ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
23/04/15(土)02:00:50 No.1047193443
芸能誌の取材に立ち会うことになり、カメラの前で愛嬌を振りまくカレンと それにメロメロになっている撮影陣を後ろで腕を組みながら考えていた エビが食べたい、と 取材が終わり、カレンを送る途中でトップバリュがあるのを見かけた トレセンの周辺にもスーパーはあるが、あそこは海鮮の品ぞろえが劣悪だ それ以外はよく揃っているのだが とはいえ送迎中に自分の都合で買い物するわけにもいかない と信号機が切り替わるのを待っていた時 「あーあ、カレン疲れちゃった~」 「ん、おつかれ。カワイかったよ」 「じゃあ~……カレン、アイス食べたいかな♪」 「アイス……?別にいいけど……」
1 23/04/15(土)02:01:27 No.1047193574
「そこのスーパーで買って行こ!ね、おねが~い」 「……じゃあ、寄り道していこうか」 なんだか見透かされたような気がしてならないが、どの道ありがたい話である 車を停め、頭一つ分小さい少女と並んで自動ドアをくぐる 娘と買い物に行く父親はちょうどこんな気分なのだろうか、と入口付近の青果コーナーを物色する彼女を見て思う 「カレン、アイスはいいの?」 「えーっ、せっかく知らないスーパーに来たのに……」 「意外と庶民的な趣味もあるんだな」 「カレンなんだと思われてるの?」 「カワイイカレンチャン」 「よろしい」 ぶらつく体で海鮮コーナーのショーケースにたどり着き、横に長い剥きエビのパックを手に取る
2 23/04/15(土)02:01:42 No.1047193625
値段は419円。ちなみに鶏むね肉なら300円弱で倍くらいの大判が買える 数的に物足りないかもしれない、が2個買うと予算オーバー 冷静に考えれば安めの昼食一回分、今回は泣く泣く妥協した 「エビ食べるの?」 「ん……ああ、なんか食べたくなってな」 「ふーん、どうやって食べるの?」 「……どうやって?」 ……全く考えていなかった 漠然と食べたいとは思っていたが、まさかその方法に考えが至らないとは どれだけお腹を空かせていたのだろうか、自分は……
3 23/04/15(土)02:01:57 No.1047193682
「んー……」 「餡掛けとか~ガーリックシュリンプとか~トムヤムクンにも使うよね~」 「中華系か……?エビチリ……いや、今日は辛い気分じゃない……じゃあ」 「「エビマヨ?」」 こうして今日の献立は決まった ちなみに、エビマヨがどんな料理だったかを現時点で忘れている …… 「ふむふむ、衣をつけて揚げたものをマヨネーズソースで和えるのか」 「小麦粉ってこのコップみたいなのに入ってるやつ?」 「それは重曹、テープ巻いてない方が小麦粉」
4 23/04/15(土)02:02:09 No.1047193718
まな板の上に買ったエビと、ぶつ切りにした鶏肉が並んでいる 結局足り無さそうだと思ってかさ増ししたのだが、食べる人数が増えたのでトントンになってしまった 具材を軽く洗って水気を切り、塩を揉みこんでもう一度水気を切る 容器に卵と水、小麦粉、片栗粉、代用のオリーブオイルを入れ、混ぜる 「粉山盛りだけど大丈夫なの……?」 「ねばねばになるくらいじゃないと衣が上手く纏わりつかないからな」 菜箸で腕が痛くなるくらい混ぜる。グルテンがどうのこうのは忘れた 出来たら具材を絡めてひとまず置いておく
5 23/04/15(土)02:02:22 No.1047193756
「じゃあ次は揚げるんだね」 「……」 「お兄ちゃん?」 「サラダ油無いんだった」 「お兄ちゃん!?」 炒め物は油無し、揚げ物は面倒なので1年以上していない 衣の代用は香りづけのオリーブオイルで誤魔化したが、揚げるとなると瓶一本使い果たすのではないだろうか、と考えているとあるものを見つけた 見つけてしまった 「……これは」 「油入れ……中は入ってるの?」 「……下手すると1年モノだな」 「嘘でしょ?」
6 23/04/15(土)02:02:35 No.1047193799
とは言え今更買いに行くとお腹が我慢できずに爆裂してしまう ここは覚悟を決めるしかない 「大丈夫……出来上がりの匂いが変なら諦めて買いに行くから……」 「そんな覚悟は決めなくてもいいんだよお兄ちゃん?」 むせそうになる匂いの流体を全て鍋に流し入れ、火を付ける 酸化抑制のフィルターを使っていたおかげか、色味は問題なさそうだ 遠巻きにカレンに見守られながら、衣をたっぷり付けた生贄を油に放り込む
7 23/04/15(土)02:02:49 No.1047193837
「本当に大丈夫なの!?なんかすごい泡立ってない?」 「衣の卵白が溶け出すとこうなるんだ。品質には問題ないはず……」 「大丈夫な匂いしないけど!?大人しく油買いに行こう?」 「いける……やれる……ド根性……」 「グラッセさんは料理とっても丁寧だからね!?」 「っくし!……なんだ?」 「風邪じゃないの。トレーナーに連絡入れる?」 「い、いや……なんともないが……」 おびただしい量の泡を上げながら油の中をエビが泳ぐ たまに跳ね飛ぶ飛沫に怯みながらもひっくり返すと、存外綺麗に揚がっていた
8 23/04/15(土)02:03:04 No.1047193880
揚げたてを二つ取り出す 煌々と眩い狐色に揚がったそれはどこからどう見てもおいしいフリッターである 「変な匂いはしないね……」 「い、行くぞ……」 マヨネーズ、酢、一味唐辛子を入れて混ぜたものに付け、食べる 衣はサクっと砕け、中のエビは想像通りの弾力を持って歯に両断されていく 下味にマヨネーズと酢の酸味が絡み、後から来る一味がよく効いている 端的に言えば 「旨い!大丈夫、変な匂いしない!」 「じゃ、じゃあカレンも……ん、おいひい!」
9 23/04/15(土)02:03:47 No.1047194053
実験は成功である が、その後揚げたての天ぷらを供給するためにコンロに張りつく羽目になった かさ増し要因だと思っていた鶏肉も、言ってしまえばただのかしわ天で普通においしい 溶いた衣すべてをぺろりと平らげ、油の偉大さに痛み入るばかりであった 「ところで、アイス食べたいって言ってなかったっけ」 「そうだっけ?」 「……食後のデザート、買いに行く?」 「うんっ♪」 明日からのトレーニングメニューは見直さねばならないだろう でもちょっとぷにっとしたカレンも見てみたい そう思いながら二人、暗い夜道をコンビニまで歩いていく
10 23/04/15(土)02:04:52 [おしまい] No.1047194285
「今更だけどなんでうちで夕食食べてるんだ?」 「外泊届けは出したよ?」 「……まあ、いいか」 彼女と食卓を囲む機会も今だけかもしれないのだから
11 23/04/15(土)02:05:17 No.1047194365
7割くらい実話です
12 23/04/15(土)02:07:32 No.1047194801
カレンチャン見てるとエビ食べたくなるよな…
13 23/04/15(土)02:07:42 No.1047194835
お前さんトレーナーなのか
14 23/04/15(土)02:11:53 No.1047195645
>お前さんエビなのか
15 23/04/15(土)02:13:01 No.1047195848
カレンチャンエビマヨ 真実 スレ「」 虚構
16 23/04/15(土)02:14:19 No.1047196070
油ちゃんと捨てよう…?
17 23/04/15(土)02:14:56 No.1047196191
>油ちゃんと捨てよう…? 再利用しようと思ってたんだ 当時は
18 23/04/15(土)02:30:40 No.1047199131
その油はカワイクナイ…
19 23/04/15(土)02:43:30 No.1047201267
揚げ物すぐ冷めるから鍋が小さいとすごい大変
20 23/04/15(土)03:12:28 No.1047205250
油処理するのも面倒だしまだ使えそうなのもあってあまり使わない鍋とかに貯めていくのよくある
21 23/04/15(土)03:17:56 No.1047205883
なぜトップバリュなんだ
22 23/04/15(土)03:18:43 No.1047205973
>なぜトップバリュなんだ 実話だから
23 23/04/15(土)06:35:00 No.1047216694
エビマヨ美味しいよね
24 23/04/15(土)07:20:38 No.1047220594
エビが怪文書書いてるの初めて見た