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23/06/17(土)22:26:43 「ふん... のスレッド詳細

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23/06/17(土)22:26:43 No.1068617107

「ふんふふんふんふん~♪」 ハンモックで昼寝をして、その日はトレーニングが飛んだ。そして、シービーにお持ち帰りされた。 シービーはお風呂、私は彼女のために料理を振る舞う。要望は、自由。だから、食材の許す限り国籍、味、種別を問わず思うままに作る。 「ご機嫌だな、シービー」 「キミと一緒に寝られたからって言ったらどうする?」 「嬉しいなぁ」 「...おしおきがあんまり効いてないなぁ」 シービーの頬がほんのり赤く染まる。のが、なんとなく分かった。 私とシービーは、今流行りのオンライン会議のアプリで通話をしている。シービーが流行に乗るのも意外だったが、今日は珍しいこともあるものだ。 もちろん、シービーは音声だけ。しかし、音声だけというのはその分想像の余地がある。小説と同じだ。情報が少ないからこそヒトの数だけ、世界が広がる。嫌いではなかった。

1 23/06/17(土)22:26:55 No.1068617195

「一体、何を作ってるのかぁ~」 「さて、なんでしょうか」 私は、映像もあるが『分からない面白さ』を分かってほしくて調理器具の類は見えない角度に機器を配置している。見えているのは、私の顔くらいだ。 シービーは反抗心かそれとも仕返しか、音声の向こう側で露骨に水音を立てたり、気持ちの良さそうな音を出している。官能的な音だ。

2 23/06/17(土)22:27:15 No.1068617404

「そういえばさ、聞きたいことがあるんだけど」 「どうした?」 「キミの寝言さ、聞いちゃったんだよね。『好き』って」 「...あちゃぁ」 突然何かと思えば、私は私の知らぬ間にとても大変な言葉を発していたらしい。 「なんとなく思ったんだ、私のことだって」 「それは間違ってないな」 私は、誤魔化さなかった。彼女には、本心から付き合おう。そう決めている。 『好き』。 この言葉にヒトは、幾度となく狂わされてきた。たった二文字の言葉に、それだけのエネルギーが秘められている。だから、ヒトはこの言葉に畏敬する。惹かれ、恐れる。 でも、私は誤魔化さない。だって、それが本心なのだから。

3 23/06/17(土)22:27:29 No.1068617516

「前にも言ったよね『惚れた者負け』だって」 「うん、言った」 手を止めずに、それでいて正直に答える。 「それでアタシは、『錘にはならない』って」 「そう」 シービーは、自由だ。 だから、彼女への気持ちは『錘』にはならない。 「でも、『諦めないで』って君は言った」 「そうだったね」 「だから、諦めてない。私の『好き』って気持ちが、君の、シービーの『錘』になれるように。その気持ちの表れだと思うよ、その寝言は」

4 23/06/17(土)22:27:47 No.1068617666

これだけは、伝えておきたかった。 トレーナーとウマ娘。教師と生徒。この関係を好まざるヒトは多いだろう。彼女の両親が、社会からの洗礼を受けたように。 その後、我々の間に静寂が走った。 私は、夢を見ていたのだろう。彼女が受け入れてくれると。心のどこかでそう思っていた。 でも、これが普通の反応だ。 それでも、この気持ちをいつかは伝えたかった。唐突にその時は訪れたけど、伝えなければ一生後悔するだろう。 「...アタシはさ、自由でありたいし、今も自由だよ」 最初に、静寂を破ったのはシービーだった。 「キミの気持ちには答えられないし、『錘』も感じない」

5 23/06/17(土)22:29:30 No.1068618486

分かっていた答えだ。 それが、ミスターシービー。自由そのもの。それを、私は好きになったのだ。 あの日の少女達の気持ちが、本当の意味で分かった気がした。どう頑張っても、つらい。 「って、今までのアタシなら答えたんだろうけど」 「えっ?」 「でも、最近考えることがあるんだ。宿り木を見つけて、留まるのも自由なんじゃあないかって」 「自由に固執するのは自由じゃあない。選択できること、選択できることが、自由なんじゃあないかって考えることがあるんだ」 「それって」 「お父さんとお母さんが選択したみたいに、自分の意志で選択する」 「つまり...」 「キミとずっと一緒に過ごすのも、いいなって」 ああ、君は本当に、本当に素敵だ。

6 23/06/17(土)22:29:49 No.1068618627

「...あ~、どうしようまた顔赤くなってきちゃった」 「はは、あはは」 「どうして笑うのさ」 思わず、笑いがこみあげてくる。 『勝った』からではない。ただ、君はいつも私の見たことのない世界を見せてくれるのだな、と改めて思っただけだ。 「どういう心境の変化かな?シービーがそんなこというなんて」 「分かってるくせに」 「なんのことかな?」 「なんだか、ちゃんとトレーナーの顔が見たくなってきたな!このままトレーナーの場所まで行っちゃおうかな~」 「シービーの顔が見たいのは私もだけど、服くらい来なさい」

7 23/06/17(土)22:30:04 No.1068618734

我慢できなくなっちゃう。それは、まだ喉の奥にしまっておくことにしよう。 『負け』たよ、トレーナー。アタシも、キミに『錘』をあげたくなっちゃった。

8 <a href="mailto:owari">23/06/17(土)22:30:19</a> [owari] No.1068618895

シビ好き2 シービーって不器用な性格なのがかわいいですよね シービーのお話はずっと書き続けたいですね でも、シービーって難しい 表現するの本当に難しい

9 23/06/17(土)22:33:46 No.1068620840

>『負け』たよ、トレーナー。アタシも、キミに『錘』をあげたくなっちゃった。 良い…

10 23/06/17(土)22:33:56 No.1068620938

ありがとう…

11 23/06/17(土)22:34:26 No.1068621165

>でも、シービーって難しい 表現するの本当に難しい 自由を愛してるしトレーナーの事も好きだけどって加減が難しいと思ってる

12 23/06/17(土)22:38:18 No.1068623088

ハンモックの続きか…ありがたい…

13 <a href="mailto:おまけ">23/06/17(土)22:48:41</a> [おまけ] No.1068628620

「これ...は」 食事を取って私もお風呂をいただくことにした。シービー部屋の風呂をいただくのは初めてだ。 しかし、今問題が一つ発覚した。別に、あまりにも特殊過ぎるお風呂という訳ではない。高校生の一人暮らしであること、部屋のサイズと家賃を考えれば随分と立派なお風呂だ。足も延ばせる。シービーのこだわりポイントだろうか。 問題なのは、湯が張ったままなのだ。そう、シービーが使ったお湯が抜かれることなくそのまま残っている。 今更、異性の使った風呂にドギマギする歳でもないが、シービーが相手となると思春期の少年のような気持ちが蘇ってくる。異性の行動一つとっても意識してしまう、あの多感な感性。人生のレールの上で、『社会』という名の列車相手に轢死したと思っていた。若返ると表現してもいいだろう。

14 23/06/17(土)22:49:01 No.1068628805

「ああ、これはいけません...」 昼寝の一件以上に、濃いシービーの匂いがする。かつて、嗅いだことがないほどにいい匂いだ。 よく見れば、長い髪の毛が湯舟や床に何本か散っている。間違いなく、シービーの落とし物だ。 これは、『俺』の理性を揺さぶる挑発行為だと解釈する。心のデフコンが2になる。キューバ並にホットな状況に俺は置かれている、気がする。 「よっこいしょ」 悩んだが、とりあえずシャワーを浴びてから湯舟につかる。湯を張ってもう一時間以上経っているが、最初かなり熱く設定したのかまだ心地よい熱さを保っている。

15 23/06/17(土)22:49:18 No.1068628989

湯舟に使っての感想は、本当にやばい。シービーの良い匂いの一端は、使っている洗剤や石鹸、入浴剤が担っていることを身をもって理解する。頭がくらくらと揺れ始める。このまま、この湯舟で溺死するなら本望だと思える。それほどまでに、幸福な気持ちが湧き上がる。 しかし、ここで死ぬわけにはいかない。俺にはまだシービーと生きるという目的がある。それに、ここで死んだら実質シービーを殺人犯にしてしまう。それだけは避けなくては。 とりあえず、それも楽しんでから風呂から上がるとシービーから「あはは、アタシの匂い!」って言われた。 危うく、ぶっ倒れるところだった。

16 <a href="mailto:おまけおわり">23/06/17(土)22:49:48</a> [おまけおわり] No.1068629274

ゲノムが漂ってますね

17 23/06/17(土)22:52:50 No.1068631015

おやおやおや

18 23/06/17(土)23:03:50 No.1068636299

素晴らしい…

19 23/06/17(土)23:04:18 No.1068636507

>とりあえず、それも楽しんでから風呂から上がるとシービーから「あはは、アタシの匂い!」って言われた。 こう…スケベな気持ちとか無しに素で言ったんだろうけどだからこそ破壊力ある…好き

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