23/09/22(金)18:37:39 [IF-Un... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1695375459014.png 23/09/22(金)18:37:39 No.1104582559
[IF-Unrelease1] ザイレム制御修正は驚くほど順調に進んでいた。 私がパラサイトモジュールの位置を割り出す前に、レイヴンは的確にターゲットを破壊していっている。 《旗色が悪いね……こんなときビジターがいれば……》 《621は死んでなどいない……》 《あんたもそう考えてたかい》 「ウォルター……」 けれど、オールマインドから共有された通信を聞いてからレイヴンのバイタルは変調を来していた。 戦闘による高揚感のみではなく、異常な興奮状態にある事が伺える。
1 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:37:53</a> [s] No.1104582658
ただ、ACの操縦はこれまでのどんな危機的状況の時よりも速く的確だった。 《ザイレムをブロックする準備をしておけ。あいつは選択した……今や俺たちにとって最大の脅威だ……》 「違う!」 あの感情の希薄なレイヴンから初めて聞く怒号。ありもしない身が竦むような感覚を覚える。 レイヴンがそれほどまでにウォルターを慕っていたというのは理解しているつもりだった。 《……すべての目標を破壊》 それでも最後のパラサイトモジュールを破壊するまで、レイヴンは手を止めなかった。 《残念ながら……敵の方が一手早かったようです。 強化人間C4-621レイヴン、ザイレム制御中枢に向かってください》
2 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:38:07</a> [s] No.1104582739
パラサイトモジュールは驚くほどの速さで全て破壊したというのに。それでもなお届かない。 オールマインドの言う通り、やはりあの二人は相当に手強いらしい。 《ハンドラー・ウォルターおよびカーラ、この両名については……私が対処します》 不意にレイヴンのACが動きを止めた。操縦桿を握る手が震えているのが分かる。 「エア……。俺は……」 《……レイヴン?》 「ウォルターを、助けたい」 《それは……》
3 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:38:21</a> [s] No.1104582817
ザイレムによってバスキュラープラントを破壊され、ルビコンが火の海になる事を意味している。 もちろん、私が死ぬという事でもある。つまり、レイヴンは私ではなくウォルターを選ぶという事。 私はただレイヴンに付きまとっていただけのコーラル波形に過ぎなかったのだろうか。 ここでお別れになってしまうのだろうか。そう思った。 「……エアも、助けたい」 けれど違った。ああ、そうか。ここにきてようやく理解する。 レイヴンは私の事もウォルターに並ぶほど大切な存在だと思ってくれていたのだ。 《……わかりました。あなたはウォルターの救援に向かってください。こちらはこちらで何とかします》 言うが速いか、レイヴンは既に行動を起こしていた。
4 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:38:43</a> [s] No.1104582973
[IF-Unrelease2] 《強化人間C4-621レイヴン、どこへ行くのですか。ザイレム制御中枢に向かってください》 もはやレイヴンはオールマインドの指示になど反応しない。 《船外への最短ルートを送ります。急いでください》 正直なところ、何とかする目処なんて何も立っていない。 けれどレイヴンは選んだ。ウォルターと私のどちらも選べないのではなく、どちらも助ける事を選んだ。 ならば、私はそれを叶えてあげたい。叶えなければならない。 《621!? 何をしている……お前は……》 敵勢力からの攻撃を凌いでいたところに現れたレイヴンの姿に、そしてそのレイヴンが、 敵勢力を攻撃しているという事実に、ウォルターが驚いて動きを止めそうになる。
5 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:39:09</a> [s] No.1104583101
私は思わず通信回線に割り込んで音声を発信していた。 《ウォルター、回避に集中してください》 《!? お前は……。まさかお前が……621の友人……か?》 もう形振りかまっている場合ではない。ウォルターが回避運動を再開した事を確認するのと、 オールマインドの増援が出撃した事を感知するのはほぼ同時。 《自己紹介は後ほど。既にオールマインドの増援が向かっています。今のうちに敵勢力の排除を》 「ウォルターは……殺させない」 《621……お前は……》
6 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:39:23</a> [s] No.1104583192
「エアも、殺させない」 《そうか……。それが、お前の友人の名か……》 ウォルターの声が慈しみを帯びると、二人は背中を預け合うように戦闘は続いた。 ウォルターを狙ってグレネードの発射体制に入っていたACをブレードで斬り捨て、 後ろに目がついているとでも言うのか、背後から飛来していたミサイルを回避。 そのまま反転して距離を詰めてきたACを蹴り飛ばす。 戦場のすべてを把握しているかのごとく、もはや人間とは思えない動き。 敵弾を完全に回避しているにも関わらず、姿勢制御が追いつかずにACS負荷が蓄積していくほどだ。 《レイヴン、それ以上は……!》
7 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:39:41</a> [s] No.1104583299
このままではスタッガーを起こして致命的な隙が生じてしまう。 それを見逃すほどオールマインドの無人機は甘くない。 《バカな……》 ウォルターが感嘆とも畏怖とも取れるため息を漏らす。 ACの姿勢制御はフリーズしたまま、それでもなお、レイヴンの戦いは止まらなかった。 《無茶をするな、621!》 ウォルターが声を荒らげた。 ACの姿勢制御には登場者を衝撃から保護する機能も含まれている。 この無茶な機動を続けては、ACよりもレイヴンが持たないというのは誰の目にも明らかだろう。 けれどレイヴンは止まらない。私も止めるつもりはない。
8 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:39:59</a> [s] No.1104583402
《621……!》 意を決したようにウォルターも攻勢に出る。そこからは一方的だった。 そうしてザイレム右翼側の敵勢力を掃討し終えた頃、左翼側を掃討したカーラからの通信が入る。 《まさか今更ビジターが戻ってくるとはね。心強い話じゃないか》 《……そうだな》 受け応えるウォルターは内心複雑だろう。 それにレイヴンのACはまだ姿勢制御が回復しない。最後の1機を片付けたあと、膝をついて煙を上げている。 バイタルを見る限り命に別状は無いけれど、内蔵にも損傷が見られる。 《もうすぐチャティがザイレムのシステムをオールブロックする。これで詰みだね》
9 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:40:14</a> [s] No.1104583488
カーラ言葉に目の前が暗くなる。ザイレムを止める事ができなければコーラルの焼失は避けられない。 それはレイヴンの望みも、私の生存も叶わないという事を意味している。 《それで……エアとか言ったか。あんた何者だい?》 《あ……私は……》 思考が止まる。私はどうすればいい? 「ザイレムを、止めてほしい」 私が言い淀んでいると、レイヴンが単刀直入に要求を突きつけた。 ダメだ、それではカーラは動かせない。 《……ビジター、何を言ってるんだい。そいつは笑えないよ》
10 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:40:35</a> [s] No.1104583602
今からでもラムジェットエンジンを破壊して推力を失えば、ザイレムはあっけなく撃墜されるという事は、 当然カーラも承知している筈。けれど、この二人がそれを許すわけがない。 「頼む。このままだと、エアが死んでしまう」 《そりゃそうさ、このルビコンまるごと燃え尽きるんだ。そのエアって子だけじゃない、 あんたも、もちろんあたしもウォルターも、例外無くね》 《カーラ、待ってください。レイヴンはあなたたちの目的をさっき知ったところで……》 違う、そんな事を今更言ったところでどうにかなるわけではない。 彼女達は、目的を達成すれば全てを道連れに自らは死んでも構わないという覚悟で戦いに臨んでいる。 それに対して、ことここに至って殺さないように死なないようにというのは、あまりに無理筋だ。 《もはや計画の修正は不可能です。次善の策として……────》
11 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:40:54</a> [s] No.1104583704
[IF-Unrelease3] 何もできないままオールマインドの増援が到着する。あまりにも時間がない。 しかしザイレムのバスキュラープラント衝突が避けられない今、まだ策があるというのか。 その驚きは、ノイズが混じった音声に上書きされる事になる。 《御託はいいと言ったはずだ。まずてめえを消してやる……──イグアス、何を……》 オールマインドの声が、イグアスの声と混ざり合う。次の瞬間、アサルトアーマーに似た 正体不明のフィールドが展開されると、オールマインドの声に困惑の色が滲んだ。 《耳鳴りも……鬱陶しい声も消えた……。透明だ……気分がいい……──取り込むべきではなかった……》 AIに人間の自我を取り込むというのも意味が分からないけれど、恐らくコーラルリリースに必要だったのだろう。 それが何の因果か主導権を奪われでもしたのだろうか。 そんな事よりも、今は彼らを止める事の方が先決だ。明らかに暴走状態で話の通じる状態ではない。
12 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:41:08</a> [s] No.1104583797
「邪魔を……するな!!」 誰よりも早く動き出したのはレイヴンだった。姿勢制御も再起動していないというのに。 敵機体も詳細が不明な上、ジェネレーターの出力反応からして桁が違う。あまりに無謀だ。 《レイヴン! その機体では……!》 オールマインドの武装はどれも強力で豊富、機動性もレイヴンよりずっと高い。 一撃でも直撃をもらえば脱出の暇も無いほどに大破するだろう。 《よせ621!》《ちっ……援護するよ!》 だというのに、その攻撃はただの一発でもレイヴンを直撃する事は無かった。 むしろメインターゲットではないウォルターとカーラの方が損傷が大きい。 それでも、今のレイヴンをもってしても、オールマインドに対して攻勢に出ることは難しかった。
13 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:41:24</a> [s] No.1104583883
《長引くと不利だ、速攻で決めるよ!》 《了解した》 カーラがタイミングをずらしながらミサイルの斉射を行い、ミサイルの切れ目には ウォルターがコーラルライフルを連射する。 しかしオールマインドは出鱈目な機動性でその殆どを無軌道に回避していく。 その上でなおレイヴンに狙いを絞って攻撃を続けていた。 けれど二人の狙いはそこではなかった。いかに大容量であろうと、ジェネレーターである以上はいずれ尽きる。 そしてそれを誰よりも理解しているのは── 《決めろ、621!》 《やっちまいな、ビジター!》
14 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:41:47</a> [s] No.1104584015
オールマインドがチャージングを起こしたであろうその瞬間、カーラのミサイルが続け様に当たり、 いつの間に撃っていたのかウォルターのコーラルミサイルが直撃した。 その隙を縫ってレイヴンの突き出したブレードがオールマインドの中枢を貫く。 《イラつくぜ……。野良犬に……憧れたんだ……──我々の……計画が……イレギュラー……》 確かにこれまでの任務で幾度もレイヴンに撃破されていたけれど、そこまでの感情を持っていたとは。 けれど今はそんな事を考えている場合ではない。 オールマインドの反応が消滅するのを確認してから、レイヴンのバイタルを確認する。 大丈夫、まだ生きている。死なせはしない。 レイヴンは成すべきことを成した。次は私が成し遂げる番だ。
15 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:42:02</a> [s] No.1104584088
[IF-Unrelease4] 《ウォルター。カーラ。レイヴンを連れて逃げてください》 《逃げるだって? この星ごと燃やし尽くすほどの花火だ。特等席で見ないでどうするんだい》 《……621、付き合わせて済まなかったな》 「ウォルター……ザイレムを……」 《もういい……休め、621。仕事は終わりだ……》 二人はもう仕事を終えたと思っているのだろう。 レイヴンを道連れに、この星の全てを道連れに、達成感と満足感の中で焼かれるつもりなのだろう。 けれどそうはいかない。
16 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:42:21</a> [s] No.1104584198
《……もう一度言います。レイヴンを連れて逃げなさい》 《ったく、今更逃げて何にな……る……》 カーラの言葉を遮るように、衛星砲でザイレムの制御中枢を撃ち抜いた。 《封鎖衛星だと……!? バカな、封鎖機構は既に……》 オールマインドが用意していた次善の策というのはこのことだったのだ。 管理者不在となった封鎖衛星を掌握するのは、そう難しい事ではなかった。 《今のは警告です。次は当てます。逃げなくても当てます》 どこに当てるかなど、分かりきった話。動力ブロックを撃ち抜けばザイレムは墜落する。 そして二人には封鎖衛星をどうにかする手段は無い。
17 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:42:46</a> [s] No.1104584334
《…………参った。降参だ。チャティ、ずらかるよ》《了解した、ボス》 彼らには彼らの使命があり、そのために命を賭けてきた筈だ。 それが成就する目前で全てを覆されたのだ、その徒労感は想像もできない。 《……これで……終わりか》 ウォルターがレイヴンのACのコックピットをこじ開け、レイヴンを救出してくれた。 《621……これほどまで……》 レイヴンのパイロットスーツは自身の吐いた血で赤黒く染まっている。 内臓の損傷も激しく、全身の骨にもヒビが入っているだろう。 こんな状態では指一本動かす事もできない筈だ。だというのに、レイヴンは口を開こうとする。
18 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:43:02</a> [s] No.1104584441
「ウォルター……ごめん……」 《喋るな。お前を死なせはしない》 ウォルターの言葉を聞くと、レイヴンは目を閉じてそれきり動かなくなった。 誰も彼もを巻き込んで心中しようとしていた彼が、今はレイヴンを死なせまいとしている。 いや、元より死なせたくなかったのだろう。 それでもなお、果たさなければならない使命があったというだけで。 《レイヴンの事……くれぐれもお願いします》 《了解した》
19 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:43:27</a> [s] No.1104584587
ウォルターのACにレイヴンが収容されると、すぐさま二人はザイレムを飛び立った。 その事に安堵しながら、ザイレムの動力ブロックに衛星砲を撃ち込んで完全に停止させる。はずだった。 《…………そんな……! まさか、遅かった……?》 間違いなく動力ブロックは破壊し、ラムジェットエンジンは既に停止した。 けれど、その落下軌道ではバスキュラープラントの中枢から逸れるには足りない。 このままルビコンが火の海になるのを見ている事しかできないというのか。 《まだ、終われない……!》 再度衛星砲を撃ち込む。何度でも、ザイレムを完全に撃墜するまで。 けれど封鎖衛星の砲撃はそう何度も連射できるようには作られていない。 このままでは衛星ごと自壊しまうと、発射シーケンス側からの警告が雨のように降り注ぐ。 その一つ一つが刺すような痛みを伴って私への負荷となっていた。
20 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:43:47</a> [s] No.1104584689
だからどうした。こんなガラクタ、今撃たなければ何の意味も無いのだ。 それら警告の全てを無視して、強制的にザイレムへの砲撃を続けた。 肉体を持たない筈なのに、ありもしない体が燃えるように熱いという感覚に気付く。 AIの演算装置や人間の脳も負荷をかけすぎると発熱するというけれど、 コーラルでも似たような事があるのだろうか。 そんな事を気にかけている暇もなく、ただひたすらに強制発射を繰り返す。 まるで悲鳴を上げるかのような警告が、けたたましく私の思考を貫いていく。 手足のように操っていたはずの論理回路がひどく重い。 ザイレムをターゲットしているのは確かなのに、もうどこに当たっているのかもわからない。 でも、それでも。 《私は……あなたと……生きる……!!》
21 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:44:02</a> [s] No.1104584766
やがてザイレムが穴だらけになり、バラバラに砕けて直撃も何も無くなる頃には、 衛星砲も物理的な負荷に耐えきれず、砲身はひしゃげて中枢施設も火災を起こしていた。 私も過負荷のせいか疲労感と眠気が酷い。 もうザイレムは砕け散りどこにも存在しない。ルビコンが火の海になる事もないと確信できる。 《良かっ……た……》 私はそこで意識を手放した。
22 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:44:16</a> [s] No.1104584851
[IF-Epilogue] 「……ァ……エア……!」 レイヴンの声で目が覚める。なるほど、目が覚めるというのはこういう感覚なのか。 《おはようございます。レイヴン》 「エア……生きてる……?」 《はい、眠っていたようです。大仕事を終えたので疲れていたのでしょう》 どうやらレイヴンは病室のベッドの上に居るらしい。 どれだけ時間が経っていたのか、レイヴンの体は殆ど回復していた。 「よかった……生きてた……」
23 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:44:33</a> [s] No.1104584964
レイヴンが安心したのが私にも伝わってくる。 「お、繋がったのかい、良かったじゃないか」 横を見るとカーラの姿があった。惑星ごと心中しようとしていたとは思えない気安さだ。 「でだ、できればこっちで喋ってもらえるとありがたいんだが」 言いながら、ベッドの横のテーブルに携帯端末を置くカーラ。 わざわざセキュリティも何もない端末を用意している辺り、私がどのような存在なのか、 既に察しはついているのだろう。 《ではこちらから失礼します。改めて……はじめまして、シンダー・カーラ》 端末を介して音声を発すると、カーラは画面を見て頷いた。
24 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:45:00</a> [s] No.1104585144
「……なるほど、確かに外部通信も無いね」 《その様子だと、概ね理解しているようですね》 「まぁ憶測だがね。あんた達が3週間も寝てる間、埃を被ってる資料をひっくり返したさ」 《そんなに……ひとまず、レイヴンを助けてくれてありがとうございます》 「礼ならそっちで寝てる男に言ってやんな。手術中も病室に移ってからも、 なかなか離れようとしないもんで大変だったんだ」 カーラが指さした先には、壁際の椅子に座ったまま眠っているウォルターの姿。 《ウォルター……はい、そうします》
25 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:45:19</a> [s] No.1104585250
「もっとも、そいつはまだ半信半疑みたいだけどね……役者も揃ったんだ。起こしてやろうか」 カーラが立ち上がると、シーッと口の前に人差し指を立てるような仕草をしながら笑ってくる。 レイヴンは首をかしげるけれど、カーラが碌なことを考えていないというのは分かる。 カーラはウォルターの肩を揺すると、スッと壁際に下がってウォルターの視界から出た。 「……621! 目を覚ましたのか!」 目が覚めるが早いか、レイヴンの元に駆け寄ると手を広げて抱きしめ……なかった。 正確には抱きしめようとして、カーラの存在に気づいて止まったようだ。 「……よく生き残った、621」 ウォルターは姿勢を正してベッド横の椅子に腰掛けるとレイヴンの頭を撫でた。 抱きしめてもらえるつもりだったのだろう、レイヴンは少し不満そうにしている。
26 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:45:39</a> [s] No.1104585359
そんな様子を見て膝をたたきながら笑いを押し殺しきれていないカーラ。 《趣味が悪いですよ、カーラ》 「何言ってるんだい、こういうドッキリは地球時代からの伝統だろ?」 ドッキリ……なるほどそういうものもあるのか、人間の文化の多様性には驚かされる。 「何だ。別に見られて困ることなど何も無いが。……いや、お前がエアか」 明らかに目が泳いでいるウォルターが、気を取り直してテーブルに置かれた端末に目を向けた。 別に私は端末の中には居るわけではないのだけど、人間としては声のする端末の方を そう認識するものなのだろう。 《はい。コーラル変異波形と呼ばれている存在です》
27 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:46:01</a> [s] No.1104585470
「そうか……」 「ちなみにこの部屋は完全に電波を遮断してあるよ」 「…………そうか……」 ウォルターは腕を組んで考え込み、あらぬ方向に視線を向けては俯いて、 そんな様子をカーラは指さして声を出さないように笑いを堪えていた。 彼はこの人との付き合い方を少し考え直した方がいいのではないだろうか。 《ま、まぁ信じられない気持ちも分かりますので……》 「いや、幻聴扱いしてた事を詫びよう。そして621を支えてくれて感謝する」 何かを飲み込んだような仕草の後、ウォルター深々と頭をさげた。
28 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:46:23</a> [s] No.1104585604
《いえ、私はただレイヴンのために……むしろあなた方とは敵対する立場の筈です》 「ああ、それだけどね、あたしはもう降りたよ。ウォルターもね」 《えっ》 驚くほどあっけなく、カーラはそんな事を言う。 「こうなっちまうとさすがにね、どうもこうも無いさね」 カーラによると、バスキュラープラントが完成した時点で用済みになったアーキバスは、 オールマインドに全ての無人機を掌握されインフラをズタボロに破壊されていたらしい。 いくら強大な戦力を誇ろうとも、それを支えるインフラが無ければ運用する事もできず、 撤退を余儀なくされたのだとか。
29 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:46:36</a> [s] No.1104585685
そして入れ替わりにバスキュラープラントを占拠した解放戦線にも大した戦力は残っておらず、 コーラルを地中に戻す事を選択した。 アーキバスは下手を打ったが我が社なら……などという企業は掃いて捨てても余りあるので いずれまた別の企業が進駐してくるだろうが、今はひとまず小康状態になっている。 「ま、連中もコーラル争奪戦なんざもう懲り懲りなんだろうさ。それよりも、だ。 その間に、あんたには協力してもらわないとね」 《協力、ですか?》 「そりゃそうさ、人類が宇宙に出てから長いが、人類以外で対話可能な知的生命体との初遭遇なんだ。 こいつはデカいシノギになるよ」 《なるほど……地球から版図を広げた人類にとって、私達は異星人なのですね》
30 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:47:02</a> [s] No.1104585830
「そいつを、あんたたちを燃料にするしか能のないバカ共に分からせてやるのさ」 《そんなに上手くいくものでしょうか……?》 「その上手くいく方法ってのを、これから考えるんじゃないか」 《分かりました。レイヴンもいいですよね?》 一も二もなくカーラのノープランに乗ってから、念のためレイヴンにも意見を求める。 「え? あー……うん、いい……と、思う?」 これは……聞いていなかった。そういう顔をしている。確かに途中で難解な話もあったけれど。 しかも言ってからウォルターの顔色を伺っている。
31 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:47:21</a> [s] No.1104585933
「ああ、そうだな。そうできるならそれに越したことはない」 ウォルターはさすがに聞いていたようだけど、その手ではうさぎさん型にリンゴを切っていた。 レイヴンは嬉しそうにしているので、もっと甘やかしてあげてほしい。 「どうした、気の抜けたような言い方をするじゃないか。燃え尽きでもしちまったかい?」 「……かもしれんな。まだ心の整理が付けられずにいるようだ」 《それはカーラの方がおかしいのだと思います》 「おや、言ってくれるじゃないか。否定はしないけどね」 二人の会話を聞いていると、気になってくる事がある。 思えば私もレイヴンも、この二人のことを殆ど知らないのだ。
32 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:47:35</a> [s] No.1104586023
《……今更かもしれないのですが……お二人のこと、聞かせてくれませんか?》 《あー……それはまぁ、あんまり話したくないってのが正直なところなんだが……》 「俺も、知りたい……」 《……いいだろう、お前達には知る権利がある》 そうして全てが終わった今になって、私達はウォルターたちの動機をようやく知る事になった。 ウォルターの出自、カーラと技研の関係、その使命と覚悟の重さ。 そしてレイヴンの前にも似たような境遇の強化人間たちが使い潰されていたこと、 その事をウォルターはずっと気に病んでいるという事まで。 それだけの壮大な遺志が水泡に帰したのだ。ウォルターの様子にも無理は無いだろう。
33 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:47:50</a> [s] No.1104586118
《そんな事があったんですね……》 「俺が、そいつらでも……たぶん、同じ事を……する」 「……そうか」 「でも……俺なら、負けない。……だから、大丈夫」 「っ……! 621……!」 レイヴンを抱きしめるウォルターの表情は伺えないけれど、嗚咽混じりの声が聞こえている。 大丈夫、大丈夫とウォルターの背を撫で続けるレイヴン。 親代わりの人間が犯した罪を背負い、その贖罪のために更に罪を重ね、それも全て背負い込んできた。 そのことだけに全てを捧げて、全てを失った彼に救いがあるとすれば、こういう事なのだろう。
34 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:48:06</a> [s] No.1104586214
《……今度は茶化さないのですね》 「……さすがにそこまで野暮じゃあないさね」 それからしばらく、病室には初老の男の嗚咽が響くことになる。 願わくば彼のこれからの人生は、友人の遺志ではなく彼自身の意思で生きられますように。
35 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:48:19</a> [s] No.1104586284
[IF-After] ウォルターは結局、これまで払ってきた犠牲への贖罪だけは辞める事はなかった。 今では私財を投げ売ってルビコンの情勢安定や慈善事業に奔走している。 その表情は憑き物が落ちたかのように、どこか生き生きとしていた。 その様子を見てレイヴンも協力すると言い、溜め込んだ資金を供出した。 けれどウォルターがその金に1COAMも手を付けていない事を、私は知っている。 「すまない、自由都市の学校建設が大詰めでな。2ヶ月ほど空ける事になる」 「……大丈夫? 護衛、する?」 「心配するな、生活圏はそのような危険な場所ではない」 そんな会話がウォルターと直接話した最後のやりとり。 通信での連絡は適宜行っているので、レイヴンも私も今では心配していない。
36 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:48:34</a> [s] No.1104586373
「しっかしねぇ……ビジター、本当にいいのかい?」 そしてレイヴンは再手術を受けず、傭兵稼業を続けていた。 体内のコーラル除去を行う事で、私との交信が切れてしまうであろう事を避けるためだ。 「うん。再手術は、しない」 直接的な交信ができなくとも、通信機器をハックしてのコミュニケーションを取る事はできる。 それにウォルターは、"仕事"が終わった後のためにと普通の生活を送るための身分を用意していた。 強化人間のままでは、それも使えない。 それでもレイヴンは私と共にある事を選んでくれた。それがたまらなく嬉しい。 《ありがとうございます、レイヴン》 「わかったよ。あんたの選択に口出しはしないさ」
37 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:48:49</a> [s] No.1104586447
「でだ、エア。次の打合せなんだが……」 《えぇ……またですか?》 カーラは事ある毎に工房に籠もっては私を呼びつけて色んな実験に協力させてくる。 コミュニケーションを取れる変異波形がまだ私しか居ないものだから、それは仕方ない。 しかし、彼女の研究意欲は異常で、言われるままにすると何日でも付き合わされてしまうのだ。 「……だめ。……学校を、見に行く。……エアも、一緒」 そんなカーラを制してくれたのはレイヴンだった。 「学校? ああウォルターの……なんだいビジター、そんな事に興味があったのかい」 《良いですね。どうせなら、ウォルターには秘密のまま直接顔を見せて驚かせたい所です》
38 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:49:02</a> [s] No.1104586526
「エアも大概趣味が悪くなってきたんじゃないか?」 《あなたにだけは言われたくないです》 「そいつはごもっとも。ま、戻ったらイの一番に報せてくれればいいさ」 《レイヴン、できるだけ長く滞在しましょうね》 「わかった」 「おいおい、連れない事を言わないどくれよ」 《せっかく生活圏に行くのだから、オシャレもして行きましょうか》 「え……面倒くさい……」
39 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:49:16</a> [s] No.1104586599
《ウォルターも喜びますよ。そういう服を選びます》 「わかった、やる。頼んだ」 少し騙しているような気もするというか、私がレイヴンの色んな姿を見たいのだけれど、 ウォルターが喜ぶというのも嘘ではない筈なので良しとしよう。 「……あたしの事をとやかく言えるのかねぇ」 《何か?》 「何も? まぁ楽しんでおいで。たまには戦いなんて忘れて気晴らしも必要ってもんさ」 「うん。楽しみ」
40 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:49:27</a> [s] No.1104586681
数ヶ月前からは想像もできないほど穏やかな時間が流れている。 こんな時間を過ごしていると、私達の問題が根本的に解決したわけではない、 という事を忘れそうになるほどに幸せな時間。 カーラの考えに賛同して協力はしているけど、まだ具体的な事は何も決まっていない。 いずれまた企業がコーラルに目をつけるまでに、私はどれだけの事ができるだろうか。 けれど何があろうと、私はレイヴンと共にあると誓ったのだ。 「……エア?」 《何でもありません。行きましょう、レイヴン》 私はきっと、あなたと一緒ならこの先どんな事があっても乗り越えられる。
41 <a href="mailto:s">23/09/22(金)18:50:31</a> [s] No.1104587053
ラスト前の通信聞いてからこういうルート欲しいよなぁと思ってたので書いたらえらい長くなってしまった… あと戦闘はアセンぼかしたままだと限度あるしなぁって思ってる内に雑になっちゃったけど許されよ…
42 23/09/22(金)18:51:20 No.1104587322
都合のいいルート良いよね
43 23/09/22(金)18:52:20 No.1104587660
よく書いてくれた
44 23/09/22(金)18:53:37 No.1104588141
都合良く生き延びても良い 二次創作とはそういうものだ
45 23/09/22(金)18:54:22 No.1104588408
都合のいいルート俺は好きだぜ
46 23/09/22(金)18:55:22 No.1104588756
コーラルツゴウノイイルートさんきゅー
47 23/09/22(金)18:56:51 No.1104589335
られる。まで読んだ
48 23/09/22(金)18:58:50 No.1104590052
>られる。まで読んだ 全部読んでんじゃねーか!
49 23/09/22(金)18:58:55 No.1104590089
オーバーシアーは全ルートで必ず死ぬからな… まあ生き残るつもりも無い連中なので仕方ないんだが
50 23/09/22(金)18:59:49 No.1104590413
多分3周目のほとんどの621はあそこからウォルターたちのもとに駆けつけたかったと思うよ
51 23/09/22(金)19:00:40 No.1104590809
>多分3周目のほとんどの621はあそこからウォルターたちのもとに駆けつけたかったと思うよ だから駆けつけさせないようにブロックする必要があったんですね
52 23/09/22(金)19:02:06 No.1104591383
ウォルターもエアちゃんも助けるルートいいよね…
53 23/09/22(金)19:02:25 No.1104591535
ずいぶん長いじゃないの… いいよね
54 23/09/22(金)19:03:04 No.1104591797
この621は美少女でよろしいですね?
55 23/09/22(金)19:03:59 No.1104592197
>>多分3周目のほとんどの621はあそこからウォルターたちのもとに駆けつけたかったと思うよ >だから駆けつけさせないようにブロックする必要があったんですね うんうんオマちゃん殺すね用済み言われたし
56 23/09/22(金)19:04:19 No.1104592335
そうそうこういうのでいいんだよこういうので
57 <a href="mailto:s">23/09/22(金)19:05:18</a> [s] No.1104592730
[おまけ] 「ウォルター」 「む、なぜ621が…………いや、誰だ?」 「!?」 《はぁーーーー……残念です、ウォルター》 「その声は……い、いやしかし、まさか621本当になのか」 「エアの、嘘つき……」 《えっ、これ私が悪い事になるんですか》 「いや待て、俺の知る621はいつもパイロットスーツで……」 「エアが……ウォルターが、喜ぶって……」 《レイヴン落ち着いてください、ウォルターも狼狽えていないで褒めてあげてください》 「そうだ621、落ち着け。よく似合っている」 このあとめちゃくちゃレイヴンを慰めた。
58 <a href="mailto:s">23/09/22(金)19:06:23</a> [s] No.1104593213
>この621は美少女でよろしいですね? はい 普段こんな感じの621が fu2596481.png エアちゃんに教えてもらってすごくがんばったイメージ fu2596483.png をAIに出力してもらったので置いときますね
59 23/09/22(金)19:06:29 No.1104593264
>このあとめちゃくちゃレイヴンを慰めた。 むっ!!!!
60 23/09/22(金)19:07:20 No.1104593612
至れり尽くせりかよ…
61 23/09/22(金)19:08:23 No.1104594079
>fu2596483.png 頑張った621カワイイ…
62 23/09/22(金)19:08:30 No.1104594135
あの わた完璧な傭兵支援機構ことオールマインドの姿かたちが見えないのですが あの
63 23/09/22(金)19:09:59 No.1104594739
>あの >わた完璧な傭兵支援機構ことオールマインドの姿かたちが見えないのですが >あの ちゃんとイグアスと一緒に処されてますよ 安心してください
64 23/09/22(金)19:12:27 No.1104595838
>わた完璧な傭兵支援機構ことオールマインドの姿かたちが見えないのですが オマちゃんとイチャイチャするルートも欲しいけどこのルートでは処される運命…
65 <a href="mailto:s">23/09/22(金)19:14:10</a> [s] No.1104596574
オールマインド周りはちゃんと書くと文量が跳ね上がるのと俺が見たいのは燃え尽きて甘やかしおじいちゃんになっておちょくられてるウォルターなんだよ!という気持ちが勝ってしまって正直すまないとは思っています
66 23/09/22(金)19:15:02 No.1104596943
>あの >わた完璧な傭兵支援機構ことオールマインドの姿かたちが見えないのですが >あの 今日のアプデでも型番被りは手つかずでポンコツ要素補強されてるのどう思う?
67 23/09/22(金)19:15:32 No.1104597171
もしかしていつもコーラルツゴウノイイルートを書いてくれてる「」か ありがとう…ありがとう
68 23/09/22(金)19:16:11 No.1104597454
>オールマインド周りはちゃんと書くと文量が跳ね上がるのと俺が見たいのは燃え尽きて甘やかしおじいちゃんになっておちょくられてるウォルターなんだよ!という気持ちが勝ってしまって正直すまないとは思っています いいんだ 好きなように書いていいんだ
69 23/09/22(金)19:16:14 No.1104597474
>>あの >>わた完璧な傭兵支援機構ことオールマインドの姿かたちが見えないのですが >>あの >今日のアプデでも型番被りは手つかずでポンコツ要素補強されてるのどう思う? 日々忙しいオールマインドさんなのでその様な催事は後回しにしているのでしょうケイト・マークソンです
70 23/09/22(金)19:16:18 No.1104597500
オールマインドにすまないと思う気持ちは不要だ
71 23/09/22(金)19:20:20 No.1104599313
>多分3周目のほとんどの621はあそこからウォルターたちのもとに駆けつけたかったと思うよ 実際強化人間C4-621がウォルターに合流すると裏切る可能性がありました 決して私がカーラに勝てないからではありませんよ
72 23/09/22(金)19:21:04 No.1104599621
だから言ったろってオキーフさんも言ってる
73 23/09/22(金)19:21:28 No.1104599801
>決して私がカーラに勝てないからではありませんよ カーラに勝てないカーラ…というわけだね?
74 23/09/22(金)19:21:39 No.1104599872
>オールマインドにすまないと思う気持ちは不要だ fu2596547.jpg
75 23/09/22(金)19:22:23 No.1104600149
>俺が見たいのは燃え尽きて甘やかしおじいちゃんになっておちょくられてるウォルター わかりすぎてありがたい…
76 23/09/22(金)19:25:52 No.1104601632
このルートだと多分ラスティも生きてるよね?
77 23/09/22(金)19:25:52 No.1104601633
ごす…幸せになれ…
78 23/09/22(金)19:26:02 No.1104601705
オマちゃんは歴代の先輩AI達に申し訳ないと思わないの?
79 23/09/22(金)19:28:03 No.1104602570
この終盤のエアちゃんとカーラの減らず口言い合う感じすごく好きだ
80 23/09/22(金)19:33:38 No.1104604774
>このルートだと多分ラスティも生きてるよね? 何なら火ルート以外は生死確定してないから…
81 23/09/22(金)19:35:06 No.1104605347
街中でやあ戦友!って出て来てくれたら満点だな
82 23/09/22(金)19:35:17 No.1104605415
ラスティ機が撃墜されただけだからな いつエルカノ機に乗り換えて出てくんのかなって思ってた
83 23/09/22(金)19:44:22 No.1104609378
解放者ルートだとレイヴン…あなたと二人ならやあ戦友!って割り込んでくるしリリースルートだと二人で…新たなじだやあ戦友!って割り込んでくるからな
84 23/09/22(金)19:48:21 No.1104610989
>>決して私がカーラに勝てないからではありませんよ >カーラに勝てないカーラ…というわけだね? ボス悪いがその冗談は……ッフ笑えない