虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。

23/01/25(水)00:17:10 泥ョン... のスレッド詳細

削除依頼やバグ報告は メールフォーム にお願いします。個人情報、名誉毀損、侵害等については積極的に削除しますので、 メールフォーム より該当URLをご連絡いただけると助かります。

23/01/25(水)00:17:10 No.1019117548

泥ョン・ウィック

1 23/01/25(水)00:18:43 No.1019118086

何か書くができます

2 23/01/25(水)00:19:09 No.1019118243

ルゥくんちゃんでなにか

3 23/01/25(水)00:21:34 No.1019119102

ルゥくんちゃん ルゥくんちゃんでどんなの

4 23/01/25(水)00:23:09 No.1019119693

カッコいいやつ もしくはかしこいやつ

5 23/01/25(水)00:50:35 No.1019128603

もうちょっとまってね

6 <a href="mailto:1/3">23/01/25(水)01:18:03</a> [1/3] No.1019136095

「ちょ…屈めティー!背丈もおっぱいも大きいせいで助手席の窓見えないんでスよ!」 「ヴェ~ン…ご、ごめんなさぁい…!」 運転席のテアさんがハンドルを切りながら怒鳴り、助手席のトゥメアーさんがぺこぺこと謝る。 テアさんはそこが指定席だったけれど助手席は私の指定席のはずだった。けれど今の私は後部座席からその遣り取りを見ている。 そういえばこの4人で行動していて車の後ろの席に座るのは初めてだな、と薄ぼんやりと思った。 駄目だ。どうしようもなく感傷的になっている。こんな状態じゃテアさんが後ろに乗れと言うはずだ。 『どうせ願望器は要らないんでしょ?キミには家族も友達も、過去も未来もあって……それじゃあ聖杯に、私たちの希望(ユメ)に、あの人たちの宝物(ユメ)に手を出すなよ!』 叩きつけられたいくつもの言葉がぐわんぐわんと私の中で鈍く残響している。 ここに来て現実感というものがようやく私に追いついてきていた。この函館に入ってから…ううん、大阪にいた時から作動していた時限爆弾だった。 私はお客様なんかじゃない。当事者のど真ん中にいる。それはつまり、彼女のような存在とも向き合わなきゃならないということだったんだ。

7 <a href="mailto:2/3">23/01/25(水)01:18:15</a> [2/3] No.1019136154

頭が重い。精神が平衡感覚を失っている。そのままずぶずぶと座席のシートに埋まっていきそうな私の手を柔らかく包むものがあった。 「アズキ」 「ルゥさん…?」 ハッとなって隣を見る。横に座っているルゥさんの眼差しが私に注がれていた。 帽子を被っていないせいで滝のように流れ落ちている長髪が山吹色に染まっていた。それはよく似ていた。太陽の光の色に。 前の席からはふたりの遣り取りが続いている。あるいは、私たちに気づいてあえてそうしているのかもしれない。 「大丈夫?」 「あ…その、はい、大丈夫です」 「ううん」 ルゥさんが首を横に振る。視線はあくまで私から外れない。それで気づいてしまった。 『そうだね。これからはもうちょっと、触れるんじゃなくて言葉で気持ちを伝えるようにする』 そう宣言したルゥさんがわざわざ私の手を握った上で話しかけてきたこと。髪が温もりに満ちた色合いになっていること。 握られた手から流れ込んでくるのはルゥさんの体温だ。氷像のように涼やかな見た目なのにそれは驚くほど熱を持っている。 「いいんだ。アズキが悲しいとぼくも悲しい。でも悲しい時は悲しいままでいいんだって、今のぼくは知ってる」

8 <a href="mailto:3/3">23/01/25(水)01:18:25</a> [3/3] No.1019136192

ほんの僅か私の手を握る力が強くなった。情けないことに、それだけで少しだけ沈んでいた心が軽くなる。 気持ちを伝えるのに本当なら言葉なんて要らないはずのルゥさんが手を握った上で言葉にして私に伝えようとしてくれている、その意味が分からない私じゃない。 「悲しくて辛いアズキは、ぼくが守るよ。ぼくが助ける。大丈夫だよ。ぼくにアズキがしてくれたように、ぼくはきみにそうしたいんだ」 「ルゥさん…」 握りしめられた手を握り返す。その時、私は驚くべきものを見た。 感情表現は口振り手振り、そして髪の色の変化だったルゥさんは一方で表情を変えることはない。 そのルゥさんが表情筋を歪め、ぎこちなくも薄く唇を曲げた。いつもの表情と何が違う、と知らない人は思うくらいの変化。 でも毎日その顔を見てきた私には分かった。…微笑んでくれている。 「きみに寄り添うよ。きみのそばにいる。ぼくは───きみが好きなんだ」 そんなの言わなくたって分かってる。だって握られた手から火傷しそうなくらい暖かさが伝わってくるから。 分かってるんだ。分かってるのに、私は目の前のルゥさんの姿がじわりと歪んで視えそうになるのを堪えるのに必死だった。

9 23/01/25(水)01:28:47 No.1019138632

助かった

↑Top