ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
23/09/15(金)20:06:12 No.1102018987
担当の子が引退し、成人する程に時が経ってもまだ繋がりを持てているというのは幸せなことなのだと思う。 「ふふ……今日は貴重な時間をありがとう。至福のひと時だったよ」 「気に入ってくれたなら良かったよ……でも君に貴重な時間って言われると恐縮だな」 「あら。凱旋門連覇の肩書きは私のそれに比肩し得ると思うのだけれど?」 「……ははっ」 ファインを助手席に乗せて車でお出かけ。SP隊は変装して他の車両に乗って前後左右を護送。ファインの身分を考えれば恐ろしいくらいに信頼されていると思う。何となくバ郡の中で包囲されているような気分でもある。
1 23/09/15(金)20:06:36 No.1102019180
「……あ! トレーナー!」 「ん!」 走行中、ファインが目をキラキラさせて窓の外を指差した。その先には── 「凄いね! 日本にもお城があるんだ!……ねえ、この後もう少しだけあなたの時間を下さる?」 「そのもう少しがどれくらいによるかな」 お城みたいなホテル。 決してファインのような身分の御方が行く場所ではない。しかし一度好奇心を刺激された彼女を説得するのは容易ではない。更に全部左右を挟むSP隊の車両がお城のようなホテルへの進路を取り出そうとしている。 説得の時間は、十秒もない。 俺は──
2 23/09/15(金)20:06:50 No.1102019276
「──着いたよ」 ──じゃあ、俺の城に案内するから。 その一言で、危うく王女殿下と二人でお城のようなホテルに入店する事態は免れた。 その代わりに訪れた場所、それが今目の前にある我が家である。 「一国一城の主っていうから。あのお城に比べたら小さいけど」 凱旋門を制覇してから、何かにつけてファインの実家から祝いの品が贈呈されるようになった。高級な食品やアクセサリー、スーツや食器に留まらず、次第には家具といった置き場に困る物まで。 連覇してからはついに俺のトレーナー寮の部屋が埋まった。かと言って返品なんて以ての外で、凱旋門連覇の影響で様々な講演会や役職に着かされて収入が増えたのもあり、引っ越しを決意したのだ。
3 23/09/15(金)20:07:06 No.1102019383
「……」 ファインは何も言わない。ちょっとガッカリさせてしまったのかもしれない。 「……そんなことありません。お招き抱き光栄です」 「……え?」 しかし予想に反してファインは頬を紅潮させ、瞳を潤ませ、スカートの端を摘みながら一礼した。何がここまで彼女の心を揺さぶったのか。SP隊長に話を聞いてみたい。 「……」 「あ」 振り向けば、近くの電柱の影に潜みながらグッと親指を立てるSP隊長。 よく考えてみれば、俺は、お城のようなホテルへの誘いを断って、ファインを、自宅へと招いている。
4 23/09/15(金)20:07:42 No.1102019623
「素敵な一夜を期待しても?」 「……はは!……勿論!」 俺は、深呼吸をしながら、自宅のドアに手をかけた。
5 23/09/15(金)20:08:47 No.1102020099
そういう日もある
6 23/09/15(金)20:10:08 No.1102020681
それ以上いけない
7 23/09/15(金)20:10:28 No.1102020827
トレーナー白目剥いてそう