23/01/14(土)00:29:33 泥よる のスレッド詳細
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23/01/14(土)00:29:33 No.1015120547
泥よる
1 23/01/14(土)01:12:29 No.1015136103
「噂程度には」 というのがテアの返事だった。バーのまるで深海の底のような薄暗い照明の下、塩っ気の強いナッツを摘んだ指を舐めている。 意図的に大きめにかけられたBGMが客同士の会話の内容が伝わるのを遮っていた。 「聖杯…万能の願望器を媒介に境界記録帯を使い魔として喚び出して魔術師同士が争う、とかいうのでシょ。 話に聞くだけでも眉唾ものの話なんでスが本当に極東でそんなのあったんでスか?」 「あら意外。テアのことだからとっくに知っているものだと思ってたわ」 「興味ないことにまで食指を伸ばしてられまセんよ。わたしもそこまで暇でも情報通でもありまセん」 そんなものか、と呟きながら逸花は酒盃を煽る。ふたりで開けたバーボンのボトルはもう空になろうとしている。 方や時計塔の仲介人。方や封印指定。お互い世界を飛び回る身、こうしてパリのバーで顔を突き合わせて飲んでいるのも久々だった。 それでも短いスパンで移動を繰り返すテアと不定期ながらコンタクトを取っている逸花は旧級友の中では最もテアと接している者のひとりだろう。 協会にとってはすっかりアウトローになった彼女と遣り取りをすること自体難しいことではあるが。
2 23/01/14(土)01:12:40 No.1015136156
「日本の大阪で核弾頭の不発弾がどうのこうの、でニュースになってたのが協会の隠蔽だというのは知ってまス。 規模がダンチでスから余程のことをやらかしたんでシょう、と気に留めてませんでシたけど、それがその聖杯戦争だと?」 「ホントホント。だって私その場にいたんだもの。あらゆる意味で滅茶苦茶だったわよ。 現代じゃ考えられない規模の神秘が当然のように右から左に飛びまくるの。我ながらよく生きて帰ったね」 「へえ…」 「適当な返事ね。聞き出そうとしてきたのはテアじゃない」 「ま、そうなんでスけど」 テアは興味なさそうにバーボンを舐めている。しかし逸花は別の印象を感じ取っていた。 (お?ひょっとして面白くなってきた?) 長い付き合いだ。この封印指定の女の仕草も少しは把握している。テアが自発的に動き出す時の初動はいつも静かだ。 「ところでこの話、わたしにしてもいいんでスか?」 「いいんじゃない?他の時計塔関係者ならまずいけど、テアは封印指定だからノケモノだし」 「そうでスか。じゃあ…」 テアがこちらを向いて微笑む。機械がわくわくして笑うような不気味さがあった。 「もうちょっと詳しく聞きまシょうか」
3 23/01/14(土)01:25:15 No.1015139651
焚き付けたのか…
4 23/01/14(土)01:27:37 No.1015140375
しかしこのあと函館へ赴いて「なんか思ったよりもショボ…」で帰ろうとする 聖杯よりおもしれー女見つけた…