ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
23/02/18(土)04:03:25 No.1027733937
※メモロビ後
1 23/02/18(土)04:04:04 No.1027733980
「あー…」 駄目だ。だいぶ参ってる。 廃墟となったビルのエントランスの段差に腰掛けて溜息をついた。 見上げると空を1階の天井が半分に区切っている。曇天は決壊し、ひび割れたアスファルトに大粒の雨を降らせていた。 肌寒い。お腹も減っている。好む食事があるわけではないけれど、枯渇したエネルギーを肉体が求める機能的な欲求は否定できない。 ここで合流する予定だったけれど姫もヒヨリもこの雨では到達が遅れるだろう。リーダーは相変わらず行方不明。 つまり、それまで私はここでひとりぼっちだ。 …何かしなければならないことがある間はいい。それは今の私にとってはスクワッドのみんなを守ること。 それはサオリに預けられた私の立場であり、楔だった。 うまくしたものだ。恨めしくなる。判断は的中で、あれ以来私は自分のことについて悲観する暇さえなかった。 端的に言えば死んでる場合じゃない。そんな余裕はない。私は私の責務を果たさなきゃいけなくて、リーダーに甘えることもできない。 今サオリはそばにいない。私の衝動的な自殺願望を止める人はいないのに、実行するには与えられた役割が重すぎる。 憎らしい。再会したらフルオートでぶちまけてやる。
2 23/02/18(土)04:04:19 No.1027734000
でも、姫もヒヨリもいない今だけは。今だけは、自分の中に埋没できる。 ぐったりと腰を降ろし、膝の上で組んだ腕で頭を支える。 ああ、嫌だ。寒くてひもじいと負の感情がどくどくと心臓から溢れて全身に伝わっていく。 前の私なら「もう嫌だ。何もかも終わらせてしまいたい」と手首を切るナイフを手にしていたかもしれない。 だが今胸中を埋め尽くすのはあの時とは少し違うものだ。 「───寂しい」 口に出すと余計にずしりと身体が重くなる。そんな錯覚。 駄目だ。だいぶ参ってる。だってこんな気持ちになって思い出すのが、よりにもよって…。 ポケットを探る。軽い感触が指に伝わる。取り出してみれば、なんてことはないプラスチックの容器。 シロップでべたべたに甘く味付けされた風邪薬のボトルだ。もう空で何も入っていない。 「…」 躊躇った後、おずおずと飲み口に唇を寄せた。大丈夫、誰も見ていない。 当然まともな味はしなかったけれど、仄かに甘い香りが残っている。 駄目だ。私は参ってる。こんなのを捨てられずにまだ持ってるなんて。 雨は私のいるエントランスと外の世界を遮断して、私はここにひとりぼっち。なのに、少しだけ胸中の寂しさが薄れた気がした。
3 23/02/18(土)04:14:20 No.1027734576
湿ってきた
4 23/02/18(土)04:23:42 No.1027735061
>肌寒い。お腹も減っている。好む食事があるわけではないけれど、枯渇したエネルギーを肉体が求める機能的な欲求は否定できない。 ここ好き 回りくどく表現したがるのミサキって感じ
5 23/02/18(土)04:27:10 No.1027735279
ミサキは先生にそっけないから安全なはず…
6 23/02/18(土)04:27:29 No.1027735295
ここで先生がしれっとあったかいココアとか持ってくるんだろ?
7 23/02/18(土)04:31:49 [好感度↑↑] No.1027735562
>ここで先生がしれっとあったかいココアとか持ってくるんだろ? なにそれ 余計なお世話
8 23/02/18(土)07:16:58 No.1027745820
じっとりし過ぎてる…
9 23/02/18(土)07:22:35 No.1027746405
>じっとりし過ぎてる… いいよね…
10 23/02/18(土)08:41:38 No.1027757273
カタログの湿度が上がったと思ったらミサキだった