虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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    23/04/24(月)23:51:45 No.1050561312

    泥の見たいやつ

    1 23/04/24(月)23:53:53 No.1050562004

    ウィーンの主従とのSSとかマスター同士のSSとか 鯖が戦っているSSとかも見たい

    2 23/04/24(月)23:56:19 No.1050562770

    それには主従が揃ったり両方が提出されないとだめなんだ

    3 23/04/24(月)23:58:39 No.1050563486

    ハイメとヴィテゲ

    4 23/04/24(月)23:58:58 No.1050563584

    では今出てるマスター単独のSSを見たい…

    5 23/04/25(火)01:05:40 [1/4] No.1050582710

    「───というわけで、このナーゲルリングはお前にやろうと思う」 というようにディートリヒがあまりにもざっくばらんに告げて剣の鞘を差し出すのでハイメは顎が外れるかと思った。そのくらいぽかんと口を開けてしまった。 王から家臣への剣の下賜だぞ。普通渡すかこんな酒の席で。酔った勢いというほど酒が進んでもなかろうに。 なんなら城の王の間である程度の儀礼に則らねばならないようなそういう出来事だ。それをこんな無造作に。 などと小言を王の耳に囁くのは師たるヒルデブラントの責務であり、そして当人はこの酒盛りの場にいなかった。 「よ、よろしいんですか我が王!お、俺がこんな…こんな素晴らしい剣を受け取っちまって!」 「うん。ハイメはよくやってくれているからね。前からその奉公に応えてやりたいと思っていたんだ。勇士ともなれば名だたる剣の一本くらい帯びてないと。どうだい、嬉しいだろ?」 白い歯を見せて笑うディートリヒへ何度も首を縦に振ったハイメは単純な男だ。なんせ騎士の家系でも貴族の血筋でもない。勇士を志しただけの平民の子だ。 森と共に生き馬と共に育ったのだ。小うるさい儀礼にどれだけの意味があるかなど分からない。

    6 23/04/25(火)01:05:52 [2/4] No.1050582769

    ただ嬉しかった。何の伝手もない自分を面白がって配下に加え、重用してくれている王が愛剣を譲ってくださった。 勇士の中の勇士である王が自分を認めてくれたその証は恭しく掲げたハイメの手の中でずしりと重さを伝えている。 「だ、大事にします!毎日磨きます!使いこなせるよう鍛錬に励みます!ありがとう…王よ、ありがとうございます!」 美しい鞘を握りしめ、今にも泣き出しそうなハイメ。うんうんと満足そうに微笑むディートリヒ。これで話が終われば美談だった、のだが。 「───承服できませんね。このような田舎者にして卑怯者の手に握られてはナーゲルリングが可哀相というものです」 「なんだと?ヴィテゲ、今俺のことをなんと言いやがったんだ」 満面の笑顔を引っ込めさせ、隣の席に座っていた伊達男を怒りと共に睨みつけるハイメ。 煽っていた酒盃を机に置き、気障な仕草で髪をかきあげたヴィテゲはハイメを嘲るかのようにちろりと流し目で視線をやった。 「田舎者にして卑怯者と言ったんだ。卑しい男の卑しい振る舞い、私がいちいち指摘するまでのこともない…。  と思っていたが、かの名剣を王が貴様に下賜するとなれば黙ってはおけぬと感じてな」

    7 23/04/25(火)01:06:04 [3/4] No.1050582818

    「やいヴィテゲ!田舎者はさておき俺のどこが卑怯者だってんだ!てめぇのことはいちいち気に食わねぇが、今度ばかりは容赦しねぇぞ!」 「まあまあふたりとも。ここは酒の席だよ。私に免じてつまらないことで言い争うのはやめなさいな」 ハイメとヴィテゲ。方や山の中からやってきた平民、方や生粋の王族出身。 ディートリヒの元では配下として同じ立場といえ、いやだからこそ日頃から衝突が多かった。小石が転がっただけで喧嘩をしている有様だ。 なので仲裁に入ったディートリヒも落ち着いたものだった。なぁにいつものこと。よくあること。 師は『王がこのような些細な揉め事に割って入るなど』と苦言を呈するだろうが、ディートリヒの人格もあってそういう洒脱さが許される空気がこの王城にはある。 だがその日のヴィテゲは「いいえこればかりは王の言葉といえど」と首を横に振った。綺麗に揃えられた長い前髪が右に左に揺れる。 「我が王よ、御身にもいい加減この粗忽者が真に信に値するかどうか定めていただかなければなりません。  そう、あれは私が盗賊を狩りに行った時のことです。私一人で十分なのですが、その時この田舎者もついてきておりまして───」

    8 23/04/25(火)01:06:16 [4/4] No.1050582883

    数刻後。 「───で、ハイメは城から出ていってしまった、と」 「…」 「王まで一緒になって口喧嘩を始めてこの有様ですか。まったく…」 自慢の髭をしごきながら呆れた顔でやるせなく睨んでくる師に対し、席に腰掛けるディートリヒは気まずそうに視線をそらす。 「だ、だってハイメのやつ、ヴィテゲをひとりで戦わせて…それは勇士にあるまじき振る舞いだと…。  あいつは森の中での戦いを得意としているから盗賊を誘い込みたかったんだろうけど、それでもさ…」 「だっても何もありませぬ。それらが真実だったとしても、王たる者が配下の癇癪に付き合っていかがなさるのかというお話です」 「むう…」 ぶすりと頬を膨らませて不満と反省を顕にするディートリヒ。部屋の壁際で腕組みをして立っていたヴィテゲはふんと鼻を鳴らす。 「あんなやつは出ていってむしろ得というものです。いるだけでこの王城の品位が落ちます」 「おぬしは今しばらく黙っておれ、ヴィテゲ!」 さしものヴィテゲもヒルデブラントに一喝されては何も言い返せず、首をすくめて押し黙る。 出ていったハイメがどさくさ紛れにナーゲルリングも持っていたことに気づくまで、後もう少し…。

    9 23/04/25(火)01:06:30 No.1050582951

    >ハイメとヴィテゲ こんなかんじ

    10 23/04/25(火)01:20:10 No.1050586500

    なんか…騒がしそうな宮廷だ…

    11 23/04/25(火)01:24:29 No.1050587598

    >なんか…騒がしそうな宮廷だ… 騒がしいよ! このコンビマジでいつも喧嘩ばかりしてるよ! なんなら他のメンバーもアクが強いのしかいないよ! 毎度毎度けおってて「王よ!!!!!!!!1小人など恐るるに足りません!!!!!!!1こんな薔薇園の薔薇などこうです!!!!!!1こう!!!!!!!1」って王様があーあーあー何もそこまでせんでもと止めかねてる間に小人の薔薇園踏み荒らしちゃって案の定怒った小人にぶっ飛ばされるやつとか