23/05/22(月)00:34:28 泥深夜 のスレッド詳細
削除依頼やバグ報告は メールフォーム にお願いします。個人情報、名誉毀損、侵害等については積極的に削除しますので、 メールフォーム より該当URLをご連絡いただけると助かります。
画像ファイル名:1684683268129.jpg 23/05/22(月)00:34:28 No.1059612775
泥深夜
1 <a href="mailto:sage [1/6]">23/05/22(月)00:35:41</a> [sage [1/6]] No.1059613206
ばきんと鋼が折れる音が悲鳴のように路地へ響いた。弾け飛んだものに思わず目が行く。 切っ先鋭い2本の鉄片が石畳と塀にそれぞれ突き刺さっていた。セイバーの持つ直刀の刃先だった。 「セイバーっ!?」 「だぁいじょうぶ、こっちは数打ちだよ。割と頑丈なのに折ってくれるなんて、さすがだ………ねっ!」 無造作に刀身が折れた直刀の柄を投げ捨て、セイバーが空中で何かを掴むように五指を動かす。まるで背負った長物を掴むような動きで。 即座にゆらりと空気が揺らめいてエーテルが結集し、光を帯びながら現れたのは長大な鉄塊だ。 宝石と彫刻で清楚に彩られた巨剣の柄を握りしめるなり、セイバーは割れよとばかりに石畳を両の足で踏みしめて大上段から巨剣を振り下ろした。 セイバーの身の丈ほどもある長さのそれが稲妻の速度で前方の巨大な空間を薙ぐ。瞬間、再びの爆発が起こった。 大きな音と光に思わず身が竦む。破壊がもたらされたのは今度は飛来物の方だった。セイバーの剣は飛来物を完全に圧倒し、打ち砕いた。 粉々になって周りに飛び散る木片。その中でからんと硬質な音を立てたものがある。目をやるなり私は驚いてしまった。鉄製と思しきこれは───
2 23/05/22(月)00:35:44 No.1059613228
今宵は静か
3 <a href="mailto:sage [2/6]">23/05/22(月)00:35:51</a> [sage [2/6]] No.1059613269
「矢じり!?でも、こんな大きな………!?」 「矢じゃないよ。槍だね。ご丁寧にしっかり魔力が込められてるのは魔術なんだか、それとも宝具なんだか。どちらにしても腕利きだ」 空気が裂ける音を立てながら巨剣を横薙ぎに振り回し、近寄ろうとする人形をセイバーが牽制する。 細腕なのによくこんな超重量の剣を片手一本で振れるものだと感心してしまう………いや、今はそんな事を考えてる場合じゃない。 「槍、ということは………ええと、ランサーというクラスの………?でも、ランサーはもう………」 「だね。ランサーのやつにはもう会ったし、別のクラスだ。遠間から撃ってくるんだからアーチャーの線が濃厚だけど、にしても投げ槍ってさぁ?弓兵のクラスとしてどうなんだろうね?」 くすくすと笑ったセイバーは担いでいた巨剣をもう片方の手に持ち変えると、不意に自由になった方の腕を私の腰に回してくる。 ぐい、と引き寄せられた。急なことでびっくりしてしまってされるがまま。サーヴァントなんだから当然なのだろうけど、腰に添えられた腕の力は想像以上に逞しい。 その力強さに意図せず鼓動が大きくなってしまった。うわ、わわ、と変な声が出るくらいには。
4 <a href="mailto:sage [3/6]">23/05/22(月)00:36:03</a> [sage [3/6]] No.1059613344
まだセイバーは鎧を着ていないからその細身の肉体へ布越しに私は押し付けられる。鼻先を擽ったのは透き通るような微かな香り。 「せ、セイバーっ、なんですかっ!?」 「撃たれてる以上こんなところで相手してたら狙い撃ちだ。舌噛まないようにね、マスターっ!」 「どういうこと………ひゃぁっ!?」 聞き返す間もなくセイバーが石畳を力強く蹴った。腰に回された腕で支えられ、つられて私も跳び上がる。 建物の壁を軽く蹴りながら更に高く跳躍し、ぐんぐんと空に近くなっていく。あっという間に3階建ての屋上へと降り立った。内臓の浮遊感を感じる時間さえない。 屋根をセイバーの足裏が柔らかく踏んだ瞬間、私をぎゅっと身体に密着させたままセイバーは独楽のように凄まじい速度で体軸を旋回させ、片手で巨剣を撃ち振るった。 「きゃあああぁっ!?」 思わず喉から悲鳴が漏れる。今度の炸裂はほぼ至近。セイバーの着地を狙った投擲を打ち砕いたのだ。音も光も衝撃も、私の身を縮こまらせて余りある。 だがセイバーにとってはその方が都合が良かったのかもしれない。腰に伸びた腕がさらに膝のあたりにまで回され、とうとう私は片腕でひょいと抱えられてしまった。
5 <a href="mailto:sage [4/6]">23/05/22(月)00:36:15</a> [sage [4/6]] No.1059613395
少し不安定なその体勢が怖くなってついセイバーの首に腕を回して身体を支えてしまう。 間近になったセイバーの顔と視線が重なった。怯える私を元気づけるかのように、セイバーの目がにっこりと笑った。 「そうそう!そのままそのまま!ちょっと急ぐからね、しっかり捕まっててよっ!」 セイバーがそう言ってる間にも私の耳にあのかちゃかちゃと木材が擦れる音が届く。見れば、壁や屋根を乗り越えて自動人形たちが我先にと群がってきている。 そのぞっとしない光景に「ひっ」と声が出そうになり、懸命に喉の奥に封じた。私と同じように人形たちを一瞥したセイバーは改めて私を抱え直すと、疾風のように走り出す。 屋上伝いに疾く、疾く!星が瞬き出した群青色のウィーンの空の下、みるみるうちに景色が横へ横へと吹き飛んでいく。 その速度、その勢い、轟々と突き抜けていく空気の壁の触感、屋根から屋根に跳び移る際の浮遊感、私を支えるセイバーの確かな質感。 すごい、こんなの生まれて始めて。まるで空想小説の中の出来事みたい───恐怖感を本能が麻痺させようとしているか、場違いにも心が踊った。 「セイバーっ!このまま向こうの射程外まで逃げ切っては!?」
6 <a href="mailto:sage [5/6]">23/05/22(月)00:36:26</a> [sage [5/6]] No.1059613460
風の音が邪魔で、こんなに密着しているのに私は叫ぶように声を張る。セイバーの黒曜石の瞳が一瞬だけ私の横顔を垣間見た。唇に力強い微笑みが浮かぶ。 「良い手だ!でも向こうがそれをさせてくれない!アーチャーかもしれない相手に背中を向けて走る愚は避けたいなっ!どうするにせよ、軽く一発かましてやる必要があるね………!」 そうしている間にもセイバーは走りながら巨剣を振って投槍を防ぎ、進行方向で待ち構えていた人形たちを飛び蹴りで纏めて地面の下まで吹き飛ばす。 次の屋根へと跳び移る、と見せかけてセイバーは足をその場に突き立てて静止した。振り向くなりわらわらと追いすがる人形を身体の回転に任せた巨剣の旋風斬りが捉え、バラバラに打ち砕く。 振り落とされないよう必死でしがみつく私の目の前でセイバーは無造作に巨剣を足元へ突き立てると、虚空から直刀を呼び寄せて握りしめた。 「狙いは適当!だいたい発射点があるあたり!上手くいけばぱんぱかぱーん!拍手喝采!出来るさ、私は最優の勇士だ!」 投槍も人形も追い払った僅かな空白───セイバーは私を抱えたまま軽くテイクバックすると、直刀を深まっていく夜の闇へと鋭く投げつけた───
7 <a href="mailto:[6/6]">23/05/22(月)00:36:39</a> [[6/6]] No.1059613538
「!」 「まあ」 鐘撞き堂の上から逃げ回るサーヴァントを攻撃していたアーチャーは、塔を構成する眼下のレンガに刃が突き刺さったのを見て身を硬直させた。 その背後で放った自動人形の様子を見ていたヴィオレットも少し驚いた調子で口元に手をやる。 「狙ってここまで投げたのかしら?アナタのように」 「どうだろう。もう何本も投げているから多少は居場所のあたりがついているとは思うけれど」 相手はセイバーだ。そこまで正確な投擲がアーチャー並に可能とは思えない。事実、刃はアーチャーたちから大きく逸れている。 ヴィオレットが調達した木材で作った予備の槍はまだストックがある。攻撃を続行しようと次の槍へ手を伸ばしかけたアーチャーはふと異変に気づいた。 ちり、と直刀の柄に炎が灯る。それが急速に盛んになり、ばちばちと音を立てて燃えだした頃には既に行動に移っていた。 「マスター、ごめんよっ!」 槍を放棄。返事も聞かずにヴィオレットを担ぐと塔から跳び降りて虚空に身を委ねる。 重力に引かれていく背中が空気の圧迫を感じる。すぐに激しい熱と音も伝わってきた。ふたりが火の玉となった直刀の爆発の範囲外へ咄嗟に逃れた頃の事だった。
8 23/05/22(月)00:40:23 No.1059614770
ぱんぱかぱーん!
9 23/05/22(月)00:40:47 No.1059614902
バトルがあるSSいいですね… 読んでて楽しくなる
10 23/05/22(月)00:41:53 No.1059615292
ほわぁ とか ぱんぱかぱーん! とか
11 23/05/22(月)00:46:19 No.1059616656
ズルくない?この主従鳴き声がズルくない?
12 23/05/22(月)00:53:47 No.1059618937
言い忘れてたけど前編は前の土曜日18時のスレね
13 23/05/22(月)00:55:48 No.1059619544
地上に降ろされたかわいい陣営の運命は如何に
14 23/05/22(月)00:57:05 No.1059619918
ここまでやっても虎の子の直接操る人形もあるしセイバーは弱体化してるしでほわぁちゃん側はだいぶ辛そう
15 23/05/22(月)01:00:42 No.1059620958
ぱんぱかおーさま…
16 23/05/22(月)01:06:17 No.1059622490
真っ当に強いよねアーチャー組
17 23/05/22(月)01:08:35 No.1059623034
ていおーさまが本来マスター側が請け負うサポート役も一人二役でこなさなきゃいけないのが大変そう
18 23/05/22(月)01:09:32 No.1059623273
ただ作戦を上回りつつある 投げて届くのか…爆発もするのか…剣に代えがあるのか…
19 23/05/22(月)01:10:47 No.1059623560
シグルドレベルの大英雄なのを忘れてはならない
20 23/05/22(月)01:19:19 No.1059625623
しかし因縁欄での宣言通りめっちゃ人形壊しまくってる
21 23/05/22(月)01:32:22 No.1059628362
人形だってタダじゃないんですけお!ってヴィちゃん怒ってそう
22 23/05/22(月)01:35:58 No.1059629066
そろそろお色気回が欲しいです
23 23/05/22(月)01:36:32 No.1059629179
このまま格闘戦が欲しいです
24 23/05/22(月)01:43:46 No.1059630543
ぱんぱかさまとほわぁちゃんが仲良くしてるところも見たい
25 23/05/22(月)01:45:41 No.1059630846
>そろそろお色気回が欲しいです >このまま格闘戦が欲しいです お色気格闘戦!!?
26 23/05/22(月)01:47:20 No.1059631124
来たな…エロコメ回…
27 23/05/22(月)01:48:00 No.1059631232
>人形だってタダじゃないんですけお!ってヴィちゃん怒ってそう よくもまぁ盛大に破壊してくれましたね、ここまで破壊されたら逆に気持ちいいぐらいよ サーヴァント相手の為破壊されることはもちろん想定していましたし、お陰でセイバーとマスターの戦い方や能力はある程度はわかりましたから大きな収穫と言えるでしょう でもそれはそれとして、せっかく綺麗に着飾った人形達が灰になってるじゃない!どれもこれもワタシ手製の衣装でしたのよまったく…帰ったらまた人形を作り直さないとね、材料費もただじゃないに…費用はセイバーのマスター宛に請求してあげようかしら?
28 23/05/22(月)01:49:17 No.1059631459
>>そろそろお色気回が欲しいです >>このまま格闘戦が欲しいです >お色気格闘戦!!? 鎧を剥かれるアーチャー
29 23/05/22(月)01:50:11 No.1059631611
マスター同士によるキャットファイトはちょっと見てみたい
30 23/05/22(月)01:51:57 No.1059631905
お色気回と言えばやはり風呂に間違って入っちゃっておっぱい見えちゃうアレは欲しい
31 23/05/22(月)01:53:25 No.1059632152
ヴィオにゃんとほわぉのお風呂 そして殴り込む頭ぱんぱか
32 23/05/22(月)01:55:20 No.1059632440
>お色気回と言えばやはり風呂に間違って入っちゃっておっぱい見えちゃうアレは欲しい 絶対ほわぁって鳴く
33 23/05/22(月)01:57:42 No.1059632811
>ヴィオにゃんとほわぉのお風呂 >そして殴り込む頭ぱんぱか 一緒に風呂に入るのならほわぁちゃんのおっぱい見ながら >「ワタシとアナタ、背丈は似てるけど身体は全然違うわね…随分立派なモノじゃない」 とヴィオレットは言うだろうな
34 23/05/22(月)02:03:53 No.1059633654
>費用はセイバーのマスター宛に請求してあげようかしら? ウリちゃんお金あるのかな…
35 23/05/22(月)02:03:59 No.1059633673
ほわぁちゃんのでっかいほわほわをずっと身体に押し付けていたけど感想はどうですかぱんぱかさま
36 23/05/22(月)02:05:31 No.1059633921
きっと現代ならラインブーフ家が持っていただろうパパのブラックカードで豪遊できていた
37 23/05/22(月)02:08:45 No.1059634424
>>費用はセイバーのマスター宛に請求してあげようかしら? >ウリちゃんお金あるのかな… 金かしてくれそうなマスターいるかな…
38 23/05/22(月)02:10:17 No.1059634632
家族が全滅してるから後ろ盾が一切ない常識もないお金がない食べられない死
39 23/05/22(月)02:11:02 No.1059634709
ヴィオにゃんが奢る側に
40 23/05/22(月)02:12:20 No.1059634883
>ほわぁちゃんのでっかいほわほわをずっと身体に押し付けていたけど感想はどうですかぱんぱかさま えーとねー やわかった!!
41 23/05/22(月)02:13:07 No.1059635003
なんだかんだお嬢様生活はさせてもらってたのが知らない土地でいきなり浮浪者に
42 23/05/22(月)02:17:56 No.1059635702
>やわかった!! 素直でよろしい…
43 23/05/22(月)02:19:42 No.1059635956
>家族が全滅してるから後ろ盾が一切ない常識もないお金がない食べられない死 生活費を稼ぐためにウリする瓜ちゃん…
44 23/05/22(月)02:21:47 No.1059636238
>ヴィオにゃんが奢る側に アナタお金ないの…? 仕方ないわね好きなのを食べなさい
45 23/05/22(月)02:25:08 No.1059636628
俺セルヴィスちゃんやヴィオにゃんがなんか面倒見てやりたくなる気持ち分かった!