23/01/08(日)23:59:47 「寒い... のスレッド詳細
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23/01/08(日)23:59:47 No.1013372706
「寒いなぁ…」 一月も始まったばかりの朝。 レッドは自宅で呟いた。 リビングにあるコタツから出る気になれない。 ボールの中の仲間たちも寒いのか外に出たがらない。 「みんなもこれだし、今日はトレーニングはやめておくかなぁ」 と、玄関側から音がした。 「お邪魔しまーす」 よく響く女性の声。 ブルーだ。 渡してある合鍵を使って入ってきたのだろう。
1 23/01/09(月)00:00:08 No.1013372878
「おう、いらっしゃい」 足音を立てて気配が近づいてくる。 コートを着込んだブルーが部屋に入ってきた。 「あー、寒かったわー」 そう言って、レッドの首筋に手を触れてきた。 冷たい指先に体温を奪われる。 「冷たっ!!」 「あったまるわー」 触れられる側と触れる側。 真逆の反応が出る。 「やっぱりレッドは反応面白いわ。 もうちょっとほらほら」 「ま、待てって」 服の中にまで彼女の手が入り込む。 肩や胸板まで冷たい感触が這いずり回る。
2 23/01/09(月)00:00:25 No.1013373021
「うわっ、ひゃあ!」 「オホホ、好きな男に意地悪するの楽しい♪ まあこのくらいにしておくわ」 手が抜かれ、身体に温もりが帰ってくる。 上機嫌でブルーが着ていたコートを脱ぎ出した。 「いやまぁ、このくらいは別にいいけど…」 そこで、レッドの台詞は止まった。 これ以上話すとまたやってくるのではという警戒からではない。 ブルーの服装だ。 コートの下に着ていたのはセーターだった。 ブルーの身体にフィットして、彼女の女性らしい膨らみやくびれのラインが強調される。 それだけではない。 胸元が開いていた。 彼女の豊かな胸の一部と、深い谷間。 それらが露わになっていた。
3 23/01/09(月)00:00:43 No.1013373174
「…」 視線がつい、そちらに向く。 交際している彼女の身体だ。 それに興味を持たない彼氏などいないだろう。 加えて、スタイルがいい。 自分の身体を躊躇なく武器にできる。 思えば出会った頃から、彼女の容姿には惹かれていた。 そこから成長して、より美しくなった。 これまでも油断すると意識してしまいそうになっていた。 それがいま目の前にある。 意識を釘付けにするには充分すぎる。
4 23/01/09(月)00:00:58 No.1013373297
「レッド?」 今、揺れた。 彼女の膨らみが。 その動きもレッドの目に焼き付く。 「レッド、レッドってば」 「うわぁ!」 いきなり彼女の顔が目の前に現れた。 「もう、アタシの胸ばっかり見て。 いくら呼びかけても全然聞いてくれないんだから」 ブルーが口を尖らせる。 「ご、ごめん」 「ま、アタシの胸に夢中になっちゃうのは仕方ないけど。 そうなると思ってこの格好にしたんだしねー」 オホホと笑い、自分の隣に座ってきた。
5 23/01/09(月)00:01:25 No.1013373494
「レッドはアタシのこと大好きだもんねー。 性格も外見も♡」 「そりゃあ、そうだけどさぁ…」 機嫌が良さそうに隣で笑うブルー。 それを見て悪い気はしない。 寄せられたブルーの身体の感触も、気になってしまう。 照れからつい彼女から目を逸らし、空いた方の手で頭をかく。 「ブルーはオレをからかうためなら身体張るなぁ」 「レッドにだけよ?ここまでするのは。 胸元くらいなら他の人にも見せてもいいけど」 「…あんまりブルーのそういうところ、他の人たちに見られたくないな」
6 23/01/09(月)00:01:42 No.1013373619
レッドがそう言うと、ブルーがこちらを覗き込むように見つめてきた。 「ど、どうしたんだ?」 「それって、ヤキモチ?」 「ま、まぁな」 返答すると、彼女はニンマリとした笑顔になった。 「もう、レッドったら独占欲強いんだからー。 でもそういうの愛されてるって感じして好き♡」 彼女に抱きつかれる。 それについ頬が緩むのは仕方ないことだと自分に言い訳してしまう。
7 23/01/09(月)00:06:08 No.1013375538
と、そこで玄関のチャイムが鳴った。 「あ、オレ行ってくるよ!」 「いってらっしゃい」 すぐさま正気に戻って、玄関へと早足で移動する。 「はーい」 ドアを開ける。 そこにはゴールドたちジョウトの後輩3人がいた。 「ちーっす!オーキドのジジイんトコに用事あったんでついでに挨拶に来ました!」 「ゴールド、もうちょっと言葉選びなさい!」 「たはは、まあ別にいいって」 ゴールドの言葉遣いを注意するクリスを宥める。
8 23/01/09(月)00:12:02 No.1013378042
と、シルバーの視線が玄関先に向いた。 「その靴、ブルーねえさんもいるのか?」 「ああ、さっき遊びに来ててさ」 「んじゃ、そっちにも挨拶してくっかー。 お嬢様しまーすっと」 ゴールドに続き、シルバーやクリスも入っていく。 「仕方ないなぁ…」 そこで気付いた。 ブルーがあの胸元の空いたセーターを着ていたことに。 他の人物に見られてしまう。 そう思うとレッドの心臓が激しく動く。
9 23/01/09(月)00:15:27 No.1013379543
早足で彼らに続く。 できることなら追い抜かしてブルーに上着なりを渡したい。 だけど3人も先に行っており、それらを全て追い抜かすのは難しかった。 そうして葛藤していると、リビングについてしまった。 「あらいらっしゃい。寒いのによく来たわね」 そう言うブルーの姿に違和感があった。 セーターなのは変わりない。 だけど、いつのまにか胸元が塞がっていた。 まるで元からそういうデザインだったかのように、胸元の開いていないセーターになっていた。
10 23/01/09(月)00:22:13 No.1013382518
「いやー。ブルー先輩相変わらずフェロモン出しまくりっスね。 やっぱり身体のライン出るようなかっこしてんのは違うわ」 と言いつつ、ゴールドはクリスの方に視線を向ける。 「…改めて見たら、こっちもなかなか」 「見ないで!」 すぐさまクリスに蹴られた。 その空気を変えようと、ブルーが手を叩く。 「温かい飲み物入れましょうか。何がいい?」 「あーすんません。じゃあ、オレ様はコーヒーで。 ミルクと砂糖たっぷりの」
11 23/01/09(月)00:25:58 No.1013384018
「図々しいな…」 シルバーの指摘にブルーが肩を落とす。 「いいのよ。アタシが入れたいって言ってるんだから」 「そういうことなら、オレもブラックのコーヒーで」 「わたしもコーヒーお願いします。ブラックで」 「なんだよ甘くすんのオレだけかよ!」 疎外感を覚えたのかゴールドが口を尖らせる。 「まあまあ。じゃあオレも甘いコーヒー頼むよ」 「レッドは自分で入れてねー。 あなたの家でしょ」 「え!?オレは入れてくれないの?」 「冗談よ。ちゃんと入れてあげる」
12 23/01/09(月)00:32:48 No.1013386716
そう言われて、ホッと胸を撫で下ろす。 「よかった…。てっきりオレだけ入れてくれないのかと」 「大丈夫だレッド先輩。ねえさんは優しいんだから」 「結構おちょくったりもすっけどな…」 シルバーのフォローに、ゴールドが半目になる。 「まあどっちもブルーのいいところだよ。 そういうところが可愛いと思う」 「うわ…、レッドさん惚気てるぜ」 「仲良いんだから別にいいでしょ!」 またクリスが蹴るような素振りをしたのでゴールドは引き下がった。
13 23/01/09(月)00:40:06 No.1013389723
しばらく待つと、ブルーがトレイを抱えて戻ってきた。 注文通り、シルバーとクリスにはブラックコーヒー。 レッドとゴールドにはミルクと砂糖の入ったコーヒー。 ブルー本人は、ブラックコーヒーだった。 「やっぱレッド先輩だけがオレの味方っスよ。 あいつら合わせようって気が全然ねぇ!」 ゴールドに肩を組まれる。 が、それが急に解かれた。 ブルーが腕を引き剥がしたのだ。 「別にコーヒーに何か入れても入れなくってもいいじゃない。 それにレッドはアタシのものだから」 今度はブルーから肩を組まれる。
14 23/01/09(月)00:46:06 No.1013392181
「お前の姉ちゃん、独占欲強くね?」 「仲が良いのはいいことだ。 ねえさんが幸せならそれがオレの幸せでもある」 「なんでおめえは理解ある弟って面してんだよ…」 呆れながら、ゴールドが一気にコーヒーを飲む干す。 「なんかめっちゃ甘い気がするぜ…」 「砂糖入れすぎた?」 「いえそういう意味じゃなくてお2人がお熱いってことっス。 ちょっとクリスそれ借りるわ」 「あ、ちょっと!」
15 23/01/09(月)00:49:26 No.1013393523
クリスのコーヒーを口直しにかゴールドが飲む。 「うぇー、めっちゃ苦ぇ…」 クリスにカップを返すとゴールドは自分のカップに残っていた僅かなコーヒーを舐めとった。 直後、顔を真っ赤にしたクリスに蹴られた。 「なにすんだよ!」 「それはこっちのセリフよ!勝手に人の飲み物飲んで!」 2人を宥めるのに、少し時間がかかった。
16 23/01/09(月)00:54:43 No.1013395461
「お邪魔っしたー!」 ゴールドたちが帰ると、また2人だけに戻った。 「ふぅ…」 ため息をついて、ブルーが自分の胸に手を当てた。 そして、何かを引き剥がした。 その下から、先程見た胸元の開いたセーターが現れた。 「え?」 「じゃーん!メタちゃんに隠してもらってましたー!」 引き剥がした何が変化して、メタモンの姿になる。 ブルーの肩を、そしてレッドの肩を手のような部分を伸ばして軽く触れると、メタモンはボールの中に戻った。
17 23/01/09(月)00:58:40 No.1013396825
「いつのまにか変わってるって思ってたけど、そういうことか…」 「他の人に見られるの嫌って言ってたからね。 咄嗟にそうしたの」 「さすがだなぁ」 感嘆すると、ブルーがまたオホホと笑った。 「アタシもちょっとわかるもの。 独占欲出ちゃうのは」 「うん…」 先程ブルーがそういうところを見せた。 「レッドは、独占欲強い子は嫌い?」 「好きだよ」 迷うことなく答えた。
18 23/01/09(月)01:03:54 No.1013398654
そもそも最初に独占欲を見せたのは自分だ。 それを忌避するのはフェアじゃない。 自分が必要とされる。 それも最愛の女性に。 それを嫌がるなんてあり得なかった。 「よかった…」 安心したように、ブルーが柔らかく微笑む。 現実を噛み締めるように。 というのはレッドの思い込みではない。 そう思いたい。 「それじゃ、レッドが他の女の子に興味がいかないように、どこかに監禁しちゃおうかなー」 「それはさすがに待ってくれ!」 予想外の方に向かう発言に、レッドは慌てて止めようとした。
19 23/01/09(月)01:05:18 No.1013399102
「冗談よ。冗談」 笑いながらブルーが言う。 だけど、目は笑っていない。 自分はとんでもない女の子と付き合っているのでは。 少しだけレッドはそう思ったのだった。
20 23/01/09(月)01:05:38 No.1013399217
以上です 閲覧ありがとうございました
21 23/01/09(月)01:06:36 No.1013399555
>「あーすんません。じゃあ、オレ様はコーヒーで。ミルクと砂糖たっぷりの」 >注文通り、シルバーとクリスにはブラックコーヒー。 >「やっぱレッド先輩だけがオレの味方っスよ。あいつら合わせようって気が全然ねぇ!」 シルバーとクリスは眠気覚ましとしてブラック飲んでるんだろうなって…
22 23/01/09(月)01:07:38 No.1013399889
夜七時越えてもネタが思いつかなくて焦りましたがなんとか書けました スレ落ちるギリギリまでかかってすみませんでした