23/04/23(日)21:34:48 まただ... のスレッド詳細
削除依頼やバグ報告は メールフォーム にお願いします。個人情報、名誉毀損、侵害等については積極的に削除しますので、 メールフォーム より該当URLをご連絡いただけると助かります。
画像ファイル名:1682253288786.jpg 23/04/23(日)21:34:48 No.1050205144
まただ。洗面所で顔を洗いながら鏡を見る。鎖骨の部分に赤い痕がある。触ってみても痛みはない。ニキビか、虫刺されのようなそれは、朝目が覚めれば時々浮かび上がっている。 沸騰するヤカンの音で意識を切り替え、濡れた顔をタオルで拭くとキッチンに向かう。ユニヴァースが起きる前に朝食の準備を済ませよう。 味噌汁と納豆、これは欠かせない。意外にも彼女は和食派だ。朝は納豆がなければ始まらないほどに。 彼女の分の味噌汁をお椀に注いでいると、寝ぼけ眼のユニヴァースが寝室からやってきた。パジャマ姿のままいつにもましてふわふわしている彼女を洗面所に押して顔を洗わせる。 ユニヴァースを愛していたと自覚したあの頃から、僕たちは寝食を共にするようになった。それは一緒に過ごせなかったこれまでの想いの分だけ、これからはずっと一緒にいたいという彼女の願いに応えるためである。
1 23/04/23(日)21:35:03 No.1050205247
「ごちそうさま」 「ごちそうさま。さあ早く着替えて、学校に遅れちゃうよ」 二人分の食器を下げて洗いながら、ユニヴァースに着替えを促す。しかし彼女は不思議そうに人差し指を掲げながら座ったままだ。 「今日は…”祝福されるべき日”。今日の『予定』はトレーナー」 「ああ、祝日だったっけ。ごめんごめん。それじゃ今日は……どうしようか?」 「トレーナーが『空いている』なら、ネオユニヴァースは『ありがとう』をすることを提案するよ」 ありがとうをする、とはどういうことだろうか。食器を洗って濡れた手をエプロンで乾かしながら彼女に向き直り、次の言葉を待っていれば、ユニヴァースは椅子から立ち上がって両の手で僕の手を握りしめた。 「トレーナー、つまり…此処だよ」
2 23/04/23(日)21:35:15 No.1050205338
気がつけば、いつか来た温泉旅館に僕たちはワープしていた。いや、ワープしたというのは比喩表現だ。だって僕も彼女も私服に着替えているわけだし、腕時計の長針は13時を指していたから。 「トレーナーは…これまでネオユニヴァースにたくさんの『ありがとう』してくれた。だから、この休みはネオユニヴァースがトレーナーの”望むこと”をして『ありがとう』したいんだ」 つまり、恩返しをしたいということだろうか。そんなこと考えなくてもいいのに。 「一緒にいてくれるだけで十分嬉しいよ」 「ネオユニヴァースは…別宇宙での『あなた』の”望むこと”を観測している。『あなた』は”望むこと”を『ネオユニヴァースたち』に話さないから…それでは”不十分”」 そう言いながら、僕を優しく押して進むユニヴァース。確かに、こうまで相手が礼を尽くしているのだから、遠慮はかえって失礼か。幸い貸し切りなので、甘んじて好意を受け取ることにしよう。
3 23/04/23(日)21:35:30 No.1050205486
まずは露天風呂で疲れを癒やすことを勧められ、大浴場に一人立ち尽くしている。貸し切りなので当然だが、こうも広すぎる風呂に一人だと落ち着かない。 とりあえず体でも洗おうかと風呂椅子に腰掛けた時だ。ガラガラと音を立てる引き戸に嫌な予感を覚えて振り向けば、そこにはタオルで体を隠したユニヴァースが立っていた。 「ユニヴァース!?」 慌てて股間を隠して背中を向けると、ぴとぴととこちらに近づいてくる足音がする。確かに貸し切りで混浴しても問題ないが、そこは時間をずらすとかはなかったのだろうか。言わなかったこちらの落ち度である。 「『背中流し』…だね。『ありがとう』の作法の一つ」 「違うと思う!」 こうなったからにはどうしようもない。僕は前を隠しながら、ネオユニヴァースの拙い手付きに任せ背中を洗われるしかなかった。
4 23/04/23(日)21:35:44 No.1050205598
洗い終わるといそいそと湯船に浸かり体を隠した。背後で自分の体を洗っているユニヴァースの立てる水音で余計な想像をしないよう、必死に違うことを考えていると、今度は彼女が同じ湯船に入ってきたのだ。 背中を向ける僕にぴとっとくっついて浸かる彼女。触れる肩の柔らかできめ細かい感触に、僕はどうにかなってしまいそうだった。 「これは、『わたし』の”望むこと”」 そう言われると、逃げるように湯船から上がるのも悪い気がして、結局僕たちは芯まで温まるほど浸かってしまったのだった。 気持ち的にはパニック状態だったが、結果としては疲れは癒やされたと思う。
5 23/04/23(日)21:35:54 No.1050205689
夕食には蟹や海老が出た。浴衣に着替えた僕たちは、テーブルの上の蟹を挟んで向かい合っている。 「トレーナー…ネオユニヴァースは『食べさせる』をするよ」 そう言って箸で海老の身を取り、醤油にニ、三度つけて手を添えこちらに伸ばしてくる。 「これは…別宇宙の『あなた』の『好き』だから」 「僕本当にこういうの望んでたのかな……」 「こういう時は…あーんと言うのが正規手順。あーん…」 箸を差し出させたままなのも悪いと思い、意を決して海老を口に運んだ。気を良くしたのか、ユニヴァースはその後も次々と僕の口に料理を運んだのであった。
6 23/04/23(日)21:36:07 No.1050205786
腹を満たし、そろそろ寝ようかと寝室に入れば布団が一つ、枕は二つ。前回この旅館に泊まった時もこんな気遣いをされて困ったっけと思い出す。 布団はユニヴァースに使わせ、自分は座椅子で寝ようかと思っていれば、いつの間にか背後に立っていたユニヴァースにそっと押し倒され布団に寝転された。 照明が消され、大窓から差し込む星灯りだけの部屋で、美しい髪をオーロラの幕のように僕に垂れ下げた彼女を見上げる。瞳は星の海のように綺麗だった。 「最後に…『ありがとう』の仕上げ…『あなた』の”大好き”だった”GKPI”をするよ」 見れば、彼女の頬は珍しく高揚している。彼女は何か緊張しているのかもしれない、興奮しているのかもしれない。ここまで来ればもう彼女の好きなようにさせようと思った僕は……。 「わかった。GKPIいいよね!お願いしようかな」 と答えてしまった。
7 23/04/23(日)21:36:18 No.1050205908
すべてを終えて、僕に腕枕を受ける彼女と共に、大窓の網戸の向こう、星空を見上げながら布団に入っていた。 「トレーナー」 「うん?」 「ずっと…ネオユニヴァースは『ありがとう』したかった。けれど、したいって言えなかった。話せなかった」 もぞもぞと顔を動かしこちらを見つめるユニヴァース。今日の一連の『ありがとう』はきっと、彼女にとっても勇気が必要なことであり、普段の彼女では出来ないことだったのかもしれない。 一瞬、ありがとうと言いかけて、これでは完全に彼女の『ありがとう』を受けたことにはならないな、と思い、素直に受け取ることにした。 「それでいつも僕が寝てる間に変なところにキスしてたの?」 ぴくんと跳ねた彼女は、もぞもぞと頭を下げて布団の中に隠れる。会話が通じにくいと周囲から評される彼女だが、こうして年相応のいじらしさがある。これが本質なのだ。
8 <a href="mailto:オワリ">23/04/23(日)21:36:34</a> [オワリ] No.1050206021
「そういや、僕が”GKPI”を望んだらそれは”GKPI”ではなくなってしまわないかな」 「それは…”42”…生命…宇宙…そして万物について究極の疑問の答えと同じ」 よくわからないが、きっと今の僕には知覚出来ない理屈があるのだろう。布団に潜り込むユニヴァースを撫でてやると、星空にオレンジの流れ星がジグザグの軌道を描いて遠ざかっていった。
9 23/04/23(日)21:41:57 No.1050208642
エミュ度高ぇ~
10 23/04/23(日)21:42:47 No.1050209037
ユニヴァースたすかる…
11 23/04/23(日)21:43:25 No.1050209306
いい話っぽいけど何を言ってるのかはあまりわからない…!
12 23/04/23(日)21:43:52 No.1050209497
>いい話っぽいけど何を言ってるのかはあまりわからない…! 育成とだいたい同じか…!
13 23/04/23(日)21:43:58 No.1050209556
温泉旅館でありがとうは大丈夫なんですかね
14 23/04/23(日)21:44:42 No.1050209896
GKPI…?
15 23/04/23(日)21:45:24 No.1050210223
会話イベントがしっかりあるの助かる…
16 23/04/23(日)21:46:10 No.1050210558
なんかネオユニ構文のラッシュととんでもないことの連続で最後UFO出たのも忘れてしまう
17 23/04/23(日)21:46:47 No.1050210791
またユニちゃんUFO見逃してない?
18 23/04/23(日)21:47:07 No.1050210932
>「それでいつも僕が寝てる間に変なところにキスしてたの?」 >ぴくんと跳ねた彼女は、もぞもぞと頭を下げて布団の中に隠れる。会話が通じにくいと周囲から評される彼女だが、こうして年相応のいじらしさがある。これが本質なのだ。 ここで一気に口の中がジャリジャリした