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23/06/14(水)18:43:16 No.1067474259
“おはよう、ハルカ” 「…………え?」 「あ!お、おおおおはようございます!先生!……えっと、え?あの…どうしてここに…?」 「あ、えっと、その!せ、先生に来てほしくなかったということではなくて!」 “ごめんね、急に。ちょっと近くまで用事があったから” 「そ、そうだったんですか……」 ゲヘナ郊外の外れ。不良やアウトローもまず寄り付かない私の秘密の場所は、つい最近、ある方に知られることとなった。 シャーレの先生。私のミスによってこの場所を知った先生は、いつしかこうやって時々様子を見に訪れてくださるようになっていた。
1 23/06/14(水)18:43:33 No.1067474371
それにしても…… どうして、先生はわざわざ何度も足を運んでくださるのだろう…… 決して先生を疑うわけではないけれど、ゲヘナ郊外のこんな辺鄙な場所まで、他に先生が出向くような用事があったのでしょうか…… こんな薄暗くて、じめじめして、先生にとっては特に面白いものもないような誰も来ない辺鄙な場所なのに。 私のためではまず絶対にないとして……園芸にご興味が……? “今は植物のお世話をしてたの?” 「は、はいっ!」 「こ、この子たちは寒さには耐えられますけど……やはり植物なので、日差しと水は必要不可欠なんです」 「なので……水やりをして……今日は1日快晴だそうなので、今からこの子たちを移動させようかと……」 “植木鉢を動かすの?” 「は、はい!その……日差しがみんなに当たるように配置したり、時間によって少しずつ移動させたり……」 「寒い日は鉢同士を近くに寄せたり、じめじめした日は、逆にそれぞれ離して置いてみたりしていて……その、そうしないと…カビが生えたり、病気になる子が出たりするかもしれないので……」
2 23/06/14(水)18:43:52 No.1067474477
途中から、聞かれていないことまで無駄に長々と話してしまったかもしれないと気付いて、私は恐る恐る先生の顔色を伺いました。 先生は、「そうなんだ。なるほどね」と納得がいったようにうんうんと頷かれていました。 “ハルカがこまめにこの子たちのお世話をしているから、みんな立派に育っているんだね” “ハルカはすごいよ。偉いね” 「……え、あ、いえっ、そんな……わ、私が好きでしていることなので……っ」 先生にお褒めの言葉をいただけるような、そんな人間ではありません……と言いたかったのだけど、 先生はとてもまっすぐな瞳で私を見つめていらっしゃって。 お世辞や気を遣って出た言葉ではないことが伝わってきて……何も言えませんでした。 そんなただあわあわとすることしかできない私を見て、先生は優しく微笑みながら 「ハルカえらいえらい!ムツキのマネ」と頭を撫でてくださいました。
3 23/06/14(水)18:44:14 No.1067474597
「あ、ああありがとうございます……う、うぅ……」 先生が、優しい言葉をかけてくださる時や、食べ物や飲み物を恵んでくださる時……そして、こんな風に頭を撫でてくださる時。 私は、どうすればいいのか分からず、ただ困ったような顔を浮かべてしまいます。 私のような人間にそんなことをなさるメリットなんて何もないのに。 現に、私は今まで、先生から受けた恩を何一つ返すことが出来ていません。 それなら、せめてただ素直に感謝の意を言葉にして伝えるべきなのに……。私は……… “ハルカ、もしよかったらなんだけど” “この子たちのお世話、私にも手伝わせてくれないかな?”
4 23/06/14(水)18:44:40 No.1067474740
「……………え、えっ?」 先生からの突然の申し出に思わず反応が遅れてしまいました。 「そ、そんなそんなそんな!先生のお手を煩わせるわけにはいきません!」 「私一人で十分です!わざわざ手伝っていただなくても……!」 「あ、いえ!先生に手伝ってほしくないというわけではなくて!その……」 あまりの恐れ多さに全力で断ろうとしたものの、途中でふと思いました。 先生はこの子たちのお世話を手伝うことで、園芸や植物に対する知識を深めようとしていらっしゃるのでは……?
5 23/06/14(水)18:44:57 No.1067474831
どうして今まで思い至らなかったんだろう。先生がこんな所にわざわざいらっしゃる理由なんて他にないのに。 それを私は、まさか私の為に先生が手伝わせてほしいとおっしゃられたのだと勘違いして。 ああ……なんておこがましい。申し訳ない。恥ずかしい。穴があったら入りたい。そしてついでに体に穴を開けてお詫びしたい。 ………でも、反省よりも先にすることがあります。 “………えっと、ハルカ?ごめんね、嫌だったら……” 「い、いえいえいえいえ!その、お申し出ありがとうございます!」 「わ、私が先生にお教えすることなんて何一つないとは思いますが……よ……よろしくお願いします!」 “うん、よろしくね。まずどうすればいいかな” 「あ……は、はい!えっと……隅に置いてある子たちを、窓際に運んでいただけると助かります……そうしていただけたら、その子たちは私が並べていきますので」 “今ハルカがいる所まで運べばいいんだね?わかった!” 「お、お願いします!」 先生に植木鉢を窓際まで運んでいただいて、私はその子たちが均一に日差しに当たるように配置を行うことにしました。
6 23/06/14(水)18:45:14 No.1067474925
先生が手際よく植木鉢を運んでくださるおかげで、作業はとてもスムーズに進んでいきました。 でも、多分それだけではなく……。 まさか、先生と一緒に私の好きな雑草たちのお世話を行う日が来るとは思っていなかったから。 だから、でしょうか……名残惜しく感じるくらい、あっという間に時間が過ぎていくように感じて。 先生が手伝ってくださっているから作業が効率よく短時間で終わらせられているというのに、私はそれを残念に思っている……そのことに気が付いてしまって。 (先生、すみません……すみませんすみませんすみませんすみませんすみません………) “ハルカ、これで最後だよ” 「あ、は、はいっ!」 せめて少しでも早く終わらせて、先生の貴重なお時間をこれ以上奪わないようにしないと。 と、気が急いていたからでしょうか。 それとも、先ほどから抱いていた邪な気持ちが行動に出てしまったのでしょうか。 先生の方を振り向いて植木鉢を受け取った……つもりが
7 23/06/14(水)18:45:33 No.1067475017
“…………” 「…………?」 両手には、暖かくて、柔らかくも少しだけごつごつした部分もある……一言では言い表せない、そんな複雑な感触。 素焼きや陶器、もちろん金属製のバケツとも違う…… まるで、生き物のような………… “……えっと……ハルカ?” 「…………え?」 先生が、少し困ったような、くすぐったがっていらっしゃるような、恥ずかしがっていらっしゃるような……そんな、今までに見たことがない表情をされていることによって 私はようやく……植木鉢を持った先生の手を覆うように、私の手が触れていることに気が付きました。 「!!?!?!?&%$!$!@%!?!!!?!?!?!??!」 “は、ハルカ!?” 驚いて勢いよく後ろに体をのけぞったあまり、バランスを崩して尻もちをついてしまいました。
8 23/06/14(水)18:45:35 No.1067475038
ハルカ怪文書とは珍しい…
9 23/06/14(水)18:45:50 No.1067475113
幸い、後ろに並べてあった雑草たちも、先生が持っていらっしゃった植木鉢も無事のようでした。 “ハルカ、大丈夫!?痛いところはない!?” 「だ、大丈夫です!す、すすすみません!」 私が勝手に驚いて、勝手に転んでしまっただけなのに。先生は本気で私のことを心配して下さっていて。 その優しさが申し訳なく思ってしまい……そう思ってしまう身勝手な自分に嫌悪感を抱いてしまいます。 「どこも痛いところはありませんし………あ、あれ?」 せめてこれ以上ご心配をおかけしないよう、立ち上がって無事であることをアピールしようとしたのですが、 “ハルカ、それ……” 転んだ拍子に、以前カヨコさんに直していただいた草履の鼻緒が再び切れてしまっていたようでした。
10 23/06/14(水)18:46:15 No.1067475251
「え、あ……そんな……」 どうしよう……どうすれば。 カヨコさんはその場ですぐに裁縫道具を使って直してくださいましたが、私にはそんな技術はありませんし……そもそも道具が…… きっと……これも全て私のせいに違いありません。 皆さんから受けた恩を、いつも私はこうやって台無しにして…… “ハルカ” 「……え?」 顔を上げると、先生が私に背中を向けてしゃがんでいました。 顔をこちらに向けて、両手を広げて…… “乗って。おぶってくから” “今日はもう帰ろう?それじゃ歩けないだろうし” “今日の植物のお世話はこれで終わったんでしょ?だから……” 「…………?」 乗って。おぶってくから…… それってつまり……先生の、背中……に……
11 23/06/14(水)18:46:35 No.1067475359
え。 「い、いえいえいえいえいえいえ!?!?」 そんな、そんなそんなそんな。 「い、いいいいけません!そんな、先生の背中に乗るなんて!そんなこと!!」 そんなこと、絶対にあってはならない。 “でも、それじゃあ歩けないよ?” 「だ、大丈夫です!怪我をしたわけではないので、問題ありません!そ、そそそれに、外を裸足で歩くのは慣れてますので!なんてことありません!」 それこそ、アル様に助けていただく前までは毎日のように…… “……そんなの、慣れちゃいけないよ” 「…………あ、え?」 先生は少し俯きながら何か小声で呟かれていたけど、私には聞き取れませんでした。
12 23/06/14(水)18:46:40 No.1067475392
ありがたい
13 23/06/14(水)18:46:52 No.1067475459
でもお顔がなぜだかとても悲しそうで…… 多分……いや、絶対に私が先生を困らせてしまったに違いない。 どうしてでしょう。でも理由が分からない。間違いなく私が悪いのに…… このままだと私は……いつまでも先生に迷惑をかけ続けてしまうことに…… あぁ死にたい……死にたい死にたい死にたい……死なないと…… “ハルカ” 「………え?」 突然、ふわっと体が浮き上がるような感覚。 気付いたら、目の前に先生の顔が。 それに先生の腕が私の背中と膝の裏に…… えっと……今、私…、持ち上げられて……? “おんぶが嫌って言うなら、こうやって運んでくよ?”
14 23/06/14(水)18:47:47 No.1067475758
「え、えええええ!?!?」 「だ、だだだだめです!!絶対にいけません!!」 “じゃあ、おんぶされるのとお姫様だっこ、どっちがいい?” 「え?あ、えっと……あ、……うぅ……」 おんぶとお姫様抱っこ…… その選択肢しか選べないのなら、私は…… 私は………………!
15 23/06/14(水)18:48:02 No.1067475837
………………… “ハルカ、しっかりつかまっててね” 「……あ、は、はいっ!」 ………本当に、これで良かったのでしょうか……… 私なんかが先生の、先生の背中に……! でも、先生が提案されたことなのだから、きっと先生の考えが正しいはず……いやそうに違いない……のだけれど…… “よいしょっと……” 私の体が先生によって持ち上げられる。 ということは、私の体重を先生が支えていらっしゃるということで……
16 23/06/14(水)18:48:21 No.1067475953
それはつまり…… ……私が先生の負担になってしまっている…… 「う、うぅ……」 せめて3日前から何も食べなければ少しでも先生の負担を和らげることが出来たのに…… “…………………” 「………………」 “ハルカ” 「は、はい!重いですよねすみませんすみませんすみません!!」 “最近、便利屋68の活動はどう?” 「え、……え?」 “最近みんなの様子を見られてなかったから。ご飯とか、ちゃんと食べられてる?” 「ご、ご飯……ですか?」 そういえば、初詣の時、私のお腹が鳴ってしまったせいで、先生がご飯を奢ることになったことを思い出しました。 万が一私たちの食生活を先生に心配されたら、また先生の負担になってしまう……
17 23/06/14(水)18:48:38 No.1067476038
「あ、あの……えっと……だ、大丈夫です!最近は毎日三食食べられていますので!」 と言っても、一食分を三回に分けて食べていることもありますけど…… ……嘘はついていません。 “……ん、そっか” 「………?えっと……」 先生は、どうして急に、そのようなことを……? いえ、先生のことですから……きっと私には分からないような高尚な考えが……? “ところでハルカ、足は本当に大丈夫?” “さっきは平気だったけど、今になって痛くなってきたとか……どこか切ってたりとか……” “もしどこか痛むのなら、今から病院に行って診てもらおうか?” 「い、いいいえいえいえ!大丈夫です!本当に!」 「どこも痛くありませんし、怪我も全く……!」 だからこそ、申し訳なく思ってしまいます。 体はどこも無事で、痛い所なんて何一つないのに。 先生に、こんなことをさせてしまっていることに。
18 23/06/14(水)18:48:57 No.1067476151
“そっか……良かった。本当に” “ハルカが育ててきた植物たちも無事だったし、草履だって、直せば済むことだし” “何より、ハルカに怪我が無くて良かった” 「で、でも……私は…先生に、大変なご迷惑を……」 “ハルカ” ““私は、今までにハルカのことを迷惑だなんて思ったことは一度だって無いよ” “それよりも私は、ハルカが1人で頑張りすぎたり、無理してないかどうかの方が心配かな” 「え、えっと………?」 “初詣で会った時、いつもより顔色が悪いなって思ってたから” 「……あ!え、えっと、それは……!」 初詣の直前まで、私は工事現場のアルバイトで毎日早朝まで働いていました。 確かにいつもより大変なこともあったし、特に朝は眠くて仕方がなかったけど……無理というほどではなかった……と、思います。
19 23/06/14(水)18:49:30 No.1067476336
「あ、その……アルバイトの方はもう辞めたので、大丈夫です!」 でも、先生に心配をおかけしてしまうなら。 私の方が間違っているに違いありません。 “そっか、良かった。健康が一番だからね” “でも、くれぐれも無理は禁物だよ。せめて今くらいはゆっくり休んで” 「…ぅ、……あ、あの……」 「ど、どうして先生はそんな、そんなに……私に…」 優しくしてくださるのでしょうか。 何度お聞きしたか分からない質問。 その度先生はお答えしてくださるものの、私は未だに理解できていません。 “ハルカは、私の大切な生徒だから” 大切な、生徒……… 先生は、そうおっしゃってくださるけれど…… 本当に、そうなんでしょうか……私なんかが……
20 23/06/14(水)18:49:55 No.1067476480
“それに……” “ハルカとは前に約束したからね” 約束…… 「あ……」 ───その着物を着るときは、あまり無理をしないで。 ───風邪を引きそうになったら、暖かい場所に行くこと。 前に、先生と交わした約束。 “私の方から言っておいて、反故にさせる訳にはいかないからね” “ハルカは、みんなに迷惑をかけちゃいけないって思っているのかもしれないけど……” “私は、もっとハルカに頼ってもらえたら嬉しいな” “もちろん、何も無くたって連絡してくれたら嬉しい” “前にも同じことを言ったかもしれないけどね” 「で、でも………」 それでは私は、先生にご迷惑をおかけし続けることに……
21 23/06/14(水)18:50:12 No.1067476594
“ハルカ” “ハルカは、便利屋のみんなの力になれたら嬉しい?” 「は、はい!もちろんです!」 “それと同じことだよ” “ハルカが自分の大切な人たちのために頑張ることが全く苦にならないのと同じように” “私も、ハルカの助けになりたいし、頼ってもらえたら嬉しい” “だから、全然迷惑だなんて考えなくていいんだよ?” 「……………」 大切な、人…… 「せ、先生も……そう、なんですか……?」 “うん、もちろん” そんな……そんな風に、言ってくださるなんて。 先生は……キヴォトス中の色んな問題を解決してきて…… それだけじゃなく、私みたいな出来損ないにも優しくて……まるで…… 「先生は……神様なんですか?」
22 23/06/14(水)18:50:30 No.1067476694
“はは、そうだったら良かったんだけどね” “でも、私は万能なんかじゃないし、一人じゃ何も出来ない” “だから、皆に助けてもらってるんだ” “ハルカにも、いっぱい助けられてきたしね” 「……え、いや、そ、そんな……」 私が、先生の助けにだなんて…… “本当だよ” “だから、ハルカはむしろもっとわがままになってくれた方が安心できるかな” 「わ、わがままに……?」 “もちろん、無理にとは言わないけどね” “ハルカが、誰かのためだけじゃなくて、もっと自分のために生きてくれたらいいなって” “はは、ちょっと大げさな言い方だったかも” 自分の、ために…… もし、そんなわがままなことが許されるなら、先生が、安心してくださるなら、私は……
23 23/06/14(水)18:50:44 No.1067476773
「せ、先生!」 「そ、その、……お、お願いしたいことが!」 “うん?” 「あ……いえその、す、すすすみません何でもありません!」 “ハルカ” 「は、はい!」 “ハルカは、どうしたい?” 「あ………」 「そ、その……」 “うん” 「い、今の私のままでは……一生をかけても、来世になっても、今までに受けたご恩をお返し出来ないかもしれません…」 ───ハルカはまだ、たくさん失敗して良いんだよ。 前に、先生にかけていただいたお言葉。 あの時、私にはその意味が全く分からなかったけれど、 今なら……少しだけ、分かったような気がします。
24 23/06/14(水)18:50:58 No.1067476841
「もっと、努力して……少しでも先生の力になれるよう、頑張ります……!」 「で、ですから……」 「もし……もし、よろしければ……」 「これからも、先生のお側にいさせていただいても………よろしいでしょうか……?」 “うん、もちろん。これからもよろしくね、ハルカ” 「は、はい!よ、よろしく……お願いします!」 本来なら、恐れ多くて、図々しくて、大胆で、わがままで……私なんかが絶対に口にすることは許されないような、そんなお願い。 でも、この時は、どうしてなのか……ためらいも無く、口にしていました。 「先生……本当に、ありがとうございます……」 「……へへ、……えへへ………」
25 23/06/14(水)18:51:23 No.1067476987
…………………… “ハルカが言ってたように、今日は暖かいね” “風もほとんど吹いてないし、なんだか春みたい” 「はい………」 先生の背中……広くて、とても暖かくて…… アル様達と一緒の布団でお休みさせていただく時のような安心感と、 それとは真逆の、胸が高鳴るような感覚があって……なのに、どうしてか不思議と心は落ち着いていて…… 申し訳ない気持ちや、少し恥ずかしい気持ちもあったのに……今は、何も考えられないくらい気持ちよくて…… ───でも、くれぐれも無理は禁物だよ。せめて今くらいはゆっくり休んで 先生も……そう、おっしゃっていたのだから…… 少しだけ……今だけなら、ほんの少しお休みしても………… ……あ、……だめだ、いけない。このままだと……… 先生の、ご迷惑に……… でも……暖かくて……心地よくて…… このまま…………ずっと…………
26 23/06/14(水)18:52:06 No.1067477202
………………… “…………ハルカ?” しばらくの間無言だったため、声をかけたが返事がない。 普段の彼女なら、食い気味に返事をしてもおかしくないくらいだけど…… 「…………」 ふと耳を澄ますと、首元から微かな寝息が聞こえてきた。 “…………おやすみ、ハルカ” 背中の温もりを感じながら、少しでも彼女が安らかな夢を見られるよう、ゆっくりと便利屋68の事務所まで続く道を歩いていった。
27 23/06/14(水)18:55:19 No.1067478381
急に大作の怪文書がきた?
28 23/06/14(水)18:59:10 No.1067479823
このでけえ愛の放出先がここで良かったのか…?
29 23/06/14(水)18:59:24 No.1067479894
長え!
30 23/06/14(水)18:59:45 No.1067480035
ハルカはやけに愛されてるな…
31 23/06/14(水)19:01:05 No.1067480543
ハルカは自己評価低いを通り越して無いから正しさの基準を自分の尊敬できる人に丸投げしちゃってるとこあるよね… そしてその状態じゃなかなか言葉が届かないこともある それを逆手に取って便利屋への感情という理解できるものに例えて話すのデキる先生だな…
32 23/06/14(水)19:03:58 No.1067481680
ハルカ可愛いよね…
33 23/06/14(水)19:05:10 No.1067482158
>───ハルカはまだ、たくさん失敗して良いんだよ。 今回のメインでも同じようなこと言ってたけど基本的に先生は生徒に対してこのスタンスなのがうれしくもありもどかしくもあり
34 23/06/14(水)19:06:16 No.1067482612
えれぇハリキリボーイがきてるじゃねえか
35 23/06/14(水)19:07:06 No.1067482982
「ハルカちゃーん!おっかえり~!……あれ?」 「あら?先生……?」 “や、お邪魔するよ” 「ん……んぅ……………」 「あ、ハルカもいた」 「あはっ♪ハルカちゃん寝てるー!」 “あはは、疲れてるみたいだから、もうちょっと起こさないでいてもらえるかな?” 「……ふふっ、経営パートナーである先生に運んでもらっておきながらこんなに幸せそうな寝顔を浮かべて……ハルカもアウトローというものの何たるかを理解してきたようね。」 「いや、全然そんなことはないと思うけど……」
36 23/06/14(水)19:07:27 No.1067483128
“あ、カヨコ、ハルカをお願い” 「あ、うん……んしょっ……と」 “これ、差し入れ。みんなで食べて” 「わ~!ありがと~先生!」 「えっ、こんなに……?」 “アル” “どんなお仕事をするにしても、一番大事なのは健康であることなんだ” “体が資本って言うようにね” “だから、大変なことがあったらいつでも言ってね” “これはアルの経営パートナーである前に……みんなの先生としての、お願い” 「先生……」
37 23/06/14(水)19:07:43 No.1067483230
“じゃあ、私は仕事が残ってるから、またね” 「えーっ!先生もう帰っちゃうの~?仕事なんか後回しにしちゃお~?ダメ?」 “あはは、ごめんね。また今度おじゃまするよ” (ドアが閉まる音) 「あ~あ、本当に帰っちゃった~」 「……どうして気付かれたのかしら……」 「我が便利屋68が、日々の食事にも満足にありつけないレベルの、未曾有の経営の危機に瀕していることに……?」 「……まあ、割といつものことじゃない?」 「アルちゃん……ひょっとして本気で言ってる~?」 「な、何よ!」
38 23/06/14(水)19:08:01 No.1067483350
「大体、事務所にまともな暖房設備も導入できないから、こうやってみんなどてらを羽織ってるのを見られた時点で……」 「なんか~、アウトローっていうより、アットホームって感じ?」 「ああもう、うるさいわよ?」 「………ん、……うぅ……」 「ちょっと、社長」 「アルちゃ~ん?うるさいのはどっちかな~?」 「う……わ、悪かったわよ……ごめんなさい……」 「ハルカちゃん、アルちゃんがうるさくしちゃってごめんね~?よしよし♪」 「ん……?んぅ………」 「……なんだか、初めて見たかも。ハルカがこんなに気持ちよさそうに寝てるの」 「本当ね……どんな夢を見てるのかしら……」 「ん………へへ……」 「………えへへ……ありがとう……ございます………」
39 23/06/14(水)19:08:30 No.1067483548
>「我が便利屋68が、日々の食事にも満足にありつけないレベルの、未曾有の経営の危機に瀕していることに……�」 またカップ麺生活してる…
40 23/06/14(水)19:09:26 No.1067483906
熱量が怖い!!!! いい話だけど!!!