虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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    23/05/20(土)01:49:45 No.1058881086

    泥のはなきん

    1 23/05/20(土)01:55:27 [1/3] No.1058882310

    深夜のウィーン、その一角にある閉店したカフェの軒先で夜風に当たる男が一人。 男、セルヴィス・クリムゾンは店の椅子を拝借して小さな手帳に何やら熱心に書き込んでいた。 念のために自身の魔術である滞留空間で辺りを警戒する。がいるのはネズミや野良猫等で人の気配は一切ない。 集中するには良い夜だった。…最もセルヴィスが夜風に当たっているのは集中する為ではないのだが。 「まさか、コーヒーを飲みすぎて眠れないとはね……」 手を止め、手帳から目を離すと椅子に寄りかかり筋を伸ばす。体の疲れはあるが、それ以上に目が冴えて眠れない。 ふぅ、と溜め息を吐きそのまま夜空を見上げた。星が良く見え、心なしかロンドンよりも澄んだ夜空な気がする。 セルヴィスは煙草は吸わない、酒も飲まない、アヘンも嗜まない……だから、嗜好品と言えば紅茶かコーヒー最近は専らコーヒーだった。 「煙草位覚えておくべきだったかな」 セルヴィスにはこう言う時に暇を潰すものがない。煙草を吸って肺を煙で満たすことも、強い酒を飲んでさっさと酔い潰れることも、アヘンで高揚することも出来ない。

    2 23/05/20(土)01:55:57 [2/3] No.1058882429

    だからとりとめもない思考を巡らせるか仕事の報告書の為のメモを書くか、今のセルヴィスには出来る眠くなるまでの時間潰しはそんなものだった。 「……マスター、まだ起きていらっしゃいましたか」 ふっ、と後ろから現れる気配と声にセルヴィスは伸びを止め、視線をそちらへと送る。 「やぁ、キャスター。セイバーには随分な言われようだったね、まぁ君のやった事は言われても仕方ない事だろうが」 「とは言え、良い迷惑です。 そのクリーム誰かさんと同じ扱いをされるのは」 珍しく不服そうに頬を膨らませたキャスターにセルヴィスは口元を僅かに緩ませる。 「君は、君の行った事はセイバーの琴線にほんの少し触れたらしい。敵とも見られていない僕とは違って、な」 口元が喜色に歪みながらも同時にセルヴィスの瞳に僅かに悔恨?怒り?の色が帯びた事にキャスターは気付いた。 「………意外ですね、あまり気にされないかと思いましたが」 「うん、僕も敵とすら思われてない事に対してちょっと感情が波を打つとは思わなかったよ」

    3 23/05/20(土)01:56:38 [3/3] No.1058882575

    「セイバーの性格的に僕は誇りをかけた戦いをするに値する戦士ではないと言う程度なんだろうけどね。確かに僕は戦士じゃないからその通りだ。だが……」 セルヴィスは感情を封じ込め、続きの言葉を飲み込んだ。 「とは言え、情念そのものに善悪はない。 それが悪い方に働いた例は幾つもあるし、目の前にいるがね」 「では、この情念は貴方が晴らしてくれるのですか、マスタァ」 ぞくりとするような目がセルヴィスを射抜いた。 周りに人がいれば周囲の空気が凍り付くかのような錯覚を覚えただろう。 「それを僕にぶつけて解決しない事は君自身が一番分かっているだろう。聡明なる女王スクルド」 セルヴィスは目を反らす事なく僅かに目を細めると、一切動じずに言い放った。 「……そういうところですよ」 キャスターの内にある情念を知りながら、受け止めるでもなく恐れるでもなく避けて逃げる。 キャスターは言いたいことを胸にしまい、再び口を閉じると姿を消した。

    4 23/05/20(土)01:57:00 [4/3] No.1058882656

    「僕には君の情念を晴らす性分も受け止める度量もないのでね。そうだ、僕は……」 ああ、やはり酒か煙草かアヘンでも嗜んでおけば良かった。 それでも何れ答えは出さねばならない。そう訴えかける感情を圧し殺したセルヴィスの思いを余所に夜は更けていく。

    5 23/05/20(土)02:04:47 No.1058884199

    セルヴィスちゃんも色々悩みが出てきて苦しい立場ね

    6 23/05/20(土)02:21:45 [1/8?] No.1058887533

    フィレンツェの郊外にある廃墟の一角に、不思議な光景が広がっていた。 そこには、中世の騎士のような格好をした老人と、緑のマントに身を包んだ女性が、石や木材を積み上げて城壁を作っていた。 彼らは聖杯戦争と呼ばれる魔術師たちの戦いに参加するサーヴァントという存在で、老人はランサー、女性はアサシンと呼ばれるクラスに属していた。 彼らのマスターは、残影というべき謎の存在で、会話も何を言っているか分からず、姿も常に狂ったように変化しており、何を考えているかわからなかった。 しかし、幻術にとても強い耐性のあるアサシンには残影が何らかの呪いに蝕まれた哀れな人間なのだとわかった。 彼女は残影を救いたいと思いその知略を駆使し、この聖杯戦争で勝つために自らの宝具を駆使し城塞を築き上げようとしていた。 「ふぅ……これで一区画完成だな。流石に疲れたぞ」 ランサーは汗を拭きながら言った。彼はドン・キホーテという名で知られる空想の騎士で、自分が聖杯戦争に参加していることを理解していなかった。 彼にとって、この戦いは自分が夢見る冒険の一つであり、聖杯は美しい姫君や財宝と同じくらい魅力的なものだった。

    7 23/05/20(土)02:22:10 [2/8] No.1058887611

    彼は自分の相棒であるアサシンと協力して城を築くことに熱中していたが、その理由は単純だった。彼は城が好きだったからだ。 「お疲れ様です、ランサー。私も少し休憩させていただきます」 アサシンは礼儀正しく言った。 彼女はボレスラフ一世という名で知られるボヘミアの公爵で、兄殺しの逸話とその所業から残酷公という悪名を持っていた。 しかし、彼女は実際にはチェコの礎を築いた賢く勇敢な君主であり、キリスト教徒としても信心深かった。 彼女は男として振る舞うことを好んでおり、歴史書通りに男として扱われる方が気楽だった。 共に呼び出されたランサーとは協力こそしていたが、彼の性格は彼女が嫌う『人の話を聞かぬ猪突猛進の馬鹿』としか言いようがなく耐え難いものだった。 よって、決定的な対立とまでは行かないものの些細なことでこの二人は口喧嘩をしていた。 「休憩だと!? この世界に休憩など存在しないぞ! 我々は遍歴の騎士であり、常に正義と冒険を求めて歩む者だ!  この城塞は我々の夢を実現するための手段であり、それ以上でもそれ以下でもない! 早く完成させてこの地から旅立つべきだ!」

    8 23/05/20(土)02:22:42 [3/8] No.1058887715

    ランサーは熱弁した。彼はドン・キホーテという名で知られる空想の騎士であり、自分が聖杯戦争に参加していることを理解していなかった。 「ランサー様、私も夢や正義に興味がありますが……今回の目的は聖杯戦争ですよ。他のマスターやサーヴァントから攻撃される可能性もありますし、この城塞は防御用です」 アサシンは諭すように言った。彼女はランサーの無茶な発言に呆れており、現実的な判断をすることが必要だと思っていた。 「攻撃される? それが何だ! 我々に敵う者など存在しないぞ! 我々は最強のコンビだ! アサシンよ! 君は私の忠実な従者サンチョ・パンサだ! 私は君を信頼し尊敬するぞ!」 ランサーは得意気に言った。彼はドン・キホーテという名で知られる空想の騎士であり、自分が聖杯戦争に参加していることを理解していなかった。 「私……サンチョ・パンサですか……」 アサシンは呆れ顔で言った。彼女はランサーからそんな呼ばれ方をされることに不快感を覚えていた。

    9 23/05/20(土)02:23:09 [4/8] No.1058887788

    城壁の上に立ち、周囲を見渡した。彼女はこの城塞が完成すれば、聖杯戦争における最強の拠点となると確信していた。 彼女の宝具は魔力で作られたコインを石の壁に変換するもので、その壁はさらに壁を生やすことができた。 つまり、コインさえあれば無限に城を拡張することができるのだ。 しかし、そのコインは魔力を消費して製造しなければならず、彼女のマスターである残影は魔力がそこまでなかった。 そのため、彼女は一日に一から二枚程度しかコインを作れず、城塞の完成には時間がかかっていた。 「もう少しで完成だ……残影様、私は必ずあなたを救ってみせます」 アサシンは心の中で誓った。彼女は残影が何らかの呪いに苦しんでいることを知っており、その呪いを解く手がかりが聖杯にあると信じていた。 彼女は残影を救うことが自分の使命だと思っており、そのためならどんな苦労も厭わなかった。 「アサシンよ! 何をしている! 早くこちらに来るのだ!」 ランサーが怒鳴ってきた。彼はドン・キホーテという名で知られる空想の騎士で、自分が聖杯戦争に参加していることを理解していなかった。

    10 23/05/20(土)02:23:29 [5/8] No.1058887861

    「ランサー、どうかしましたか? 何か問題でも?」 「問題だと!? この城塞が問題だ! これは私の城塞だ! 私が築いたものだ! 君は私の従者であり、私に従うべきだ!」 ランサーが叫んだ。彼はドン・キホーテという名で知られる空想の騎士であり、自分が聖杯戦争に参加していることを理解していなかった。 彼にとって、この城塞は自分の夢を実現するものであり、それを他人に譲ることなど考えられなかった。 「ランサー……私もこの城塞に関わっていますよ。というか私の宝具で作った壁ですし……」 アサシンは困惑しながら言った。 「君の宝具? そんなことはないぞ! これは私の宝具だ! 」 ランサーは得意気に言った。彼はドン・キホーテという名で知られる空想の騎士であり、自分が聖杯戦争に参加していることを理解していなかった。 「ランサー……それは違いますよ。あなたの宝具は物語の中の配役を与えるものですが、壁を作るものではありません。 壁を作ったのは私の宝具です。  『礎築く残酷城塞(ウクルトネー・フラディ)』という魔力で作られたコインを石の壁に変換するものです」 アサシンは冷静に説明した。

    11 23/05/20(土)02:24:11 [6/7] No.1058887969

    「そんなことはないぞ! 君が言うコインなど見たこともない! この壁は私が作ったものだ! 私が魔力を込めて作ったものだ!」 ランサーは頑なに否定した。彼はドン・キホーテという名で知られる空想の騎士であり、自分が聖杯戦争に参加していることを理解していなかった。 「ランサー……もういいです。私はあなたと争うつもりはありません。この城塞はあなたのものだと認めましょう。私はただ、残影様を救うために必要なものです。それだけです」 アサシンは嘆息しながら言った。彼女はランサーとの関係が悪化することを避けたかった。彼女はランサーが自分のマスターである残影を敬愛していることを知っており、その感情を尊重していた。 「そうか……それならば、君には感謝するぞ。君は私の忠実な従者であり、私の夢を支えてくれる者だ。私は君を信頼し尊敬するぞ!」 ランサーは満足そうに言った。彼はドン・キホーテという名で知られる空想の騎士であり、自分が聖杯戦争に参加していることを理解していなかった。 「……ありがとうございます。ランサー」

    12 23/05/20(土)02:24:33 [7/7] No.1058888042

    アサシンは苦笑しながら言った。彼女はランサーの妄想に付き合うことに疲れていたが、彼の純真さに感動もしていた。 「さあ、アサシンよ! 我々はこの城塞から出て、聖杯戦争に勝利するぞ! 我々に敵う者など存在しないぞ! 我々は最強のコンビだ! アサシンよ! 君は私の忠実な従者サンチョ・パンサだ! 私は君を信頼し尊敬するぞ!」 ランサーは熱く語った。彼はドン・キホーテという名で知られる空想の騎士であり、自分が聖杯戦争に参加していることを理解していなかった。 「はい……って待ってください!この城壁で敵を迎え撃つ作戦だと言ったでしょう!!出ていったらやられるだけでしょう!こんの馬鹿ランサー!!」 「我が従者のくせに馬鹿とは何だ馬鹿アサシン!!」 その時、誰かが笑ったような気がした。アサシンはそれは残影に閉じ込められた何者かの声なのだろうと思った。 彼女が笑える日が来るなら、この気苦労も報われるだろう。

    13 23/05/20(土)02:26:39 No.1058888472

    C(コメディ)ルートきたな…

    14 23/05/20(土)02:28:38 No.1058888835

    これ儂の城じゃないか?

    15 23/05/20(土)02:29:38 No.1058889010

    SSが二つも…これがはなきんの力か

    16 23/05/20(土)02:30:54 No.1058889225

    このお笑い芸人共がよぉ!!

    17 23/05/20(土)02:34:42 [ぼれすらふ] No.1058890032

    >このお笑い芸人共がよぉ!! 待ってください!私はこのように意図せぬ兄殺しの罪を背負い続け兄の意志を実現しようとした背景を持つシリアスなキャラで……

    18 23/05/20(土)02:37:35 No.1058890588

    >>このお笑い芸人共がよぉ!! >待ってください!私はこのように意図せぬ兄殺しの罪を背負い続け兄の意志を実現しようとした背景を持つシリアスなキャラで…… 貴様はコメディルートを進んでいるだろう

    19 23/05/20(土)02:38:53 No.1058890859

    C(コメディ)組の日常パートは癒やし

    20 23/05/20(土)02:39:05 No.1058890890

    ダイスの結果だけ見たらコメディだけど 実際は上みたいにランサーは全然意思疎通できないしルミナちゃんは超ヤバいから全然シリアスなのよね

    21 23/05/20(土)02:40:54 No.1058891182

    なのでアサシン死ぬとAルートになるわけですね

    22 23/05/20(土)02:44:06 No.1058891828

    色々最適解を選んで掴んだハッピーエンドは最高だったよね

    23 23/05/20(土)02:51:24 No.1058893173

    途中でランサーのペースに巻き込まれてノリツッコミになってるのやばくない?

    24 23/05/20(土)02:54:53 No.1058893711

    我々は最強のコンビだと力強く断言する所は流石カリスマ持ち その勢いに乗せられても仕方ない

    25 23/05/20(土)02:58:24 No.1058894177

    サンチョとしての役割にすでに飲まれてるんだよな…