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23/09/18(月)00:11:22 日が沈... のスレッド詳細

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23/09/18(月)00:11:22 No.1102944215

日が沈んだ夜。 星がキラキラ輝いて見える空。 窓からそれを見ながら、ブルーは笑っていた。 「うふふ…」 手の中にあるもの。 小さな、銀色のリング。 レッドに今日、贈られたものだ。 「急に呼び出して何かなーって思ってたら、 こんなの渡してくるだなんて」 彼にそんな気の利くところがあったとは。 交際してからしばらく経つが、新たな発見に喜びを覚える。

1 23/09/18(月)00:13:29 No.1102945026

指輪を見つめる。 部屋の照明を反射して、きらりと輝きを放つ。 装飾もないシンプルなリング。 だけど、純朴で飾らない彼らしい。 きっと彼だって悩んだのだろう。 自分にこれを渡そうとした時のレッドの顔。 受け取ってもらえるかという不安を抱えているような、困った顔。 そうなってでも、自分のために用意してくれた。

2 23/09/18(月)00:13:53 No.1102945154

彼は、ブルーのために何かをしてくれる。 ブルーならどうするのか。 何をすれば喜ぶか。 レッドなりに、それを考えて実行してくれている。 それが、ブルーには嬉しかった。 かつて悪事に手を染めた自分。 レッドにも少なからずその被害にあわせていた。 でも、それでも自分を見捨てなかった。

3 23/09/18(月)00:14:15 No.1102945338

優しい彼。 強いけど、失敗したと思って悲しむ繊細な面もある彼。 「そういうところが、好きなのよね」 リングを指で弾いて呟く。 と、リングが予想よりも飛んでしまった。 「あ」 机の隙間に入り込む。 慌ててそこを覗くが、暗くて何も見えなかった。 「やっちゃった…」 どこか他人事のように思う。 自分がやってしまったという実感が薄い。 が、次第に焦りが生まれてくる。

4 23/09/18(月)00:15:06 No.1102945667

このまま取り出せないと。 拾えても、傷がついていたら。 汚れてしまったら。 そう思うと、不安で汗が吹き出してくる。 こんな事態をどうするべきか。 解決できる存在。 それはあの子しかいない。 ボールからメタちゃんを出す。 「お願い。指輪取ってきて」 軽く手を挙げるように身体の一部を変形させて、了解の意思を示してくれた。

5 23/09/18(月)00:15:20 No.1102945793

隙間に入り、しばらく待つとメタちゃんが戻ってきた。 少しホコリにまみれてしまって、汚れた姿になっていた。 「ごめんね、メタちゃん」 指輪が差し出される。 幸い、傷もついておらず先程と同じ輝きを放っていた。 「ありがとう。一緒にお風呂入って綺麗になろうね」 自分も汚れることをわかった上で抱きしめる。 表情は変わらないものの、メタちゃんも身体を変形させて喜びを表している気がした。

6 23/09/18(月)00:15:55 No.1102946027

浴室。 シャワーでメタちゃんの汚れを落とす。 「気持ちいい?」 抱えて聞いてみると、また身体をうねらせる。 手のように伸ばした箇所で、こちらの頬を撫でてきた。 「ちょっと、くすぐったいってー」 口では言うが、実際には嫌がっていない。 長い付き合いでそれがわかっているようでメタちゃんは撫でるのをやめなかった。 と、足に何かが触れた。 ぷりりやピッくん、グランブルだ。 彼女たちもボールから出して一緒に入っていた。 「ごめんね。ぷりりたちも綺麗になろうね」

7 23/09/18(月)00:16:10 No.1102946128

そちらにもシャワーをかけてあげる。 ブラシも使って、毛並みも整える。 もう何度もしてきたこと。 大事な友達との触れ合い。 最初は嫌がる子もいたが、今では喜んでくれている。 「次はカメちゃんたちね」 特に大型の仲間。 浴室に一体ずつ出すのがやっとだが、これも慣れたことだ。

8 23/09/18(月)00:21:44 No.1102948304

みんなを綺麗にすると、自分も汗を流す。 浴室から出て身体を拭くと自室に戻った。 「ん?」 部屋から聞こえる電子音。 入ってみると、ポケギアがその音を立てていた。 開いて、ディスプレイを見ると連絡先の名前。 レッドの名が表示されていた。 「レッド!」 思わず声に出してしまう。 手つきが慌てでコントロールが乱れつつ、通話を開始させることができた。 「もしもし」 「ブルーか。こんな時間にごめんな」 「ううん。好きな人からならいつでもOKよ」 「そ、そっか」

9 23/09/18(月)00:27:29 No.1102950644

照れでどもるレッド。 それに微笑ましくなる。 「顔が見たいし、TV通話にしない?」 「そうだな、じゃあ一回切るよ」 通話が切れると、PCを立ち上げた。 TV通話の準備を整えると、画面にレッドが映り込んだ。 「こんばんは」 「ああ、改めてこんばんは」 上着と帽子を脱いだ黒いシャツの姿。 ラフな格好での彼が見える。 レッドの方はこちらを見て、目を丸めた。

10 23/09/18(月)00:35:21 No.1102953463

「ブルー、風呂上がりだったか?」 「ええ。ちょうど上がったばかりよ」 今の自分は寝巻き姿だ。 髪も乾ききってなくて、こちらもラフではあった。 「ちゃんと美肌効果のあるボディソープも使ったわ。見る?」 胸元のボタンを開けて、肌を見せる。 「い、いや!いいから」 顔を赤くしてレッドから止められた。 「今更なに照れてるの。 アタシの裸だって見たことあるのに」 「そういう場面じゃない時に見せられたらびっくりするって!」

11 23/09/18(月)00:40:12 No.1102955227

慌てるレッドを見ると、可笑しくなる。 好きな人が自分に動揺したり、女として意識していると嬉しくなる。 「レッドのそういうところ、好き」 「え!ああ、ありがとう…」 さらに赤面する顔もまたかわいい。 「改めてありがとうね。アタシに婚約指輪くれて」 「いやペアリングだから!そこまでのつもりはなかったから!」 そうだとは思っていた。 少しは婚約指輪であってほしいと思ってはいたが、彼のことだからそのつもりなら言っていただろう。

12 23/09/18(月)00:45:08 No.1102956855

「じゃあいつかはお願いね?婚約指輪」 「…うん。そのうち」 約束してくれたなら、本当にしてくれるだろう。 「レッドって優しいね」 「どうした?突然」 疑問符を浮かべるレッドに笑いかける。 「さっき思ってたの。アタシに色々してくれるレッドって優しいなって」 「そんな特別なことでもないんじゃないか?」 当たり前のように言う。

13 23/09/18(月)00:49:09 No.1102958118

「ううん。アタシのために何かしてくれたり、アタシが何したら喜ぶか悩んでくれる。 そんなレッドが優しいなって」 「ブルーだってそうだろ?」 また、当然のように言われる。 「ブルーだってさ、ポケモンたちに優しくするだろ? こういうことしたら喜ぶってわかったりさ。 オレにもそういうことしてくれるからブルーだって優しいよ」 「…そうかな」

14 23/09/18(月)00:52:30 No.1102959203

自分が優しい子。 そんなことを言ってくれるのは、両親や弟を除けば彼が初めてだ。 「そういう優しいところがあるから、オレもブルーのこと好きになったのかな」 「…!」 予想外のタイミング。 彼からそんなことを言われるとは思ってもみなかった。 ストレートな好意の言葉。 彼らしいけど、ここで言うのは彼らしくないかもしれなかった。 でも、嬉しい。 羞恥で赤くなりながらもそう思ってしまう。

15 23/09/18(月)00:58:21 No.1102961105

「…ありがとう」 「おう」 悪戯が成功した子供のような笑顔。 手綱を握っているつもりが、彼のペースに乱される。 「レッドにやられるなんてね…」 「オレだってたまにはな。ブルーならこのタイミングで言ったらいいって思ってたし」 嬉しそうに語るレッド。 彼を見ると、胸が熱くなる。 やっぱり、彼が好き。 彼に愛されてよかった。

16 23/09/18(月)01:01:48 No.1102962196

「っと、もう遅いしそろそろ切るよ」 「もう?」 「ああ、指輪のことが気になって連絡しただけだから。 気に入ってくれたみたいで安心したよ」 「アタシはまだまだ話したいんだけど?」 口を尖らすが、レッドは笑う。 「たはは、オレもそうだけどこのまま話し続けると切り時わからずに夜更かししそうだしさ。 話したいことは明日言おうぜ」 「確かにそうね…」

17 23/09/18(月)01:05:12 No.1102963293

付き合いたての頃はそうして何度も何度も長電話になってしまった。 楽しかったが、次の日は寝不足で辛かったのも事実だ。 「じゃあまた明日ね」 「ああ。おやすみ」 通話を切り、PCの電源も落とした。 後には静寂。 いつもと同じの自分の部屋。

18 23/09/18(月)01:07:35 No.1102964022

「明日、楽しみ」 リングを指に通す。 右手の薬指。 左手にしたいのは山々だが、そっちは我慢した。 いつかの日に。 自分が、彼と家族になる日まで。 そうなる日を楽しみにしながら、ブルーはリングを撫でた。

19 23/09/18(月)01:07:53 No.1102964096

以上です 閲覧ありがとうございました

20 23/09/18(月)01:11:56 No.1102965317

今回は早めに終わりました 思いつくままに書いてたら渋でのレブル初投稿作と被りかけてたので軌道修正しました

21 23/09/18(月)01:12:13 No.1102965404

この数年後に左手中指へお揃いの指輪をする事になるんだよね

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