隣の席確保とかされると、執念めいた恐ろしいものすら感じるな……

13 23/10/28(土)21:16:54 No.1117735863

「エール、こいつ怖くない?」 「断りも無しにそれをやるのは結構怖いですね。ストーカーみたいで。」 「プ、プレーンエールちゃんから罵られるのは、結構精神的にくるものがあるし……」 「ほぼ自業自得みたいなものだろう!」 冗談は置いといて、やっぱり前もってアタシやエールに一言言ってくれりゃよかったのに、なんて思ってしまう いや本当に「飛行機に入ったら何故かソダシちゃんがいましたサプライズ」をやりたかっただけなんだろうけども でも最後くらい…… ───ああ、そうだった アタシ、もうすぐ卒業するんだっけ

14 23/10/28(土)21:17:04 No.1117735946

「でもそれなら!!ソダシちゃんも一緒に映画見れますね!!!」 「? なんの話だし?」 「シートの目の前にあるディスプレイで映画を見ることができるんです!!」 「そうなのし?案内板か何かだと思ってたし」 「渡航歴あるなら常識だろ。使ったことないのか?」 「民間機乗るのこれが初めてだし。今まで海外行く時はプライベート機だったし」 「プライベート機!?!?おのれボンボンめっ。贅沢すぎるだろ!」 アタシは親との約束により、来年3月までにはトレセン学園から去ることが決定している うちはそこまで裕福ではなかったため、もともとそういうルールでトレセンに入学したのだった つまりこのアメリカ遠征は、アタシの最後のレースなのだ

15 23/10/28(土)21:17:19 No.1117736097

「気を取り直して、一緒に見る映画探すし」 「……おお、ジブリ揃ってるじゃん。テレビの特番で見たっけ」 「見てください!シュガーラッシュもありますよ!ちっちゃい時に映画館で見ました!」 「初めて聞くな。ディズニー映画なのか」 「ですです!ラルフさんとヴェネロペちゃんの友情劇です!!もう一回見たいぐらい面白いですよ!!」 「じゃあそれ一緒に見るか」 「やった!!!」 だけどアタシは……なんて言うか、「これが最後なのだなぁ」という一種の寂しさというのは、あまり感じられなかった なぜなら………

16 23/10/28(土)21:17:35 No.1117736244

「……デビソマンもないJ○Lの映画ライナップなんて最初から当てにしてなかったし」 「ここでもクソ映画ハントしようとしないでください!」 「マニアックな趣味を航空会社に押し付けるなソダシ!」 いつもは掴みどころのない不思議な子だけど、悔しいほどに美しくて、そしてなにより強い、どこぞの白毛のライバルと 「仕方ないし……私はナルト疾風伝の中国語吹き替え版『ズーライイェ ハオジェ ウーユー(自来也豪杰物语)』を見つけたから、それで面白い空耳でも探すし」 「ズーライ……なんて?」 「そんなこと言わずに!!ソダシちゃんも一緒にシュガラ見ましょうよ!!」 「ふふ……私のエールちゃんがそう言うならそうするし」 いつもは元気満点のおてんば娘だけど、みんなを応援したい気持ちとレースへの直向きさなら誰にも負けない、どこぞの鹿毛のライバルのおかげで

17 23/10/28(土)21:17:45 No.1117736354

「お!!アナウンスです!!間も無く離陸するらしいですよ!!」 「ふふ……よくよく考えたら、こんなデカい物体が空飛ぶなんてとんでもないことだし……」 「私も飛行機みたいに大空を自由に飛んでみたいです!!!」 「ははっ……大人になったら、ハンググライダーとかやってみるか?」 ──今までにないってくらい、アメリカ遠征がすごく楽しみになってるから 「なら私、あれやりたいし……凧に体くっつけてそのまま滑空するやつ……」 「それって……もしかして忍者さんみたいなアレのことですか!!」 「それだし」 「絶対面白いなそれ。やってるところ見てみたいぞ」 ……なんて 二人には絶対っ、ぜったいに内緒だけどなっ

18 23/10/28(土)21:18:41 No.1117736941

エールちゃんとソングちゃんがロスに到着したみたいなので書いた

19 23/10/28(土)21:19:01 No.1117737104

そういや二人そろって海外遠征か今回

20 23/10/28(土)21:19:34 No.1117737443

この前魔界に吸い込まれたソングラインちゃん

21 23/10/28(土)21:25:51 No.1117740683

https://twitter.com/gendai_keiba/status/1718005991118389406 貴重な2頭のツーショット 元気そうで何より

22 23/10/28(土)21:26:10 No.1117740835

こんなに大所帯でアメリカ行くの初めてだから豪勢で凄いんだ

23 23/10/28(土)21:29:00 No.1117742413

ソングラインもメイケイエールも仲良く一緒にアメリカ挑戦とかほんとに面白い物語だよね

24 23/10/28(土)21:31:45 No.1117743933

二頭とも元気そうでよかった https://www.youtube.com/shorts/SA4BwsvloNg

25 23/10/28(土)22:02:32 No.1117759985

キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!

26 23/10/28(土)22:08:14 No.1117762676

>No.1117759985 楽しそうでいい……

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