ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
23/02/12(日)23:58:37 No.1025955133
彼女が好きだ。 どこを好きになったのか。 人並み以上の美しい容姿か。 困難でもやり通す意思の強さか。 寄り添ってくれる優しさか。 普段から見せている明るさか。 それに隠しきれずに稀に垣間見せる影か。 どれかわからない。 もしかしたら、全部なのかもしれない。 それを、伝えたくなった。
1 23/02/12(日)23:58:48 No.1025955202
「ブルー、今日空いてるか?」 朝。 レッドはブルーに通話していた。 「空いてるけど、珍しいわね。 レッドから言ってくるなんて」 「たまにはさ。 オレからブルーに話したいこともあるし」 「アタシに話したいこと? まあいいけど」 「サンキュー。じゃ後でな」 通話を切って、一息つく。
2 23/02/12(日)23:59:06 No.1025955314
「…さて、どうしようか」 急に思い立った。 彼女に思いを伝えたいと。 理由はわからない。 前から感じてはいた。 彼女への好意を。 それが、何故今になって。 だけど、こう決めたのなら迷わない。 日が立てば決意は鈍る。 だから言おう。 そう決意してレッドは身支度を整えた。
3 23/02/12(日)23:59:20 No.1025955401
「おはよう、レッド」 「おはようブルー」 自宅に来たブルーと挨拶をしあう。 「悪いな。急に呼び出しちゃって」 「いいわ。どうせ暇だったし」 ソファに腰掛け、彼女がリラックスする。 よくある光景。 何度かブルーを自宅に招いたがそのたびにこうなっていた。 最初は自分の方が緊張していたが、今ではこちらも肩の力が抜けていた。 「で、何の用? 急に呼び出すだなんて、ひょっとしてアタシに告白でもするつもり? なーんて」
4 23/02/12(日)23:59:37 No.1025955486
冗談のつもりだったのだろう。 だけどレッドにとっては渡りに船だった。 「そうだ」 「…え?」 「ブルー、好きだ」 ブルーが戸惑う。 2人で遊んだ帰り道。 レッドが言った内容にブルーが動揺していた。 「アタシを…?」 「ああ。ずっと前から」 じっとブルーの目を見る。 頬が紅潮し、目線が泳いでいる。 彼女をここまで驚かせたことへの罪悪感が湧き上がる。
5 23/02/13(月)00:04:32 No.1025957190
「急にこんなこと言ってごめん。 だけど言いたくなって。 そう思ったら我慢できなくなった」 「…うん」 段々と、ブルーの表情が変わっていく。 動揺から安堵に。 そして笑顔になっていく。 「…アタシも、好きよ。 あなたのことが」 「…え!?」 今度は自分が驚く番だった。 「え、えっと…」 「アタシに告白はしたのに、自分はそうされるとは思ってなかった?」 「い、いや、何も考えてなかったよ…」 思い返せば、そもそも言われたブルーがどういう反応をするか予想もしてなかった。
6 23/02/13(月)00:08:40 No.1025958546
「もう、思いつきで後先考えてなかったのね」 「ごめん…」 「いいわ。レッドのそういうところも好きだもの。 なんだかほっとけないし」 「そう言ってくれるなら嬉しいよ…」 優しい微笑み。 皮肉でもなくただこちらを受け入れる台詞。 それに心が癒される。 「じゃあ、ブルー」 「うん」 また目を見る。 今度はお互い、視線を逸らさずに。 「オレと、付き合ってくれ」 「…うん」 そうして、交際が始まった。
7 23/02/13(月)00:15:34 No.1025960817
それから数週間。 「はぁ…」 レッドは自宅でため息をついていた。 「どうしたんスか? そんなでけーため息なんてついて」 遊びに来ていたゴールドが聞いてくる。 こちらが出したお菓子を遠慮なくボリボリと食べながら。 「ブルーと付き合いだしたけどさ、 あんまり変わってないなって思って」 「…いやその事実初めて聞いたんですけど!? あのブルー先輩と付き合ってんスか!?」 「あ、そういえば言うの忘れてた」 指摘されて初めて気付いた。 それにゴールドが半目を向けてくる。
8 23/02/13(月)00:20:47 No.1025962636
「で、変わってねーってのは何がなんスか?」 「あ、それはさ。前々から2人で遊んだことはあったけど。 それも今までと一緒だなって」 「なんか付き合いだして変わったことってないんだすか?」 言われ、改めて思い返す。 これまでのブルーとの記憶を。 「ブルーがオレにベタベタするようには…、 いやこれは前からか」 「それ、付き合う前からしてたのはブルー先輩なりのアタックだったんじゃないんスかね?」 「そうかも…」 これも指摘を受けてようやく思った。
9 23/02/13(月)00:27:40 No.1025965058
「ブルーがオレんちに遊びに来ることも前からそうでさ。 たまに飯も作ってくれて」 「…それもブルー先輩のアタックじゃないっスか」 「…うん」 もはや否定もできない。 考えてみたら、嫁入り前の女の子が男の家に来てそこまでするのは普通ではないのかもしれない。 「自撮り写真も送ってきてさ。 なかなか際どいのもその中にはあって」 「いやもう気づけよ! どんだけ鈍感なんスかあんた!」 「…はい」 もう何も言い返せない。 ここまで来るともはや自分がその手のことに鈍かったと認めざるを得ない。
10 23/02/13(月)00:36:04 No.1025967997
「…で、付き合う前からそんなにイチャイチャしてたから今更なんか特別なこととかが思いつかねーってことですか」 「そうなんだよ」 ゴールドは鼻を指で擦りつつ、 「なーに言ってんスか。 男なら勢いでガバッとやったりチュッチュしてやりゃあいいじゃないですか」 「いやそれは早くないか!?」 赤面しながら反論する。 「だってもう普通に遊んだりしてんのならそれくらいしかやることないじゃねーっスか。 オレ様だったらそらもうやることやっちまいますって」
11 23/02/13(月)00:40:36 No.1025969535
「…そうかな」 「そうっスよ」 胸を張ってゴールドが言う。 自信に満ちた態度。 例えそれが虚勢でも、頼もしく見える。 「そうだな、オレ頑張ってみるよ」 「うっす」 はは、と笑い合う。 少し気が楽になった。 たまには後輩に相談するのも悪くないのかもしれないとレッドは思った。
12 23/02/13(月)00:49:26 No.1025972583
その翌日。 「…ってことがあってさ」 「そう…」 自宅に招いたブルーに正直にその件を話した。 「ゴールドって、そういうこと他人には言っておいていざ自分が付き合いだすとなかなか自分からは手を出さない気がするんだけど」 「酷いこと言うなぁ」 「レッドはそうは思わないの?」 「…ブルーの言う通りな気がする」 否定できる気がしない。 「で、アタシにそういう話をしたのはなぜ?」 「あんまりブルーに隠し事したくなくってさ。 オレたちその、恋人なんだし」 「…うん」
13 23/02/13(月)00:55:41 No.1025974680
自分で言っておいてなんだが、照れる。 ブルーと恋人関係にある。 その事実を改めて認識して恥ずかしさが込み上げてくる。 「それで、レッドはアタシにガバっといったりしてくるの?」 「そこまではしないけどさ…」 「アタシはレッドさえいいなら構わないんだけどね」 色気のある笑みを向けられる。 子供の頃からだが、今ではより自分の魅力を引き出す仕草に磨きがかかっている。 末恐ろしい、と自分の恋人に戦慄する。
14 23/02/13(月)01:02:01 No.1025976678
「オレがしてやれるのは、今はこれくらい」 彼女に近づく。 正面に立ち、肩に触れる。 露出した素肌に触って、その柔らかさに戸惑う。 今からやろうとすることに、躊躇いが出る。 そうしていいのだろうか。 彼女に嫌われたりはしないだろうか。 嫌な想像が頭に浮かぶ。 「大丈夫」 ブルーに微笑みを向けられる。 「あなたがしたいのなら、アタシは平気よ。 それに、アタシもレッドにそういうことされたいから」 こちらを許容する言葉。 それを聞いて、レッドの緊張が解れていく。
15 23/02/13(月)01:07:21 No.1025978415
唇を重ね合わせる。 軽く、触れるだけですぐに離す。 僅かな時間の接触。 それだけなのに感触が強烈に残っている。 これは当分忘れられそうにない。 ブルーが嬉しそうに顔を綻ばせる。 「よかった…」 「えっと、何がだ?」 「アタシが愛されてるって、改めて思って」 ブルーからもキスをしてきた。
16 23/02/13(月)01:10:45 No.1025979406
「オレから告白してきたんだから、その、好きってことはわかるだろ?」 「それでも、アタシは嬉しい。 誰かから。 いえ、あなたからそういうことをしてもらえたら。 アタシなんかでも好きになってくれる人がいるんだって。 好きな人に愛されるって幸せだなって。 そう思うの」 「そっか…」 思い返す。 自分がなぜ、急に告白しようとしたのか。
17 23/02/13(月)01:14:42 No.1025980540
「オレも、そうだよ。 ブルーに愛されると嬉しい。 だからかな。 ブルーといると、世話焼いたりされると愛されてるってどこかで感じてたのかもしれない。 だから、告白したくなったんじゃないかなって」 急に、ではない。 それまでの積み重ねだ。 何度も、彼女に好意を向けられてきた。 それが恋心から来るものとは知らなかったが。 それでも優しくされたり触れ合ったりすると、その度に嬉しくなる。
18 23/02/13(月)01:16:57 No.1025981146
「好きだよ、ブルー」 「アタシも、好きよ。レッド」 また、唇を触れ合わせた。 何度も、そうしていた。 「それでキスしすぎてさ、ブルーもオレも唇が腫れてきて…」 「あーそうっスか」 後日、ケッとゴールドに拗ねられた。
19 23/02/13(月)01:17:12 No.1025981220
以上です 閲覧ありがとうございました
20 23/02/13(月)01:18:01 No.1025981447
>「なんか付き合いだして変わったことってないんだすか?」 ないんですか?の誤字でしょうか >胸を張ってゴールドが言う。 >自信に満ちた態度。 >例えそれが虚勢でも、頼もしく見える。 虚勢なのに頼もしいのがゴールドの魅力ですよね
21 23/02/13(月)01:20:49 No.1025982214
>>「なんか付き合いだして変わったことってないんだすか?」 >ないんですか?の誤字でしょうか 誤字すみません… 今回マジでやばかった 11時過ぎてもネタ思い浮かばないし文もそんなに進んでなくて焦りましたけどイチャイチャさせてたらなんとか話にはなりました
22 23/02/13(月)01:21:16 No.1025982333
>「それでキスしすぎてさ、ブルーもオレも唇が腫れてきて…」 >「あーそうっスか」 >後日、ケッとゴールドに拗ねられた。 (クリスとキスできなかったんだな…)
23 23/02/13(月)01:22:36 No.1025982723
>「だってもう普通に遊んだりしてんのならそれくらいしかやることないじゃねーっスか。 >オレ様だったらそらもうやることやっちまいますって」 クリスの目の前でもう一回言ってもらおうか