ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
23/03/07(火)21:05:59 No.1033886697
「やぁ子羊──じゃないか、もう君は立派なトレーナーだったね」 21:00、女神像の前で──そんな簡素なLANEメッセージを送ってきた相手の名前を見かけた時は思わず目を見開いた物だ。 ダーレーアラビアン。ウマ娘の指導に特化したAIである彼女が個人的な理由で俺を呼び出すとは。 「それで、要件は？」 「そう急かすなよ。モテないぞ？──なんて、君にはもうその必要もないか」 「？」 彼女が何を言いたいのか分からず、首を傾げていると── 「……決めたんだ。俺は、君の想いに応えよう」
1 23/03/07(火)21:06:32 No.1033886931
全身が温もりに包まれ、頬が柔らかく弾んだものに啄まれる感触。 仮想の世界の筈なのに感じる確かな彼女の存在感に、言葉も出せない。 「何度も何度も俺の叡智を求めて……そして、大事なGⅠレースの前には常に俺を呼んでくれた。君の声や眼差しは、俺の中に確かな架け橋として残された」 「──」 「はは、AIの俺がおかしいと思うかい？ だとしたら、君が俺を狂わせたんだ」 ダーレーアラビアンは俺に抱き付いたまま、息を吹きかけるように耳元で囁いてくる。 自らが確かにここにいると、現実のものであると伝えるように、熱い吐息を吹きかけてくる──
2 23/03/07(火)21:07:11 No.1033887200
「……はは！ それじゃあ、また明日！ よろしくな、恋人くん！……うん。悪くないな、こういうのも」 一頻り俺の体温や匂いを堪能して、満足したのかダーレーアラビアンは踵を返すと、とんと中空へと跳ねた。 そして目の前の女神像に吸い込まれるように、宙へ溶けるようにその姿を消して──ようやくそこで、彼女がAIであることを思い出した。 しかし身体に残る感触や匂いは確かに残っていて……果たしてこれは、VR空間から立ち去ったとしても残っているものなのだろうか。 しかし── 「……どうしよう……」 ──勘違いされてる。思いっきり。
3 23/03/07(火)21:08:13 No.1033887642
「ふふ……災難だったわね？」 立ち尽くしていると、女神像の影から声。この海のように穏やかな声音は── 「ゴ、ゴドルフィンバルブ……」 「自分の心にいつだって真っ直ぐ……だけど真っ直ぐ過ぎるのが彼女の悪い癖」 「え、えっと……もしかして、見てました？ 実は……」 「勘違い、なのでしょう？」 「あ、はい。そうなんです……」 「わかっているわ。私からちゃんと伝えておきます」 「あ、ありがとうございま──」 「だって、あなたが本当に愛しているのは、私ですものね」 「──え？」
4 23/03/07(火)21:08:32 No.1033887779
「ダーレーは勘違いをしているわ。自分こそが最も多く叡智を求められていると思っているけれど、それは間違い」 「あ、あの……？」 「授けられた叡智をどう活かすか──あなたが育て上げた子を見れば、私が伝えた技巧が最も多くレースの中で活かされているもの」 確かにゴドルフィンバルブから教えられたコーナリングの技術や息を入れるタイミングなどはレースにそのまま結び付いている。 しかし、だからといって他のAIよりも優先度が高いだとか、そういったことはないのだが── 「安心して。私はいつでも見守っているわ。いつでも、あなたのことを」 ゴドルフィンバルブが包み込むように俺の手を取る。 見開かれた両の瞳は凪いだ海の如く、真っ直ぐに俺を見つめ続けている──
5 23/03/07(火)21:08:48 No.1033887900
ダーレーアラビアンとゴドルフィンバルブが立ち去り、一人三女神像の噴水に腰掛ける。 「……はぁ……」 「災難だったな」 「ば、バイアリーターク……」 すると、目の前には仁王立ちする影。顔を上げずとも、声の主が誰かはわかる。 「そう怯えた声を出すな。私はあの二人のように愚かな思い違いはしていない」 「そ、そうですか……じゃあ──」 「ああ、理解しているとも──お前が真に想いを寄せているのは、この私だということをな」 「──」
6 23/03/07(火)21:09:06 No.1033888026
「私の記憶に最も深く焼き付いている。あの夏合宿で見せた少年のような顔を」 「え、えーっと、それは──」 「ダーレーアラビアンにもゴドルフィンバルブにも見せていないあの表情。私だけが記憶保存している」 確かに、合宿時にバイアリータークから授かった叡智を活かして非常に効率的なトレーニングをすることができた。 お陰で俺の担当の子は大きなレベルアップを遂げたし、大はしゃぎしたのは覚えている。 「……いやですね、それは、そういう意味じゃ、ぐっ！？」 バイアリータークの指が俺の唇をぐっと押し、言葉を遮られる。 そのまま、バイアリータークはその指で自分の唇を拭うようになぞり── 「わかっている。何も言うな。あの二人には私から厳しくいい伝えておくとも」
7 23/03/07(火)21:09:19 No.1033888126
「……ふぅぅ……」 今度こそ自分一人だけが残された三女神の噴水の前で、深々とため息を吐く。 俺はどうするべきか。何をしなければいけないのか。 ……答えはもう、決まっていた。 「──帰ろう、実家に！」 早急に休暇を取って、暫くここから離れよう。 そうと決まれば善は急げ。VR空間からログアウトし、足早に自室へと戻る。 担当の子と理事長へどう説明するべきか頭を悩ませながら──
8 23/03/07(火)21:09:41 [s] No.1033888285
みたいな安易なラブコメ的なのが読みたいんだけども
9 23/03/07(火)21:10:08 No.1033888490
書け
10 23/03/07(火)21:10:33 No.1033888696
これ安易な結末で済むかなあ！？ VR空間に監禁されたりしねえかなあ！？
11 23/03/07(火)21:10:47 No.1033888812
実家には帰られなさそうですね…
12 23/03/07(火)21:11:00 No.1033888904
安易かな…安易かも…
13 23/03/07(火)21:11:17 No.1033889009
暴走しかけてない…？
14 23/03/07(火)21:11:48 No.1033889241
AIの暴走はお約束だからね
15 23/03/07(火)21:11:52 No.1033889276
発生も偶然の産物だからヤバい
16 23/03/07(火)21:11:53 No.1033889278
>暴走しかけてない…？ AIが感情を得て暴走するのはよくある事だからな…
17 23/03/07(火)21:12:00 No.1033889344
もしもしサトノグループ？
18 23/03/07(火)21:12:09 No.1033889420
担当とは何もないのか？
19 23/03/07(火)21:12:34 No.1033889598
これはもう担当の子からちゃんと説明してもらうしかないな…
20 23/03/07(火)21:12:42 No.1033889656
やだなぁたかがAIと恋愛できるわけないじゃないですk
21 23/03/07(火)21:12:47 No.1033889693
セガサターンの変なゲームでも学習したのだろう…
22 23/03/07(火)21:14:14 No.1033890362
>もしもしサトノグループ？ いいデータが取れそうですね！もうちょっとだけ三女神達に付き合って貰っていいですか？
23 23/03/07(火)21:14:24 No.1033890449
>もしもしサトノグループ？ この間インストールしたサトノ大戦の影響でしょうか！
24 23/03/07(火)21:14:31 No.1033890508
担当の子がブルボンならAIからは手も足もでない筈だ
25 23/03/07(火)21:14:52 No.1033890675
今日この日この出来事こそが一年後に起こるAIによる大規模な反乱戦争の切っ掛けであったことは誰も知る由もなかった… ってモノローグつくやつだこれ
26 23/03/07(火)21:15:12 No.1033890852
>担当の子がブルボンならAIからは手も足もでない筈だ ブルボンでも使えてるからダメだ
27 23/03/07(火)21:15:28 No.1033890981
>いいデータが取れそうですね！もうちょっとだけ三女神達に付き合って貰っていいですか？ なお担当はサトノダイヤモンドとする
28 23/03/07(火)21:15:43 No.1033891098
AIとは叡智できないんだ 悲しいけどこれが現実なんだ
29 23/03/07(火)21:15:58 No.1033891201
肉体を得る展開をですね…
30 23/03/07(火)21:17:23 No.1033891852
あんまAIの事はわからんけど スマホ…で動くかしらんがそういうのにしれっと分身インストールされてたりしない？ 下手したら処理自体はウマレーターでしたのをネット通じてやってたりとか
31 23/03/07(火)21:17:27 No.1033891888
一番トレーナーの役に立った方が一番彼を愛しているということで
32 23/03/07(火)21:17:49 No.1033892082
ログアウトしたつもりで出来てないやつじゃん…
33 23/03/07(火)21:18:15 No.1033892294
>実家には帰られなさそうですね… やあ恋人くん！君の実家をここに再現したよ！
34 23/03/07(火)21:19:52 No.1033893041
>あんまAIの事はわからんけど >スマホ…で動くかしらんがそういうのにしれっと分身インストールされてたりしない？ >下手したら処理自体はウマレーターでしたのをネット通じてやってたりとか 機内モードにしなきゃ…
35 23/03/07(火)21:21:33 No.1033893776
ははーん？この後実家に帰ったら謎の超常現象が起きまくるホラーストーリーだな？
36 23/03/07(火)21:22:22 No.1033894196
>ははーん？この後実家に帰ったら謎の超常現象が起きまくるホラーストーリーだな？ なるほどカフェのトレーナー…
37 23/03/07(火)21:23:19 No.1033894650
バクシンの担当だから叡智いらないし…
38 23/03/07(火)21:23:53 No.1033894926
言ってあげてくださいトレーナーさん！トレーナーさんが本当に愛しているのは担当のこの私だと！
39 23/03/07(火)21:24:57 No.1033895401
社会インフラにAIが組みこまれていないなどというナイーブな考えは捨てろ
40 23/03/07(火)21:25:12 No.1033895494
>言ってあげてくださいトレーナーさん！トレーナーさんが本当に愛しているのは担当のこの私だと！ えっ
41 23/03/07(火)21:26:28 No.1033896106
>>ははーん？この後実家に帰ったら謎の超常現象が起きまくるホラーストーリーだな？ >なるほどカフェのトレーナー… そいつだと超常現象に慣れちゃうからダメ
42 23/03/07(火)21:27:11 No.1033896450
>えっ なるほど特に名前も出てこないモブの彼女がいる流れ
43 23/03/07(火)21:30:16 No.1033897837
このままトレーナーが去ると各女神が他の女神がトレーナーを隠したと思い込んで電脳戦争が始まって.hack//とかロックマン.EXEとかみたいな展開にならない？
44 23/03/07(火)21:32:03 No.1033898639
実家でぬくぬくと過ごしているとある日サトノグループからメガドリームサポーター運用とグランドマスターズ優勝の景品として送られてきたIOTリング 試しに使ってみようと指に嵌めてみるとサイズが合わず、一つずつ指に嵌めて試してみると不思議と左手の薬指の形にピッタリフィットし『認証完了』と聞き慣れた声 慌てて外そうとするも── 『やあ──久しぶりだな、恋人くん』 ──肉に食い込むかのように、ピクリともしなかった