23/05/29(月)00:02:58 あの人... のスレッド詳細
削除依頼やバグ報告は メールフォーム にお願いします。個人情報、名誉毀損、侵害等については積極的に削除しますので、 メールフォーム より該当URLをご連絡いただけると助かります。
画像ファイル名:1685286178793.jpg 23/05/29(月)00:02:58 No.1061906648
あの人が好きだ。 あの人がいると、幸せな気持ちになる。 心が暖かくなる。 あの人の一緒にいたい。 だけど、それだけではない。 独占したい。 自分だけのものにしたい。 負の心も、自分の中に生まれていた。 目を背けたいけど、認めざるを得なかった。
1 23/05/29(月)00:03:14 No.1061906726
「あれ?」 ブルーへの電話。 レッドは早朝から試みているが繋がらなかった。 まだ朝だが、いつもならブルーはすでに起きているはずだ。 「ま、そんな日もあるか」 大した用があるわけでもない。 単に彼女の声が聞きたかっただけだ。 暇ならば遊びに行ってもいい。 普段はブルーの方から言っていたことを、気まぐれでこちらからしたのだが。
2 23/05/29(月)00:03:37 No.1061906869
「なれないことはするもんじゃないな」 呟き、ポケギアをしまう。 コーヒーでも飲んで気分を切り替えよう。 そう思って席を立ち、コーヒーを淹れて戻ってきた。 すると、そのタイミングでポケギアが鳴った。 手にとって、通話ボタンを押す。 最愛の恋人の声が響いた。 「おはようレッド」 「おはよう。寝てたか?」 「ううん。ちょっと仕事の方でね。 イッシュだから時差がね」 「あ、そっか」
3 23/05/29(月)00:05:10 No.1061907383
約半日はカントーとイッシュとでの時差がある。 カントーでは朝だがイッシュでは夜なのだろう。 仕事先というのもあってそっちを優先するのは当然だった。 「ごめん。オレそういうブルーの事情知らなくて」 「いいのよ。アタシが言わなかったんだし。 それよりアタシに何か用だった?」 「あ、それは暇なら遊びに行かないかってだけなんだけど」 先程の用件を伝えると、ブルーは声のトーンを上げた。 「ほんと!?行く行く! 仕事終わったしリフレッシュしたいわー」
4 23/05/29(月)00:05:29 No.1061907489
とても嬉しそうに了承してくれて、誘ってよかったとレッドは思った。 「すごいタイミングよかったわ。 たまたまだろうけどレッドのそういうところ好きよ♡」 「たはは。それくらいでそこまで褒めてくれるならよかったよ」 「それじゃ、そっちに行くから待ってて。 会ったらキスしてあげちゃう」 「うん。楽しみにしてるよ」 通話が切れる。 もうすぐ、あと少しすればブルーに会える。 そう思うと楽しみで仕方がなかった。
5 23/05/29(月)00:05:44 No.1061907595
「レッド、お待たせ!」 ブルーが合流すると、宣言通り唇を重ねられた。 「それで、今日はどうする? いつもみたいにおうちデートでもする?」 「うーん、たまには出かけないか? いつもとちょっとことする方が気晴らしになるし」 「いいの?じゃあそうしましょ」 ブルーがそういうと、レッドに身を寄せてきた。
6 23/05/29(月)00:14:29 No.1061910567
「レッドって、案外アタシのこと考えてくれるよね」 「まあ大事な彼女だしな。 ブルーだってオレのこと気にかけてくれてるだろ。 お互い様だよ」 「…そうね。そうかも」 ブルーは否定しなかった。 先程までのテンションの高さとは打って変わって、冷静にレッドに言ってくる。 「じゃ、行こうか。 行くなら早い方がいいだろ?」 「…うん!」 手を繋いで、玄関に向かう。 2人で、外の世界へ行くために。
7 23/05/29(月)00:22:43 No.1061913312
「レッド、こっちの服いいと思うんだけど」 「任せるよ。ブルーのセンスならハズレないだろうし」 久しぶりに洋服を買う。 季節の変わり目ということで、せっかくだからと新しい服を買おうとしているのだ。 「次、アタシも買いたいのあるから付き合ってくれる?」 「ああ。もちろん」 特に迷うこともなく、レッドは了承した。
8 23/05/29(月)00:30:52 No.1061915856
「レッド、こっちのが可愛くない?」 「そ、それはオレにはちょっと…」 ブルーに連れられた店。 そこは下着を扱う店だった。 ブルーが手にしているのは女性用の下着。 どれもレッドにとっては目の毒だった。 デザインに関しては、レッドがそういったことに疎いのもある。 それ以上に、この場で注視するのは抵抗があった。
9 23/05/29(月)00:35:03 No.1061917011
彼女が下着を買う。 つまりは、この場で買った下着をブルーが後で身につけるということだ。 その光景を想像すると、レッドは平常心を保てなかった。 ブルーの下着姿。 それは何度も見たし、その下まで確認している。 だけどそれでも彼女のそういった姿は扇状的で、女性として強く意識してしまう。 それほど、魅力的な肢体と色気を持っていた。
10 23/05/29(月)00:43:02 No.1061919333
「お、オレ外で待ってるから!」 「仕方ないわね。 それじゃちょっと待っててね」 逃げるように店を出て、一息つく。 ブルーには呆れられたようだが、やむを得ない。 あそこはレッドには刺激が強すぎる。 レッドとて興味がないわけではないが、あそこにはレッドとブルー以外にも客はいた。 女性客ばかりの店に男の自分がいるのは場違いなような感覚があった。
11 23/05/29(月)00:53:21 No.1061922084
「お待たせ。ごめんねからかって」 店から出てきたブルーに謝られる。 「いやいいさ。それより買いたいのは買えたか?」 「ええ。今度見せてあげるから楽しみにしててねー」 袋を軽く掲げてくるブルーに苦笑する。 結局からかってはきているが、この程度は許容範囲だ。 そうしてくるくらいに心を開いてくれていうのはわかっているし、 そういったところもかわいいと思う。
12 23/05/29(月)01:00:11 No.1061924000
「あ、ちょっと待っててね。 少し用事があって」 「用事?」 「…女の子から言わせないでほしいんだけど」 「あ、ごめん」 どこかに去っていくブルーを見送る。 多分、トイレなのだろう。 自分たちの仲でも、こういう公共の場で直接その名を口にするのは抵抗があったようだ。 自分もそういうところを察するのは苦手だな、とつい思ってしまう。
13 23/05/29(月)01:09:06 No.1061926392
しばらく待つ。 が、なかなかブルーが戻ってこない。 「おかしいな…」 単にトイレが混んでるとかの理由ならばいいが、心配になる。 気になって、ブルーの去っていった方に向かう。 少し歩くと、ブルーを見かけた。 そちらに近づく。 と、そこには男性がいた。 何かをブルーと話しているようだ。 内容は聞き取れないが、双方ともに笑顔で会話を楽しんでいるように見えた。
14 23/05/29(月)01:13:50 No.1061927605
そう感じた時。 レッドの中で何かが。 嫌な感じのするものが。 痛みのようなものが生まれた。 具体的は、わからない。 どう表現するか、レッドにはわからない。 ただ、目の前の光景がレッドにとってのそれを生むきっかけなのは間違いなかった。
15 23/05/29(月)01:18:29 No.1061928751
「あ、レッド」 ブルーはこちらに気づくと、男性と別れて近づいてきた。 「さっきの人は?」 その声は、自分でも驚くくらいにトーンの低いものだった。 ブルーも違和感があったのか、驚いたように目を見開く。 すぐに元に戻って、明るく答えてくる。 「旅行に来た人だって。 カントーは初めてだから見るもの全てが新鮮で楽しいって言ってた」 「そっか」 特にブルーに下心があったわけではないようだ。 それに安堵する。
16 23/05/29(月)01:21:33 No.1061929467
「レッド、もしかしてヤキモチ?」 「え?」 ヤキモチ。 嫉妬。 ブルーに言われ、初めて意識する。 それらの感情が、さっきの自分にあったのか。 考えてみる。 「…わかんないな」 「そうなの?」 正直に、わからないということを話す。
17 23/05/29(月)01:24:38 No.1061930191
「ブルーに何もなかったって知ったらさ。 さっきのもなんかどうでもよくなって」 意外と、負の感情は長続きしない。 怒りも悲しみも、それを維持するにも労力が必要だ。 そうするほどにまで強くはない。 先程の感情は、そこまでは激しいものではなかった、 「そうならそれでもいいわ。 じゃ、続き行きましょう」 「ああ」 手を繋いで、歩き出す。 先程の感覚は、それで洗い流されるように消えていった。
18 23/05/29(月)01:24:51 No.1061930239
以上です 閲覧ありがとうございました
19 23/05/29(月)01:25:33 No.1061930390
長くなりそうなので前後編です 次回はR-18になると思います
20 23/05/29(月)01:29:05 No.1061931107
楽しみだ