ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
23/05/09(火)21:04:37 No.1055568324
「うん。コーナリングがうまくなってるよ。その調子で行けば明日の模擬レースも期待できそうだ」 「ありがとうございます!それじゃあ、最後の一周、行ってきます!」 第一印象は、"爽やかな子"だった。練習中でも同級生の声がけには笑顔で応え、こちらの指示にもハキハキとした返事とともにすべて従っている。 彼女の練習を見るようになったきっかけはそんな彼女と目が合ったからだ。まだトレセンに来て間もない自分が、施設を見て回っていたときに、偶然。その走る姿が、とても綺麗で、思わず足を止めて眺めていた。 彼女は息を整えながらこちらを見つめ、まっすぐ駆け寄ってきた。 「そのバッチ……トレーナーさん、ですよね?」 「そうだよ。まぁ、まだ新人だけど……」 「よかったです!あの、よろしければ練習を見てくれませんか?」 「いいけど……俺でいいの?他のベテランの人の方が……」 周りを見渡すと、練習に励むウマ娘とトレーナーのペアが何組か見えた。しかし、空いているトレーナーは見当たらない。
1 23/05/09(火)21:05:09 No.1055568555
「いいんです!あなたに見てもらいたいので!」 「お……おぉ。それじゃあ、よろしくお願いします」 「そんな緊張なさらないでください。とりあえず、一周走ってくるので、見ていてくださいね!」 案外押しが強い子なのかもしれないな。なんてその時は考えてた。 そして、彼女がまっすぐゴールに向かって走り抜けていくその姿を改めて目にして、やっぱり綺麗だと思った。今まで見てきたどんなウマ娘よりも、応援したくなる走りだと感じた。 「はぁ……はぁ……どうだったでしょう?」 「すごくいい走りだったよ。でも、そうだな。課題を上げるとしたらまずはコーナーの曲がり方かな……」 それから、放課後になると彼女のトレーニングを監督するようになった。まだ担当もいない自分には、彼女に費やす時間はいくらでもあったのだ。 「……トレーナーさん?」 「……あ、ごめんごめん。ちょっと考え事をね」 「最後の一周、走り終わりました。あとはストレッチでいいですか?」 「もちろん。今日もお疲れ様」 明日は模擬レースの日だ。もし、そこで良い走りを見せることができるなら……きっとベテラントレーナーからのスカウトも期待できるはずだ。
2 23/05/09(火)21:06:02 No.1055568949
「明日は大事な模擬レースだから、自主練控えてゆっくり休みなよ」 「はい!ありがとうございます!」 新人の自分が担当するなんてとてもじゃないが言えなかった。自信のない状態でスカウトするのも酷く彼女に不誠実だ。だから、せめて良いトレーナーの目に止まるよう、今日まで全力で指導してきたつもりだ。 「トレーナーさん、あとでちょっとお話、いいですか?」 「あぁ。どこで話そうか」 「カフェテリア……とかどうでしょう?」 「わかった。じゃあ待ってるよ」 時刻は6時を回った頃。夕飯を食べるには少し早いからか、まだカフェテリアの人はまばらだ。 「お待たせしました!」 シャワーを浴びてきたのだろう。制服に着替えて戻ってきた彼女は少しぎこちない様子で向かいに座る。 「それで、お話なんですけど……私のトレーナーになってくれないでしょうか」 突然の彼女の申し出に、心臓の拍動が早くなる。けれど、どこかその言葉を望んでいた自分もいた。
3 23/05/09(火)21:06:26 No.1055569121
「え?いや、模擬レースは明日だし……何より、俺は新人だよ」 「それでも!それでも私はあなたと一緒に頑張りたいんです。模擬レースの結果も見せずにこんなこと言うなんて、変だと分かっているんですけど。我慢できなくて」 「でも、どうして?君とは出会って長くはないし、実績なんか1つもないのに」 「トレーナーさんにご指導をお願いしたあの日。あのとき、私を見るトレーナーさんの目がすっごく輝いてて……私の走りをそんな風に見てくれる人がいるんだって、すごく嬉しくて。それで、声をかけたんです」 目の前には、差し伸べられた彼女の手。彼女はあの日と同じように、まっすぐと俺の目を見ていた。 「あなたの期待に応えたいって、そう思えるんです。だから、お願いします。私と一緒に、頂点への道を駆け抜けましょう!」 思わず、息を呑む。きっと、彼女の走りは彼女の生き方そのものだったのだろう。眩しいくらいに真っ直ぐなその姿に、俺は惹かれたのだ。 そんな彼女の言葉に突き動かされ、思わず彼女の手を取っていた。さっきまで感じていた不安は、彼女の瞳に映る夢の輝きでかき消えていた。
4 23/05/09(火)21:06:40 No.1055569229
「こちらこそ……君と一緒に頑張りたい」 「ありがとうございます!これから……どうかよろしくお願いします!」 深々と頭を下げる彼女を見て、つい自分もお辞儀をしてしまう。 顔を上げると、淀みのない笑顔の彼女と目があって。 とにかく、これから彼女と走り抜ける未来が楽しみだった。
5 23/05/09(火)21:07:36 No.1055569655
無いなら書くしかないので書きました。 ヒシミラクルは引きますがそれはそれとしてしばらくはトプロさんをいっぱい書きたいですね。
6 23/05/09(火)21:09:49 No.1055570664
ありがとう…これは良いトプロさんだ…
7 23/05/09(火)21:11:29 No.1055571427
最後でなにかでかい曇らせがくるかと身構えてしまった 汚れてたのは俺の心だった
8 23/05/09(火)21:12:43 No.1055571982
爽やかだ… どうか前途が明るければと思わずにはいられない
9 23/05/09(火)21:17:28 No.1055574116
トレーナーが帰らぬ人になる展開が見える
10 23/05/09(火)21:18:38 No.1055574619
いや…これから苦難を超えて菊の頂に行ってほしい…
11 23/05/09(火)21:19:18 No.1055574928
いいね…もっと夢みたいよね…
12 23/05/09(火)21:25:39 No.1055577841
>トレーナーが他のウマ娘にナリタトップロードされる展開が見える
13 23/05/09(火)21:31:44 No.1055580599
NTRがナリタトップロードされるとはこれ如何に