ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
23/08/08(火)01:45:08 No.1087743727
不思議な機械が見つかった、とヴェリタスから連絡を受けた先生と興味本位で同行したゲーム開発部 未知の素材でできた球状のロボットのようなそれにアリスが接触した途端、彼女の様子がおかしくなった まるで電池の切れたロボット、あるいは、通信待機中のコンソールのように、ぴたりとその動きを止めたのだ そして、アリスはゆっくりと目を閉じ、再び開く 「あ、アリスちゃん……?」 「あれっ先生、私のゲームに入ってたデータ無くなってるじゃん!?」 明らかに雰囲気が変わった"彼女"に、困惑するもの、警戒するもの、怯えるもの、三者三様の反応を見せる 自分に対して悲鳴のように投げかけられた言葉に対して反応するため、ようやく口が開かれる 「『アリス』は、貴女たちが勝手に名付けた不要な名称です。王女に、そのようなものは必要ありません」 「アリスちゃんじゃ、ない……?」
1 23/08/08(火)01:45:19 No.1087743746
「私の個体名は鍵[Key]。王女を導く修行者にして、彼女を玉座へと、みち、び…………」 しかし、その無機質な言葉の羅列はすぐにノイズが走るように途切れ、やがて彼女、Keyは苦悶の表情を浮かべ、その足を一歩踏み出した 一歩、また一歩、ふらりふらりと向かう先は、この場で最も無力な存在。先生の方向だった 「っ……だめ、先生下がって!!」 「お姉ちゃん!」 「分かってるよ!」 "…………" その場の全員が先生を各々保護する用意を整える しかし、当の本人は、その真逆の行動をとった 「せ、先生!前に出たら危ない!」
2 23/08/08(火)01:45:35 No.1087743799
"……大丈夫、私を信じて" ぺた、ぺたと、前に手を伸ばし、おぼつかない足取りでKeyは必死に歩き続ける そうして、しゃがみこんで待っていた先生の前に到達する 「ま……」 「「ま?」」 「ママ……」 「────────!?」 そのまま手のひらが豊満な胸部に触れるか触れないかというところで、先生が彼女を捕まえひしと抱きしめる 何も言わずに大きな手が少女の背中を撫で、何も言えぬ小さな手が薄青のシャツをきゅっと握りしめた
3 23/08/08(火)01:45:52 No.1087743847
「わた、わたし、は、おうじょの、かぎで、でっ、でも、しらない、おかあさんなんて、でもっ……」 "……大丈夫、大丈夫だよ" 「……何が起こってるの?」 「アリスちゃんの赤ちゃんプレイが移ったんじゃない?」 「こんなのっ、ひくっ、ひつよう、ないはずなのにっ、なんでっ、くすっ、こんなにっ……」 "お母さんが恋しい気持ちに、理由なんていらないんだよ" "子供はみんな、お母さんが大好きでいいんだよ" 「────ぅ、あ、あああぁーーーっ……うあーーーーーーーー……」 強制的に責務を果たすために起動された補助人格ユニット、Key しかしアリスのあまりの母(偽)恋しさに内部で暴れてしまい強制的にそのログを読み込まされてしまった 結果、類似人格だったKeyの記憶領域に定着し、存在しない記憶と感情に彼女は振り回されてしまうことになった
4 23/08/08(火)01:46:08 No.1087743890
最も、そんなことは当人含めて誰一人知るよしのない実態である そして今、その理解できない感情に泣くことで折り合いをつけた少女は…… 「ままぁ❤私もおっぱいが飲みたいです❤」 "ちょっと待っててね……よっと" 「先生、もうちょっとこっち向いてください」 「ミドリ……鼻血タブレットに垂れるよ……?」 ヴェリタスの部員も見守る中で躊躇いなくジャケットとシャツをはだけ、フロントホックを外して誰もが息を呑むサイズの乳を放り出す 部室の端っこに除けるだけの恥じらいはあるが、赤ちゃん返りしたKeyにそんなものはなく、ちゅうちゅうとミルクの出ない乳首にしゃぶりついている 「んーーー❤んま、んま❤」 "ほーらいっぱい飲めて偉いでちゅねー……えーっと、キーちゃん?" 「え、ケイじゃないのその子。データにもそう書いてあったし」 「いやどう見ても英語のkeyだったじゃん。お姉ちゃん本当にミレニアムの試験受かったの?」
5 23/08/08(火)01:46:27 No.1087743951
"でもそっちの方が名前っぽくていいね。ほーらケイちゃんいっぱい飲んで大きくなろうねえ~" 「あー❤あー……あ、う」 アリスと同じ屈託のない笑顔も初登場時のシリアス顔との落差で輝いて見える、と言おうとしたところで、Key、改めケイが頭を抱えて苦しみ出した また何かウイルスに感染したのかと部室内の空気が張りつめたのもつかの間、すぐにその緊張感は鶴の一声で解かれる 「うわーーーーん!!!!!ケイ!!アリスのママを取らないでください!!!!」 「この喋り方は間違いなくアリスちゃんだ!」 「えぇ……先生欲しさに主導権取り返したってこと……?」 「ママ!勝手にウワキするなんて児童虐tあイd──── 「……王女は今まで散々構ってもらったでしょう!この場くらいかわいい従者に譲っt%hq"x──── "こら!一つの体を二人で取り合うんじゃありません!二人とも壊れちゃうでしょう!"
6 23/08/08(火)01:47:01 No.1087744055
「…………はい、ごめんなさいケイ」 「お、王女が謝らなくても……すみませんでした」 母は強し。一喝で駄々をこねる子供たちを黙らせる かくして、母の腕の中で繰り広げられる喧嘩は収束を見せた "はい、みんな仲良くできて偉いでちゅね~" 「ままー、私にもそれかしてくださいー」 "はーい……え?" 「えっ、い、いつの間に……!?」 ひょいと手元からアリス/ケイが取り上げられ、全員があっけに取られる そこにいたのはロンスカメイド姿にブロンドの髪をお団子でまとめた、無表情な少女だった
7 23/08/08(火)01:47:34 No.1087744141
彼女は完全にフリーズしたアリス/ケイを抱えたまま、小さく一礼をして話し始めた 「C&C、コールサイン04、飛鳥馬トキと申します。以後お見知りおきを」 "C&Cにベビーシッターの依頼は出してないんだけど……" 「はい、ですからこれはリオ会長のご指示です。アリスさんを丁重にお連れしろと」 「えっ!?あのビッグシスターが!?」 「最近学校で見かけてなかったけど、なんでアリスちゃんを……」 挨拶だけ済ませた彼女は、驚くべき俊敏さで気が付けばヴェリタスの部室出口の縁に脚をかけている 先生も身のこなしには自身のある方ではあったが、流石に上半身丸出しで即行動できるほど羞恥を捨ててはいない 部室内を一瞥し、そのままどこかへと去ろうとするトキ その目が、何かを見とがめ一瞬だけ大きく開いた
8 23/08/08(火)01:47:50 No.1087744185
ドォオオオオオオン!!! 「うわっ、何!爆発!?」 「そんな……さっきまで起動する気配も見せなかったあのロボットが……」 ヴェリタスが確保したという球状ロボット、それが明らかに敵意を持って武装をトキに向けていた 死角からにも関わらず初劇を見切った彼女だったが、その隙を突いてケイが胸元に蹴りをいれる ごろごろと受け身を取った少女は、自身の体を抱きながらゆっくりと立ち上がり、憎悪と殺意のこもった視線をメイドに向ける 「……汚い手で、王女に……、私たちのママに触らないで……!!!」 「増援……一体どこから……」 「行け……!」 主の一言で集結した尖兵が一斉にトキを襲う その攻撃には躊躇も容赦もなく、ヴェリタス部室前を無差別に破壊対象に入れて滅茶苦茶に火器を発射する
9 23/08/08(火)01:48:19 No.1087744268
"ケイ!やめて!" 「会長……────了解、離脱します。先生、ではまた今度お会いいたしましょう」 "トキも……!" 狼藉者は去り、部室は残骸と化し、その場に居合わせた会計は幼児退行と、散々たる有様 そして、人的被害も 「お姉ちゃん……お姉ちゃん……!」 「お、起きない……どうしよう……」 "とにかく保健室に連れて行って。頭はなるべく揺らさないように。ヴェリタスは部室の復旧を、ユウカはしゃんと立って!" 「……あ、ああ」
10 23/08/08(火)01:48:36 No.1087744312
お母さんを、困らせてしまった やっと、あえたのに 建物を、大切な友人を、こんな…… 『だって、それが貴女の作られた役割でしょう?』 本来の、"自分"の声 いくらノイズデータにうずめても、目を逸らせない、自分の存在理由 ならば──── "ケイ……!怪我はない?"
11 23/08/08(火)01:48:53 [おしまい] No.1087744369
「…………名前は、存在の本質を乱します」 "ケイ……?" 「いいえ、私は『Key』。王女を導く修行者にして、彼女を玉座へ導く鍵。それ以上でも、以下でもありません」 こうして、ようやく目覚めた赤子は、再び役割という子宮に戻っていく その後なんやかんやあり連れていかれたアリスを追い一行は要塞都市エリドゥに そこで生徒を蔑ろにしようとするリオ一派にキレた先生が全員骨抜きにしてアリスを奪還するのは、また別の話
12 23/08/08(火)01:50:55 No.1087744719
怪文書ならスレ画にメモ帳でもくっつけとくとええよ
13 23/08/08(火)01:58:59 No.1087746154
この後また皆の仲間になるんだよね…
14 23/08/08(火)02:26:57 No.1087750469
高解像化助かる
15 23/08/08(火)03:13:45 No.1087755606
トキもリオもあんなことになるなんて思ってなかったよ…
16 23/08/08(火)06:19:01 No.1087763549
おっぱいがつよすぎる…