23/09/30(土)23:49:25 皐月賞... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1696085365759.jpg 23/09/30(土)23:49:25 No.1107625682
皐月賞・NHKマイルC・日本ダービー──過酷なMCローテをタニノギムレットは勝利という形で完遂してみせた。その脚の未来と引き換えに。 ギムレットはターフを去り、そのトレーナーの彼も後を追うように引退するつもりだった。 『ウオッカを頼む』 ギムレットがトレーナー室に残した書き置き。小難しい言い回しが無い、ストレートな直筆が無ければ、彼は燃え尽きるようにトレセン学園を去っていた。 「ウオッカやったー! 右手でガッツポーズー!!!」 そして、この光景──ウオッカが東京レース場で高々と腕を突き上げる光景も、見ることは無かったのだろう。
1 23/09/30(土)23:50:44 No.1107626166
『またおかしなローテで担当ウマ娘を振り回すのか』『ダイワスカーレットから逃げたのか』 ウオッカと組んで再びダービーに挑んだトレーナーに、非難の声は少なからずあった。 ティアラ路線からクラシック路線に乗り込むウマ娘は多くはない。結果を残した者となるとさらに限られる。何故そうなるのかは定かではないが、ウオッカ以前にティアラ路線からダービーへの挑戦を成功させたウマ娘は、64年も昔に遡る。 ウオッカは阪神JFを制覇し、桜花賞ではダイワスカーレットに敗れたものの将来を期待されているウマ娘。ダービーに挑みたい。そう宣言したウオッカに、トレーナーも最初は難色を示したが── 「オレ、絶対ダービーに出たいんです! あの人を越えるために──オレの求めるカッコ良さを貫くために!」 かつての担当ウマ娘の言葉を借りて言うのであれば。 これこそが『定め』であると、彼は感じ取った。
2 23/09/30(土)23:51:00 No.1107626279
──ダービーを制覇したその晩。彼は、ウオッカを都内のとあるバーへと連れて来た。 「改めて。優勝おめでとう、ウオッカ」 「へへ……ありがとうございます! それで、ここは……」 「うん。俺が初めてギムレットと会った場所だ」 かつてタニノギムレットにオリジナルのモクテルを振る舞われた場所。トレーナーとしての彼の始まりの地。 年頃の娘を連れて来る祝いの席としては些か渋いかもしれないと彼は思ったが、ウオッカは── 「へぇ~……!!」 ひたすらに、瞳を輝かせてその雰囲気に浸っていた。
3 23/09/30(土)23:51:14 No.1107626380
元々あったこういった場所への憧れ。同期のダイワスカーレットやアストンマーチャンは趣味が合わず誘っても来てくれない。さらにより雰囲気が出るのは夜と相場が決まっているが、アルコールも提供される場であるため保護者は必須。 そんな憧れの場所に憧れの人が連れて来てくれた。ダービーを制覇した高揚感も相まって昂まる鼓動は収まらない。 「気に入ってくれたようで何より」 「は、はい! ありがとうございます!」 連れて来て良かったと、彼も緩む頬が抑えられない。 かつてタニノギムレットと出会いを紡いだ大樹の下。 思い出の場所にウオッカを連れて来たのは、彼なりにけじめを付けるためでもあった。 『恐らくウオッカもこういう場所は好む筈だ。しかし自分の感傷に教え子の祝いの場を合わせるのはどうか』──女々しく躊躇う気持ちもあったが、結果としては正解だった。
4 23/09/30(土)23:51:28 No.1107626483
「……礼を言うのは俺のほうだよ、ウオッカ。俺は、多分生き返ったんだ」 「生き返った……?」 「……いや、何でもない。それより今日は何でも頼んでくれ。勿論俺の奢りだ」 「……やった! じゃあ……」 ギムレットが学園を去ったその日から、時間が止まっていた。紡ぎかけかた言葉は、飲み込んだ。 ウオッカにメニューを差し出し、サービスの水を口に含む。程良く冷たい清涼感が喉を潤してくれる。 グラスの氷がぶつかる音を聞きながら、暫くウオッカの注文が決まるのを待ち── 「……あ、あの!」 「うん? 決まった?」 「あ、そうじゃないんスけど……一個、お願いしてもいいですか?」 「もちろん。何でも言ってくれ」
5 23/09/30(土)23:51:40 No.1107626553
ウオッカがメニューを閉じる。トレーナーには彼女がどこか緊張した面持ちのように感じられた。 「トレーナーさんのこと、『相棒』……って呼んでもいいですか?」 「え?」 「ホラ、俺たち……コレからも、長くやってくわけじゃないですか……だから、その……」 「……ふ」 なんだ、そんなことか──そう思うと同時に。 ウオッカにとっても、自分はまだ『タニノギムレットのトレーナー』だったのか──申し訳なさを覚えた。 「……勿論。口調だって崩していい。君がやりたいようにやってくれ」 「マジすかっ! おっしゃぁ!……じゃ、じゃあ……!」 ウオッカがおずおずと拳を突き出して来る。彼も、頷いて拳を突き出す。
6 23/09/30(土)23:51:54 No.1107626630
「これからよろしく、『相棒』」 「!!──へへ、よろしくな! 『相棒』!!」 コツンと、二人の拳が合わさった。 そして── 「──ふ。新たなる旅路、か」 「え?──ギム先輩!?」 「ギムレット!?」 二人に、ギムレットがグラスを差し出した。
7 23/09/30(土)23:52:05 No.1107626695
「何を驚くことがある? オマエたちはエリュシオンに辿り着いたのだ──」 「ああ……いや……」 何度か瞬きを繰り返して、トレーナーは冷静になった。 ギムレットが引退してから数年が経ち、顔を合わせることも無かったが──彼女がここにいること自体は不思議では無い。 「……君の手からモクテルじゃなくてカクテルが渡される日が来るとは」 「ふ……アレから何度ヤーヌスと言の葉を紡いだと思っている?」 トレーナーにはカクテルを。ウオッカにはモクテルを。 それぞれにグラスを差し出すと、ギムレットはウオッカへと向き直る。
8 23/09/30(土)23:52:25 No.1107626867
「見事だった、ウオッカ。お前も『定めの鎖』を打ち破ったのだな」 「へ、へへ……ありがとうございます、先輩!」 賞賛の言葉を贈るギムレットにウオッカが瞳を潤ませる。 「そして──」 「……ああ……」 トレーナーは、言葉が出なかった。何を話すべきなのか。何を話したいのか。整理が追い付かず──ただ、口を少しだけ開けて、吐息を溢して、また閉じた。 「──やはり、ウオッカをお前に託して良かった」 「……ありがとう」 辛うじてその言葉を吐き出し、ギムレットに渡されたグラスを煽った。ジンライムの味が頬と胸を熱くする。
9 23/09/30(土)23:52:47 No.1107627075
「……ギムレット。俺は、前に進めてるかな?」 「ふ──愚問だな」 ギムレットと別れてから、ずっと時間が止まっていたような気分だった。 そしてウオッカがダービーの勝利を勝ち取り、やっと自分の中で時計の針が動き出した。 「そうか……」 もう一口だけジンライムを煽ると、彼はメニュー表を開いた。 今日はめでたい日なのだから、多少はハメを外しても良い筈だ──
10 23/09/30(土)23:53:05 No.1107627204
──コレで、良かった筈だ。俺に後悔は無い。俺はやり遂げた。ワタシの選択は正しかった。 なのに、なんだ? この胸のざわめきは。 トレーナーがこのタニノギムレット意外のウマ娘に酔っている。それが気に入らないとでもいうのか? バカな── ──オレ、嬉しいんだ。『相棒』とダービー勝って。ギムさんに認められて。 なのに、何でだ? なんで胸がザワザワすんだ? 何で、ギムさんはそんな目でオレの『相棒』を見てるんだ? 今は、オレの相棒なのに── 二人のグラスの中で、氷が揺れて、ぶつかった。
11 23/09/30(土)23:53:32 No.1107627384
こんな感じのギム→トレ←ウオなベタなラブコメが読みたかった
12 23/09/30(土)23:55:24 No.1107628120
ウワーッ!
13 23/09/30(土)23:55:50 No.1107628325
壇上から降りたらもう役者じゃないんだよ それをのこのことまだ主演のつもりで顔を出してしまって…どういうつもりなんだい!
14 23/09/30(土)23:56:11 No.1107628486
>ジンライムのカクテル言葉は「色褪せぬ恋」
15 23/09/30(土)23:56:18 No.1107628532
求めてるものの欲が深い!
16 23/09/30(土)23:58:52 No.1107629569
むう前世親子三角関係…
17 23/09/30(土)23:59:35 No.1107629829
ウマ娘と競走馬の関係は前世ではないのでつまり二人とも愛しても問題ない
18 23/10/01(日)00:06:50 No.1107632189
>壇上から降りたらもう役者じゃないんだよ >それをのこのことまだ主演のつもりで顔を出してしまって…どういうつもりなんだい! 見送ったつもりだったんだけど 父さんも…父さんも女だから…
19 23/10/01(日)00:09:01 No.1107632860
学園で一緒にいるウオッカの方が優位だと思う ギムレットに脳が焼かれてて戻らない可能性もある
20 23/10/01(日)00:10:04 No.1107633228
過去を花に添えてグラスを傾けるならまだしもグラスいっぱいに過去を注いで飲み干そうなんて今のタニノギムレットが許してもタニノギムレットが許さないよ!
21 23/10/01(日)00:10:51 No.1107633485
どれだけ走ってもギムレットと重ねられているのがわかるウオッカ トレーナーとの未来があるのがウオッカであるとわかるギムレット
22 23/10/01(日)00:12:47 No.1107634070
タキオンダスカの三角関係はラブコメチックになりそうなのにギムウオはなんか湿ってる
23 23/10/01(日)00:20:03 No.1107636473
>学園で一緒にいるウオッカの方が優位だと思う >ギムレットに脳が焼かれてて戻らない可能性もある でもギムレットは卒業済みだから学校生活に縛られないという強みがある 具体的にはお酒の勢いでホテル連れ込んで朝チュンができる
24 23/10/01(日)00:32:22 No.1107640349
>>学園で一緒にいるウオッカの方が優位だと思う >>ギムレットに脳が焼かれてて戻らない可能性もある >でもギムレットは卒業済みだから学校生活に縛られないという強みがある >具体的にはお酒の勢いでホテル連れ込んで朝チュンができる 事に及んでなくても朝帰りするだけでウオッカにダメージ入るな…
25 23/10/01(日)00:40:08 No.1107642829
>>>学園で一緒にいるウオッカの方が優位だと思う >>>ギムレットに脳が焼かれてて戻らない可能性もある >>でもギムレットは卒業済みだから学校生活に縛られないという強みがある >>具体的にはお酒の勢いでホテル連れ込んで朝チュンができる >事に及んでなくても朝帰りするだけでウオッカにダメージ入るな… その時、ふと閃いた! このアイディアは、ウオッカとの トレーニングに活かせるかもしれない!
26 23/10/01(日)00:43:15 No.1107643862
>その時、ふと閃いた! >このアイディアは、ウオッカとの >トレーニングに活かせるかもしれない! 二人の脳を同時に破壊しようとするんじゃない
27 23/10/01(日)00:43:39 No.1107643990
>二人の脳を同時に破壊しようとするんじゃない >どれだけ走ってもギムレットと重ねられているのがわかるウオッカ >トレーナーとの未来があるのがウオッカであるとわかるギムレット
28 23/10/01(日)00:56:05 No.1107647857
おれバカだから分かんねえけどよぉ ふたりともまとめて抱いて親子丼しちまえば丸ごと解決するんじゃねえの? …この場合親子丼っていっていいのか分かんねえけどおれバカだから分かんねえや