23/01/13(金)00:43:54 泥しんや のスレッド詳細
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23/01/13(金)00:43:54 No.1014777792
泥しんや
1 23/01/13(金)00:44:44 No.1014778059
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2 23/01/13(金)00:45:01 No.1014778154
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3 23/01/13(金)00:45:11 No.1014778209
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4 23/01/13(金)00:50:04 No.1014779838
お腹すいてきた
5 23/01/13(金)00:54:04 No.1014781189
ルゥがひとりぼっちになったのは1年前ということで描写に間違いがあったためセプクします
6 <a href="mailto:1/3">23/01/13(金)01:03:04</a> [1/3] No.1014784000
左手に握った獲物を前にして、ルゥさんは右手に添えたものの切っ先を怪しく輝かせた。 白銀のそれは剣呑な形状をしており、薄い刃は容易く触れたものを切り裂くだろう。 ルゥはその無表情と同じ無機質な仕草で、無慈悲かつ冷酷にに刃を振り下ろす─── 「わ…私より包丁さばきが上手い…!」 「…?そう?」 軽快にルゥさんがまな板のうえで包丁を振るう。等間隔に切り揃えられていく長ネギの鮮やかな断面に私は戦慄した。 ネズミを解体した時のナイフ捌きはともかく、包丁なら私にも一日の長があるはずと期待していたのに…! どことなく納得いかない気持ちを胸中に抱えながらルゥさんの隣に立つ私は玉葱の皮を剥くのだった。 ───鎧塚博士が譲ってくれた部屋のキッチンスペースはそう広くはない。 私とルゥさんが並ぶとそれで一杯だ。詰めればもうひとりくらい入れそうだけれど、それでは作業にならないだろう。 申し訳程度に置かれていた調理器具はあまり使われた形跡がなく、本当に寝泊まりにしか使われていないというのがよく分かった。 しなければいけないこと、向かわなければいけない場所、そういうものは山積みだけれど何をするにも腹を満たしてから。
7 <a href="mailto:2/3">23/01/13(金)01:03:19</a> [2/3] No.1014784068
土鍋(未使用)が置かれていたことでメニューは速やかに決定していた。 「…うん。嬉しい誤算ってことにしよう。それじゃルゥさん、この玉葱や大根も適当に切ってくれます?」 「ん。分かった」 あっという間に長ネギを切り終えたルゥさんに指示を出すと大根をむんずと掴んでざくざくと切り始めた。 …皮剥き器を使わずに包丁で皮を剥いてる!するすると途切れること無く…! どことなく敗北感を覚えながら近所のスーパーのレジ袋から魚の切り身のパックを取り出す。鮭である。北海道の家庭の定番、石狩鍋である。 具材を切って煮込むだけでいいし、みんなで囲んで食べられるし、後片付けも楽だし、何より身体が温まって美味しい。最良の選択だ。鍋最高。 ちなみにテアさんはこの部屋を早々に即席の『工房』に仕立てるなり奥に引っ込んでしまった。いろいろやることがあるのだという。 よしんば暇だったとしても料理ができますかと聞いてカップ麺なら作れると答えるような人を調理に参加させる気は微塵も起きなかった。 「ルゥさんはこういうの慣れてるんですか?手付きがすごく巧みだから…」 「ん。ずっとひとりで暮らしてたから。こういうことは一通りできるよ」
8 <a href="mailto:3/3">23/01/13(金)01:03:29</a> [3/3] No.1014784122
視線をこちらに向けず、まな板の上で玉葱を割りながらルゥさんは言った。 14年という長い月日を北海道の何もかも真っ白な山奥で過ごしてきたのだという。 よくよく考えれば私なんかより包丁の扱いに長けるのは当たり前だ。経験値が違った。 ただ、そのことを考えると胸に去来するものがある。 ───親以外の誰も知らない毎日。テアさんは「ルゥの半生の尺度と価値観をそのまま自分に当てはめない方がいい」とは言うけれど、それでも。 もやもやとしたものを反芻していた私はいつの間にかルゥさんが手を止めて私の顔を覗き込んでいたのに気づいていなかった。 「…えっ!?あっ、す、すみませんっ」 「ううん。どうしたの、アズキ」 透き通った青い双眸が私の顔を観察していた。髪がごく淡いオレンジ色に染まっていく。 スーパーに買い出しに行った時も私を見て同じ色をしていた。 じっと私を見て、私の言ったことを噛み砕くように聞き返して。この髪の色はどういう意味なんだろう…? まるで人形のように丹精すぎる顔を直視できなくてつい視線を逸らしてしまった。 漂ってきた石狩鍋の味噌の香りにテアさんが部屋の奥からのそのそやってきたのは少し後のことだ。
9 23/01/13(金)01:03:43 No.1014784184
修正版であります