虹裏img歴史資料館

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23/07/24(月)00:04:52 暑い。 ... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1690124692858.jpg 23/07/24(月)00:04:52 No.1082082364

暑い。 最近は猛暑続きだ。 木陰で太陽の光から身を隠して、レッドは一息ついていた。 まだ11歳の子供の身には辛すぎる。 「うえ、温くなってる」 ここに来る前に買ったペットボトルのソーダから冷たさが失われていた。 その上、キャップを開けると中身が吹き出てきてボトルを持つ手が濡れた。 ベトベトになった手につい顔を顰める。

1 23/07/24(月)00:05:07 No.1082082486

ボールからニョロを出して、水を出して洗ってもらう。 出たばかりの水の冷たさが気持ちいい。 「ありがとな、ニョロ」 ハンカチで手を拭き、ボールにニョロを戻す。 そこで思いつく。 「どっかで水浴びとかいいかもな。 いっそ海水浴でも行くか?」 夏だし、それもいいかもしれない。 海の冷たさはこの身体を冷やしてくれるだろう。 決して、水着の女の子が見たいわけではない。 「いややっぱり見たいなー」 自分の気持ちに嘘はつけなかった。

2 23/07/24(月)00:06:14 No.1082082954

近くの海水浴場を調べて、そこへと向かう。 「頼んだ、プテ!」 ボールから出したプテに肩を掴まれ、空へと運ばれる。 「暑っ!暑い!」 日差しの強さから悲鳴を上げて、すぐに降りた。 また元いた日陰に避難する。 「ごめんなー、プテにも暑い思いさせて」 すぐにボールに戻す。 代わりに自転車を取り出した。 「これもあんまりやりたくなかったけどなー。 仕方ないか」 道路に出たら日陰もなく、暑さにしばらく苦しむことになるだろう。 でもそうするしかないと覚悟を決めてレッドは木陰から出た。

3 23/07/24(月)00:06:38 No.1082083146

「やっと着いた…」 苦労して海水浴場にたどり着いた。 手早く水着に着替え、一目散に海に飛び込む。 「あー、生き返る」 まるで熱い風呂に入ったような台詞が口から出る。 熱った身体が冷えてくる。 海の水の冷たさに癒される。 落ち着いてきたので、砂浜に目を向ける。 自分以外にも、当然ながら利用客はいる。

4 23/07/24(月)00:07:01 No.1082083313

大人も子供もいる。 中には自分と同じくらいの歳の子もいた。 「あ、あの子かわいいかも」 その同い年と思われる子に目を奪われる。 チラシを抱えて、他の人たちに配っている。 どうやら遊びではなく、働いているようだ。 「まだオレとそう変わらないのに、働いてるなて偉いなー」 言ってから、既視感を覚えた。 どこかでそんな感想を言った気がする。 思い出そうと頭を捻る。 と、思い浮かぶことがあった。

5 23/07/24(月)00:07:24 No.1082083471

同時にとある人が思い出される。 そう考えてみれば、あの働いている少女もひょっとしたらと思ってしまう。 海から出て、彼女に近づく。 姿がよく見えるようになると、疑問が確信へと変わっていった。 「よ、ブルー」 「え、レッド?」 驚き、彼女が振り向く。 「レッド、なんでここに?」 「単に暑いから寄っただけだよ。 ブルーこそここで働いてるのか?」 「ええ。短期のバイトでね。 そこに海の家ができたから宣伝してるの。 レッドもよかったら寄ってね」

6 23/07/24(月)00:08:14 No.1082083897

ブルーがチラシを差し出してくる。 海の家に関しての写真や、メニューが記されていた。 「いいよなー海の家。 ラーメン食ったりかき氷食ったりして」 「食べてばっかりじゃない」 「海の家ってそういうところだろ?」 「そうだけどね。じゃ、後で来てね」 ブルーが会話を打ち切り、チラシ配りに戻った。 仕事の邪魔をしたら悪いかと思い、レッドはその場を離れた。

7 23/07/24(月)00:16:27 No.1082087368

手持ちのみんなも、他の利用客の邪魔にならないように気をつけながら出す。 ギャラの上に乗って、海に向かわせる。 久しぶりに広い海で泳げて、ギャラも嬉しそうだ。 なみのりしながらピカも続く。 ニョロも泳いで追いついてきた。 海を楽しめるメンバーで、ひとしきり泳ぎ回る。

8 23/07/24(月)00:22:19 No.1082089797

そこからブルーの様子を見る。 見たところ、真面目に働いているようだ。 「あのブルーがなぁ…」 出会った頃は、彼女から金を騙し取られていた。 その後も、何度もいいように利用されていた。 だけど、今は真面目に働いている。 懸命に汗を流しながら、雇われた店のために。 オーキド博士に悪いことはしないと約束した。 それをきちんと守っている。 そこにレッドは嬉しくなった。

9 23/07/24(月)00:32:30 No.1082093660

彼女の姿を見る。 シャツとミニスカートという軽装。 いつもの黒いワンピースではない衣装。 健康的な生足についドキリとする。 水着でないのが残念、と思ってしまう。 優れた容姿を持つ彼女。 何をしても、何を着ても見惚れてしまう。 以前酷い目に合わせてきたとしても。

10 23/07/24(月)00:39:55 No.1082096155

「おわぁっ!?」 そんなことを考えていると、バランスを崩してしまった。 立て直そうとするが間に合わず、海に落ちる。 「ぷはっ!」 海から顔を出して、一息つく。 ニョロたちから呆れたような目を向けられた。

11 23/07/24(月)00:51:12 No.1082100193

昼食時になり、約束通り海の家に行く。 できたばかりの、綺麗な木造の店だ。 「いらっしゃいませー! 一名様ですか?」 エプロン姿のブルーに出迎えられる。 「うん。それで」 「ではこちらの席にどうぞー」 席に通される。 「ご注文はお決まりですか?」 「じゃあ醤油ラーメンで」 「かしこまりましたー」 注文を聞くと、ブルーが軽やかな足取りで去っていった。

12 23/07/24(月)00:59:10 No.1082102709

「お待たせしましたー」 しばらく待って、ラーメンが届いた。 「いただきまーす」 早速食べ始める。 インスタント麺と思われるが、いいものを使ってるようだ。 海で泳ぎ、疲れた身にはこれくらいのラーメンが合う。 食べながら、またブルーを見る。 彼女が動くたび、スカートがひらひらと揺れる。

13 23/07/24(月)01:04:00 No.1082104160

つい、その姿を目で追ってしまう。 他の女性店員は短パンなので、余計に気になる。 「あの子、君の友達?」 と、声をかけられた。 振り向くと、男性がいた。 チラシで見た人物。 確か、この海の家の店長だ。 「あ、はい」 素直に返答する。 少なくとも、レッドは自分たちをそうだと思っていた。

14 23/07/24(月)01:09:18 No.1082105824

「彼女、すごく真面目に働いていてね。 率先して仕事やろうとして。 今時あんないい子がいるなんてびっくりだよ」 「たはは、ありがとうございます」 あれだけ悪いことをした少女。 だけど今は真逆の評価。 自分もそう思う。 「じゃあごゆっくり。 あの子と仲良くね」 肩を軽く叩かれ、店長は去っていった。

15 23/07/24(月)01:13:54 No.1082107181

「多分仲良くしてるつもりだけどな」 どういう意図か分からず、レッドは食事を再開した。 「げほっげほっ!」 慌てて麺を啜ったせいで、むせかえることになった。

16 23/07/24(月)01:16:19 No.1082107855

食事を終えて、海水浴を再開する。 まだまだ海から去りたくない。 なぜかレッドはそう思った。 海でまだ涼みたいからか。 それともブルーに未練があるのか。 レッドにはわからなかった。

17 23/07/24(月)01:19:59 No.1082108848

「レッド」 「うわぁ!」 背後から呼びかけられ、またギャラから落ちそうになった。 ブルーに抱き止められ、そうはならずに済んだ。 「ごめんごめん。 びっくりさせるつもりはあったんだけど」 「あったのかよ!」 オホホと笑ってブルーは流した。 「海の家はいいのか?」 「休憩よ。 それにレッドにお礼言いたくて」

18 23/07/24(月)01:23:01 No.1082109670

言うと、ブルーはシャツとスカートを脱いだ。 「うわぁ!」 驚くが、露わになったのは水着姿だった。 「さっきから下に着てたの。 ちょっとの間だけど一緒に遊んであげる」 「う、うん」 黒のビキニ。 同年代と思えないほどの起伏に富んだプロポーション。 そんな姿のブルーを見て、レッドは緊張してしまった。

19 23/07/24(月)01:25:57 No.1082110441

「さっきからアタシのかっこチラチラ見てたもんねー。 水着姿のアタシと一緒なら嬉しいでしょ?」 「な…!」 バレていた。 その衝撃を受けて驚くレッドの腕を引っ張り、ブルーに海に引きずりこまれた。 「ぶはっ!」 「レッドったらどんくさーい」 「やったな!この!」 ムキになって水をかける。 ブルーからもやりかえさせる。 しばし、2人でそうしていた。 この時だけは、友人のように。

20 23/07/24(月)01:26:29 No.1082110581

以上です 閲覧ありがとうございました

21 23/07/24(月)01:27:43 No.1082110914

久しぶりに一章後くらいのレブルです たまにはこの辺りのも書きたくなる

22 23/07/24(月)01:29:06 No.1082111258

>久しぶりに一章後くらいのレブルです >たまにはこの辺りのも書きたくなる 弱いとこ晒し合った上での信頼もいいけど表向きしか分からなくて信頼し切れない距離感もいいよね

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