23/06/06(火)23:14:10 ゼン... のスレッド詳細
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23/06/06(火)23:14:10 No.1064842687
ゼンノロブロイは今日も日課の読書を行うべく図書館へと運んだ。革で拵えられたハードブックの本を棚から取り上げ、机に座っては活字の異世界へと身を投じる。その筈であった。 はぁ。と言う小さな溜め息。されどもウマ娘の耳には安易に聞き取る事が出来て。 はて何事だろうかと溜め息のする所を覗き見ればウマ娘名鑑を開いて溜め息を漏らすトレーナーが一人。 「トレーナーさん…? どうしたんですか、溜め息を漏らされて」 トレーナーと呼ばれた男はハッとなってウマ娘名鑑と書かれた本から顔を上げた。そして罰が悪そうにくしゃりと苦笑を浮かべる。 「こんにちはゼンノロブロイ。ちょっと訳があって、本を読んでいたんだ」 「…ウマ娘名鑑を、ですか?」 それは古今東西、様々なウマ娘の栄光を綴った物だ。G1を征しただけではなく、数々のG2、G3、イベントレースで勝ち星をあげてきた少女達のウマ生の歴史でもある。 「ウマ娘…それは走る事を宿命付けられた存在。例え勝てなくても、彼女らの人生は眩しく輝かしい。一握りの勝利の下には数多の少女達の敗北の山が在っても」 「トレーナーさん…」
1 23/06/06(火)23:15:03 No.1064843019
「僕はね、ゼンノロブロイ。ただ平凡だった。中流階級の家に生まれて、気が付いたらウマ娘に恋をして、勉強をして、平均的な成績でトレセン学園の試験を受けて 特別誰かに祝福される事も無くトレーナーバッチを手にして、幾つかの敗北の末に少女に僅かながらの勝利を掴ませた。平凡は非凡とも言われるけれど…僕は自分の箔の無さに溜め息が出るばかりだよ」 そう言うとトレーナーは再びウマ娘名鑑のページを捲った。ぴらり、と紙の翻る音が静かな図書館に響く。そんな寂しげな彼を見て、ゼンノロブロイは勇気を出して再び声を掛けた。 「あ、あのっ! 箔が欲しいのであれば貴方の英雄譚を綴れば良いかとっ」 「英雄譚…? この僕の?」 「はいっ。どうぞ此方へ」 そしてゼンノロブロイはトレーナーの手を引いて、図書館の一室に足を運んだ。 「此処は…?」
2 23/06/06(火)23:15:33 No.1064843210
「この場所は学園関係者…その大半が学園理事長や理事長補佐、そしてそんな人々に認められたウマ娘やトレーナーが物書きをする為に用意された書斎です」 本棚にずらりと並べられた分厚い本、本、本…それはウマ娘に関わる様々な出来事が印された物ばかり。とても古い物から、つい最近書かれたであろう比較的真新しい物まであった。 「さぁ、其方の椅子へ。ゆっくりと腰掛けて下さい」 ゼンノロブロイはそう言うとガスランプの柔らかい灯りを灯した。暖色で彩られた室内が、見るからに暖かい… 「…僕は、如何していたら良いんだい? ゼンノロブロイ」 「体の力を抜いて、目を瞑って下さい。恐れる事はありません。世界の神秘に身を委ねたら良いんです」 そう言いながら彼女は真新しい一冊の本を手に取り、テーブルに置くと羽根ペンを手に取り、インク壺にペン先を浸した。 「それでは、始めます。どうぞ、寛いで」 トレーナーは促されるが侭に、目を閉じ、ゆったりと椅子に深く腰掛けて、背もたれに背中を預けるとゆっくりと深呼吸を繰り返した。
3 23/06/06(火)23:15:54 No.1064843351
「…貴女は素敵なご両親の元に産まれ、素敵な姉妹にも恵まれました。プラチナの様に美しい芦毛、地中海の如き鮮やかなブルーサファイヤの瞳は多くの人を惹きつけました。 体躯にも恵まれた貴女は姉妹揃って地元のレースの悉くで勝ち星をあげ、時には妬まれる事もありましたが ただ嬉しそうに走る貴女達姉妹に他のウマ娘は毒気を抜かれ、一緒に川辺を走り回るのでした。 そして、多くの活躍の元、貴女は姉妹達と共にトレセン学園へと入学し、三女神の導きの元、腕のよいチームトレーナーに拾われて 日々トレーニングに打ち込みながら、愛おしいライバル達とレースを繰り広げるのでした。 近々、大きなレースが控えている貴女は緊張で少し息が上がっているかも知れません。ですが大丈夫。 貴女には大切な姉妹と、親しいライバルと、頼りがいのあるトレーナーが居ます。恐れずターフを駆け出せば、そう、今までの様にきっと何かが掴めるのだから」
4 23/06/06(火)23:16:13 No.1064843471
ゼンノロブロイが一人のウマ娘の半生を書き綴り終えた時、トレーナーは静かな寝息を立てていた。緩やかに髪色が変わり、頭にピコンと耳が生える、ゴツゴツとした体付きもしなやかな体付きに変わっていき… 「おやすみなさい、トレーナーさん。そして…HappyBirthday、────さん。何時か、ターフの上で出会える日をお待ちしています」 「……! 起きて、────!」 自分の体を揺さぶる感覚、はて何だろうと眠い頭に鞭を打って思考を回す。ああ、ホッペタに本の後付いちゃった… 「もう、ちょっと図書館で自習するって言っておきながら何居眠りしてるのよ」 「────姉さん、疲れてるの? 最近トレーニング厳しかったし」 目の前の、眼の色の違う芦毛の二人の姉妹を前にして私は欠伸を漏らしながら背伸びをした。 「大丈夫。自習が終わって少し本を読んでたら気持ち良くて寝ちゃったから」 「なんだ、心配して損しちゃった」
5 23/06/06(火)23:16:37 No.1064843591
「其れよりも、早くカフェテリアに行かないと混んじゃうよ! チームの皆も待ってるんだから」 姉妹の言葉に私もウンウンと肯きながら椅子を立ってウマ娘名鑑と書かれた分厚い本を返却棚に戻した。 …────は、嘗て誰かを指導する立場だった様な、そんな違和感を覚えながらポケットの手鏡に手を伸ばした。 蓋を開く。其処に居るのは間違いなく人間 じゃなくてウマ娘だ。地中海の如き鮮やかなブルーサファイヤの瞳に、プラチナの様な芦毛を持つ『私』が其処には居た。 きっと頭の中の違和感は変な夢でも見ていたのだろう。さぁ、カフェテリアまで姉妹揃って駆けっこだ。 鞄を担いで廊下を小走りに通り抜ける。すれ違ったたづなさんに危ないですよと注意されれば、ごめんなさいと謝って。 ……少女達が通り過ぎた廊下の鏡から、こっそりと向こうの世界から顔を見せた三女神達が人差し指を立てて秘密だよ、と誰にでもなく口にした……
6 <a href="mailto:s">23/06/06(火)23:17:18</a> [s] No.1064843829
終わり TSして姉妹で楽しいトレセン生活を送りたかった
7 23/06/06(火)23:18:48 No.1064844360
やっぱTSメモ帳は最高だな!
8 23/06/06(火)23:23:44 No.1064846215
TS前のこと覚えてないとTS感あんま無いな
9 23/06/06(火)23:24:47 No.1064846621
またトレーナーが現実改変TSされてる…
10 23/06/06(火)23:25:34 No.1064846909
だいぶきれいに終わった…
11 23/06/06(火)23:25:35 No.1064846915
>TS前のこと覚えてないとTS感あんま無いな 書こう 君の理想のウマ娘TS
12 23/06/06(火)23:27:39 No.1064847633
これ変異後の世界ではロブロイとはどんな関係なんだろうか
13 23/06/06(火)23:30:38 No.1064848655
>これ変異後の世界ではロブロイとはどんな関係なんだろうか 仲の良い先輩後輩になるんじゃねえの 三女神の世界の修正力で
14 23/06/06(火)23:32:04 No.1064849153
知らない姉妹まで生えてきてる…
15 23/06/06(火)23:34:17 No.1064849834
>知らない姉妹まで生えてきてる… 良いだろ?美人のお姉ちゃんと可愛い妹だぜ?
16 23/06/06(火)23:35:17 No.1064850189
>>知らない姉妹まで生えてきてる… >良いだろ?美人のお姉ちゃんと可愛い妹だぜ? それでも1番人気なのは『私』なんだよね…
17 23/06/06(火)23:39:40 No.1064851666
あまりにもただ嬉しそうに走るからモブ馬から賢さトレーニングされてたりして
18 23/06/06(火)23:42:26 No.1064852593
疑問に思う隙すら与えられず居るはずの無かった姉妹達と仲良くしたいよね
19 23/06/06(火)23:44:35 No.1064853289
>疑問に思う隙すら与えられず居るはずの無かった姉妹達と仲良くしたいよね 良いよね 芦毛の三連星とか言われるの