虹裏img歴史資料館

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23/02/06(月)23:16:56 街中で... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1675693016295.jpg 23/02/06(月)23:16:56 No.1023738478

街中で見慣れた後ろ姿を見つけた。キングヘイロー、私の友人。何やらお洒落してどこかへ向かう様子。好奇心が疼いて、後からつけてみることにした。 どうやら待ち合わせ場所に向かってたみたい。着いた先には彼女のトレーナーさん。一言、二言言葉を交わすと2人は歩き出した。手を繋いで。……これってもしかしてデートでは!?好奇心がさらに疼いて、尾行を続行。 進んでいく2人を見失わないように、かと言って近付きすぎてバレないように、人混みに紛れて距離を保ったまま追跡する。ウマ娘の五感は鋭いからね。まあ今のキングは2人きりの世界に浸ってて気付かないだろうけど。あ、恋人繋ぎに握り直した。 「まだまだ温いわ…もっと積極的になりなさい…」 「いやいや、ああいう意地らしいところがキングのトレーナーさんも好きなんだと思いますよ」 「でも積極的なところを見せれば新たな側面に惚れ直す可能性もあるわ。何事もやってみなくちゃ…って、あら?」 「え?」 隣を見ると知らない人。いや、正確には知ってはいるけど面と向かって話すのは初めての人。キングのお母さん。何やってるんですかこんなところで。

1 23/02/06(月)23:17:55 No.1023738946

「街中で娘を見かけたから尾行してみればデートしてるじゃない?気になって着いてきちゃった…」 うへぇ、同じ発想。 ─── とあるカフェにて。対象の2人が入店したのを見計らい、少し遅れて入店。相席はキングのお母さん。 「つまり、セイウンスカイさんも街中で娘を見かけて尾行してたのね?」 「スカイでいいですよ。まあ、そういうことです」 「心配して着いてきてくれるなんて…娘は友達想いの友人を持てて幸せ者ね…」 別にそういうわけじゃ…ただの好奇心です。とは言いづらい。ここはそういうことにしておこう。 「ところでスカイさん。あの2人はどこまで進んでいるのかしら?」 「セイちゃん横になりますね…」 「突然どうしたのかしら!?」 「気にしないでください…黙秘権を行使したまでです…」 「なるほど…娘のプライベートを守ろうって魂胆ね…あの子ったら本当にいい友人を持ったみたい。でも、これで諦めるこの私と思わないことね、デートをじっくり観察して、2人の仲をこの目で確かめてやるわ」 何やら面倒なことになってきたなぁ…

2 23/02/06(月)23:18:31 No.1023739181

そんな私達に見られているとは露知らず、キングはデートを満喫している。注文したポテトをトレーナーさんに向かってあーんなんてして…私も私のトレーナーさんに… 「セイちゃん横になりますね…」 「今度はどうしたのかしら!?」 「気にしないでください…自分も同じこと出来るかなって想像したら恥ずかしくなっただけです…」 「あら、ウブなのね。貴方も応援しがいがありそう」 うへぇ、矛先がこっちに向きそう。話逸らさなきゃ。 「あ、見てください。今度はトレーナーさんにあーんをせがんでます」 「へぇ、あの子にしてはやるじゃない。彼の方は…あ、手にあの子の唇が触れちゃってちょっとドギマギしてるわね」 「何か真っ当にイチャイチャされると見てるこっちが恥ずかしくなってきますね…」 「そうね、でも私なら唇に触れた彼の指を舐めるくらいはするわ」 「一気に淫靡な雰囲気に持っていこうとするのやめてください」 キングにも似たようなところがあるのだろうか?と、若干心配になる。デート観察し続けてたら分かるかな。 二人が席を立ったのを見て、尾行を再開した。

3 23/02/06(月)23:19:19 No.1023739518

目的地は水族館だったみたい。中々いい趣味してますなぁ。二人は恋人繋ぎのまま入館。バレないように後を追う私とキングのお母さん。 「人が多いですね…」 「定番のデートスポットよ。多くて当然だわ」 別にカップルしかいないわけじゃないと思いますけどなるほど、だからキングはさらにトレーナーさんに密着したわけですね。人が多いのを言い訳にはぐれないようにと…恋人繋ぎから腕組みにステップアップ。隣ではお母さんが「私なら胸に腕を挟み込むように組むわ…」なんて呟いてる。ハレンチなことはしないまでも積極性は似てるかもね。 そうやってイチャイチャ水槽を眺める一流カップル達の前に障壁が。 「あれー?〇〇トレーナーじゃないですかー?」 「わー!奇遇ですね!何してるんですかー?」 何やらキャピキャピした女性2人が近付いてきた。服装を見るに、学園のトレーナーだろうか?話をよく聞こうと耳をそばだてる。 「ああ、キングとデ…」 「ああ!担当の子とさんぽですか!仲良しですもんね!」 「それより今夜飲み会あるんですけど、〇〇トレーナーも一緒にいかがですか?」

4 23/02/06(月)23:20:04 No.1023739869

何だ何だ、あの人達は。キングがいるのに随分とお構い無しだ。当然キングも不機嫌に。耳がみるみる絞られていく。 「何なの、あの人達は…マナーがなってないんじゃなくて?」 あっ、娘のデートを邪魔されてこっちも耳が絞られていく。でも、気持ちは分かる。私だってトレーナーさんとのデートを邪魔されたら今のキングと同じ顔をすると思…ってうわキング顔怖。 何とか同僚2人を振り払ったキングのトレーナーさん。胸を撫で下ろしてキングに向き直る。 「はは、お待たせキング。じゃ、行こうか」 「ええ、行けばいいじゃないの。飲み会にでも何でも」 そう言ってトレーナーさんを置いてずんずん歩いていくキング。あらら、八つ当たりしちゃって…後で後悔するのは自分だろうに。 「中々モテるみたいね、彼」 「あ、はい。詳細は省きますけどキングをスカウトする時に派手に目立ちましたから…実績も出しましたし学園でも狙ってるウマ娘や同僚もいるみたいなんですよ。まあ私のトレーナーさんの方がかっこいいけど」

5 23/02/06(月)23:20:40 No.1023740161

「スカウトの話なら私も聞いたわ。以前あの子から惚気られて…いやー、それにしても中々いい男を捕まえたわねウチの子も。まあ私の旦那の方がかっこいいけど」 なんて話をしている場合じゃない。このままだと2人のデートが気まずいまま終わってしまう。 「キングの機嫌を治す方法、何かありませんかね?」 「うーん…あの子一度怒り出すと中々頑固だから…その後変に意地張った自分に自己嫌悪するし…」 「流石母親、よく知ってますね」 「え、ええ。まあね…」 「それだけ分かっていながら何で不仲だったんです?」 「貴方言って良いことと悪いことがあるわよ」 お母さんのジト目を躱しつつ、キング達の方を見る。トレーナーさんが何度か声をかけるもキングはツンとして取り付く島もない。これは言葉だけで解決するのは無理そうだね。トレーナーさんの方もそれに気付いたのか、売店に向かった。何やら贈り物をしてご機嫌をとるらしい。 「ここは俺をプレゼントするところでしょ!あの人も奥手なのかしら!」 「ちょっと静かにしてもらってていいですか?」

6 23/02/06(月)23:21:40 No.1023740611

トレーナーさんは果たして何をプレゼントするつもりなのだろうか。店内をグルグルと回っていた彼はやがて、お魚ストラップのコーナーで足を止めた。うーん…ご機嫌取りのアイテムとしては若干パンチが弱い気がするけど水族館で他に何か用意しろって言うのも酷な話。あのストラップキラキラしてて綺麗だしね。 「これとか綺麗でいいんじゃないか?」 そう言って彼が手に取ったのはベニマス。 「って、ベニマス!?それはダメです!」 「何がダメなの?」 「あれの魚言葉は“倦怠期”。怒らせた恋人に渡すには悪手です!」 「ああ、魚言葉ね。でもそんなのあの子が把握してるとは思えないわ」 「あ、それもそうですね。なら大丈夫か…」 その時、セイちゃんに電流が走る! ホワンホワンホワワーン(回想に入る音) 「魚言葉、ねぇ。花言葉の二番煎じじゃないのこれ?」 「そんなことないよー。確かに変なワードチョイスも多いけどさ、調べてみると結構面白いよ」 「ふーん…良かったら私にも教えてくれないかしらスカイさん」 「おっ、興味持ったねぇ。いいよいいよ、じゃあまずは…」

7 23/02/06(月)23:22:20 No.1023740882

「ごめんなさいセイちゃん以前娘さんに魚言葉教えました…」 「何余計なことしてるのよ!」 まずいまずい!今のキングがベニマス受け取ったらきっとショックで寝込む!その前に何とかしないと! 「ほ、他の魚をトレーナーさんに選ばせましょう!ベニマスはダメだ!」 「じゃあ“子宝”のニシンとか“発情”のアカヤガラなんてどう?」 「ダメに決まってるでしょう!?余計気まずくなりますよ!」 渡す魚はえーと…あれでいいか!あとはトレーナーさんにバレない誘導方法を… 「お母さん、ちょっと全力でキャピキャピした声出して私の用意した文章読んでくれません?」 「何を言い出すの!?」 「娘さんのためです」 「分かったわ、任せてちょうだい」 これだけ娘想いなのに何で拗れたんだろ、この人。 「じゃあ、言うわよ?コホン。ねぇー、セイぴょんは彼ピにお魚ストラップ貰うならぁ、何がいいのぉ?」 「えぇー?私はぁ、リュウグウノツカイがいいかなぁ?だってぇ、魚言葉が“絵にも描けない美しさ”だよ?好きな人に言われたーい。逆にぃ、ベニマスは嫌かなぁ。“倦怠期”って最悪ぅ」 よし、やるだけやった!伝われ!

8 23/02/06(月)23:23:09 No.1023741251

手元のお魚ストラップをまじまじと見つめるトレーナーさん。元の場所に戻してリュウグウノツカイを手に取った。やった、大成功! 「上手く行きましたよ、お母さん!」 「ええ、やったわねセイぴょん」 「セイぴょんはやめてください」 さて、ここでコントしてるわけにはいかない。トレーナーさんを追いかけて、事の顛末を見守らなきゃ。 出口の方でキングは待っていた。 「遅い。どこ行ってたのよ」 「ごめん、その…お土産買ってて…これを君に…」 「これって…」 「リュウグウノツカイのストラップ。気に入るかなって思って」 「ふーん…ま、貴方のことだから偶然なんだろうけど、ありがとう」 「偶然じゃない!いや、意味を知ったのはついさっきなんだけど、俺からしたら君はいつも気高くて、綺麗だから。初めて君の走りを見たあの時から」 「わ、分かったから。その…ごめんなさい…当たってしまって…貴方が褒めてくれた美しい私とは程遠いことをしてしまったわね…」

9 23/02/06(月)23:23:49 No.1023741583

「ううん、君が元気になったのなら良かった!さぁ、そろそろ夕食に行こうか?良いレストラン見つけたんだ」 「ふふっ、楽しみ」 ふー、一件落着。ベタなイチャイチャしちゃってまあ… 「ありがとう、スカイさん。おかげであの子のデートが気まずいまま終わることはなさそう」 「いやいや、娘さんには日頃お世話になってるので。それにキングは大切な友達ですから。……これ、キングには言わないでくださいね?」 「ふふっ、そうね。でも、母親としてお礼はしたいわ。そうだ、貴方も相当奥手みたいだから今度貴方の恋愛も応援させてちょうだい。私の手練手管、たっぷり教えてあげるわ」 うへぇ、矛先がこっちに向いたー!

10 <a href="mailto:s">23/02/06(月)23:24:18</a> [s] No.1023741824

最近苦しむキングばかりだったので真っ当にイチャイチャするキングを書きたかった

11 23/02/06(月)23:28:00 No.1023743422

お母様凄い楽しそうですね…

12 23/02/06(月)23:31:38 No.1023744862

お母様ノリノリじゃん…

13 23/02/06(月)23:34:54 No.1023746177

真っ当かなぁこれ…?

14 23/02/06(月)23:40:37 No.1023748489

キングとトレそのものは真っ当 その後方でゴソゴソしてるのはちょっとね…

15 23/02/06(月)23:41:04 No.1023748667

セイちゃん偉いな…

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