22/12/26(月)22:31:31 泥のスキル のスレッド詳細
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画像ファイル名:1672061491290.jpg 22/12/26(月)22:31:31 No.1008389215
泥のスキル
1 <a href="mailto:中の人">22/12/26(月)22:39:24</a> [中の人] No.1008393063
https://zawazawa.jp/kagemiya/topic/25/126 https://zawazawa.jp/kagemiya/topic/25/127 2名提出しました 本当は昨日の時点で出してたけど連絡忘れてました
2 <a href="mailto:1/3">22/12/26(月)23:01:38</a> [1/3] No.1008403318
思えば、この人とはこんなふうに喋ることが多い。 1日という単位の狭間。まるで物語の幕間の出来事のように、彼女と私は話をする。 「───ま、強いだけ、便利なだけ、そういう礼装は作ろうと思えば作れるんでスよ。いくらでもね」 薄暗い部屋の中、時折エンターボタンを押しながらラップトップのモニターをぼんやりと眺めるテアさんが呟いた。 モニターの青白い光が綺麗な顔を浮き上がらせている。彼女は机の上の壊れた礼装を指さした。 「これみたいに、あらゆるものを断つ剣。 あるいは柄を握った者のアストラル体と接続し、誰でも簡単に達人になれる剣。 簡単でス。モノによっては材料が別途必要かもしれまセんが。なんなら私でなくても製作可能でシょう」 「それではダメってことですか?」 「ええ。わたしにとってはね。きみ自身、そう感じているんじゃないでスか?」 そう言われるとつい机上の壊れた礼装に視線が移ってしまう。 ───確かに。これは本当によく切れるけれど、一方で握ってもどこか肌に合わなかった。 柔らかさがない。機能的にはとても優れているのかもしれないけれど芯まで響くものがない。私と呼吸を合わせてくれる息遣いがない。
3 <a href="mailto:2/3">22/12/26(月)23:01:59</a> [2/3] No.1008403433
それこそ使い慣れた竹刀の方がよっぽど芯が通っている。使いにくい剣だった。 ラップトップからはコードが伸びて得体の知れない鉄の塊へと繋がっている。 パソコンをツールとして魔術礼装を構築しているそうだけれど、そうしているとテアさんは魔術師というよりエンジニアだ。 「ある時からやめたんでス。そういう単一機能だけを追い求める礼装作りは。 焦点が礼装そのものより使い手の方に移ったわけでス。考えてみれば当然だった。 次のステージに進めようとしているのに、進める対象ではなくその道具をいくら磨こうが進歩はない。 やっていることが石を積み上げて隣の天体を目指すような話だというのは分かるんでスが、砂を積むよりは石を積んだほうが効率いいでシょ?」 「えーと…すみません、全然話がわからないです」 「おっと失礼。つまり、物作りをマスプロダクションからオーダーメイドの方へ舵切りしたってことでス。 担い手の生命としての次元をひとつ上げるような、寄り添うことで個人の輪郭を際立たせるような、最良の道具を。 今はそれを個人にしか配給できないけれど、いずれは。それが魔術師としてのわたしの研究テーマってわけでスよ」
4 <a href="mailto:3/3">22/12/26(月)23:02:10</a> [3/3] No.1008403494
テアさんがモニターから視線を切り、ちらりと横顔だけで視線を遣ってくる。 私を見ているようで何か別のものを見ているような、出会った時から変わらない怪しげな目。 どこか不気味だけれど怖さは感じない。その理由になんとなく今の話と通じるものがある気がした。いかにも孤高の天才なのにこの人は孤独を厭うのだ。 ふとその目がきょとんと瞬いた。 「おや。もうこんな時間でスか」 言われて時計を見てみると…思ったより時間が経っていた。テアさんとの話は分からないことも多いが、それでも不思議と聞き心地が良い。そのせいだ。 「すみません。私はそろそろ眠っておきますね」 「それがいいと思いまス。明日も早いでスしね。わたしもこれを片付けたら休んでおきまシょう」 椅子から立ち上がり、空になったマグカップを手にして踵を返す。 部屋から出ようとしたその時、ぽつりとテアさんが私の背中へ向けて言った。 「次は壊されないようにしておきまスよ」 「え。…はい」 モニターへと顔を戻していたためにその表情は伺えなかった。 でもなんだろう。───なんというか…怒っていた…? 首を傾げながら後にする。かちかちという打鍵音が耳に残っていた。
5 22/12/26(月)23:04:45 No.1008404426
アトラス院の考えをマイルドにした感じかな
6 22/12/26(月)23:07:08 No.1008405358
>アトラス院の考えをマイルドにした感じかな かなーり共感できる部分はありまスけどあの人たちは直線的過ぎるんでスよね 扱う道具に人間の方が乗っ取られてる、みたいな や、それがあの人たちの目指したところなのは分かりまスけれど
7 22/12/26(月)23:24:21 No.1008411852
スキルと言えばクラス別スキルが不定なクラスは何を持たせるか悩ましいよね プリテンダーとかアルターエゴとか
8 22/12/26(月)23:27:50 No.1008413234
アズキちゃんのそばで関わる大人はみんなタイプが違ってこれは…パワーレベリング