虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

1 23/05/29(月)23:00:20 No.1062210500

「あら？この香り………」 ふとそこで、鼻をくすぐる甘酸っぱい香りに気づく この香り、確かに知っている。常日頃嗅いでいる訳ではないけど、食卓に出てくると結構うれしい、アレの香り それに気づいたか。彼女はまただらしなく、ぶえっと笑って段ボールの蓋に手をかける 「ふっふっふ。見て驚くがいいべ！！」 ぱかっと開けられたその段ボールの中には……予想通りのものが、予想以上の量詰まっていた 濃い紫色の、丸々として瑞々しいその果実。それは 「ブドウ、ですわね………？」

2 23/05/29(月)23:00:31 No.1062210596

ふんすっと、彼女は胸を張る。なんだ、こんな量のブドウ一体どうしたというのか まさか買ったとでも言うつもりか。これだけの量買ったらそれこそそこそこのお値段になるだろうに 品質だって一目見てわかる上等なものだ。そんなもの、普段からお小遣い不足でひいひい言っているこの田舎娘が買ってこれるとは……… 「あ、なんか失礼な事考えてるべ」 おっと、いけないいけない。目をそらして、おほんと咳払い 「それで、ブドウなのはわかりましたが……一体、どうなさったんですの？」 「いつもランニングするコースで、東の方の山沿いの道わかるべ？ほら、フルーツの直売所があるところだべ」 ああ、それなら知っている。いつも通る時に甘い香りがして、とても好きな場所だ 通りかかるときにいつも農家の方に挨拶すると、向こうも返してくれて走っていてとても気持ちのいい道だったはず

3 23/05/29(月)23:00:45 No.1062210706

「あそこのブドウ農家のおっちゃんが今日腰痛めて動けなくなってて。それでおうちまで背負って行ったんだべ」 「そんなことが………大丈夫でしたの？」 「息子さん夫婦がいたからお願いしたべ。持病のぎっくり腰だから病院に連れていくって言ってたから大丈夫だべ」 そんなことがあったとは。ちょっとこの田舎娘を見直してしまったかもしれない 「そしたら、お礼にって言ってこれ持たせてくれて………」 「持たせてくれてって………こんな量。それに、ブドウの収穫時期ってもうちょっと後じゃありませんこと？」 「ハウス栽培だから早採りだべ。全部綺麗に熟してて食べごろだって言ってた」

4 23/05/29(月)23:00:56 No.1062210781

なるほど、そういうことならこの綺麗なブドウにも納得だ ただそれにしたって量が多い。これは、果たして二人で消費しきれるだろうか 「もし食べきれなかったらみんなにおすそ分けすればいいべ。とりあえずいただくべー」 「ああ、もう。わかりました。わかりましたから、せめてお皿くらい出させなさいな」 もうすぐにでも食べたくて堪らないといった風のブエナさんを押しとどめて、お皿を二枚取り出す 「ほら、食べる分だけ洗ってきますから。どれにしますの？」 「えーっと、これと、これと………」 「食べ過ぎですわ！！」 この食いしん坊は、底というものがないのだろうか

5 23/05/29(月)23:01:07 No.1062210858

● 「あっまーい！！！！」 一粒口に入れてにんまりと、二粒口に入れてぶえっと 食べるごとに愉快に顔を変えていく彼女は、それだけで見物だった よく実った大粒のブドウを口に入れるたびにその表情は喜悦に染まる。気持ちはわからないでもないが、もう少し慎みをもってはいかがだろうか 「……んっ。本当に甘いですわね」 正確には、豊かな甘みとともにそれを引き立てるほど良い酸味が噛んだ瞬間に溢れ出してくる まるで小さな粒に詰まった特濃のジュースだ。特有の香りもくどくない上品なもので、これは確かに手が進んでしまう

6 23/05/29(月)23:01:17 No.1062210919

「んー。いくらでも食べられちゃいそうだべ」 「確かに………かといって、食べ過ぎは駄目ですわよ」 「はいはい。ディザイアは細かいべ」 どの口が、と言おうと思ったけど。今はとりあえずこの甘美な果実を楽しもう ブエナさんが選んだ二種類のブドウはどちらも美味だけど、個人的には巨峰のような大粒の赤いブドウが好みだった。対する彼女はマスカットのような形のブドウの方が気に入った様子 でも、どちらもとても美味しいのは確か。気が付けば５粒、６粒と手が進んでしまう 「今度、お礼に行かねばなりませんね」 「うん。今度ランニングの時にお菓子持ってお礼に行くべ」 「その時は同行しますわ。私もいただいてしまってますし」

7 23/05/29(月)23:01:29 No.1062210990

息子さん夫婦がいらっしゃるということだし、手伝いはいらないだろうけど……… それにしても、自分たちが普段何気なくランニングしているコースにこんなに美味しいブドウを作る場所があったなんて 直売所とかやっていないかしら、なんて考えてしまうほどには美味しい。普通に食べてもいいし、スイーツにしたらまた化けそうだ 「そうですわ。今度、これを少し頂いてシャーベットにしてみましょうか」 「シャーベット！！絶対美味しい奴だべ！！」 「幸い量はたくさんある事ですし………ああ、コンポートもいいですわね」 そしたら、農家の方にもお礼の時に持っていけるだろう スイーツを作るのも久しぶりだけど、大丈夫だろうか。いざとなったら誰かに手伝いを……… 手伝いを……… 「あむっ。んー、こっちのも甘いべ」

8 23/05/29(月)23:01:43 No.1062211113

………誰かに、頼むことにしよう。そうしよう 「ディザイア、ディザイアー」 「はいはい、なんですの………」 「はいっ」 振り向いた瞬間、それはきた 口の中に突然押し込まれるもの。それは、とても甘酸っぱくておいしくて……ブドウですわねこれ 「難しいこと考えてそうだったから美味しいもので中和だべー」 ぶえっと笑ってそんなことをのたまう彼女に………心底脱力してしまう まあ、いいか。この田舎娘でも、スイーツづくりの手伝いくらいはできるだろう。せっかくいただいたのは彼女のおかげなのだし、あとでお願いすることにしよう ため息をひとつついて、もう一つブドウを手に取る。すると、彼女は口を開けて

9 23/05/29(月)23:02:02 No.1062211233

「んあー」 ………今度はそっちが食べさせろ、ということか はいはいと。もう一度ため息をついて、皮を剥いたブドウを彼女の口に差し入れる 「はむっ。んー！！」 「いちいち大げさですのよ、貴女」

10 23/05/29(月)23:02:22 No.1062211367

まったく、まるでひな鳥だ ブドウはまだまだある。もう少し甘くゆっくりした時間を過ごしてもいいだろう。試験勉強も、スイーツづくりもそれからだ 今度は、彼女お気に入りの方のブドウを一つ手に取る 「甘いですわね」 「うん、甘いべー」 お手柄な彼女に、くすっと一つ笑って その甘いブドウを、口に放り込んだ

11 23/05/29(月)23:02:38 No.1062211465

以上。お題貰ったので酒飲んでブエディザした

12 23/05/29(月)23:03:04 No.1062211666

ウワーッ！

13 23/05/29(月)23:03:39 No.1062211892

ブエディザ久々に見た

14 23/05/29(月)23:05:21 No.1062212687

もっと酒飲め

15 23/05/29(月)23:06:06 No.1062212960

ナチュラルに距離が近い…！

16 23/05/29(月)23:06:39 No.1062213172

このくらいゆるくて甘い関係がちょうどいい

17 23/05/29(月)23:07:34 No.1062213553

またイチャついてる…

18 23/05/29(月)23:09:44 No.1062214591

この連日のブエディザ怪文書はいったい…

19 23/05/29(月)23:12:29 No.1062215842

>この連日のブエディザ怪文書はいったい… お題で浮かんだのがブエディザだったから仕方ない

20 23/05/29(月)23:13:50 No.1062216376

連日斤量が増えそうなことしてるなこの田舎娘…

21 23/05/29(月)23:15:17 No.1062216969

酒を飲ませると怪文書を吐くらしい

22 23/05/29(月)23:20:59 No.1062219265

肝臓やらない程度に毎日酒飲んでほしい

23 23/05/29(月)23:21:35 No.1062219554

>連日斤量が増えそうなことしてるなこの田舎娘… 同室の子のせいでお腹が大きく…

24 23/05/29(月)23:23:22 No.1062220372

>同室の子のせいでお腹が大きく… ヒソヒソ…お赤飯よ…まだ現役なのに…

25 23/05/29(月)23:24:13 No.1062220775

>>連日斤量が増えそうなことしてるなこの田舎娘… >同室の子のせいでお腹が大きく… 違 ウ 聞