23/01/01(日)23:41:12 本日は1... のスレッド詳細
削除依頼やバグ報告は メールフォーム にお願いします。個人情報、名誉毀損、侵害等については積極的に削除しますので、 メールフォーム より該当URLをご連絡いただけると助かります。
画像ファイル名:1672584072658.jpg 23/01/01(日)23:41:12 No.1010757427
本日は1月1日なので誕生日のムーンの運ムン怪文書と レブル怪文書の二本立てです まずは運ムン怪文書から投稿して その後レブル怪文書を投稿させていただきます
1 23/01/01(日)23:41:34 No.1010757584
「運び屋サンでーす!お届け物お持ちしました!」 「はーい!」 自宅に荷物を届けにきたサンを迎える。 アローラでのムーンのいつもの日常。 「お客さん、これなんの荷物?」 「薬の材料よ。 きのみでできることもあるけど市販のものを使わないと作れないものもあるから。 って、ちょっと!」 サンの姿を見てムーンが驚く。 「運び屋さん、また怪我してるじゃない!」 見れば、二の腕に切り傷があった。
2 23/01/01(日)23:41:51 No.1010757703
「あー、多分その辺の木の枝にひっかけちまったかなー。 あの時イテって思ったから」 「思ったから、じゃないでしょう。 もう…」 ただの事故でよかった。 なにかの事件のせいだと少し不安だったがそうでなくてよかった。 「ほら、傷薬塗るからじっとしてて」 「サンキュー!あ、お代は…」 「当然、無料です」 いつものやりとりをしつつ、治療を終える。 「ん?」 「どうしたの?」
3 23/01/01(日)23:42:10 No.1010757810
サンがこちらの背後に視線を向けていた。 「お客さん、荷作りしててどーしたんだ? 夜逃げ?」 「そんなわけないでしょう。そろそろお正月だから実家に帰省するのよ」 「タダばっかりだから生活できなくなったんじゃねーかって…」 「だから違うって言ってるでしょ! お金には別に困ってないわよ!」 抗議するが、サンは平気な顔をしていた。 いつも通りの呑気な表情。 悪意などなく、思ったことをそのまま口にしただけだろう。 「全く…」 彼といるとペースが乱れる。 怒るのもバカバカしくなって、気を取り直す。
4 23/01/01(日)23:42:31 No.1010757945
「お客さんの実家ってシンオウだっけ? あそこ寒いんじゃねーか?」 「アローラに比べたら寒いけど、大丈夫よ。 そこで育ったんだから」 「そっかー。じゃー安心かな」 心配してくれたのか。 それにムーンは驚くと同時に嬉しくなる。 「じゃ、オレっち仕事に戻っから。 向こうで元気でなー」 「ええ、運び屋さんも」 手を振り合うと、ドアが閉まる。 また1人の空間に戻った。
5 23/01/01(日)23:42:58 No.1010758112
「…さて、薬作り終わったら荷作りの続きしないと」 呟き、ムーンは作業を再開した。 騒がしかった部屋が、静かになったことを寂しく思いながら。
6 23/01/01(日)23:44:08 No.1010758545
後日。 1月1日の夜。 シンオウのムーンの実家。 そこでムーンは1人でいた。 家族は今いない。 みんなが帰省する予定が1日遅くなってしまった。 だから、今日はムーン1人なのだ。 「…ちょっと寒いわね」 暖房の温度を上げる。 慣れたはずのシンオウの寒気。 誰もいない誕生日。 それが今のムーンには辛く感じた。
7 23/01/01(日)23:44:24 No.1010758655
ふと、アローラが懐かしくなった。 あの温かい気候。 フレンドリーな人たち。 あの生活が懐かしくなった。 自分の家なのに寂しいという感情が燻っていた。 と、呼び鈴が鳴った。 「はーい」 慌てて玄関に行く。 鍵を外し、扉を開けた。 「運び屋サンでーす!お届け物お持ちしました!」 聞き慣れた声と、見慣れた姿があった。
8 23/01/01(日)23:44:38 No.1010758733
「え、は、運び屋さん!?」 「よっす、お客さん! あんた宛に荷物だぜ!」 いつものライド姿にいつもの顔。 寒さを吹き飛ばす、太陽のような存在感。 凍てつきそうなムーンの心を溶かしていく。 「ククイ博士からお客さんにお中元だってよ。 渡しそびれてたからオレっちが渡してこいって話になっちまってよー。 やっぱシンオウってめちゃくちゃさみーな!」
9 23/01/01(日)23:44:56 No.1010758844
説明しつつ、寒気に身を震わせる。 そんな彼の様子が相変わらずでムーンは思わず吹き出してしまった。 「お疲れ様。それで今晩はどこかに泊まるの?」 「いんや、まだどこに泊まるか決めてねーんだ。 どっか安いホテルない?」 聞かれて、ムーンは思いついたことを口にする。 「それなら、うちに泊まっていかない? 家族が帰ってくるのは明日だから部屋は空いてるわよ」
10 23/01/01(日)23:45:27 No.1010759022
「マジ?そんならそうするわ」 あっさりとサンが了承する。 彼ならそう言うと思っていた。 「あ、宿泊費とか食費とかは」 「もちろん、無料です。 ケーキもあるんだけど食べる?」 「そーいやお客さん誕生日だっけ。んじゃゴチソーになるぜ」 そう言いつつ、サンが家に上がってきた。 少しだけ、騒がしい。 そして、少しだけ温かい。 そんな時間を過ごせそう。 そう思ってムーンは少し愉快な気分になれた。
11 23/01/01(日)23:45:52 No.1010759184
運ムン側は以上です 次からはレブル怪文書になります
12 23/01/01(日)23:46:12 No.1010759297
あの人の隣。 暖かく、居心地が良い。 自分でも受け入れてくれる。 居場所を与えてくれる。 これからも、ここにいていいのだろうか。 聞く気はない。 勇気がないからではない。 返事は分かり切っているから。
13 23/01/01(日)23:46:28 No.1010759423
1月1日。 「レッドー、いるのー?」 レッドの自宅前。 呼び鈴を鳴らしつつブルーは呼びかけていた。 何回もそうしているが反応がない。 どこかに出かけているとも聞いているわけではないのに。 「うーん、まいっか」 合鍵を使って、鍵を開けて家の中に入る。 交際を始めて彼から預かっているものだ。 だからそれを使っても問題はない。 「レッドー、入るわよー」 一応また呼びかけつつ、廊下を歩く。
14 23/01/01(日)23:46:49 No.1010759567
リビングに出ると、レッドがいた。 「くかー…」 呑気に机に突っ伏し、居眠りをしていた。 机の上には書きかけの年賀状が数枚。 どうやら書いているうちに寝落ちしてしまったようだ。 「もう、ヨダレ垂らしちゃって」 幸い年賀状にはかかってはいないようだ。 近くのティッシュでヨダレを拭いてあげる。 「もう、だらしないんだから」 あまりにもだらけきった寝顔に呆れつつも微笑ましくなる。 「…」 せっかく居眠りしている場面に出会したのだ、 何かできないだろうか。 そんな悪魔の囁きがブルーを誘惑してくる。
15 23/01/01(日)23:47:09 No.1010759705
いや、ダメだ。 寝ているところを邪魔するなんて悪い。 天使の囁きがそれを止めようとしてくる。 「間をとって、起こさない程度ならいいわね」 そう結論づけて、ブルーはレッドに近づく。 彼の側に座って、顔を寄せる。 そのタイミングで自撮りをした。 彼が起きたらこれを見せよう。 このくらいなら冗談で済むはずだ。 そう思ってブルーは離れようとした。 だが、出来なかった。 「うぅ、うーん…」 机に伏せていたレッドが手を伸ばす。 そして、ブルーを腕に引っ掛けて引き寄せてきた。
16 23/01/01(日)23:47:36 No.1010759890
「え…」 すぐ近くにレッドの顔がある。 油断すると触れてしまいそうな距離。 いや、すでに頬や顎は少し触れている。 ここまで間近で彼の顔を見るのはそこまで経験はない。 同年代の男性の顔。 眠っていて緩みきっているとはいえ、それが近くにあればブルーも冷静では居られない。 「ちょっと、離して…」 腕を離そうとしても動かない。 力が入りにくい体勢だからか。 それよりもレッド自身の腕力が想像よりも強い。 寝ぼけているだけなのに。 と、視界が大きく振り回される。 「きゃあっ!?」
17 23/01/01(日)23:48:14 No.1010760167
水平に周りが見える。 どうやらレッドが自分ごと床に倒れたようだ。 「レッド、そろそろ起きて…」 呼びかけても反応がない。 「むにゃ…」 それどころか、こちらに抱きついてきた。 「ちょ、ちょっと!」 抵抗しても抜け出せない。 「どうしよう…」 動けない。 あちこちを触られて恥ずかしい。 それでも怒る気になれない。 わざとではないのはわかっている。 それだけではない。
18 23/01/01(日)23:49:44 No.1010760782
好きな人だから。 彼になら、何をされても結局は許せてしまう。 「あなたも、アタシのことそう思ってるのかな?」 答えはない。 安らかな寝息を立てているだけだ。 「もう、しょうがないんだから」 ため息をついて、肩の力を抜く。 そしてこちらからも抱きつく。 起きるまではこうしていよう。 自分とて彼にこうされない願望がないわけではない。 だから、今を楽しもう。
19 23/01/01(日)23:50:33 No.1010761076
固い身体に身を任せる。 自分を守ってくれる頼りになる人。 そんな人に包まれると思うと、ブルーは面映い気持ちになった。
20 23/01/01(日)23:50:49 No.1010761189
夢を見ていた。 自分1人しかいない闇。 どこまで走っても果てのない空間。 孤独。 寒気。 不安。 それらの感情がレッドを押し潰そうとしてくる。 どれだけ行っても変わらない。 どれだけ進んでも終わらない。 諦めずに、足を動かす。 必ず、出口がある。 絶対に助かる。 そう信じて、速度を上げる。
21 23/01/01(日)23:51:18 No.1010761353
しばらく経ったが、やはり変わらない。 いつしかレッドの心に諦めが増殖していった。 もう駄目だ。 無駄だろう。 そんな声がレッドに囁きかける。 それを振り払うようにまだ走る。 だが、次第に足が重くなっていく。 それに耐えて走ろうとする。 でも段々とそれに抵抗出来なくなっていく。 ついに限界に達して、立ち止まりうずくまる。
22 23/01/01(日)23:51:44 No.1010761523
動けない。 もうこれ以上は無駄だろう。 ここからもうどうにもならない。 1人でここで朽ち果てる。 そんなことを思う。 夢の中のレッドはそうなっていた。 そこに、光が差した。 暖かく、優しい輝き。 闇夜の中の満月のように。 それに身を任せる。
23 23/01/01(日)23:52:00 No.1010761615
温もりが伝わる。 冷え切った心身に染み渡る。 あるはずのない、柔らかい感触すらもして。 レッドはそれに溺れていった。 底なしの快楽。 そこから抜け出せない。 そうしてレッドの意識は沈んでいった。
24 23/01/01(日)23:52:14 No.1010761690
「…んあぁ?」 気の抜けた声が出る。 自分の声だと気づくまで時間がかかった。 「おはよ、レッド」 自分以外の声がした。 聞き慣れた声。 こちらを安心させてくれる声。 視界が開ける。 整った美しい顔。 優しい笑顔。 ブルー。 レッドの好きな女性。 それがすぐ近くにいた。
25 23/01/01(日)23:52:28 No.1010761771
「う、うわぁ!?」 離れようと身動ぎする。 だが出来なかった。 彼女から抱きついて来られているのもある。 逆に自分からも抱きしめていた。 彼女を身体を。 「もう。レッドったらエッチなんだから」 「ええ!?」 「あなたから抱きついてきたのよ。その上押し倒してきて」 「そ、そうなのか!?」 身に覚えがない。 でもブルーが言うならそうなのだろう。
26 23/01/01(日)23:52:48 No.1010761899
彼女だけがハグしているなら違うかもしれない。 だが、自分からも抱きついているのだ。 そうでないと筋が通らない。 「あっちこっち触ってて、手つきがいやらしくない?」 「え、ごめん!」 慌てて手を離す。 手に残る感触。 とても柔らかい何かに触れていたような。 手の中の残滓がそう訴えていた。 どこに触れていたのかは考えないでおく。
27 23/01/01(日)23:53:02 No.1010761981
「アタシも最初は恥ずかしかったんだけど、愛しのレッドにならいいかなって。 もっと触ってきててもいいのよ?」 「…遠慮しておくよ」 正直、また感触を味わいたい気はする。 だけどそうすればもう手を離したくなると思う。 「えっと、それで…」 「あけましておめでとう」 「うん、あけましておめでとう」 こんな格好だが新年の挨拶を交わす。 「ってそうじゃなくて、どうしてブルーがここに?」 「理由がないと、レッドに会いに来ちゃいけないの?」 目を潤ませ、ブルーが尋ねてくる。
28 23/01/01(日)23:53:17 No.1010762063
うっ、とレッドが怯む。 「い、いやそうじゃないけどさ…」 「冗談よ。レッドと初詣に行こうかなって思ってたんだけど」 と、ブルーがこちらにさらに身を寄せる。 「もうちょっとこのままでもいいんじゃないかなって。 寝正月だっていいものよ」 「…そうかもな」 レッドもブルーを抱き直す。 「レッドの方から来るなんて、珍しくない?」 「たまにはさ。オレだってそうしたくないわけじゃないし」 彼女の髪の香りがする。 シャンプーのいい匂いが鼻をくすぐる。
29 23/01/01(日)23:53:32 No.1010762165
「レッドからハグしてもらえるなんて、今年はいい年になりそうね」 「起きたらブルーがいたってのもいい新年の始まりって気もするよ」 そうだね、とお互い笑い合う。 男と女。 固さと柔らかさ。 全く違う自分たち。 それが今はこうしている。
30 23/01/01(日)23:53:48 No.1010762273
これからも一緒にいてほしい。 そう言いかけて、やめた。 目を見ればわかる。 彼女も、同じことを思っている。 それくらいはわかる。 だから抱く力を強くすることで意識を伝えようとした。 気持ちが伝わったのか、向こうからも同じようにされた。 そのことを安堵して、2人で笑い合った。
31 23/01/01(日)23:54:01 No.1010762343
以上です 閲覧ありがとうございました
32 23/01/02(月)00:02:00 No.1010765299
ほぼ同じくらいの11時半ごろに2本とも書き終えたのでスレ二つ立てるよりは一つでいいやと思って二本立てにしました 本年も宜しくお願いします
33 23/01/02(月)00:07:48 No.1010767321
>「お客さん、荷作りしててどーしたんだ?夜逃げ?」 >「タダばっかりだから生活できなくなったんじゃねーかって…」 運び屋はさぁ…
34 23/01/02(月)00:19:22 No.1010771209
スレッドを立てた人によって削除されました いらねえ
35 23/01/02(月)00:24:56 No.1010773000
>「ちょっと、離して…」 >腕を離そうとしても動かない。 >力が入りにくい体勢だからか。 >それよりもレッド自身の腕力が想像よりも強い。 イエローお姫様抱っこしたままサキ止めにかかって青緑銀の誰にも追い越されてないの何気にすごいよね
36 23/01/02(月)00:33:43 No.1010775881
>>「ちょっと、離して…」 >>腕を離そうとしても動かない。 >>力が入りにくい体勢だからか。 >>それよりもレッド自身の腕力が想像よりも強い。 >イエローお姫様抱っこしたままサキ止めにかかって青緑銀の誰にも追い越されてないの何気にすごいよね 山籠りの修行はすごいから… レッドさん半裸になってもいい身体してる