23/03/20(月)03:33:28 スケジ... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1679250808887.png 23/03/20(月)03:33:28 No.1038172192
スケジュール管理にシビアなダイイチルビーであるが、逆に言えば前もって伝えれば融通が利くということである わざわざ一ヵ月前から伝えていた甲斐もあり、その日は完全フリーの休日になっていた 「じゃあ明日はお休みね。分かってるとは思うけど、自主トレーニングは無理をしない範囲で」 「心得ております。明日は私も視察がありますので」 「……ところでさ、ちょっと服見てもらってもいい?」 「服、ですか?……ご自分で選ばれるのがよろしいかと」 「悩んだけど絞り切れなくて……」 明日は、彼女の地元の友人が上京してくる日なのだ
1 23/03/20(月)03:33:42 No.1038172203
「おまたせ~!久しぶり~!」 「もー、一人で東京回らせる気だったの?」 煉瓦の壁のそばで待つ友人のがトレーナーに気づくと、それまでスマートフォンに落ちていた視線が上がり、ぱっと明るく花開く 駆け寄り合い、手を取り合う二人は、挨拶もそこそこにパタパタと観光へと出かけていく 忙しい両人にとってやっと取れた休みの時間であり、やっと合わせられた予定でもあるのだから 「なんかかっこいいねそれ。ザ・東京の人って感じ」 「でしょ?ウチの担当に選んでもらっちゃった!」 「知ってるよダイイチルビーちゃんでしょ~!すごいじゃん上級国民の仲間入りだよ!」 「そんなんじゃないってばもう!」
2 23/03/20(月)03:33:55 No.1038172219
緑の列車に揺られ、白い街頭を歩き、色とりどりの店を巡っていく そんな休日が過ぎていき、一休みとして二人はカフェの露天席でくつろいでいた 「それでまた昇進の話が来てるわけよ~……」 「えーすごいじゃん!受けないの?」 「これ以上責任重くなるのやだ~……それよりさ……」 「んー?」 「ルビーちゃんってどんな子!?」 話の種は離れていた時間の分だけある 蒔けば蒔くだけ話題の枝葉が伸びる中、対面の友人が目を光らせたのはトレーナーという特異な職業の日常であった
3 23/03/20(月)03:34:11 No.1038172233
「どんなって……見たまんま?」 「嘘ぉ、隠されし一面みたいなの無いの!?」 「あっても勝手に言わないし……本当に裏表無い子だよ」 ダイイチルビーというウマ娘は自分にも他人にも厳しいというのがトレーナーの見解である そしてそれは一族への誇りに裏打ちされるもので、だからこそ関わるもの全てに妥協を許さない そして 「言われてみれば背筋伸びたよねー。前は割と猫背ちゃんだったじゃん」 「そうだっけ?」 「そうだよー……あのさ」
4 23/03/20(月)03:34:24 No.1038172246
「息苦しい思いとかしてない?ぶっちゃけ荷が重そうとか思ったりするんだけど……」 だからこそ、出自の同じ友人が背伸びをし過ぎていないかと心配するのもまた当然の話で 「それはまあ正直苦しい……」 「3年経ったんなら担当変えられるんでしょ?変えないの?」 「んー……」 「正直さ、今日ほっとしてるんだよね。あんたが……その、別の世界の住人になっちゃったんじゃないかって」 「そんなことある?」 「無かったから安心してるの!」
5 23/03/20(月)03:34:38 No.1038172264
ただでさえ激務なトレーナー業 それに加えて普段の立ち振る舞いからも、”華麗なる一族”の名を汚す行為は憚られる オフのこの場すら、スキャンダルの種にならないとは言い切れない ウマ娘の人生や名誉を背負う職業としても過剰な責任を負っているのは、画面越しからでも一目瞭然だった 「まあ慣れちゃえばそんなもんだし、偉い人もちゃんと話してみれば怖くないし」 「嘘だぁウチの社長喋っても怖いよ」 「そりゃ個人差やろがーい。……まあでもさ」 口に含んだストローを離し、肘をついて思い浮かべる 「あの子の成長を特等席で見られるから、それだけの価値はあるよ~?」 己が理想にひたむきな姿、向かない路線に苦戦し、それを吹っ切る決意をした時の表情 自分でも分かるほどに口角の上がった様子に、友人は安堵と呆れの混じったため息を吐いた
6 23/03/20(月)03:34:52 No.1038172283
「まあ、楽しいならいいか……」 「でもほんと会見とか協賛パーティとかは勘弁してほしい!怖い!あの空気超怖い!」 「へー、そんな怖がってたんだあれ。そうは見えないけど」 「めちゃくちゃ指導されたからね!」 しゅご、と飲みきったフラペチーノを置いて席を立つ きっちり割り勘の小銭を数えつつ、舌鼓を打った感想を語り合う 「おいしかったねー!初めて来たけど覚えとこ」 「そうなの?てっきりおすすめしてくれたんだと思ってた」 「なんで?」 「えっ、ここ華麗なる一族の系列のお店でしょ?」 「え?」 「……知らなかったの?」
7 23/03/20(月)03:35:18 No.1038172311
たらりと冷や汗が流れるより早く、様々な悪い予感が頭をよぎる いくら旧交を温めていたからと言っても少々羽目を外し過ぎたような気がする とは言え、あくまで一般人の自分に街頭で視線が向くことなどないだろう 「……今後の会見は、トレーナー無しで行った方がよろしいでしょうか?」 偶然居合わせた、トレーナーを一番よく知る一族の者以外は 「─────────」 「うわすごい顔」 悲鳴から音量だけを消して絶叫した彼女は、その後必死になってあれこれと弁明をする羽目になった
8 <a href="mailto:おしまい">23/03/20(月)03:35:29</a> [おしまい] No.1038172325
「あのねルビー本当に違うの確かに窮屈な思いをしたことはあるけど本当にあなたの為なら苦でもなんでもなくて」 「背筋が曲がっている!」 「ハイ!」 「……冗談ですから落ち着いてください」 「ハイ……」
9 23/03/20(月)03:36:00 No.1038172361
重圧に頑張って耐える女トレが書きたかった
10 23/03/20(月)03:43:06 No.1038172813
お嬢様方のトレーナーって迂闊に街中でハメ外せなさそうよね…
11 23/03/20(月)03:48:40 No.1038173114
華麗なる一族のトレーナーよ…ヒソヒソ…
12 23/03/20(月)05:24:46 No.1038176585
カレーなるうどんを食べてるわ…ヒソヒソ…
13 23/03/20(月)06:20:08 No.1038178628
カレーうどんくらい食べてもいいだろ!?
14 23/03/20(月)07:07:52 No.1038181290
ほうルビトレ♀ですか いいね…
15 23/03/20(月)07:49:12 No.1038184996
起きたらいいもん見られた…