虹裏img歴史資料館

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23/07/03(月)00:02:48 11歳の... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1688310168714.jpg 23/07/03(月)00:02:48 No.1074248582

11歳の頃。 「今日は暑いなぁ…」 自宅でレッドはぼやいていた。 このところ暑さは増すばかりだ。 朝起きたら寝汗をかいていて寝巻きが濡れていたというのもしょっちゅうだ。 「そろそろエアコンつけるかなぁ」 扇風機で誤魔化していたがそろそろ限界だ。 タオルで拭いても薄らと汗が浮かんでくる。 「電気代高くなるのは怖いけど、熱中症になるよりはマシだし」 もし暑さで倒れたら、グリーンになんと言われるか。 皮肉か、呆れか。 想像すると少しイラッときた。

1 23/07/03(月)00:03:19 No.1074248793

「まぁいいや。とにかくつけよーっと」 リモコンを操作してエアコンの電源を入れる。 しばらく待つと、部屋の温度が下がっていった。 「あーっ、涼しい…」 ようやく自室が快適になった。 服を脱いで、汗を拭くと着替えて一息つく。 冷蔵庫から冷えた麦茶を出して、飲む。 「あー美味い!」 乾いた喉も潤い、爽やかな気分になる。 「今日は暑いし、トレーニングも無しで家で休むか」 ボールの中のみんなも同意するかのように揺れ動く。

2 23/07/03(月)00:05:23 No.1074249598

と、そこでチャイムの音が聞こえた。 「はーい」 部屋を出て、玄関に急ぐ。 宅配便かなと考えながら、ドアを開ける。 「はーい、レッド」 そこにいたのはブルーだった。 こんな暑さにも関わらず、いつもの黒いワンピース姿だ。 流石に暑いのか、彼女の頬に汗が流れ落ちるのが見えた。 「げ、ブルー…」 「なによ。人の顔見るなり嫌そうな顔して」 ブルーが顔を歪めた。 こちらも似たような顔をしているのだろう。 「嫌そうなっていうか…。 いやなんでオレの家知ってるんだよ!?」

3 23/07/03(月)00:05:35 No.1074249674

「マサラタウンのことを調べてたらそれくらいはわかるわ。 たまにはマサラタウンに顔出そうと思ってきたしせっかくだからご挨拶に来ちゃった♡」 「来ちゃったじゃなくて…」 早く帰ってもらいたい。 エアコンの効いた部屋に戻りたい。 今日は1人でいたい気分だし、友達になったとはいえブルーを家に上げるのは警戒する。 「ところでおみやげにアイス買ってきたんだけど、食べる?」 「よく来たな!早く上がってけよ」 この暑い日にアイスはありがたい。 なのでレッドは喜んでブルーを招いた。 「チョロすぎ…」 ブルーがこっそり呟くのが聞こえた気がするが、アイスを優先してすぐに忘れた。

4 23/07/03(月)00:05:55 No.1074249793

「んー、美味しい!」 リビングでアイスを食べ、ブルーが上機嫌になっていた。 傍らにはレッドの貸したタオルが置いてある。 汗を拭いた後の彼女はすでにリラックスしていた。 ここが我が家と言わんばかりにソファに寝転んでくつろいでいた。 「汗拭いたけどまだなんか気持ち悪いし、後でシャワー貸してくれる? あと着替えも」 「注文多いな!ええと着替えは奥にタンスがあるからそこから適当でいいよ。 風呂場はその手前にあるから」 「はーい」 軽い返事をしつつ、ブルーがアイスをまた食べ始めた。

5 23/07/03(月)00:06:33 No.1074250054

レッドも彼女の買ってきたアイスを食べる。 シンプルなバニラだが、美味い。 定番だからこそ安定してハズレのない味。 それを掬って、口に入れる。 甘みと冷たさが口の中に広がる。 少し高めのアイスだけあって、普通のものより美味しく感じる。 「じゃ、アタシシャワー借りるから。 片付けよろしくねー」 ブルーがアイスの容器やスプーンはそのままにして部屋を出た。 「自由だなあいつ…」 呆れながらもレッドは片付けをした。

6 23/07/03(月)00:07:40 No.1074250473

「上がったわよー」 戻ってきたブルーが声をかけてきた。 レッドの古着のシャツや短パンを着ている彼女は、また先程のようにソファに寝転んだ。 「~♩」 鼻歌まで歌い始めながら、脚をバタバタと動かしている。 普段はスカートやブーツで隠れている脚。 それが今は露わになっている。 それだけでなく、シャツの隙間から胸元や鎖骨がチラチラと見えてしまう。 目のやり場に困る。 「レッドったらさっきからアタシのこと見てエッチねー」 「な!」 愉快そうに笑うブルーについ声を上げてしまう。

7 23/07/03(月)00:07:58 No.1074250569

「ち、違う!見てなんかいないって!」 「そう?アタシそういうの敏感なつもりなんだけどー」 こちらの誤魔化しの言葉などお見通しかのように、ブルーが余裕ある笑みを向けてくる。 「ぐ…」 反論できず、苦しげな呻き声をかろうじて出す。 「別にいいんだけど。 レッドがそういう人だって前からわかってるし」 「オレをからかうためにオレんちに来たのかよ!」 「そうじゃないんだけどね」

8 23/07/03(月)00:14:49 No.1074253268

ブルーが肩をすくめる。 「友達の家に遊びに行くってしたことないから。 せっかくレッドとも友達になれたんだから、やってみようかなって」 「え…」 驚きで変な声が出た。 友達。 ブルーのことは自分からはそう思っていた。 彼女の方からも、同じだったとは。 それに遊び相手としてレッドを選んできた。 ある種の満足感が自分にあった。 「レッドならアタシがワガママ言っても許してくれそうだし。 レッドって色々と甘いから」 「悪かったな!」 頭の中の事とはいえ、前言を撤回したくなった。

9 23/07/03(月)00:21:32 No.1074256112

そうして夜になって。 「今日はありがとう。 急に来てごめんね」 「いいよ。オレも退屈しなくて済んだよ」 帰宅しようとするブルーを見送る。 日が落ちて、気温も下がっている。 エアコンのある部屋から遠ざかっても、 そんなに辛くなくなっていた。 「また遊びに来ていい?」 「もちろん。あ、でも勝手に上がってくるのはナシな?」 「わかってるって。じゃーねー」 笑いつつ、ブルーが立ち去った。

10 23/07/03(月)00:28:16 No.1074258928

「さーて…」 部屋に戻って、一息つく。 エアコンの設定温度をあげる。 今はそこまで涼しくしなくてもいい。 誰もいなくなった部屋にエアコンの駆動音だけが響く。 寂しい。 ほんの少し、レッドは思う。 自分以外、誰もいない家。 それが普通だった。 レッドも、誰かを家に上げることは初めてだった。 そこまで親しい仲になった人がいなかったから。

11 23/07/03(月)00:35:52 No.1074261451

自分とブルー。 形は違えど、1人の家で誰も招くことなく過ごしていたという点では同じなのかもしれない。 「次にあった時には、もうちょっと優しくしてやるかな」 こんなことを言ってしまうのは、親近感からか。 いい気分になりつつ、レッドは目を瞑った。

12 23/07/03(月)00:41:55 No.1074263515

そして現在。 「お邪魔しまーす」 「おう、おつかれ」 レッドの自宅。 遊びに来たブルーをレッドが出迎える。 「あー、やっぱりレッドの家って落ち着くわー」 「もう自分の家あるんじゃなかったっけ…?」 「パパとママの前だとあんまりだらしないところ見せられないもの。 それに、愛しのダーリンと会えるしね♡」 「まぁ、うん…」

13 23/07/03(月)00:49:22 No.1074266025

いつのまにか付き合うようになって。 当たり前のように一緒にいるようになって。 レッドの家の合鍵をブルーに渡すようにもなった。 だから、今この家は何割かはブルーの家のようなものだった。 「暑いのにあんまり外出たくないけど、レッドの家は例外よ」 「まあオレもブルーに会いたいからいいけどさ。 いっそオレからもブルーの家に遊びに行った方がいいかな?」 「パパもママもレッドに会いたがってるからいいと思うわ。 でもレッドは緊張しちゃいそうね」 「たはは、そうならないようにしないと」

14 23/07/03(月)00:56:07 No.1074268348

頭をかきながら、レッドは応える。 彼女の両親との対面。 それは想像するだけでも緊張してしまう。 嫌われないようにすることを意識すると、身がすくむ。 と、口の中に何かを突っ込まれた。 冷たい。 アイスだ。 「もう。アタシから話してなんだけど、今は忘れてアイス食べましょう」 「そうだな。食べよう」 彼女に食べさせられ、こちらからも食べさせる。

15 23/07/03(月)00:58:43 No.1074269272

アイスは冷たくて。 部屋の中は涼しくて。 でも、自分とブルーの仲は熱くなっていった。 これからもそうなりたい。 「ねえ、レッド」 「どうした?」 「口移しで食べさせてあげよっか?」 その誘いを、レッドは断れなかった。

16 23/07/03(月)00:58:54 No.1074269331

以上です 閲覧ありがとうございました

17 23/07/03(月)01:02:33 No.1074270657

1章か2章くらいのブルーにレッドの家に遊びに行かせたくて今回のレブルとなりました 聞き分けよくしすぎてあまりその時期のブルーっぽくなくなってるかもしれませんが毎回悪いことしてるわけではないということでお願いします

18 23/07/03(月)01:21:22 No.1074276817

>聞き分けよくしすぎてあまりその時期のブルーっぽくなくなってるかもしれませんが毎回悪いことしてるわけではないということでお願いします 両親との再会前はからかいメイン、再会以降は「この人なら許してくれるだろう」というエックスがグリーンにしてるような?甘えメインなイメージなので十分らしい挙動してると思います

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