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23/06/26(月)00:03:44 危機に... のスレッド詳細

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23/06/26(月)00:03:44 No.1071676790

危機に陥った時。 自分ではどうにもならない時。 そういった時は突然、誰にでも訪れる。 そんな時に頼れる人。 助けてくれる人。 寄り添ってくれる人。 それがいることがどれだけありがたいか。 たとえ、その危機がどんなものであっても。

1 23/06/26(月)00:03:56 No.1071676873

「…どうしよう」 レッドは、危機を迎えていた。 自宅に届いた段ボール。 それを開けてみれば、とんでもないものが入っていた。 女性ものの下着。 しかも上下両方とも。 「なんでこんなものが…?」 こんなものを注文した覚えがない。 開けてからレッドはずっと頭を捻っていた。

2 23/06/26(月)00:04:14 No.1071676981

段ボールに貼られている住所や名前。 領収書に書かれているものもレッドのものだ。 どれだけ疑おうとも、確かにそれは現実だった。 「…」 改めて下着を見る。 女性の着る下着。 じっくりとそれを見るのは初めてだ。 デパートなどを通れば下着売り場もあり、そこを通りかかってつい下着を見てしまったことはある。 だけどそんなところで凝視するわけにもいかず、目を逸らして見ないように気をつけていた。

3 23/06/26(月)00:04:53 No.1071677241

だけど今は自宅だ。 それも自分の買ったもの。 それがなんであれ、見ても咎める存在などいなかった。 紺の布地に、白いレースのアクセント。 花びらのような意匠が施されいる。 デザインが凝っている。 女性が着用するものだけあって、綺麗なものだ。 こういったものをデザインする人は凄い。 そういったことに疎いレッドにとっては感心することだった。 「…いやよくないって!」 ひとしきり思考してからようやくレッドは正気に戻った。

4 23/06/26(月)00:05:13 No.1071677380

下着を段ボールの中に入れ、蓋を閉じる。 視界に入らないようにして、邪な気持ちにも蓋をする。 気を取り直し、考える。 これからどうするか。 このまま自分が持ち続けるわけにもいかない。 もし誰かがこの家に遊びに来て、この下着を見つけてしまったら。 レッドは変態のレッテルを貼られてしまう。 とはいえ、処分の方法にも困る。 下手にゴミに出そうとしてもゴミ袋が破れるなどしたらバレてしまう。

5 23/06/26(月)00:05:44 No.1071677536

誰かの知恵を借りたい。 レッドだけではどうすればいいかわからない。 この不安を誰かに聞いてほしい。 でも誰にするか。 頼る人を間違えればその人から情報が流れる。 こんな時に信用できる人。 しかも女性の下着についてのことで。 そうなると、1人の女性しか思い浮かばなかった。 レッドはポケギアを取り出した。 そして、ある人物へと通話をした。

6 23/06/26(月)00:06:11 No.1071677698

「…で、アタシが呼ばれたってことね」 「ああ。悪いけど頼むよ」 ブルーを呼んだ後、事情を説明した。 そうすると彼女は頷く。 「わかった。アタシに任せて」 「助かるよ…。オレだけだとどうしたらいいかわからなかったからさ」 ほっと胸を撫で下ろす。 「あ、一応だけどさ。 この件は…」 「わかってるわ。誰にも言わないから」 彼女が唇に人差し指を立て、ウインクしてきた。

7 23/06/26(月)00:06:25 No.1071677777

やはりブルーに相談してよかった。 彼女は信頼できる友達だ。 「それで、これを買った心当たりはないのね?」 「ああ。なんでこうなったのか…」 混乱する頭をかく。 と、ブルーが段ボールを開いた。 しばらく中の下着を見つめ、口を開く。 「これって、サイズは?」 「え?知らないけど…」 サイズのことはわからない。

8 23/06/26(月)00:06:39 No.1071677861

あまりの異常事態に混乱したり、ついデザインを気にしたりはしたがサイズのことまでは思考が回らなかった。 「じゃあ、アタシが一回着てみていい? 見た感じサイズ合いそうだし」 「いいけど…」 どうせ自分で着ることはない。 ならば女性のブルーが着ることに対しての抵抗はなかった。 「じゃあ借りてくね。ちょっと待ってて」 下着を持ってブルーが部屋から出ていった。

9 23/06/26(月)00:07:06 No.1071678042

そしてしばらく経ち。 ブルーが戻ってきた。 が、様子がおかしい。 何かが引っかかって、気になって仕方がない。 そういう風な表情をしていた。 「やっぱりサイズ合わなかったか?」 「ううん。そんなことないんだけど…」 彼女にしては珍しく、言いにくそうに首を捻る。 が、意を決したかのように口を開く。 「むしろサイズぴったりすぎるのよ。 まるでアタシのために用意されたみたいに」 「え…!?」

10 23/06/26(月)00:07:24 No.1071678141

ブルーが戸惑う理由が納得できた。 レッドが買ったらしい下着。 それが自分とぴったりのサイズ。 そういったことに薄気味悪い感覚を覚えても仕方がないことだろう。 「念のため聞くけど、アタシの身体のサイズってレッドは知ってる?」 「いや知らない知らない! ブルーの靴のサイズだって知らないから!」 「そうよね…。アタシもレッドに教えた覚えないし」 ため息をついた後、ブルーが椅子に座った。

11 23/06/26(月)00:13:50 No.1071680470

「レッドは変なことするような人じゃないって思うわ。 アタシにドキってするようなことはあっても、それでやらしいことしたりはしないだろうし」 「うん…」 信頼されている。 それがレッドにはとても嬉しいことだった。 人によっては、レッドを軽蔑してもおかしくはない。 でもブルーは信じてくれた。 完全に疑われなかったわけではないが、こちらの言い分を信用してくれた。 改めて、ブルーを呼んでよかったと思う。

12 23/06/26(月)00:20:28 No.1071683005

「それで、結局なんなのかしらあの下着」 「さぁ…」 誤解されずに済んだが、 結局は振り出しに戻っただけだ。 真相に近づくヒントが見つかったわけではなかった。 「これって、通販よね。 ならレッドのパソコンに購入履歴とか残ってるんじゃない?」 「あ、そうか!」 ブルーの提案に思わず手を打った。 履歴を調べる、という発想はレッドにはなかった。

13 23/06/26(月)00:25:39 No.1071685046

1人ではできない考え。 それが2人ならばできた。 ブルーが心強いと思えたのはこれでもう何度目だろうか。 「じゃあ調べてみるよ」 パソコンを立ち上げ、早速履歴を調べ始めた。

14 23/06/26(月)00:32:08 No.1071687400

そうしてしばらくして。 「あった!」 「え、どこ?」 ブルーが身を乗り出し、画面に顔を近づけた。 そうすると、レッドとの距離も近づく。 彼女の身体が触れる。 柔らかな感触と、匂いがする。 親しい友人とはいえ、ブルーも女性だ。 それが自分に触れていると、鼓動が高鳴る。 「えっと、ここだよ」 平静をできるだけ装い、画面の一点を指し示す。

15 23/06/26(月)00:38:28 No.1071689764

「あ、ホントにレッドが注文してるのね」 「うん、覚えてないけどな…」 わかってはいたけど、実際に見てしまった。 自分が下着を注文していたという証拠を。 もはや否定もしようもない事実。 それを目にしてレッドは陰鬱な気分になった。 と、そっと腕がレッドに絡みついてきた。 ブルーが抱きしめてくれている。 優しく、淡い抱擁。 こちらを慰め、気遣うような柔らかな笑顔が向けられる。

16 23/06/26(月)00:45:01 No.1071692048

「ありがとう、ブルー」 「うん。それより注文したのって、ずいぶんと夜遅くじゃない?」 「あ、ホントだ」 注文した時間はかなり遅い。 日付も変わって、深夜に分類される時間帯だった。 「寝ぼけてクリックして注文しちゃったのかな」 「それにしてはサイズぴったりなのはおかしくない? あと言いにくかったんだけど、あの下着のデザインってアタシのすごい好みなの」 「そうだったのか…」

17 23/06/26(月)00:50:58 No.1071694078

ブルーの申告に驚く。 そこまでブルーに合わせた下着。 それをなぜレッドが注文したのか。 記憶がないレッドにはわからなかった。 「その日ってレッドは何してた?」 「うーん、そこが思い出せないんだよな」 「この日付ねぇ…」 抱きついたままのブルーが呟く。 「ねえ。この日ってアタシとレッドが飲んでた日じゃない?」 「え…」

18 23/06/26(月)00:57:09 No.1071696360

言われ、思い返す。 そういえば、そんな気もする。 「その日って、ブルーが飲んで結局泊まったんだっけ」 レッドが言うと、ブルーの表情が険しくなっていった。 「…あれ?もしかして、これ注文したのってアタシなんじゃ…」 「…え、ブルーが!?」 「だってそうじゃない? アタシに合ったサイズにアタシ好みのデザイン。 そんな下着レッドが選べないならアタシしかいないわ」 「…それもそうか」

19 23/06/26(月)01:02:06 No.1071698090

酔ったブルーがレッドのパソコンを借りている最中に下着を注文した。 レッドはそれに気づかないか流してしまった。 それをレッドもブルーも酒のせいで忘れていた。 それならば話の辻褄は合う。 「…えっと、ごめん。 アタシのせいでレッドが混乱することになっちゃって」 眉を下げ、ブルーが謝罪をする。 彼女がそうなるのは珍しい。 昔はともかく、ブルーはレッドに対して酷いことはしなくなっている。 レッドに真剣に謝るような機会はこれまで訪れることはなかった。

20 23/06/26(月)01:08:23 No.1071700269

ブルーの手に触れる。 「レッド?」 「いいよ。オレはびっくりしたけど、でもブルーがオレに迷惑かけるつもりでやったわけじゃないから。 だからいいって」 彼女を安心させるべく、笑いかける。 と、ブルーの顔から力が抜けていく。 やがて、ほっとしたような安堵の表情になった。 「ありがとう、レッド」 より強く抱きしめられる。 背中に押しつけられたもの。 そこから彼女の鼓動と、名状しがたい感触がした。

21 23/06/26(月)01:09:16 No.1071700562

「う、うん」 レッドはどうにかそう返すのが精一杯だった。

22 23/06/26(月)01:13:17 No.1071701948

「本当にいいの? この下着アタシがもらっちゃって。 料金払わないと」 「いいよ。 ブルーが欲しかったものなんだし。 これくらいならオレが払っても大丈夫だからさ」 問題が解決した後、小包を抱えるブルーに言う。 割と高かったが、それでブルーが喜ぶのならそれでいいと思えた。 「…なら、お礼にこれあげる」 「お礼?」 疑問に思うと、ブルーがポケギアを操作した。 少しするとレッドのポケギアに受信音が鳴り響く。

23 23/06/26(月)01:18:17 No.1071703386

確認すると、画像ファイルだった。 それを開いてみる。 直後、レッドは目を見開いた。 その画像は、ブルーの下着姿が写ったものだった。 それも、今回の件のものを。 彼女の優れたプロポーションが、美しい下着をつけることでより強調されている。 つい見惚れてしまうが、正気に戻る。 「ブルー!?なんだよこれ!?」 「アタシなりのお礼よ。 あ、実際に見る?」 「いや待ってくれって! 脱がなくていいから!」 慌ててレッドが止めた。

24 23/06/26(月)01:18:29 No.1071703459

その後、画像は消すことができずに現在でもレッドのポケギアに残っていた。 それでブルーにからかわれるが、それはまた別の話。

25 23/06/26(月)01:18:44 No.1071703526

以上です 閲覧ありがとうございました

26 23/06/26(月)01:20:35 No.1071704058

レッドの家になぜか女物の下着がという発想からこうなりました 久しぶりに恋人でもないレブルです

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