虹裏img歴史資料館

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23/02/19(日)23:58:48 自分は... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1676818728804.jpg 23/02/19(日)23:58:48 No.1028505136

自分は弱い。 すぐに傷ついて、倒れてしまう。 辛いことに晒されると、他人にあたってしまう。 それでも優しくしてくれる人。 そんな人と出会えた。 今思えば、あの人が自分に幸運を持ってきてくれたのでは。 そんなことを毎日、寝る前に思う。

1 23/02/19(日)23:59:09 No.1028505264

「レッド!」 「うわぁ!」 テレビを見ているレッドに後ろから抱きつく。 彼の自宅に同棲してからしばらく経つ。 ブルーは毎朝のようにこうして彼にスキンシップをとっていた。 「いまだに慣れてないわねー。 ま、アタシにドキドキしてもらってる方が面白いからいいんだけど♡」 耳に息を吹きかけると、身震いされる。 こんな彼がかわいい。

2 23/02/19(日)23:59:31 No.1028505401

惚れた弱みなのか。 彼と結ばれてからはいつもこうだ。 彼が何をしても好きになっていく。 嫌がる素振りもなく、自分を受け入れてくれる。 そんなこの人が愛おしくてたまらない。 「レッド」 「うん?」 「アタシのこと、好き?」 聞いてみる。 答えはわかってはいるけど、聞きたい。 「好きだよ」 「うん、アタシも」 気持ちをこめて抱きしめ直す。 間近でレッドの笑顔を見ると、こちらも自然とそうなった。

3 23/02/19(日)23:59:56 No.1028505536

その日の昼。 「そう、レッド君とうまくやってるのね」 「うん、ママ」 ブルーは久しぶりに実家に顔を出していた。 母の入れてくれたお茶が美味しい。 自分とてそれなりに味に自信はあるが、まだまだ母には勝てない。 「ママも昔はパパを落とすために色々頑張ってたわ。 その時に料理も覚えて」 「どんな料理がパパの好みだったの?」 「肉じゃがよ。 せっかくだしブルーにも教えてあげるわ」 「ありがとう!レッドにも食べさせてあげないと」

4 23/02/20(月)00:00:14 No.1028505655

料理を覚えるのは楽しい。 単純に自分のできることが増えるのもそうだ。 それに普通の女の子らしいことができる。 普通とは程遠い幼少期を過ごしたブルーにとって、 そういった体験は是が非でもしたいことだった。 「よかったわ。娘が幸せそうで」 「ママとパパと再会できてから、アタシは幸せよ?」 「そうだけどね」 言葉を一度区切り、母が続ける。 「私たち以外にも、ブルーを愛してくれる人がいてくれて。 ブルーと一緒にいてくれて。 親として、子供にそんな人が出来るのは嬉しいの」

5 23/02/20(月)00:00:44 No.1028505838

母に抱きしめられる。 親の愛情。 娘であるブルーを大切にしてくれる気持ち。 それが母の腕から伝わってくるようだ。 自分もレッドにしている時、こうなのだろうか。 彼に、愛を伝えているのだろうか。 「レッドには、伝わってるのかな。 アタシの思い」 「ええ、きっとね」 頭を撫でられる。 母に甘える。 そんな普通の女の子ならあるはずの経験。 同年代の女の子なら、もう照れてしなくなるはずの行為。 それもブルーにとっては飢えていることだ。

6 23/02/20(月)00:01:01 No.1028505939

「感謝しないとね。 その人のおかげで、ブルーとまた会えたんだから」 「うん…」 彼だけの力ではない。 自分とて頑張ってはいたし、他にも手を貸してくれた人は大勢いる。 無論、彼らにも感謝してもしきれない。 でも、一際彼には。 あの人と出会わなければ。 あの人に許されなければ。 あの人に守ってもらわなければ。 もしかしたら今の自分はなかったのかもしれない。 そう考えると、無性にレッドに会いたくなってきた。

7 23/02/20(月)00:01:51 No.1028506224

「レッドくんに会いたいって顔してるわね」 「え?そう?」 そんなにわかりやすい顔をしていただろうか。 自分を取り繕うことには、それなりに自信はあるのだが。 「母親だもの。 娘が考えてることはなんとなくわかるわ」 背中をさすられる。 母には勝てない。 様々な人生経験はしたが、自分はまだまだだ。 今日はそれを痛感した。

8 23/02/20(月)00:07:50 No.1028508219

日も暮れた夜。 レッドの自宅に戻ったブルーは夕食を振る舞っていた。 早速、昼に教わった肉じゃがを出している。 「美味いよ。ブルーのお母さんに感謝だな」 「それもいいけど、アタシにも感謝してほしいんだけどなー」 「わかってるって。当然感謝してるよ」 よろしい、と彼の頭を撫でる。 髪の感触が自分と全然違う。 当たり前だが、これが男の子の髪。 自分のものより、硬い気がする。 男性の頭を撫でるなど、これが初めてだ。 未知の感覚に驚く。

9 23/02/20(月)00:12:45 No.1028509902

「ブルーには、ずっと感謝してるよ」 「出会った時は、いろいろと迷惑かけてたけど?」 「それも今にして思えば楽しい体験だったよ」 明確に彼に被害を出しているのに、こう言われるとは。 「それにさ、オレ。 誰かに必要とされるのが嬉しいんだ。 あの時は利用されてたけど、それでも」 「…そうなの?」 初めて聞いた。 彼がそんなことを思っていたとは。

10 23/02/20(月)00:20:58 No.1028512699

苦笑して、彼は続ける。 「オレ、誰かを助けたくなる性分なんだけど。 でも、そうすることで自分に自信が持てたんじゃないかなって。 誰かに必要とされるなら、オレにも価値はあるんじゃないかって」 「レッドは、強いし優しいし。 みんながあなたのこと価値のあるって思うんじゃないかな」 「それでもさ、たまに不安になるんだ。 オレが本当にそうなのかなって。 ちょっとしたことで、誰からも見捨てられる人間になっちゃうんじゃないか。 そう思っちゃう時があって」 影のある顔。 笑顔を浮かべてはいたが、心は笑っていない。 そんな彼の表情が、痛ましい。

11 23/02/20(月)00:25:03 No.1028514024

そんな彼を見て、どうするか。 パートナーでいるには、何をするべきか。 答えは、一つだった。 席を立ち、彼を抱きしめる。 「ブルー?」 母が自分にしてくれたように。 優しく、愛おしげに。 「レッドは、アタシが怖い?」 「え?」 「アタシに見捨てられると思うと、怖い?」 「怖いよ」 彼からも抱きしめ返される。 自分を離さない。 話されたくない。 そんな彼の思いが、伝わってくる。

12 23/02/20(月)00:28:46 No.1028515218

「約束する。 アタシは、絶対にそうしないと。 ずっと、あなたと一緒にいるって」 出た台詞は、自分でも驚くくらいに力がこもっていた。 自分では、優しく言うつもりだった。 だけどこうなったのは、自分を信じてほしいからか。 愛情が消えてしまうのかと不安に思われたからか。 わからない。 でも、否定はしない。 紛れもなく、それは自分の奥底に隠されてる本心だから。

13 23/02/20(月)00:31:57 No.1028516281

「本当に?」 不安げなレッドの声。 怯えの混じった声。 幼子のような弱さの混じった、それでいて本心からの言葉。 それにブルーの中の庇護欲が刺激される。 守りたい。 彼の不安を取り除いてあげたい。 自分の中で、そんな思いが膨れ上がる。 「本当よ。 レッドだって、アタシのこと見捨てなかったもの。 今度は、アタシがそうする番よ」

14 23/02/20(月)00:35:39 No.1028517634

何度も見捨てた。 何度も利用した。 それでも、彼は自分を見捨てなかった。 どんな時でも、守ってくれた。 優しさを捨てないでいてくれた。 それに対しての感謝。 お返しをする時。 それが今なのだろう。 「ありがとう、ブルー」 「…うん」 彼から、頭を撫でられる。 母とは違う、少し乱暴な手つき。 でもそれでいい。

15 23/02/20(月)00:38:21 No.1028518601

ブルーの母はブルーの母。 レッドは自分の恋人。 代わりにはならないし、できることもできないことも違う。 それで当たり前。 同じ人間などいない。 だからこそ、違ってもいい。 2人とも、自分の掛け替えの中存在だ。 それに込めた意味は違うが、どちらも失いたくない。 それほど、大事な者たちだ。

16 23/02/20(月)00:42:54 No.1028520282

「好きだ、ブルー」 「アタシも、大好き」 今度はレッドから言ってくれた。 それに、自分も嬉しくなる。 「アタシも、不安になることはあるから。 レッドも、アタシのこと見捨てないでね。 これからも、ずっと」 「ああ、約束する」 強く、抱きしめ返される。 それに身を委ねる。 彼からの愛情。 それが伝わってくるような気がした。

17 23/02/20(月)00:46:24 No.1028521449

その後、片付けを終えてリビングに戻る。 「親孝行、ってわけじゃないけど。 ブルーの両親になにがお礼しないとな」 「なら、アタシと籍いれてみる? 娘のウェディングドレス姿見せてあげるーって」 レッドが飲んでいたお茶を吹き出した。 「お茶、美味しくなかった?」 「そういうことじゃなくて! っていうかわかって言ってるだろ!」 「えー、何のことかしらー」 とぼけて見せるが、レッドからは半目を向けられていた。

18 23/02/20(月)00:49:14 No.1028522347

「いっそのこと、先に孫の顔でも見せる?」 「は、早いって!そういうのはまだ?」 「まだってことは、そういう予定あるのよね?」 「そ、それは…」 しどろもどろになるレッドをおかしく思う。 それと同時に、嬉しくなる。 自分とそうなる未来を見てくれている。 その相手としても見てくれている。 それがブルーにはありがたかった。 「ありがとう、レッド」 礼を言うと、レッドがなぜ今言われたのかわからないという顔をした。

19 23/02/20(月)00:49:36 No.1028522480

以上です 閲覧ありがとうございました

20 23/02/20(月)00:52:18 No.1028523346

最近23時超えてからようやくエンジンがかかるようになってきました 追い詰められてようやく筆が進むように

21 23/02/20(月)00:53:31 No.1028523727

>話されたくない。 >2人とも、自分の掛け替えの中存在だ。 「離されたくない。」「掛け替えのない」の誤字でしょうか ブルーのお母さんがピックアップされてるのって珍しいですね

22 23/02/20(月)00:59:58 No.1028525728

>>話されたくない。 >>2人とも、自分の掛け替えの中存在だ。 >「離されたくない。」「掛け替えのない」の誤字でしょうか 誤字すみません… >ブルーのお母さんがピックアップされてるのって珍しいですね レッドの恋愛相談の相手はゴールドとして(グリーンは異性への関心が薄いと仮定) ブルーは誰に相談するというと母親かなと クリスは相談相手にするほど恋愛に耐性無さそうだしサファイアはこっちもこっちでノリが独特だしで

23 23/02/20(月)01:03:42 No.1028526952

>クリスは相談相手にするほど恋愛に耐性無さそうだしサファイアはこっちもこっちでノリが独特だしで クリスは「デっでででデート!?」で既に顔が赤いとかサファイアなら同じシチュでの体験談を話し出して「きゃー何言わすっと恥ずかしかー!」とかで二人は全く役立つビジョンが見えないな…

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