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23/05/28(日)22:53:03 No.1061878968
「………困りましたわね」 梅雨入りには、まだもう少し早いと思っていたのだけど 僅か、五分にも満たない間だっただろうか コンビニで買い物を済ませてさぁ帰ろう、とした矢先。それは大きな音と共に訪れた 「まさか、ここまで降るとは……」 バケツをひっくり返したような、という表現があるけど それはまさに、今この時のことを表しているのではないだろうか ザアザアと音を立てて降りしきる雨は、すぐにやんでくれるかといえば少し怪しいだろう さて、どうするか。自分にはあまり悩んでいる暇がない 買い物袋を見て、ため息を一つ。まったく、なんてタイミングで
1 23/05/28(日)22:53:14 No.1061879044
「アイス、溶けてしまいますわね………」 たまの贅沢、と少しお高いアイスを買ってしまった あまりここで雨を眺め続けていれば、アイスはそう長くない時間でドロドロの甘ったるい液体に姿を変えてしまうだろう それは余りにも勿体無い。トレセンからほど近い場所ではあるが、この雨の中を走っていくという選択肢はどうにも取りづらくて 「………………かくなるうえは」 コンビニの店内を見れば、そこには今最も求めているそれがある ビニール傘。そこまでお高くはない。というか安い。普通に安い だけど、自前の大事な傘はすでに持っている。この時、この場限りのために買うべきかどうか。それが酷く悩ましく思えた
2 23/05/28(日)22:53:36 No.1061879201
「明らかに、無駄遣い………ですわよね?」 選択肢は三つ 一つ、アイスはある程度諦めて雨が上がるまでここで待つ。いつ上がるかは知らない 二つ、コンビニで傘を買って帰る。無駄遣いは考えない事とする 三つ、走って帰る。今日は少し冷えるし、風邪をひくかもしれない 「………背に腹は、かえられませんものね」 嘆息し、コンビニを見る 予備の傘を買った、と思えばいいことか。別に完全に無駄になるわけでもない。自分にそう言い聞かせて もう一度店内に戻ろうとした時、雨音に混ざってその声は聞こえた 「あれ?ディザイア、なにしてるべ?」
3 23/05/28(日)22:53:46 No.1061879276
振り向けば………そこには、嫌というほどに見慣れたウマ娘 なにやら紙袋を抱え、黄色い鮮やかな傘をさして………何故かたい焼きを口に咥えているそのウマ娘、ブエナビスタ 彼女は、心底不思議そうにこちらを見ていたが……やがて、何かを察した様で 「あ。もしかして、傘持ってきてない?」 「………ええ。天気予報をよく見ておかなかったせいで、このようなことに」 顔が赤くなりそうだ 少なくとも、しっかりテレビかネットで予報を見ていたのだろう彼女は十分な備えをしていたわけで。自分はそれをしていなかったからこそ今こうしている 間抜けな所を見られてしまった。しかもよりにもよってこの人物に
4 23/05/28(日)22:53:57 No.1061879333
「適当に傘を買って帰りますわ。どうぞ、お気になさらず」 「えー。傘代もったいないべ」 「ですが、他に手は無いでしょう?まさか淑女にこの大雨の中歩いて帰れと?」 先ほど、それを選択肢に入れていたことは棚に上げて、と 「ほへ?手ならあるべ」 「は?貴女、一体何を………」 すると、彼女はたい焼きを飲み込んでからこちらに寄ってきて 「はいっ」 「………は?」
5 23/05/28(日)22:54:07 No.1061879391
傘を、半分ほど。私の方に差し出してきた 「二人で傘さしていけばいいべ。結構大きい傘だから………」 「………濡れるでしょう、絶対」 「こんな大雨だべ。どうせ傘さしてても多少は濡れるべ」 「そういう問題ではなくて………」 ちらっと、買い物袋の中身を見る あまり時間は無いのは確かだ。これでアイスが全滅すればそれこそ無駄遣いというものか そして、無駄な傘を一本部屋に置くことにならないで済むのも確か。この中を全力疾走するより濡れないのも確かだろう 「………いいんですの?」 「ここで空眺めてるより、早く帰って温かい飲み物でも飲んだ方が絶対いいべ」 「ふぅ」
6 23/05/28(日)22:54:19 No.1061879473
能天気にぺかーっと笑いながらそう言ってくる姿に、返せる言葉はもう残っていなかった 諦めて一歩踏み出し、彼女の傘の中へ。すると満足そうに、彼女も笑う と、ここで漂ってきたのは甘い匂いだった 「……貴女、たい焼きどれだけ買ったんですの」 「えへへ、安くなってたからつい」 「つい、じゃありませんわ」 「ディザイアも一緒に食べると思ったから、大丈夫だと思って………」 ああ、そうだ。この子はそういう子だった、と。呆れ半分で息をつく 「………ひとまず、感謝しますわ」 「ディザイアが素直………だからこんな大雨に」 「減らず口をたたくのはこの口ですの?」 「ほへー」
7 23/05/28(日)22:54:33 No.1061879551
頬っぺたを軽く摘まんで、むにーんと伸ばしてやる む、なかなかのもちもち………普段肌のケアとかおざなり気味な癖に、生意気な 「帰ってたい焼きでお茶するべー。あんことクリーム、両方買ったべ」 「あら、ではクリームをいただいても?」 「いい………あ、どれがどれだかわからなくなったべ」 「貴女………」 気を抜けば相手の声も聞き逃してしまいそうな大雨の中、肩を寄せ合って歩く ばしゃり、ばしゃりと。水たまりで足が濡れるのに顔を顰めながら ザアザア、ザアザアと降りしきる雨の先をしっかり注意しながら いつもお気楽能天気な彼女と、転ばぬように
8 23/05/28(日)22:54:43 No.1061879606
(少し肩が濡れてしまいますが………) それは、お気楽に笑っている彼女もそうだ 自分だけ先に帰っていれば濡れずに済んだろうに。傘の一本、買わせておけばよかったのに だから、そう……… 「………お人よし」 「だべべ?」 「なんでもありませんわ」 帰ったら、お礼にアイスの一つくらいやってもいいだろう そんな事を考えながら、真っ直ぐ過ぎる彼女の視線から顔を逸らした
9 23/05/28(日)22:55:09 No.1061879761
以上。お題いただいたので酒飲んでブエディザした
10 23/05/28(日)22:57:05 No.1061880464
いい…
11 23/05/28(日)22:58:57 No.1061881175
久々に見た
12 23/05/28(日)23:00:19 No.1061881679
ブエナはこういうことする
13 23/05/28(日)23:00:31 No.1061881753
同室…相合傘…何も起こらないはずがなく…
14 23/05/28(日)23:01:37 No.1061882195
たい焼き…アイス…斤量…
15 23/05/28(日)23:06:38 No.1061884126
>たい焼き…アイス…斤量… それ以上言うなべ
16 23/05/28(日)23:07:24 No.1061884420
おー!ディザイアはブエナと仲がいいんだな!
17 23/05/28(日)23:08:51 No.1061884934
>おー!ディザイアはブエナと仲がいいんだな! 違 ウ 聞
18 23/05/28(日)23:14:37 No.1061887151
…仲良しじゃないべ?
19 23/05/28(日)23:15:00 No.1061887300
>…仲良しじゃないべ? >違 >ブ >聞
20 23/05/28(日)23:16:09 No.1061887783
ディザイアは忙しいな…
21 23/05/28(日)23:20:52 No.1061889848
修羅場なのよね…
22 23/05/28(日)23:25:15 No.1061891840
ブエディザは健康にいい
23 23/05/28(日)23:32:21 No.1061894989
太りますよ娘ぇ!
24 23/05/28(日)23:37:06 No.1061897024
>太りますよ娘ぇ! ブーメランブッ刺さってるべ
25 23/05/28(日)23:45:26 No.1061900261
ウオダス ブエディザ これで全て解決なのよね…
26 23/05/28(日)23:46:07 No.1061900502
>ウオダス >ブエディザ >これで全て解決なのよね… 違 ダ 聞
27 23/05/28(日)23:55:34 No.1061904069
ブエナと一緒にいつもわちゃわちゃしてる子って覚えられてそうなディザイア
28 23/05/28(日)23:58:14 No.1061904998
>ウオダス >ブエディザ 同室ペアいいよね
29 23/05/28(日)23:59:48 No.1061905490
>同室ペアいいよね いいのよね…