23/07/03(月)23:19:23 「一着... のスレッド詳細
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23/07/03(月)23:19:23 No.1074600271
「一着はワンダーアキュート!未だに衰えが見えません!」 ダートの砂を照り返す太陽が輝く競馬場。激戦を制した担当を迎えるためにパドックへ駆け出す。 その瞬間、視界の端に映る大量のグッズを身にまとった人影。この暑さだというのにマスクとサングラスで顔を完全に隠し、両手にうちわ、肩にはタオル、所持品のいたる所にキーホルダーやバッジなどを着けている。 彼……なのか彼女なのかも分からない熱心なファンの存在に気がついたのは先月のことだ。それ以来レース場で毎回必ず見るので、もしかしたらずっと前から応援してくれている人なのかもしれない。 別にウマ娘にあのような熱心なファンがつくことは珍しくない。むしろURAではそういったファンへ向けた商品展開も多い。以前担当していた"世紀末覇王"テイエムオペラオーなどはまさにその典型で、おおよそ8時間にも及ぶオリジナルオペラのBlu-rayを発売していたくらいである。それもかなり売れたらしいから驚きだ。
1 23/07/03(月)23:19:55 No.1074600485
しかし1ヶ月前から気になっているあのファンが持っているグッズはワンダーアキュートのものでも、彼女のライバルであるホッコータルマエやコパノリッキーのものでも、ましてやテイエムオペラオーのものでもない。あろうことかトレーナーであるはずの俺のグッズなのだ。 両手のうちわには間違いなく俺の名前が記されているし、タオルには俺の似顔絵のようなものが描かれているし、キーホルダーやバッジには俺の写真が使われている。 当然URAでそんなものが売られていると聞いたことはないし許可したこともない。となればおそらく非公式で作られたものか、自作だろう。 何があの人をそこまで駆り立てるのだろう。レースの開催場所だって毎回かなりの距離を移動しているはずなのに、大体スタンド前方の、こちらがよく見える場所に居るのだ。怪異に魅入られたと思ってしまうほどの熱意である。
2 23/07/03(月)23:20:16 No.1074600631
「おつかれ、アキュート。今日もいいレースだったな」 「ありがとうねぇ。トレーナーさんのおかげよぉ。……おや? 何か気になるのかい?」 「ん?……あぁいや別に。ただ、熱心なファンの人がいるなぁと思って見てただけだよ」 「ふーん……あれま。オペラオーちゃんじゃない。今日は舞台と被って来れるか分からないって言ってたのに。来てくれたのねぇ」 「へ? オペラオー?」 なんと、彼女がこの会場に来ているというのだろうか。慌てて観客席を見渡すが、どこにいるのか見当もつかない。 「ほら、あそこにいるじゃない。トレーナーさんの応援うちわまで持って」 「俺のうちわ……?まさか……」 いや、そんなわけはないだろう。もしあの人がテイエムオペラオーだとしたら色々とおかしい。いや、元々おかしなウマ娘ではあったのだが、それにしたって…… しかし、そんな俺の困惑はグッズに身を包んだその全身には不釣り合いの見覚えのある王冠によってさらに深まることになる。……ということは、謎のファンの正体は彼女だったというのか。 「せっかくだし、インタビューが終わったら挨拶しに行きましょうか」 「あ、あぁ……そうだね」
3 23/07/03(月)23:20:34 No.1074600759
……⏰ 正直、インタビューに答えている間も気が気でなかった。オペラオーは俺がインタビューを受けている間、どこから取り出したのか高そうな一眼レフカメラで何枚も俺の写真を撮っていたのだ。全く持って混乱するばかりである。 そんな落ち着かないインタビューを終え、アキュートのウイニングライブを見届け、彼女と合流してから会場で彼女を探す。遠目に見ても真夏に似合わぬ重装備であったので見つけるのは簡単だった。 「オペラオーちゃん、今日は来てくれてありがとねぇ」 「あぁ、どうもアキュートさん…………」 「オペラオー、どうしてそんな格好を……?」 「なっ!? こ、これはそのぉ……だね……」 「オペラオーちゃん、優しいのよぉ。トレーナーさんの応援をしたいからレースの予定を教えてって連絡してくれて」 「アキュートさん! それは言わない約束では……」 うろたえるオペラオーの顔はマスク越しでもわかるほどに赤くなっていた。彼女のそんな顔を見るのは商店街の福引で当てた温泉旅行以来だろうか。
4 23/07/03(月)23:20:55 No.1074600902
「あれ? そうじゃったかの? でもまぁ、いいじゃない。こんなにトレーナーさんのことを応援してくれてるのに、会わないままなんて寂しいわよぉ」 「そうだぞ。来てくれてるなら一言言ってくれれば……」 「……だって」 オペラオーはマスクを外して息を吸った。久しぶりに見る彼女はあの頃よりも大人になっていた。 「だって君からは1度だって会いに来てくれなかったじゃないか」 「……合わせる顔がないって思ってたんだ。君はすごいウマ娘だったけど、それに対して俺は……」 「そんな事ないわよぉ。だってトレーナーさんはあたしをこんなに強くしてくれたんだし……それに、オペラオーちゃんも」 「君には胸を張って会いに行きたかったんだ」 「分かっているよ。だからボクも君を待つつもりだったさ」 「でも、我慢できなくなっちゃったのよねぇ」 オペラオーは小さく微笑んで、カバンに付けられたバッジを指で優しくなぞった。いつもの高笑いではなく、ただじっと笑みを浮かべていた。
5 23/07/03(月)23:21:21 No.1074601079
「仕方がないじゃないか。ボクの元を離れた君があまりにも……あの頃よりもさらに輝いて見えたのだから」 「そのグッズも、君が?」 「あぁ。デジタル君に教えを受けてね。これでもほんの一部だよ。君はどこを切り取っても画になるからね!今日もまた写真が増えたことだし、作らせてもらうよ」 「まぁ……嬉しいんだが……なんか複雑だな。オペラオーってそんなキャラだったっけ?」 元々極度のナルシストではあったのだが、その矢印が外に……ましてや自分に向けられているとなると、なんとも恥ずかしいような気がする。 「デジタル君いわく"拗らせオタク"というやつらしい。どういう意味かはよく分からないが、多分このボクに相応しい称号なのは間違いないね!」 「オペラオーちゃん、あんまり大きな声を出すとまたバレて騒ぎになっちゃうわよぉ」 「おっとこれは失礼。今やボクは世界を股にかける、大大大スタァだからね」 どうも、先程からのアキュートとの会話を聞くに彼女たちは何度も会っているようだ。
6 23/07/03(月)23:21:43 No.1074601233
「しかし、舞台も忙しいだろうに。あんまり無理はしないでくれよ」 「無理なんてしてないさ! むしろ君の出るレースのために…………ん"ん"っ! とにかく、心配は無用だよ。それと、これを君たちに渡しておこう」 彼女が俺たちに差し出したのはオペラのチケット。たしか彼女の出る公演はプレミアになっていたはずだ。 「いいのか? もらっても」 「何言ってるのトレーナーさん。今度はあたし達がオペラオーちゃんの応援をしなきゃじゃない」 「いつ来ようが大歓迎さ! ハンカチをたっぷりと用意してから来るといい」 胸を張って自慢げに言う彼女は、あの頃のように輝いていた。そう。テイエムオペラオーの美点の1つは、そのふてぶてしい程の自信なのだ。 「ありがとう。今度時間を作って絶対に観に行くよ」 「うむ。おっと、もうこんな時間だ!急いで写真をプリントしてから舞台に向かわねば!それではアキュートさん、トレーナー君、また会おう!」 彼女は持っていたグッズを手際よくバッグに詰め込むと、太陽の沈む方向へ向かって走り出した。格好こそ違えど、そのフォームはあの頃のままだった。
7 23/07/03(月)23:22:01 No.1074601357
「やっぱり美しいよなぁ、オペラオーは」 「トレーナーさん、今度は直接そう言ってあげて。なんだかんだ、オペラオーちゃん寂しそうだったから」 チケットに記された彼女の公演日を確認すると手帳のカレンダーに大きな王冠を書き込み、必ずその日は予定を空けることを決めたのだった。
8 23/07/03(月)23:23:05 No.1074601819
限界オタクみたいになってるオペラオーがなんか可愛いなと思ったので書きました。 アキュートシナリオのカッコいい覇王も好きです。
9 23/07/03(月)23:24:34 No.1074602432
この顔が良さそうなトレーナーは…!?
10 23/07/03(月)23:26:50 No.1074603387
ズブい馬を担当してそうなトレーナーだな
11 23/07/03(月)23:27:13 No.1074603560
>この顔が良さそうなトレーナーは…!? あっおぺらおーですううう! ここであったがひゃくねんめ! にんじんはください!
12 23/07/03(月)23:28:41 No.1074604128
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
13 23/07/03(月)23:32:25 No.1074605575
オシノビオージじゃん ついに現界したんか
14 23/07/03(月)23:32:40 No.1074605679
ところでアキュートさんと距離が近くないかい?
15 23/07/03(月)23:37:43 No.1074607751
トレーナー 闘魂注入 檄が飛ぶ
16 23/07/03(月)23:38:36 No.1074608175
このあとアキュートさんへの闘魂注入を巡ってちょっとした喧嘩が起こったりしてると微笑ましいなと思いましたが字数が増えすぎるので止めました 誰か書いて
17 23/07/03(月)23:39:08 No.1074608406
>このあとアキュートさんへの闘魂注入を巡ってちょっとした喧嘩が起こったりしてると微笑ましいなと思いましたが字数が増えすぎるので止めました >誰か書いて お 書
18 23/07/03(月)23:54:21 No.1074614400
ばぁばはそれでいいの……って 言わずとも狙うか