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23/06/30(金)19:44:39 泥の残骸 のスレッド詳細

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23/06/30(金)19:44:39 No.1073287524

泥の残骸

1 23/06/30(金)19:53:49 No.1073290771

すごい雨

2 23/06/30(金)20:16:23 No.1073300065

「はー…年度末大変だわー!本当に忙しいわー!」 木桜学園の職員室。 雑務の処理のため一人残っていた白瀧弓美は大きな溜め息を吐くと椅子に体重を預け、体を伸ばした。 忙しいとは言っているが、それなりに余裕はある。来年度は受け持ちクラスが変わらないので今残業しているのは卒業式と新学期に向けた準備だ。ふと、壁掛け時計を見ると19時。 「……よし!帰ろう!」 勢いを付けて立ち上がると諸々の書類とノートパソコンをそそくさとショルダーバッグへと詰め込む。 まだ少しやらなければ行けない事は残っているが明日の事は明日の私に任せよう!生きたいように明るく楽しく生きるのが弓美のモットーだ。 職員室の照明を消し鍵を掛け、夜勤の警備員に引き継ぐと意気揚々と駐車場/駐輪場へと足を向ける。そこには愛車のアヴェンタドールが主人の帰りを今か今かと待っている筈だ。 「……あら?」 駐車場には人影があった。まばらについた電灯に照らされて少し背丈の低い人影が露になる。 「公輪さん?どうしたの?居残り?」 人影が自分の知る生徒、公輪亞海であると気付き、弓美はにこやかに片手を上げて足早に近づいた。

3 <a href="mailto:2/3">23/06/30(金)20:16:49</a> [2/3] No.1073300249

「あ、白瀧先生。はい、生徒会の手伝いをしてたらこんな時間になってしまって」 亞海は白瀧の姿に気付くと小さく頭を下げる。悪いことをしていた訳ではないのに何処か申し訳なさそうだ。 小さな体が萎縮して更に小さく見える。責めた訳ではなかったのだが、なんだか悪いことをしてしまった。 公輪亞海と言う生徒は弓美から見て決して気弱という訳ではない。自己主張こそ薄いものの、運動が好きで誰かと話すこと…コミュニケーション自体は好きな印象だ。だが… 「そうなのね、お疲れ様。そうだ、もう暗いから家まで送って上げる!」 「いえ、私は……自転車で通学していますから……お気遣いありがとうございます」 弓美の言葉に亞海の表情が一瞬の困惑に染まり、申し訳なさそうに歪む。 亞海の欠点はこれだ。亞海は誰かに何かをしてもらう事を嫌う。正確に言うなら何もしていないのに何かを貰う事に困惑し、受け入れる事が出来ない。 分かりやすく言えばコミュニケーションとはギブアンドテイクだと思っている節があった。 ───魔術使いとしての弓美は間違ってはいないとは思うが。

4 <a href="mailto:3/3">23/06/30(金)20:20:13</a> [3/3] No.1073301609

「そう?残念ね」 予想通りの回答に内心溜め息をつく。 おそらくは自分は誰かに何かをしてもらう価値がないと思っているのだろう。観察と経歴から察するに自己評価の低さはおそらく育ちに起因すると弓美は考える。 ───魔術使いとして本命の予備とされて育った魔術師の子女を何人も見たからすぐに察しはついた 教師としてなんとかしてやりたい気持ちはあるが、これを解決する為には亞海の内面に踏みこまねばならない 同僚に相談し、思案を重ねた末に現状問題がない以上安易に性格を矯正するような真似をすべきではない、という結論に至り、実質棚上げされている ───お気に入りの生徒と夜のドライブも乙なものだと思ったが仕方ない 「それじゃ公輪さん気を付けて帰ってね」 「はい、先生さようなら」 エンジンをかけながら自転車で校門を潜り抜ける亞海を見送る弓美 「…お行き」 バッグから取り出した小さなアクリルケースを開け、蜥蜴の使い魔を解き放つ。念のために亞海の後を追わせた。なにもないとは思うが 「母親でもないのに、過保護かしらね」 心配なものは心配なんだから仕方ない 今一度溜め息を吐いた弓美は車に乗り込むと運転に集中する事とした

5 23/06/30(金)20:49:21 No.1073312591

トカゲは自転車に追いつけるのだろうか めっちゃキモいスピードで走るトカゲ

6 23/06/30(金)20:50:07 No.1073312867

トカゲくんは使い魔になったのね

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