23/01/15(日)23:59:07 あの人... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1673794747018.jpg 23/01/15(日)23:59:07 No.1015934670
あの人に勝ちたい。 強くなりたい。 あの人の隣にいられるために。 もっと強く。 だけどそうなったら、どうなるか。 あの人はどう思うのか。 その時の自分はまだ知らなかった。
1 23/01/15(日)23:59:22 No.1015934758
ある日、サファイアからレッドに連絡があった。 「あたしを、鍛えてほしか」 真剣な表情。 何かの決意をした顔。 TV通話なので画面越しだが、彼女の思いは充分伝わっていた。 「急にどうしたんだ?」 「あたし、ルビーに勝ちたかばい」 「なんでか聞いてもいいか?」 サファイアがそれに頷く。 「あん人は大事な時にいつもあたしば置いて行きたがるたい。 守ろうとしてなのは分かるっちゃけど。 ばってんあたしはあん人と一緒に戦いたかたい」
2 23/01/16(月)00:00:06 No.1015935009
そう言うサファイアを見て、レッドは思う。 自分はどうする。 どうすればいいか。 2人の間のことだ。 そのどちらに肩入れするべきか。 レッドは頭の中で天秤にかけていた。 「置いていかれるのは辛いわよねー」 後ろから声がした。 ブルーだ。 こちらを後ろから抱きしめつつ、サファイアに応答する。 「心配してくれるルビーの気持ちもわかるけど、 サファイアも自分の言ってること聞いてもらえないのは嫌よね?」 「そうなんや!あたしが力不足やけんそうしゃるーんやなかかなって思うてしもうて…」 サファイアが次第に俯く。
3 <a href="mailto:sage">23/01/16(月)00:00:10</a> [sage] No.1015935032
スレッドを立てた人によって削除されました すいません変なのにルサ巻き込まないで貰えますか?
4 23/01/16(月)00:00:34 No.1015935180
「サファイアのこういうところ見ると、協力してあげたくなっちゃう。 レッドはそう思わない?」 「そりゃあ、確かになぁ…」 誰かのために自分の出来ることをしたい。 そう思うのは当然のことだ。 その思いを無碍にしたくない。 「そういうことなら、オレも協力させてもらうよ」 「ありがとう!レッド先輩!」 途端にサファイアが顔を上げ、喜ぶ。
5 23/01/16(月)00:01:11 No.1015935400
お互いのスケジュール調整をした後、通話を終える。 「お疲れ様」 ブルーが肩を揉んでくる。 凝った筋肉がほぐれていくのを感じる。 「なんでブルーは、サファイアの味方しようと思ったんだ?」 「頑張る女の子って応援したくならない? あの子が必死になってるなら助けてあげたいじゃない」 「そりゃあそうかもしれないけどさ…」 頭をかくと、ブルーに顔を覗き込まれた。 「レッドは、ルビーの方の味方するの?」 「ルビーの気持ちもわかるからさ。 大事な人が危険な戦いに行きたいっていうのを止めたいのはオレにだってわかる」
6 23/01/16(月)00:01:48 No.1015935609
「でもレッドはアタシが戦うのも受け入れてくれたじゃない」 「それは…、ブルーはそうするだろうって思ったから」 こちらがどう思っていようと、それはあくまでもこちらだけの意思だ。 本人が望んでいないのならばそれを押しつけるのは違うのではないか。 レッドはそう思う。 「そういうことよ。どっちかの一方的な意見じゃなくて、お互いに落とし所見つけていかないと」 「そうかもなぁ…」
7 23/01/16(月)00:02:28 No.1015935808
話し合うのは当人たちでも、そのための手助けくらいなら。 それくらいならば自分たちがしてもいいのかもしれない。 「じゃ、アタシもホウエンに行くわ」 「ブルーもか?」 「ええ。愛しのダーリンが他の女の子に会いに行くなんて嫉妬しちゃうもの。 それに乗り掛かった舟だからどうなるのか気になるしね」 頬を指で突かれる。 むず痒いが、それもまた悪い気はしなかった。
8 23/01/16(月)00:03:33 No.1015936156
それからしばらくして。 ホウエンのルビーの自宅。 「ルビー!あたしと勝負してほしか!」 「ええ…?」 面倒そうなのを隠そうともせずにルビーが呻いた。 「あたしが勝ったら、一緒に戦うのを断ったりせんでほしかと!」 「逆に、ボクが勝ったら?」 「そん時は、あたしも諦めるったい」 「…わかったよ」 その話を聞き、ルビーは立ち上がった。 「ルビーもやる気になってくれたんか?」 「今でも気は進まないけどね。 でもサファイアがそこまで言うなら」
9 23/01/16(月)00:04:18 No.1015936424
サファイアが急にそこまで言うのなら、よっぽど自信があるのだろう。 でもサファイアの手なら大体は読めている。 それに自分とて弱いつもりはない。 バトルを避けるようにはなったが、それで勘が鈍ったわけではない。 必要ならば躊躇わない。 例え相手がサファイアだろうと。 「じゃ、やろうか」 「うん!」 2人でボールを構えた。
10 23/01/16(月)00:05:02 No.1015936683
数時間後。 ミシロタウンに大雨が降ってきた。 「うわぁ、すごい濡れちゃったな…」 その街を訪れていたレッドとブルーは、突然の雨ですっかりびしょ濡れになっていた。 「そこに銭湯があるわ。予報見たらすぐに止むみたいだしあそこであったまりながら待ちましょう」 「そうだな」 ブルーの提案を受け、銭湯に行く。 「あ」 そこで、見知った顔がいた。 ルビーとサファイアだ。
11 23/01/16(月)00:05:32 No.1015936839
彼らも雨に打たれたのか、すっかり濡れていた。 「2人も銭湯に?」 「はい。ちょっと2人で外に出てたら雨にやられて。 家からもちょっと遠いからここに行こうかって。 正直ホテルのシャワーの方がいいんですが」 「あたしが勝ったとよ!今回はあたしん勝ちなんやけんあたしん言うことが優先たい!」 「そうなのね…」 どうやら、サファイアの勝利となったようだ。 勝ったサファイアは晴れ晴れとした顔になっていた。 雨雲に覆われた空には似つかわしくない、爽やかな顔。
12 23/01/16(月)00:09:16 No.1015938132
ルビーの方は、いつも通りに見えた。 あまり落ち込んでるようにも感じない。 「じゃ、後でな」 「のぼせないようにねー」 男湯、女湯にそれぞれ入る。 「男の人ばかりのところに行くのは絵面がむさ苦しくてあんまり好きじゃないんですけど」 「まあそう言うなよ。たまにはそういうのも悪くないぜ」 「もしかしてレッド先輩、そういう趣味が」 「ないよ。ブルーと付き合ってるしさ」 ルビーの冗談を軽く流す。
13 23/01/16(月)00:13:12 No.1015939604
服を脱ぎ、ロッカーに入れる。 「レッド先輩、結構がっしりしてますね」 「そうか?ルビーも鍛えてみるか?」 「イヤです。変な筋肉つくのは美しくないので」 「まあそう言うと思ったよ」 軽く笑って浴室に行った。 まだ不満気なルビーも一緒に。
14 23/01/16(月)00:17:48 No.1015941325
一方、女湯側では。 「はえー。ブルー先輩、すごかー」 「そう?それほどでもあるけど」 服を脱ぐなりそう言われて、ブルーは余裕のある口調で返した。 美貌やプロポーションには自信がある。 それでも人に言われて悪い気はしない。 「あたしもブルー先輩くらいんスタイルになれるんやろうか?」 「サファイアも、スタイル良くなりたいの?」 「当然たい!あたしだって女ん子なんやけんそげなんに憧れたりもするたい!」
15 23/01/16(月)00:22:44 No.1015943202
少し意外な気がしたが、確かにそうだろう。 彼女とて好きな男のいる女の子だ。 めかしこんだりスタイルが良くなったりという女の子らしいことへの興味はあっても不思議ではない。 「後で、お風呂上がりに出来る運動とか教えてあげるわ。 スタイルの良くなる運動」 「ぜひお願いするったい!」 仲良く話しながら浴室に向かった。
16 23/01/16(月)00:26:06 No.1015944433
急に何!?
17 23/01/16(月)00:26:54 No.1015944703
「サファイアに教え込んだのは、レッド先輩ですよね?」 「あ、気づいてたか」 男湯側で、ルビーが質問する。 かつて、バトル好きだった時にはレッドに憧れていた。 そんなルビーだから彼のバトルスタイルは多少なりとも印象に残ってるし、 それに酷似した戦法をされると気づく。 「バトル、負けちゃったのか」 「ええ。急に普段と違うバトルの仕方されたから戸惑って。 まあ初見殺しなところもあるから次は負けませんけどー」
18 23/01/16(月)00:30:43 No.1015946035
ルビーが口を尖らせる。 あれで多少はショックだったらしい。 負け惜しみのようにも感じるが、確かにそうだろう。 言ってはなんだがサファイアがルビーに勝つならそれしかない。 彼の想定していない戦法で、対応が鈍ったところを畳み掛ける。 地力を上げてというのも考えはしたが、それではルビーに対応されてしまう危険がある。 それならば彼が対応できないうちに未知の戦い方を仕掛ける。 それが一番勝率が高いとレッドは考えていた。
19 23/01/16(月)00:35:01 No.1015947503
ルビーが口を尖らせる。 あれで多少はショックだったらしい。 負け惜しみのようにも感じるが、確かにそうだろう。 言ってはなんだがサファイアがルビーに勝つならそれしかない。 彼の想定していない戦法で、対応が鈍ったところを畳み掛ける。 地力を上げてというのも考えはしたが、それではルビーに対応されてしまう危険がある。 それならば彼が対応できないうちに未知の戦い方を仕掛ける。 それが一番勝率が高いとレッドは考えていた。
20 23/01/16(月)00:39:01 No.1015949081
「今は違うのか?」 「はい、悔しいですよ! 自分だともっと強いと思ってた。 サファイアにだって勝てると思ってた。 でも勝てなかった! サファイアにカッコ悪いところなんて見せたくないのに!」 ルビーの声のボリュームが上がる。 幸い、あまり人がいないため他の客の迷惑にはなってはいない。 「気持ちはわかるよ。 オレだって負けた時はそうだったしさ」 「レッド先輩も?」 ああ、と頷く。
21 23/01/16(月)00:43:06 No.1015950603
「オレなんて何回も負けてさ。 自分じゃ勝てるつもりだったのに勝てなくて。 思ってたよりも自分が弱かったって知って。 オレなんかじゃみんなの足手纏いでしかないって逃げたりもしたんだ」 「逃げた…」 ルビーが呆然としている。 先輩のそういった話を聞いて驚いているのかもしれない。 「でも、それでもいいんじゃないか? 弱くってもまた立ち上がって前に進めばさ」 「前に…」
22 23/01/16(月)00:47:35 No.1015952087
復唱するルビーに頷く。 「カッコ悪くてもいいんだ。 それでもいいって言ってくれる人がきっといるから。 サファイアだって、ルビーのそんなところ見ても嫌いになんてならないはずだよ」 そこまで言うと、少し痒くなった頭をかく。 「なんて、それこそちょっとカッコつけた言い方だけどさ」 気を取り直し、言う。 「サファイアだってこれくらいできるって見せてくれたんだ。 心配なのはわかるけど、向こうの話も聞いてもいいんじゃないかな?」
23 23/01/16(月)00:52:27 No.1015953698
「…そう簡単に、割り切れないですよ」 シャワーを止め、ルビーが髪を洗い始めた。 「たはは、だよなぁ。 こういうのは人に言われても納得できないこともあるからなぁ。 ちゃんとルビーが本心からそう思わないとスッキリしないだろうし」 「…レッド先輩って、意外と色々考えてるんですね。 結構行き当たりばったりな人生送ってるって思ってました」 「まあ今でもそういうところはあるけどなぁ。 でもいろいろあったから考えないといけなかったってだけだよ」
24 23/01/16(月)00:56:08 No.1015954865
「はぁ…」 気の抜けた返事をされる。 「ま、勝ちたいから稽古つけてくれって言うならいつでも力になるぜ。 サファイアにだけ力を貸すのも不公平だしな」 「いやトレーニングはいいです。 ボクの性に合わないんで」 「そっかぁ…」 ここまで釣れないのもそれは悲しい。 レッドはそう思いながら自分もシャワーを浴びた。
25 23/01/16(月)01:00:31 No.1015956186
「サファイアは、ルビーに勝ってどうだった?」 「すごか嬉しか!」 女湯で湯船に浸かりながら、満面の笑みでサファイアは言った。 「あんいつもすました顔した奴にようやく勝ったばい! 嬉しかに決まっとーと!」 「そう、それはよかった」 後輩の晴れやかな顔。 それを見れたのならブルーも力を貸してよかったと思う。 「ばってん…」 「どうしたの?」 それも急に無くなり、また曇った顔になる。
26 23/01/16(月)01:05:08 No.1015957681
「ルビーが大丈夫かなって、ちょっと心配で」 「ルビーが?」 サファイアが頷く。 「あん人、負けた時ちょっとだけ傷ついた顔しとったんばい。 すぐにいつもん顔に戻ったけど」 「そうなの…」 「あん人に勝ったんなよかばってん、それでルビーが傷ついたんやなかやろうか。 あん人んプライド傷つけてしもうたっちゃろうかって…」 「男って、結構プライドを気にしたりするものよね」 サファイアを頭を撫でる。 彼女を不安を少しでも取り除けるように。
27 23/01/16(月)01:10:11 No.1015959172
「ルビーのことはレッドが励ましてくれてるわ。 それより、サファイアがすることはルビーを受け入れること」 「受け入れる?」 「そう。ルビーがもし突っかかってきても受け止めて。 ルビーはそれでいいって言ってあげるの。 そうしたら、多分大丈夫よ」 「…」 少しの沈黙。 「わかった、やってみる」 サファイアがそう言い、ブルーはまた彼女の頭を撫でた。
28 23/01/16(月)01:14:40 No.1015960480
風呂から上がり、対面した後。 「次はボクが勝つからね! 負けたままだと思わないでほしいな!」 「次もあたしが勝つけん! もうルビーには負けんばい!」 睨み合う2人。 「言ったからってすぐにはなんともならないか…」 「いいじゃない。これからちょっとずつでも変わっていけば」 そうかもな、とレッドは同意する。 空を見上げてみる。 雲一つない晴天。 虹すらもかかるほどの綺麗な空が広がっていた。
29 23/01/16(月)01:14:59 No.1015960589
以上です 閲覧ありがとうございました
30 23/01/16(月)01:16:33 No.1015961069
スレッドを立てた人によって削除されました >No.1015935032 このレスごとで構わないから引用先管理した方がいいと思う
31 23/01/16(月)01:20:04 No.1015962028
たまにはルサを書きたくなって レブルも書きたいので絡ませることでこうなりました スレ落ちかけまでかかってすみません
32 23/01/16(月)01:22:53 No.1015962738
>「…レッド先輩って、意外と色々考えてるんですね。結構行き当たりばったりな人生送ってるって思ってました」 >「まあ今でもそういうところはあるけどなぁ。でもいろいろあったから考えないといけなかったってだけだよ」 >「はぁ…」 >気の抜けた返事をされる。 軽い皮肉が実にルビーで通じてない辺りが実にレッドさん
33 23/01/16(月)01:24:45 No.1015963211
>軽い皮肉が実にルビーで通じてない辺りが実にレッドさん 一章の頃なら多分通じてた 五章くらいになるとまあ敵相手でもない限りは通じなさそう