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23/05/21(日)20:26:28 泥ピー のスレッド詳細

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23/05/21(日)20:26:28 No.1059510628

泥ピー

1 23/05/21(日)20:32:51 No.1059514162

泥柿の種

2 23/05/21(日)20:33:18 No.1059514406

泥のピー音

3 <a href="mailto:末魔 1/4">23/05/21(日)20:39:49</a> [末魔 1/4] No.1059517851

油断がなかった、と言うと嘘になる。 戦えば此方が勝つ、そういう自信は確かにあった。サーヴァント込みでも、抜きでも、総合的に優っていると。 息ができない。今一つ空気を吸うたびに、二つ血が流れるようで、これ以上己の中身を外に出せない。 このザマだ。バーサーカーを街に送り出し、秘蔵の虚も空に浮かべたまま。持ち物を放った上で戦ったらどうなるか、それも込みで考えておくべきだった。 「なぜ、こういうことをしたんだい?」 片手に本を遊ばせたまま、男は素っ頓狂な声を放つ。 その音が耳に入るたび、左手で抑えた傷の内が煮えるようで、視界に映る像がゆらゆらと揺れる。 そんな事が重要か、と……流れる思考は、ついぞ喉を震わせない。 近づいてくる。 己の勝利を確信した足取り。確実に自分でトドメを刺せると、そう結論づけた故の歩み。 そうだ。私は、それが…………許せなかったのに。 今になって、ようやく。 ようやく、やりたい事を見つけた。 だから──────

4 <a href="mailto:末魔 2/4">23/05/21(日)20:40:17</a> [末魔 2/4] No.1059518129

「────何のつもりかな」 剣を握り震える右手を、左腕で支えて伸ばす。 その鋒は、間違いなくその男へ。 「Moletage, Haptics, Spinor……回れ、巡れ、廻れ、我が内に宿る鼓動を繋げ」 紡ぐ。ただ湧いて出た言葉を、無造作に束ねて剣に乗せる。 少しだけ、聞いた話だが。世界のどこかに『魔眼を集める列車』というものがあるそうだが。なんとも驚く事に、集めた魔眼を使い潰して砲弾にする機能があるそうだ。 そういう事ができるなら。 どうせ死ぬくらいなら。そう、死ぬのなら。 こんなヤツに殺されるでなく。ただ、淡々と殺されるわけでなく。 自分で自分を使い潰して、ボロ切れのように死んでやろう。それが……ただ生きていた人々を、死にたくなかった人々を焼いた私にはお似合いだ。 「賢い賢いアナタなら、逃げるべきだって分かりますよね?近づいたら当てられる、そのくらい……」 半分は強がりで、もう半分は目標だ。 遠くまで逃げられれば、確実に当てる手段なんかはない。ただ、視界の中に居れば……近ければまだ、可能性はある。 そんな可能性ばかりは分かる、あの男にこそ通じる脅し。

5 <a href="mailto:3/4">23/05/21(日)20:40:45</a> [3/4] No.1059518359

傷口が熱い。熱くて騒々しくて寒々しくて空で湿ってて。 痛い。ああ、痛い。 だけどそれが、一つ一つ無くなっていく。暑さも煩さも気持ち悪さも、ゆっくりと形を無くしていく。 全部……全部、次の一撃に焚べられる。 男が何かを話す。 けれどもう、聞こえない。何かを感じる機能はもう、とっくに武器に替えてある。 後退。 右手が剣を支えられない事を、左腕が予告する。撃たなければならない。そうしなければ、もう放つ機会は永遠に失われる。 視界は明るい。明るくて、明るくて────真っ白だ。 時間が長い。腕に力を入れたような気はするが、もはや現実を確認する事すらままならない。何もかもが夢のようだった。 けど、上手く行ったらしい。 目一杯の閃光が消えて、ふと鉛色の空が戻ってくる。 右手に握っていた剣がなくなって、左腕が弾かれて、足が地面についていなくて。 私は今、空を飛んでいるようだったから。

6 <a href="mailto:4/4">23/05/21(日)20:41:32</a> [4/4] No.1059518753

赤が広がっていた。 地獄と化していたウィーンの街にあって、そこだけは人気がなく、故に美しいままの姿を見せていた。 そんな庭園に一つだけ、ぶちまけられたものがあった。 ゆっくりと血を濡らす赤の真ん中で、さっきまで天にあったものが蠢いている。 それ以外には、何も。本当に、何もなかった。 ソレがなぜ、そんな末路を辿ったのかも。 あるいは何故、そんな終わりを選んだのかも。ソレ以外には本当に知りようのない事だった。 ……持っていかないで欲しかった。 私は、私が悪い事をしたから。その罰として死ぬんだって。その事を突きつけられて死ぬんだって、そう思っていたから。そうでなければならないと思ったから。 あの男に、それまで奪われるのは。 私から何もかもを奪ったあの男に、まるで憐れむように殺されるのは。本当に惨めで、アイツの思い通りに死んでやる事だけは、それだけは譲れなかった。 本当は、キミに……正しいキミに、殺されるべきだったんだろうけど。そこまでは、上手くできなかったな。

7 23/05/21(日)20:45:01 No.1059520506

つらい…

8 23/05/21(日)21:09:16 No.1059531071

美しい

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