虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

1 22/12/23(金)23:21:04 No.1007247439

「静かにしてくださいキングヘイローさん。今日の私は特別講師として来ています。貴方は生徒、くれぐれも立場を弁えるよう」 「あ、はい、すいません……じゃなくて！何でお母様が講師を！？」 「我々が招待したんだ」 混乱するキングを制したのは生徒会の面々。曰く、優秀なOGとして、是非とも現トレセン学園生徒達に話をしてほしいと招いたそう。そういうのは生徒会からでもお母様からでもいいから前もって伝えておいてほしい。心臓に悪いから。切に願うキングであった。 「珍しいわ。過去の栄光を自身では誇らないあの人がこんな……」 幼少期より周囲から親と比べられて来たキングであったが、母親の口から「昔の私は」といった自分語りを聞いたことはあまり無かった。かの母親の心中は果たして。 （あの子の学園生活、少しでも覗いてみたいわ…） 親の心子知らずであった。

2 22/12/23(金)23:21:39 No.1007247683

「話が脇道に逸れましたが、嚆矢濫觴。それでは講演会を始めます」 司会を務める生徒会長、シンボリルドルフが切り出す。ところが。 「──さんはかつてこのトレセン学園に在籍していました。数々のレースで勝ち、その栄誉ある実績は多くのウマ娘の憧れで…」 「待ちなさい。貴方が聞きたい話は本当にそんなことかしら？」 突然、キングの母親が会長の話を遮った。 「貴方だけじゃないわ。ここにいるウマ娘全員、何も私のレースの成績にだけ興味があるわけじゃないでしょう？」 会場がシン、と静まる。キングの母は非常に優秀な競走ウマ娘であった。だが、それだけではない。彼女を語る上で欠かせない伝説がもう一つあるのだ。 「現役中に妊娠して、赤ちゃんがお腹にいるまま出走。この話が気になる人も多いんじゃなくて？」 そう、彼女を語る上でもう一つ挙がるのが現役中の妊娠。学生の身でありながら今の夫と結ばれたことを意味する。そして彼女の夫は…… 「現役時代の私とトレーナー……今の夫ね？その話に興味があるんじゃないかしら？」

3 22/12/23(金)23:22:26 No.1007247966

おお…！と、会場が沸いた。自身のトレーナーに懸想するウマ娘が多いのは言うまでもない。レースと恋を両立させたウマ娘。そういう意味でも、キングの母親は多くのウマ娘の憧れの存在であった。 「ちょっと待ちなさい！」 しかし、その話に待ったをかけるウマ娘がいた。誰あろう、お腹の中にいた娘である。 「お、お母様とお父様の話ってその……ほら、アレじゃない？こここここの場で話すには相応しくないんじゃないかしら！？」 キングヘイローは知っていた。父と母のどういった恋愛の末に自分が生まれたのかを。恋慕が募りに募ったウマ娘が取る最終手段。いわゆる逆ぴょい。その産物が彼女だった。昔、父に「お父さまとお母さまはどうして結婚したのー？」という幼子特有の可愛らしい質問をしたら場が少し気まずくなったのを今でも覚えている。 「せっかくの講演ですし、お母様のレースでの栄光を…」 「そんなの検索かけたら当時の映像なりインタビューなり出てくるわよ。それよりもうすぐクリスマス。これを機に好きな殿方と距離を詰めたい方も多いんじゃなくて？ねぇ、会長さんはどうかしら？」

4 22/12/23(金)23:23:03 No.1007248184

娘の話を遮って、母親は壇上に立つ生徒会長に視線を送る。ルドルフはゴクリ、と喉を鳴らし、やがて振り絞るように答えた。 「興味…あります…」 「でしょう？なら、お話するわ。私とあの人の当時をね」 哀れ、娘の軌道修正は失敗に終わり、母親の惚気話が幕を開けた。 そこから先は凄かった。馴れ初め、初めてのデート、逆ぴょいの話、二人で過ごす初めてのクリスマス、逆ぴょいの話、バレンタイン、温泉旅行、逆ぴょい。生々しい恋愛譚の応酬にある者は悶え、ある者はいつか自分もとかかり、またある者は鼻血を吹き出した。ヒートアップしていく体育館内。ただ1人だけ、反比例するかのようにグロッキーになっていく娘。 「大丈夫？キングちゃん？」 「連れ出して…私を外に連れ出してぇ…」 持ち前の真面目さから離席することは出来ず、しかし留まり続けたことによって父と母の生々しいあれこれを聞かされたキング。真っ白に燃え尽きかけていた。 「……と、まあこんな感じです私とあの人の話は」 やっと終わる…この地獄から解放される…そう期待したキングだが。

5 22/12/23(金)23:23:45 No.1007248441

「じゃあここからは質問コーナーね。何か質問ある人はいるかしら？」 まだ続くのか。キングは空を仰ぎ見た。そんな彼女の心境を置いてけぼりにして、元気に挙手するウマ娘達。 「はい」 「どうぞ、シンボリルドルフさん」 先陣を切ったのは生徒会長だった。意を決したように、彼女は問う。 「素晴らしい話をありがとうございました。私もいつか自身のトレーナーとそういう関係になれたらな、と強く思いました。ですがその…妊娠してそのままレースに出たとのことですが、不安はなかったのですか？お腹の子やご自身への負担とか…」 そうだ、言ってやれ。キングは思った。 「無かったわ。だって、勝利を目指してあの人と私で二人三脚で鍛えたこの身体よ。ちょっとやそっとで壊れるわけないじゃない。貴方達の身体もそうよ。お腹の子だけじゃなく、自分自身の身体もトレーナーと培った愛の結晶。信じないでどうするの？」 「な…なるほど…その考えには至らなかったです…なるほど。確かに。そうだ、私が信じないでどうするトレーナー君と培ったこの身体を！」

6 22/12/23(金)23:24:33 No.1007248740

「付け加えておくけど、逆ぴょいはあくまで煮え切らない相手の理性を崩す手段よ。最後は相手から手を出すように仕向けなさい。覚えておくことね」 「はい！」 いけない。母親が言い負かされるのを期待してたら逆に会長が取り込まれた。目が据わっている。 よりにもよって模範たるべき会長が取り込まれたことで、会場のあちこちから「なら私も…」と言った声が聞こえてくる始末。チラ、と隣を見るとセイウンスカイがさっきから必死になってメモを取っていた。昼寝の時間とは何だったのか。 「うーん…でも私は逆ぴょいってあんまり好きじゃないかも…」 良かった、味方がいた。反対隣でスペシャルウィークがボソッと呟いたのをキングは聞き逃さなかった。 「トレーナーさんとそういう雰囲気になって、お互い同意してシた時はとっても気持ち良かったし」 違った、別の敵だった。キングは頭を抱えた。 斯くして、キングに苦しみを与えつつ、ウマ娘達に若干の危険思想を植え付けて講演会は終わった。

7 22/12/23(金)23:24:58 No.1007248862

後日、逆ぴょいの報告が多発し、事態を重く見たトレセン学園はミホノブルボンの父親を招集。全トレーナーに向けて研修会を開き、担当ウマ娘に逆ぴょいされた後の対処法を伝授することでことなきを得たそうだ。 キングヘイローの賢さが30上がった！ お母様への不信感が10上がった！ 逆ぴょいへの憧れが10上がった！

8 <a href="mailto:s">22/12/23(金)23:25:43</a> [s] No.1007249152

苦しむキングを書きたかった

9 22/12/23(金)23:26:42 No.1007249516

キングかわいそ…

10 22/12/23(金)23:27:10 No.1007249702

>後日、逆ぴょいの報告が多発し、事態を重く見たトレセン学園はミホノブルボンの父親を招集。全トレーナーに向けて研修会を開き、担当ウマ娘に逆ぴょいされた後の対処法を伝授することでことなきを得たそうだ。 されない対策とかは…

11 22/12/23(金)23:27:19 No.1007249762

ブルパパ…

12 22/12/23(金)23:29:21 No.1007250491

逆ぴょいが逆ぴょい…かなぁ？くらいになる程度では ・・・？

13 22/12/23(金)23:29:31 No.1007250539

自分の母親が自分の学校来るだけでも思春期の子とか恥ずかしいだろうに 父親とのなれそめどころか逆レイプ体験語り始めるとか 地獄か

14 22/12/23(金)23:29:57 No.1007250701

この生徒会はもう駄目だ