虹裏img歴史資料館

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23/05/06(土)21:42:56 「ぐ…!... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1683376976645.jpg 23/05/06(土)21:42:56 No.1054535237

「ぐ…!!!!!!!!!ぐぬぬぬ…!!!!!!!!!」 「…メイケイエール、やっぱり変わろうか?」 「大丈夫です!!!!!!!!!やってみせます!!!!!!!!!!!!!!」 「無理すんなよ」 美浦寮のキッチンにて。包丁を持ったエプロン姿のメイケイエールは、おそるおそる慎重にパイ生地に切れ込みを入れる。それを同じくエプロン姿アタシはハラハラしながら隣で見ていた 彼女がぶきっちょであることをよく知っていたので、包丁を使う仕事は全部アタシがやりたかったのだが、「経験を積んで不器用を克服するんです!!!!!!!!!」と意気込むものだから任せてしまった

1 23/05/06(土)21:43:10 No.1054535349

「そーっと…!!!!!!そーっと…!!!!!!」 「いいぞ…その調子だメイケイエール…」 「…よしっ!!!!!!!!できました!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 「おお!!!よくやったぞ!!!!」 カッティングボードに乗っていた正方形のパイ生地には、文字にすると「」のような切れ込みがきれいに入っている。最初、メイケイエールが手をパーにして生地を抑えていた時はびっくりしたが、何とか無事にこなせたのでホッと胸を撫で下ろした でもこれ、まだ一枚目なんだよな…この調子だと今日中に終わらなそうだし、なによりアタシの心臓がもたない 「次は生地の端っこ同士を交差させて枠を作るぞ」 「了解です!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 アタシたちが今作っているフルーツパイは、凹型に造形されたパイ生地の中にクリームチーズとフルーツをトッピングするというものだった 切れ込みが入っている方の生地の先端を反対側に折って重ねることにより、それがそのままパイの枠になるのだ エールは生地の両端をつまみ、それを切れ込みによって生まれた空洞の中へと入れようとするが…

2 23/05/06(土)21:43:23 No.1054535442

「生地が引っ付いてうまく交差出来ませええええええええええええん!!!!!!!!!!」 「落ち着けメイケイエール。力任せに剥がそうとするな。そっとな」 「…ふんっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 「あっ!!!バカヤロー!!!!!」 あ~あ、やっちゃった。忠告を無視し無闇に引っ張ったせいで、枠が土台からリフトオフしてしまっていた まあ枠無しでも多少見栄えが劣る程度でさほど問題ではないのだが、エールがここまでぶきっちょなのはいただけない

3 23/05/06(土)21:43:42 No.1054535567

「落ち着けって言っただろうがメイケイエール、見てられないぞ…まあいい。次は一緒にやろうか」 「…ひゃっ!!!!!!!!!?」 エールの背後に周り、包丁を持つ手を上から重ねて合わせるようにアタシの手で包んでやる。側から見たら二人羽織のような光景だ いつも100デシベルを撒き散らすお転婆ガールには相応しくなく、意外にもその手は冷たく繊細なように思えた 「何やってるんですかソングちゃん!?!?!?!?」 「何って、一緒にパイの土台を作るんだよ。こうやった方が手の感覚がわかっていいだろう?いいかメイケイエール。お菓子作りもそうだが、料理ってのは落ち着いてやるもんだ」 「…!!!!!!…!!!!!!」 アタシがもっと幼かった頃、初めて母さんから包丁の使い方を教わった時と同じ台詞を投げかける 優しいアタシの母さんは今みたいにアタシの手を握って使い方を教えてくれた

4 23/05/06(土)21:43:53 No.1054535648

「アタシも昔は結構落ち着きがない方でさ。よく母さんに怒られたもんだよ。そんなんじゃお前の言う"歴史に足跡を残すウマ娘"なんかになれないぞ~とか」 「…!!!!!!!!!…!!!!!!!!!」 昔話をする間に、包丁を持つエールの手を使ってどんどん流れ作業のようにパイ生地に切れ込みを入れていく 母さんもこんな気持ちでいつもアタシを育ててくれたのかな。なんだかアタシも母さんになった気分だ 包丁を一度置かせ、パイの枠を作る工程も一緒に行う。アタシはエールの手の甲を持ったままパイの両端に動かす 「ほら、つまんでみ」 「は!!!!!!!はい…!!!!!!!!!」 エールは指示通りに両手の親指と人差し指で角を摘む。アタシは左手から持ち上げ、もう片側の生地に引っ付かないようゆっくり折りたたんだ 次は右手。引っ付く生地がないのであとはそのまま折りたたむだけだ

5 23/05/06(土)21:44:04 No.1054535755

「落ち着いてやればこの通り。無闇に急ぐより綺麗かつ手際良く作れただろう?」 「すす、す、すごいですね…!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 「…なんで余計落ち着かなくなっているんだメイケイエール…」 「え…えへへ…!!!」 振り返るエールはなぜか照れくさそうに、はにかんで笑っていた なんなんだ。アタシがなにかしたってのか?思わずもちもちしたエールのほっぺたを軽くつねってやった

6 23/05/06(土)21:44:19 No.1054535864

「いたたた!!!!!!!!!いたいです!!!!!!!!!」 「ほら、続きやるぞ。次はもっかい一人でだ」 「頑張ります!!!!!!!!!」 「まずは深呼吸して落ち着くところからだな」 「すーーーーーーっ!!!!!!!!!はーーーーーーっ!!!!!!!」 「全く落ち着いている感じがしないな!」 いつものエールの姿にやれやれと言うように、隣に戻ったアタシはふふっと乾いた笑いが出てしまった まだまだエールはぶきっちょではあるが、いつか二人でお菓子を作って、クラスメイトの友達や先輩たちに振る舞えたらな…なんて思ったりして そんないつかを想いながら、アタシはオーブンの余熱をさせるスイッチを押した

7 23/05/06(土)21:44:32 No.1054535962

プレハブ後輩sのお菓子作りについて妄想してたら一本のSSが出来上がったので共有します

8 23/05/06(土)21:47:28 No.1054537320

ソンメイいいよね…

9 23/05/06(土)22:01:24 No.1054544042

イチャイチャしやがって…もっとやれ…

10 23/05/06(土)22:31:46 No.1054559480

全体的にうるせえ!!!!!

11 23/05/06(土)22:36:17 No.1054561572

いい…

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